平成23年度 秋期 ITパスポート試験 問61−80 解答編




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ITパスポート

(エントリ試験)

解答と解説のページです。

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問61 ウイルス対策ソフトに関する記述a〜cのうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

a USBメモリから感染するタイプのウイルスを検知できるものがある。
b 定期的にウイルス対策ソフトとウイルス定義ファイルの更新を行っていても、ウイルスを検知できないことがある。
c ボットウイルスを検知できるものがある。
a,b
a,b,c
b,c
解答
解説 それぞれの項目を順に見ていきます。

a:USBメモリをはじめ、外部記憶装置からの感染を検知するタイプがあります。
b:定義ファイルが最新でも、新しいウイルスや亜種のウイルスに対応できない場合があります。
c:ボット(外部から不正にコンピュータにアクセスさせるプログラム)を検知するタイプはあります。

問62 Webアクセシビリティの説明として、適切なものはどれか。
Webサイトを活用したマーケティング手法である。
Webページのデザインを統一して管理することを目的とした仕組みである。
年齢や身体的特徴にかかわらず、誰もがWebを利用して、情報を受発信できる度合いである。
利用者がWebページに入力した情報に基づいて、Webサーバがプログラムを起動して動的に表示内容を生成する仕組みである。
解答
解説 アクセシビリティとは、近づきやすさという意味で、どんな人(高齢者や障害者)でも分かりやすいという性質です。

選択肢アは、Webマーケティングなどの説明です。
選択肢イは、CSS(Cascading Style Sheets)の説明です。
選択肢エは、CGI(Common Gateway Interface)などの説明です。

問63 複数の利用者が同一データベースに同時にアクセスする処理のうち、データの整合性を保つための対策が不要処理はどれか。
オークションの入札処理
オンラインショッピングの申込み処理
図書情報の検索処理
列車座標の予約処理
解答
解説 複数の利用者やコンピュータが同一の情報を共有する場合は、整合性に注意が必要です。一方が読み出して書き込む間に、他方が上書きしてしまうなどすると、片方の情報が失われてしまうからです。そのため、情報にアクセスする際には、アクセスの間別の利用者が使用できないようにロックなどを掛け、排他制御を行うのが一般的です。

選択肢ア、イ、エでは、情報を読み取り、書き込む作業があるので排他制御が必要です。
選択肢ウは、情報を読むだけなので、同時に行っても整合性が崩れることはありません。

問64 1〜4の番号をもつ四つの状態がある。四つの状態は図のようにつながれており、時計回りや反時計回りに状態を遷移することができる。

画像(問64)を表示できません


現在、状態1にいて、次の手順を2回実行した後はどの状態にいるか。

[手順]
今いる状態の番号を11倍し、それを3で割った余りによって次の処理を行う。
・余りが0の場合:時計回りに一つ次の状態に遷移する。
・余りが1の場合:反時計回りに一つ次の状態に遷移する。
・余りが2の場合:時計回りに二つ次の状態に遷移する。
解答
解説 順番に計算していきます。

1回目:状態1にいるので、11倍して11。3で割ったあまりは2なので、時計回りに二つ次の状態へ遷移して状態3になります。
2回目:状態3にいるので、11倍して33。3で割ったありりは0なので、時計回りに一つ次の状態へ遷移して状態4になります。

問65 関係データベースのA表、B表がある。A表、B表に対して(A∪B)、(A∩B)を行った結果は、それぞれP表、Q表及びR表のどれになるか。ここで、∪は和集合演算、∩は共通集合演算を表す。

画像(問65)を表示できません
画像(問65ans)を表示できません
解答
解説 関係データベースにおける和集合とは、2つの表を足す演算です(ただし、重複したものは1つとする。)。共通集合とは、2つの表に共通する部分を取り出す演算です。

和集合なので、P001,P003,P007,P012,P019,P020の6つとなるので、Rとなります。
共通集合なので、P003,P007の2つとなるので、Pとなります。

