平成21年度 春期 基本情報技術者試験 問21−40 解答編




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基本情報

(基本情報技術者試験)

解答と解説のページです。

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問21 絶対パス名¥a¥a¥b¥cをもつディレクトリがカレントディレクトリであるとき、相対パス.¥..¥..¥a¥b¥fileをもつファイルを、絶対パス名で表現したものはどれか。ここで、ディレクトリ及びファイルの指定方法は、次の規則に従うものとする。

[ディレクトリ及びファイルの指定方法]

(1) ファイルは、“ディレクトリ名¥・・・¥ディレクトリ名¥ファイル名”のように、経路上のディレクトリを順に“¥”で区切って並べた後に“¥”とファイル名を指定する。
(2) カレントディレクトリは“.”で表す。
(3) 1階層上のディレクトリは“..”で表す。
(4) 始まりが“¥”のときは、左端にルートディレクトリが省略されているものとする。
(5) 始まりが“¥”、“.”、“..”のいずれでもないときは、左端にカレントディレクトリ配下であることを示す“.¥”が省略されているものとする。
¥a¥b¥file
¥a¥a¥b¥file
¥a¥a¥a¥b¥file
¥a¥a¥b¥a¥b¥file
解答
解説 相対パスが表しているものを整理すると、現在の親の親のaのbの下にあるファイルということになります。現在のディレクトリ(=カレントディレクトリ)は¥a¥a¥b¥cなので、二つ上は、¥a¥aです。ここからa¥b¥fileと移動するわけですから、¥a¥a¥a¥b¥fileとなります。

問22 図はプログラムを翻訳して実行するまでの流れを示したものである。コンパイラ、リンカ、ローダの入出力の組合せとして、適切なものはどれか。

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解答
解説 原始(ソース)プログラムはコンパイラによって、目的(オブジェクト)ファイルに変換され、リンカによってライブラリと結合され、ロードファイル(実行可能ファイル)になります。

具体的な例をC言語によって示します。
ソースプログラム(.c) → 中間ソースファイル(.i) includeやdefineを変換
中間ソースファイル(.i) → アセンブリ言語(.s) ソース言語から中間言語へ変換
アセンブリ言語(.i) → オブジェクトファイル(.o) 言語に依存しない関数や変数になる
オブジェクトファイル(.s) → 実行可能ファイル(.out) リンカによって、ライブラリ(.so,.a)と結合される

ローダとはファイルを主記憶にロードするものです。

問23 OSIによるオープンソースソフトウェアの定義に従うとき、適切なものはどれか。
ある特定の業界向けに作成されたオープンソースソフトウェアは、ソースコードを公開する範囲をその業界に限定することができる。
オープンソースソフトウェアを改変し再配布する場合、元のソフトウェアと同じ配布条件となるように、同じライセンスを適用して配布する必要がある。
オープンソースソフトウェアを第三者が製品として再配布する場合、そのオープンソースソフトウェアの開発者は第三者に対してライセンス費を請求することができる。
社内での利用などのようにオープンソースソフトウェアを改変しても再配布しない場合、改変部分のソースコードを公開しなくても良い。
解答
解説 一般的にオープンソースはOpen Source Initiativeが定義した以下の10個の条件を満たしたものをさします。
1. 自由な再頒布ができること
2. ソースコードを入手できること
3. 派生物が存在でき、派生物に同じライセンスを適用できること
4. 差分情報の配布を認める場合には、同一性の保持を要求してもかまわない
5. 個人やグループを差別しないこと
6. 適用領域に基づいた差別をしないこと
7. 再配布において追加ライセンスを必要としないこと
8. 特定製品に依存しないこと
9. 同じ媒体で配布される他のソフトウェアを制限しないこと
10. 技術的な中立を保っていること

一方で、フリーソフトは、ソースコードの変更の不許可や再配布の禁止をしているのが一般的です。また、オープンソースは無償のものが多いですが、定義には無償の義務はありません。さらに、有償のサポートを提供している団体も存在します。

この定義に従うと、改変部分のソースコードの公開は義務ではありません。

問24 図の論理回路と同じ出力が得られる論理回路はどれか。

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解答
解説 それぞれの論理式を書くと下のようになります。

