平成23年度 春期 ITパスポート試験 問41−60 解答編




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ITパスポート

(エントリ試験)

解答と解説のページです。

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問41 生産性が同じメンバ5名で20日掛かる作業がある。作業開始直前に3名がインフルエンザにかかったので新たなメンバと交代させることにした。新メンバの生産性は当初予定していたメンバの60%の生産性であるとき、20日以下で作業を完了するためには、少なくとも何名の新メンバが必要か。
解答
解説 まず、5人で20日かかるということなので、作業量は100人月です。2人はそのまま20日間作業ができるので、100−(2×20)=60人月が新メンバに行ってもらう作業量です。

n人×0.6×20日=60人月となるnを求めます。
移項して、整理すると20n=100となり、n=5人を求めることができます。

問42 システム監査の実施に関する記述として、適切なものはどれか。
監査計画を立案することなく監査を実施する。
監査の結果に基づき改善指導を行うことはない。
監査報告書の作成に先立って事実確認を行うことはない。
本調査に先立って予備審査を実施する。
解答
解説 監査の基本は、監査機関と被監査機関の独立と、専門的で中立的な立場からの客観的指摘です。また、企業の監査部門が行う内部監査と第三者機関に依頼する外部監査の二つがあります。

監査に先だって、必要な予備審査を実施することもあり、被監査部門は積極的に協力するべきです。また、証拠資料はかならずコピーなどを取り複数保管しておくのが基本です。監査人(監査部門)は監査報告書の内容には責任を負いますが、改善自体は被監査部門が責任を負います。(改善指導を行うことはあります。)

問43 内部統制機能を構築するに当たって、仕事の役割分担や仕事の権限を明確にすることを何というか。
職務分掌
内部監査
モニタリング
リスクの分析
解答
解説 内部統制とは、企業の業務を適切に行っていくためにルールやプロセスを整備することをいいます。選択肢の用語を以下にまとめます。

職務分掌:職務や権限を複数人に分離させること
内部監査:企業内に組織された監査部門が他部門で業務等が適正に行われているかを調べること
モニタリング:内部統制が正しく行われているか評価すること
リスク分析:どんな脅威があり、脅威が顕在化したときに、どの程度の被害がでるかを調べること

問44 稼働中のソフトウェアに対して、発見された障害の是正や、新しい要件に対応するための機能拡張を行う活動として、最も適切なものはどれか。
システムテスト
システム要件定義
ソフトウェア構成管理
ソフトウェア保守
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

システムテスト:作成したシステムが正しく動作するかどうかを調べる作業
システム要件定義:作成するシステムにはどんな機能や性能が必要かを洗い出し、決める作業
ソフトウェア構成管理:成果物やドキュメントなどを管理するプロセス
ソフトウェア保守:すでに運用されているソフトウェアにおいて、バグの修正や利便性の向上などを行う作業

問45 プロジェクトマネジメントにおいてWBSを作成する目的として、最も適切なものはどれか。
進捗管理の作業効率を向上する。
成果物とそれを作成するための作業を明確にする。
品質検証のための基準を明確にする。
プロジェクトの目的を周知する。
解答
解説 まず、WBS(Work Breakdown Strucuture:作業分割構成)とは仕事を分割して、作業のしやすい量にすることです。この分割の最下位の仕事の単位をワークパッケージといいます。ワークパッケージは必要に応じてアクティビティ(具体的な操作)に分解されます。

また、ワークパッケージを人員に割り当てることで、OBS(Organization Breakdown Structure:組織分割構成)を作成することができます。以下に例を図示します。

WBSを表示できません。

問46 企業がサービスデスクを導入するメリットに関する記述として、適切なものはどれか。
新しいバージョンのソフトウェアリリースまでの時間短縮
許可されていないソフトウェア利用の排除
システムの変更が失敗することによるサービスの中断や切り戻し作業の減少
問合せに対する迅速な回答
解答
解説 サービスデスクは、サービスサポートプロセスのひとつで、サービスサポートプロセスは、一つの機能と五つのプロセスで構成されています。下に内容をまとめます。

インシデント管理:障害時の迅速な回復を行い、影響を最小限にする
問題管理:インシデントや障害の原因の解明と対策・再発防止を行う
構成管理:構成アイテム情報の収集や維持・管理・確認・検査を行う
変更管理:構成アイテムの変更を安全かつ効率的に実施する
リリース管理:変更管理プロセスで承認された内容を本番環境に反映させる
サービスデスク:顧客との窓口の役割をし、サポート業務を行う