なお、Qは、A表からB表の内容を引いた差集合となります。

問66 OSS(Open Source Software)の利用に関する記述のうち、適切なものはどれか。
OSSの利用者は、開発者にソフトウェアの対価を支払う義務を負う。
OSSは、そのOSSを販売したり、無料配布したりすることはできない。
OSSを遺伝子研究分野で利用することはできない。
公開されているOSSを改良した派生ソフトウェアをOSSとして公開できる。
解答
解説 一般的にOSS(オープンソースソフトウェア)はOSI(Open Source Initiative)が定義したOSD(The Open Source Definition)の以下の10個の条件を満たしたものをさします。

1. 自由な再頒布ができること
2. ソースコードを入手できること
3. 派生物が存在でき、派生物に同じライセンスを適用できること
4. 差分情報の配布を認める場合には、同一性の保持を要求してもかまわない
5. 個人やグループを差別しないこと
6. 適用領域に基づいた差別をしないこと
7. 再配布において追加ライセンスを必要としないこと
8. 特定製品に依存しないこと
9. 同じ媒体で配布される他のソフトウェアを制限しないこと
10. 技術的な中立を保っていること

なお、著作権は放棄されておらず、著作権が放棄されたソフトをパブリックドメインソフトといいます。さらに無償である義務もありません。 条件5、6により制限的な配布はできません。

問67 あるコンピュータシステムを1,200時間稼動させたとき、正常稼動と故障修理の状況は表のとおりであった。このシステムの平均修理時間は何時間か。

画像(問67)を表示できません
10
15
20
45
解答
解説 平均修復時間(MTTR:Mean Time To Repair)は、システムが故障してから復旧するまでの平均時間のことをいいます。表から以下の3回故障していることがわかります。

1回目:250〜265=15時間
2回目:580〜600=20時間
3回目:990〜1000=10時間

3回で合計45時間故障しているので、1回当たりの平均修復時間は15時間となります。

問68 室内で複数のコンピュータを接続するLANを構築したい。必要なものはどれか。
インターネット
スプリッタ
ハブ
モデム
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

インターネット:世界中に張り巡らされたコンピュータネットワーク
スプリッタ:ADSL通信を行う際に、音声とデータを分離させるために用いられる装置です。
ハブ:集線装置ともよばれ、ケーブルを複数接続でき、ネットワークを構築されるために用いられます。
モデム:アナログ信号とディジタル信号を変調・復調するための装置です。

問69 セルB2〜D100に学生の成績が科目ごとに入力されている。セルB102〜D105に成績ごとの学生数を科目順に表示したい。セルB102に計算式を入力し、それをセルB102〜D105に複写する。セルB102に入力する計算式はどれか。

画像(問69)を表示できません
条件付個数($B2〜$B100,=$A102)
条件付個数($B2〜$B100,=A$102)
条件付個数(B$2〜B$100,=$A102)
条件付個数(B$2〜B$100,=A$102)
解答
解説 まず、絶対参照と相対参照を確認します。

絶対参照と相対参照を表示できません

絶対参照は$をつけることで、セルをコピーしても値が変化しません。相対参照はセルをコピーすると、ずれた分だけ値が変化します。

問題では、B102のセルに条件式を入れてコピーをします。
範囲である2から100の行は変化させたくないので$をつけることがわかります。列はその列に対応させたいので、相対参照になります。
一方で学生数を表示させるほうでは、列は同じにしたいので、$をつけて絶対参照にします。行は値を変化させたいので、相対参照にします。

問70 社外からインターネット経由でPCを職場のネットワークに接続するときなどに利用するVPN(Virtual Private Network)に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
インターネットとの接続回線を複数用意し、可用性を向上させる。
送信タイミングを制御することによって、最大遅延時間を保証する。
通信データを圧縮することによって、最小の通信大域を保障する。
認証と通信データの暗号化によって、セキュリティの高い通信を行う。
解答
解説 VPNとは、暗号技術と仮想化技術を応用して一般の回線をあたかも自分が占有しているかのように利用する技術です。これにより、一般回線が自分の専用回線のように利用でき、セキュリティの高い通信と専用線に比べてコストを抑えることができます。