画像(問24kai)を表示できません

ここで、(A・B)+ = A+・B+ = A+となり、選択肢イと同じになります。

うまく式を変換できない場合は、真理値表やベン図を使うといいと思います。

問25 図に示す1けたの2進数xとyを加算し、z(和の1けた目)及びc(けた上げ)を出力する半加算器において、AとBの素子の組合せとして、適切なものはどれか。

画像(問25)を表示できません
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解答
解説 真理値表を書いてみると分かりやすいです。
xyz(1桁目)c(繰り上がり)


つまり
z = x・yx・y
c = x・y

となり、A(z)は排他的論理和、B(c)は論理積となります。

問26 GUIの部品の一つであるラジオボタンの用途として、適切なものはどれか。
幾つかの項目について、それぞれの項目を選択するかどうかを指定する。
幾つかの選択項目から一つを選ぶときに、選択項目にないものはテキストボックスに入力する。
互いに排他的な幾つかの選択項目から一つを選ぶ。
特定の項目を選択することによって表示される一覧形式の項目の中から一つを選ぶ。
解答
解説 ラジオボタンとは、幾つかの選択肢の中から1つを選ぶタイプを指します。下にGUI部品の例を示します。

ラジオボタン: はい いいえ
テキストボックス:
チェックボックス: IP FE AP
リストボックス:

問27 Webコンテンツのユーザビリティの説明として、適切なものはどれか。
障がい、年齢、性別、国籍などにかかわらず、だれもが使える設計をいう。
障がい者や高齢者がサービスを支障なく操作又は利用できる機能をいう。
障がい者や高年齢者に負担を与えない設計をいう。
どれだけ利用者がストレスを感じずに、目標とする要求が達成できるかをいう。
解答
解説 それぞれの解答欄の解説をします。

選択肢アはユニバーサルデザインの説明で、電卓の5の部分にある突起や、お酒の缶についている突起などがそれです。ユニバーサルデザインには下の7つの原則があります。
1:どんな人でも公平に使えること
2:使う上で自由度が高いこと
3:使い方が簡単で、すぐに分かること
4:必要な情報がすぐに分かること
5:うっかりミスが危険につながらないこと
6:身体への負担(弱い力でも使えること)
7:接近や利用するための十分な大きさと空間を確保すること

選択肢イはアクセシビリティの説明で、近づきやすさという意味です。どんなひと(高齢者や障害者)でも利用しやすいという性質です。
選択肢ウは情報バリアフリーの説明で、障害者や高齢者でも一般人と同じように利用できるような設計のことです。
選択肢エはユーザビリティの説明で、使いやすさという意味です。1998年のISO9241−11では、『特定の利用状況において、特定のユーザによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い』と定義されています。

問28 ヒューマンインタフェース設計において、操作の一貫性向上を目的とするものはどれか。
Undo(元に戻す)機能によって、一つ前の操作状態に戻せるようにする。
ショートカットキーによって操作できるようにする。
どの画面においても操作ボタンの表示位置や形を同じにする。
利用者の操作に対応した処理の進行状況を表示する。
解答
解説 ヒューマンインタフェース(HI)は人間とパソコンの間で情報やりとりするインタフェースを総称していいます。この中で一貫性とは、似た性質のものはできるだけ似たようなものを使うことで、分かりやすくするという設計方法です。データベースなどの一貫性とは意味が違うので注意しましょう。(補足ですが、Undoはアンドゥと読みます。)

問29 ある企業では、顧客マスタファイル、商品マスタファイル、担当者マスタファイル及び当月受注ファイルを基にして、月次で受注実績を把握している。各ファイルの項目が表のとおりであるとき、これら四つのファイルを使用して当月分と直前の3か月分の出力が可能な受注実績はどれか。

画像(問29)を表示できません
顧客別の商品別受注実績
商品別の顧客別受注実績
商品別の担当者別受注実績
担当者別の顧客別受注実績
解答
解説 各顧客の担当者は1人なので、、担当者と顧客は1対多で結合されています。顧客マスタファイルには、3か月分のデータがあるので、担当者別の顧客別受注実績は計算することができます。商品コードが当月受注ファイルにしかないので、商品別の処理を3ヶ月前までさかのぼることはできません。