問47 SLAの説明として、適切なものはどれか。
ITサービスの利用者からの問合せに対応する窓口
ITサービスマネジメントのベストプラクティスを文書化したもの
サービス内容に関して、サービスの提供者と顧客間で合意した事項
サービスやIT資産の構成品目を管理するために作成するデータベース
解答
解説 SLA(service level agreement)とは、サービス品質保証契約のことで、サービスの品質(故障時間やサービスの内容保障)を取り決めます。利用部門と情報システム部門が取り交わす契約事項であり、課金項目、問合せ受付時間、オンラインシステム障害時の復旧時間などの項目が盛り込まれます。また、契約事項が実行されなかった場合の補償規定も盛り込まれることもあります。

選択肢アは、サービスデスクの説明です。
選択肢イは、ITILの説明です。
選択肢エは、CMDB(Configuration Management DataBase:構成管理データベース)の説明です。

問48 図のアローダイアグラムにおいて、作業Bが3日遅れて完了した。全体の遅れを1日にするためには、どの作業を何日短縮すればよいか。

画像(問48)を表示できません
作業Cを1日短縮する。
作業Dを1日短縮する。
作業Eを1日短縮する。
どの作業も短縮する必要はない。
解答
解説 まず、通常の状態でプロジェクトのクリティカルパスをもとめます。

画像(問48kai_1)を表示できません

すると、クリティカルパスは、A→C→E→Fで20日となります。

次に、Bの作業が遅延した場合を考えます。Bの作業が3日遅延したということは、下図のようにBに10日かかるということです。

画像(問48kai_2)を表示できません

この状態でクリティカルパスを求めると、B→E→Fで22日となります。

プロジェクト全体の遅延を1日に抑えたいのでB,E,F上の作業を1日短縮すればよいことになります。

なお、期日を短縮する場合にはクリティカルパス上の作業を短縮させますが、今回のように遅延や短縮でクリティカルパスが変わる場合があるので注意が必要です。

問49 システム開発を次に示す工程で行う場合、システムの機能及び能力を決める工程はどれか。

システム要件定義 → システム設計 → プログラミング → テスト
システム要件定義
システム設計
プログラミング
テスト
解答
解説 それぞれの工程を以下にまとめます。

システム要件定義:開発するシステムに必要な機能や性能を決める
システム設計:必要な機能などを満たすために、どのように実装するかの仕様を決める
プログラミング:仕様の通りに、プログラミング言語を用いてコードを記述していく
テスト:作成したプログラムが正しいかどうかを検証する

問50 システム開発の結合テスト段階において、開発済の機能に追加や修正が必要となり、データベースの構成も変更することになった。プロジェクトマネージャの対応に関する記述a〜dのうち、適切なものだけをすべて挙げたものはどれか。

a WBSを改定しプロジェクトスケジュールを見直す。
b 追加又は変更に要するコストを見積もる。
c データベースの構成変更に伴うリスクを洗い出す。
d 当初予定していた結合テストを完了させてから変更を行う。
a,b,c
a,b,d
b,d
c,d
解答
解説 a〜dを順に評価していきます。

a:WBS(Work Breakdown Strucuture:作業分割構成)とは仕事を分割したものです。作業の大幅な変更があったので、改定必要があります。
b:修正・変更によりあらたにコストがかかる可能性が大きいので、見積もるべきです。
c:データベースを変更する必要があるので、変更のリスクや変更後に新たに生じるリスクを分析する必要があります。
d:新たに追加・変更を行った後に、再度結合テストをするので変更部分の対応を優先するべきです。

よって、プロジェクトマネージャーはa,b,cの対応をするべきといえます。

問51 システム開発プロジェクトにおいて、システム要件定義からソフトウェアの導入・受入れ支援までを開発ベンダを受注した。システム開発に関する文章a〜dのうち、開発ベンダが作成する文章として、適切なものだけをすべて挙げたものはどれか。

a システムテスト結果報告書
b 情報提供依頼書
c ソフトウェア導入計画書
d 提案依頼書
a,b
a,c
b,d
c,d
解答
解説 a〜dを順に評価していきます。

a:システムテストは作成したプログラムを結合し、最終的なシステムとして動作するかどうかを行うものです。この報告書はシステムテストを行ったもの(ベンダ側)が作成します。
b:情報提供依頼書(RFI:Request for Information)は、発注側がベンダ側に情報提供を依頼するために作成します。
c:ソフトウェア導入計画書は、システムをどのように作成し、納入するかの計画を記したものなので、ベンダ側作成します。
d:提案依頼書(RFP:Request for Proposal)は、情報提供依頼書で情報を提示してもらったベンダの中から具体的なシステムの提案を依頼するためのもので、発注側が作成します。