問71 SSLに関する記述のうち、適切なものはどれか。
Webサイトを運営している事業者がプライバシーマークを取得していることを保証する。
サーバのなりすましを防ぐために、公的認証機関が通信を中継する。
通信の暗号化を行うことによって、通信系路上での通信内容の漏えいを防ぐ。
通信の途中でデータが改ざんされたとき、元のデータに復元する。
解答
解説 SSL(Secure Socket Layer)は一般的にはhttps等に利用される、安全にデータを転送するプロトコルです。個人情報等を入力する画面のURLでhttpsが表示されていたり、SSL鍵マークが表示されたりした場合は、SSLにより安全に情報を転送できます。

問72 10進数の2、5、10、21を、五つの升目の白黒で次のように表す。

画像(問72)を表示できません


それぞれの升目が白のときは0、黒のときは升目の位置によってある決まった異なる正の値を意味する。この五つの升目の値を合計して10進数を表すものとすると、■■□□□が表す数値はどれか。

12
20
24
30
解答
解説 白と黒が2進数に対応し、右から、1,2,4,8,16に対応していることがわかります。つまり、16+8=24となります。
しかし、今回の場合、2進数に対応していることが分からなくても答えを求めることができます。

まず、21が■□■□■で10が□■□■□なので、これを足すと■■■■■が31であることになります。一方□□□■□が2で□□□■□■が5なので、これを足すと□□■■■が7であることになります。
なので、■■■■■から□□■■■を引くと■■□□□になるため、31−7で24となります。

問73 ワイルドカードの“%”が0個以上の連続した任意の文字列を表し、“_”が任意の文字1文字を表すとき、文字列全体が“%イ%ン_”に一致するものはどれか。
アクセスポイント
イベントドリブン
クライアントサーバ
リバースエンジニアリング
解答
解説 文字列を言い換えると「イ、ンの順に文字を含み、最後から2番目がンである」となり、アクセスポイントだけがこの条件を満たしています。なお、「アクセスポ」が最初の%で、イが入り、二つ目の%が空の文字列、ンが入り、最後の_がトに相当することになります。

問74 階層型ディレクトリ構造のファイルシステムに関する用語と説明a〜dの組合せとして適切なものはどれか。

a 階層の最上位にあるディレクトリを意味する。
b 階層の最上位のディレクトリを基点として、目的のファイルやディレクトリまで、全ての経路をディレクトリ構造に従って示す。
c 現在作業を行っているディレクトリを意味する。
d 現在作業を行っているディレクトリを基点として、目的のファイルやディレクトリまで、全ての経路をディレクトリ構造に従って示す。
画像(問74ans)を表示できません
解答
解説 それぞれの項目をまとめると以下のようになります。

a:ルートディレクトリ
b:絶対パス
c:カレントディレクトリ
d:相対パス

よって、カレントディレクトリ、絶対パス、ルートディレクトリの組合せはc、b、aとなります。

問75 電子メールの安全性や信頼性に関する記述のうち、適切なものはどれか。
暗号化しなくても、受信者以外の者が、通信途中で電子メールの本文や添付ファイルの内容を見ることはできない。
受信した電子メールの差出人欄の電子メールアドレスが知人のものであっても、本人からの電子メールであるとは限らない。
送信した電子メールは、必ず受信者に到達する。
電子メールの本文や添付ファイルの内容を通信途中で改ざんすることはできない。
解答
解説 それぞれの選択肢を順に見ていきます。

選択肢ア:暗号化をしない場合、通信経路上で内容を盗み見られてしまう可能性があります。
選択肢イ:送信者のメールアドレスを偽ることができるので、送信者を保証することはできません。(正解)
選択肢ウ:基本的にメールは一方向なので、受信者への到達確認やメールを確認したかなどの情報を得ることはできませんし、保証されません。
選択肢エ:暗号化などをしない場合、情報がそのまま通信経路上を流れるので、不正に改ざんすることができます。

問76 周辺機器をPCに接続したとき、システムへのデバイスドライバの組込みや設定を自動的に行う機能はどれか。
オートコンプリート
スロットイン
プラグアアンドプレイ
プラグイン
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