問30 静止画データの圧縮符号化に関する国際標準はどれか。
BMP
GIF
JPEG
MPEG
解答
解説 静止画に関する代表的な規格を下にまとめます。

BMP:フルカラーですが、基本的に圧縮してないので容量が大きいです。
GIF:256色しか使えないが、データサイズは小さくできます。また一部を透過処理することもできます。
JPEG:高圧縮率の割りに劣化が目立ちにくいという性質があります。一般的で国際標準です。
PNG:画像は劣化しませんが、ファイルサイズは大きくなります。一部を透過にすることもできます。

なお、MPEGは動画の規格で静止画ではありません。

問31 データベースサーバを利用したクライアントサーバシステムにおいて、大量のSQL文が発生することによってクライアントとサーバ間の通信負荷が問題となった。このときの解決策として、適切なものはどれか。
インデックスの見直し
ストアドプロシージャ機能の利用
データベースの再編成
動的SQLの利用
解答
解説 ストアドプロシージャ機能とは、データベースサーバにおいて、あらかじめ使用頻度の高い命令群をサーバ側に用意しておくことで、わずかな引数のやり取りだけでSQL文などを実行する機能のことです。インデックスの見直しや再編成では、検索速度は上がりますがネットワークの負荷は低下しません。

問32 “従業員”表を第3正規形にしたものはどれか。ここで、下線部は主キーを表す。

画像(問32)を表示できません
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解答
解説 リレーションデータベースの正規化にはいくつかの段階があります。通常は第3正規形までですが、ボイス・コッドや第4、第5正規形というのもあります。

第1正規形:繰り返しや、反復している部分を独立させる。
第2正規形:第1正規形であり、部分関数従属を除去する(完全関数従属にする)
第3正規形:第2正規形であり、主キー以外に従属するものを除去する(推移従属を除去する)

用語についても少し解説しておきます。
関数従属:BがAに関数従属するとは、A(例:社員番号)を決めるとB(社員名)が一意に決定するというもの。Aを決定項、Bを従属項といいA→Bであらわす。
完全関数従属:決定項に余分なものがないときにいう。社員番号→社員名など。
部分関数従属:決定項に余分なものがあるときにいう。{社員番号、部署番号}→社員名など(部署番号がなくても社員名を特定できる)
推移関数従属:主キー以外に従属するものをいう。{社員番号}→{部署番号、部署名、社員名}のとき部署名は、部署番号にも従属しているので推移従属となる。

選択肢アは、技能経験年数は、技能コードに従属していません。
選択肢イは、従業員氏名が従業員番号に完全関数従属しているので、別の表にします。
選択肢ウは
従業員番号 → 従業員氏名
技能コード → 技能名
{従業員番号,技能コード}→ 技能経験年齢
となり、第3正規形までのすべての条件を満たしているので正しいです。
選択肢エは、技能経験年数が従業員番号に従属していません。

問33 関係データベースの“製品”表と“売上”表から、売上報告のビュー表を定義するSQL文のaに入るものはどれか。

画像(問33)を表示できません
GRANT
INSERT
SCHEMA
SELECT
解答
解説 基本的なSQLの命令を下にまとめます。

データ操作言語(DML)
SELECT:データを検索するときに使う
INSERT:データを挿入するときに使う
UPDATE:データを更新するときに使う
DELETE:データを削除するときに使う

データ定義言語(DDL)
CREATE:表などを作る
DROP:表などを削除する
ALTER:表などを更新する
TRUNCATE:表などを削除する

データ制御言語(DCL)
GRANT:アクセス権を付加する
REVOKE:アクセス権を剥奪する
COMMIT:トランザクションを確定する
ROLLBACK:トランザクションを取り消す

なお、SCHEMA(スキーマ)とはデータベースを定義する形式のことで。主に概念、論理、物理の3つのスキーマからなります。

問34 関係データベースの操作に関する記述のうち、適切なものはどれか。
結合は、二つ以上の表を連結して、一つの表を生成することをいう。
射影は、表の中から条件に合致した行を取り出すことをいう。
選択は、表の中から特定の列を取り出すことをいう。
挿入は、表に対して特定の列を挿入することをいう。
解答
解説 関係データベースに関する用語を下にまとめます。