オートコンプリート:エディタや表計算ソフトでよく実装される機能で、入力内容を推測して表示する機能。例:「きほ」と入力 → 「基本情報技術者試験」が表示される
スロットイン:フロッピーディスクやMOなどのドライブでよく見られる方式で、ドライブの挿入口にメディアをそのまま押し込むもの。
プラグアンドプレイ:周辺機器などをパソコンへ接続した時に、その場でドライバなどをインストールし、利用可能にできる機能
プラグイン:ソフトウェアの機能を拡張するために、付加的に利用される比較的小さなプログラム。パッチとは違い機能の修正やバグの修正目的ではない。

また、プラグアンドプレイとあわせて利用される技術で、電源を入れたままで機器を着脱できる機能をホットプラグといいます。

問77 プロトコルに関する記述のうち、適切なものはどれか。
HTMLは、Webデータを送受信するためのプロトコルである。
HTTPは、ネットワーク監視のためのプロトコルである。
POPは、離れた場所にあるコンピュータを遠隔操作するためのプロトコルである。
SMTPは、電子メールを送信するためのプロトコルである。
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

HTML(HyperText Markup Language)は、インターネットで最も多く用いらているマークアップ言語です。
HTTP(Hyper Text Transfer Protocol):HTMLなどのハイパテキストを転送するプロトコル。
POP(Post Office Protocol):メールをサーバから取り出すプロトコル。今はPOP3が利用されています。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol):メールをクライアントサーバ間、サーバ間同士を転送するプロトコル。

なお、ネットワーク監視のためのプロトコルとしては、SNMP(Simple Network Management Protocol)。離れた場所にあるコンピュータを操作するためのプロトコルとしては、TELNET(Telecommunication network)やSSH(Secure Shell)があります。

問78 データ量の大小関係のうち、正しいものはどれか。
1kバイト < 1Mバイト < 1Gバイト < 1Tバイト
1kバイト < 1Mバイト < 1Tバイト < 1Gバイト
1kバイト < 1Tバイト < 1Mバイト < 1Gバイト
1Tバイト < 1kバイト < 1Mバイト < 1Gバイト
解答
解説 それぞれの接頭語を以下にまとめます。

k(キロ):103(1,000倍)を表す。
M(メガ):106(1,000,000倍)を表す。
G(ギガ):109(1,000,000,000倍)を表す。
T(テラ):1012(1,000,000,000,000倍)を表す。

なお、kバイトは210、Mバイトは220のように表される場合もあります。この場合は、キビバイト(kiB)、メビバイト(MiB)を利用することが推奨されています。

逆に小さい方の接頭語は以下のようになります。
m(ミリ):10-3=1/1k
μ(マイクロ):10-6=1/1M
n(ナノ):10-9=1/1G
p(ピコ):10-12=1/1T

問79 データの読み書きが高速な順に左側から並べたものはどれか。
主記憶、補助記憶、レジスタ
主記憶、レジスタ、補助記憶
レジスタ、主記憶、補助記憶
レジスタ、補助記憶、主記憶
解答
解説 データの読み込み速度はCPUに近づくについて速くなっていきます。また、高速なメモリほど容量が小さくなります。

1.レジスタ(CPUのそばにある)
2.キャッシュメモリ(レジスタと主記憶の速度の差を埋めるために用いられるメモリ)
3.主記憶(マザーボード上に装着してある)
4.ディスクキャッシュ(主記憶と補助記憶装置の速度の差を埋めるために用いられるメモリ)
5.補助記憶(HDDなど)

問80 情報セキュリティにおける“可用性”の説明として、適切なものはどれか。
システムの動作と出力結果が意図したものであること
情報が正確であり、改ざんされたり破壊されたりしていないこと
認められた利用者が、必要な時に情報にアクセスできること
認められていないプロセスに対して、情報を非公開にすること
解答
解説 情報セキュリティの3要素に、機密性、完全性、可用性、その頭文字をとってCIAと呼ばれます。3つは以下のような特性です。

機密性(Confidentiality):正しいユーザしかアクセスができない性質
完全性(Integrity):データが間違っていたり、破壊されておらず正確である性質
可用性(Availability):ユーザがいつでも利用できる性質

選択肢アは、機能性の説明です。
選択肢イは、完全性の説明です。
選択肢ウは、可用性の説明です。(正解)
選択肢エは、機密性の説明です。