結合:2つ以上の表を元に、1つの表として作り出すこと
射影は、条件にあった列を取り出すこと
選択は、条件にあった行を取り出すこと
挿入は、条件にあった行を表に入れること
削除は、条件にあった行を表から除くこと

問35 トランザクションTはチェックポイント取得後に完了し、その後にシステム障害が発生した。データベースをトランザクションTの終了直後の状態に戻すために用いられる復旧技法はどれか。ここで、チェックポイントのほかに、トランザクションログが利用できるものとする。
2相ロック
トランザクションスケジューリング
ロールバック
ロールフォワード
解答
解説 障害復旧の基本的な手法であるロールバックとロールフォワードについて下にまとめます。

ロールバックとロールフォワードを表示できません

ロールバック:主に、論理的な障害に使われる。
トランザクションの開始から完了の間に障害が発生した際、(障害が発生するトランザクションの)更新後のジャーナルファイルを使って更新を無効にしトランザクション開始直前までもどす。

ロールフォワード:主に、物理的な障害に使われる。
ハードディスクに障害が発生した場合に、バックアップデータと(障害が発生するトランザクションの)更新前のジャーナルファイルを使って復元します。

ジャーナルファイルはログファイルとも呼ばれ、更新情報が記録されているファイルです。

問36 1.5Mビット/秒の伝送路を用いて12Mバイトのデータを転送するために必要な伝送時間は何秒か。ここで、回線利用率を50%とする。
16
32
64
128
解答
解説 順番に計算していきます。

1.5Mビット/秒の0.5で実質的には0.75Mビット/秒です。12Mバイト=96Mビットなので、96/0.75=128秒となります。

問37 複数のLAN同士を、ネットワーク層で相互に接続するのに使用する装置はどれか。
ハブ
ブリッジ
リピータ
ルータ
解答
解説 ネットワーク機器と対応する階層を下にまとめておきます。

ハブ(OSI基本参照モデル第1層:物理層):集線装置
リピータ(OSI基本参照モデル第1層:物理層):信号の増幅
ブリッジ(OSI基本参照モデル第2層:データリンク層):MACアドレスを使った通信を行う
ルータ(OSI基本参照モデル第3層:ネットワーク層):IPアドレスアドレスを使ったルーティングを行う。

問38 IPアドレス10.128.192.10のアドレスクラスはどれか。
クラスA
クラスB
クラスC
クラスD
解答
解説 クラスは、先頭からのビットの並びで分かれています。

クラスA:0XXXXXXX:使えるホスト数=224
クラスB:10XXXXXX:使えるホスト数=216
クラスC:110XXXXX:使えるホスト数=28
クラスD:1110XXXX:マルチキャスト用で、ホストアドレス部分はなし。
クラスE:1111XXXX:実験用の環境で一般的には利用されない。

先頭の10を2進数で表記すると00001010なので、クラスAであることがわかります。

問39 図の環境で利用される@〜Bのプロトコルの組合せとして、適切なものはどれか。

画像(問39)を表示できません
画像(問39ans)を表示できません
解答
解説 メールの送受信は下の図のようになります。

メール

メールサーバ間もSMTPが利用されます。さらに、必要に応じて暗号化技術が使われます。

問40 ある商店が、顧客からネットワークを通じて注文(メッセージ)を受信するとき、公開鍵暗号方式を利用して、注文の内容が第三者に分からないようにしたい。商店、顧客のそれぞれが利用する、商店の公開鍵、秘密鍵の適切な組合せはどれか。
画像(問40ans)を表示できません
解答
解説 公開鍵暗号方式は、暗号化鍵と復号化鍵が別々の暗号方式です。代表的なものに巨大数の素因数分解の困難性を利用したRSAがあります。

公開鍵暗号方式は、受信者の公開鍵で暗号化し、受信者の秘密かぎで復号化することで実現します。

また、本人確認もできるディジタル署名は、これの逆の過程をたどり送信者の秘密かぎで暗号化し、送信者の公開かぎで復号化します。