よって、a,cがベンダ側、b,dが発注側で作成する文書です。

問52 アプリケーションプログラムの規模を見積もるための基となる情報として、最も適切なものはどれか。
画面数と帳票数
システム開発期間
システム開発工数
プログラマの経験年数
解答
解説 システム開発において、開発規模を見積もる際にファンクションポイント法が用いられることがあります。ファンクションポイントはその名(ファンクション=関数、ポイント=点数)のとおり、ファイルの入出力数や関数の複雑さなどから重み付けと計算を行い、プログラム規模を見積もる手法です。具体的には、入出力数やインターフェースの数で計算します。つまり、プログラムの行数(≒ステップ数)などでは計算しません。

システム開発期間は、アプリケーションの規模がわかった上決定します。
システム開発工数は、アプリケーションの規模とほぼ同義で、アプリケーション規模をもとめるのには使えません。
プログラマの経験年数は、生産性には多少影響するものの、アプリケーション規模とは無関係です。


問53 ソフトウェアの品質特性には、信頼性、使用性、効率性、保守性などがある。ソフトウェアの信頼性について記述したものはどれか。
想定外のデータを入力しても異常な動作が起きないようにする。
だれにでも使いやすい画面インタフェースにする。
入力後3秒以内に検索結果が得られるようにする。
パラメタを指定するだけで画面や帳票の変更ができるようにする。
解答
解説 選択肢の品質特性をまとめると以下のようになります。

選択肢ア:信頼性
選択肢イ:使用性
選択肢ウ:効率性
選択肢エ:保守性

ソフトウェアの品質には、ISO/IEC 9126という規格があり、以下の6つの特性が定義されています。

機能性(functionality):ソフトウェアが、指定された条件の下で利用されるときに、明示的及び暗示的必要性に合致する機能を提供するソフトウェア製品の能力
信頼性(reliability):指定された条件下で利用するとき、指定された達成水準を維持するソフトウェア製品の能力
使用性(usability):指定された条件の下で利用するとき、理解、習得、利用でき、利用者にとって魅力的であるソフトウェア製品の能力
効率性(efficiency):明示的な条件の下で、使用する資源の量に対比して適切な性能を提供するソフトウェア製品の能力
保守性(maintainability):修正のしやすさに関するソフトウェア製品の能力
移植性(portability):ある環境から他の環境に移すためのソフトウェア製品の能力

それぞれの特性には、副特性というさらに細かい性質が定義されています。

問54 テストを次の順序で行う場合、システムテストの目的として、最も適切なものはどれか。

単体テスト → 結合テスト → システムテスト → 運用テスト
開発者が、システム全体の機能と性能を検証する。
プログラム間のインタフェースに問題がないことを確認する。
プログラムの内部構造に着目して、プログラムが正しく動作していることを確認する。
利用者が、本番環境のシステムをつかって、業務が実施できることを検証する。
解答
解説 まず、一般的にテストは設計書と対応して行われることが多いです。その対応を以下にV字工程としてまとめます。

V字工程を表示できません

つぎに、各テストをまとめていきます。
単体テストでは、単一のモジュールが正しく動くかを主にホワイトボックステストで調べます。(選択肢ウに相当)
結合テストでは、複数のモジュールのインタフェースが正しく動くかを主にブラックボックステストで調べます。(選択肢イに相当)
システムテストでは、すべての機能を結合し、全体の機能や性能に問題がないかを調べます。(選択肢アに相当)
運用テストでは、本番に似た環境で業務に問題がないかを調べます。(選択肢エに相当)

問55 企業のネットワークにおけるDMZの設置目的として、最も適切なものはどれか。
Webサーバやメールサーバなど、社外に公開したいサーバを、社内のネットワークから隔離する。
グローバルIPアドレスをプライベートIPアドレスに変換する。
通信系路上にあるウイルスを除去する。
通信経路を暗号化して、仮想的に専用回線で接続されている状態を作り出す。
解答
解説 DMZ(DeMilitarized Zone:非武装地帯)とは、外部(インターネット)・内部(LAN)とも隔絶されたネットワークエリアを言います。これにより、内部へのアクセスを完全に遮断し、セキュリティを向上させることができます。DMZには、外部向けWebサーバや中継用メールサーバを置いたりします。

選択肢イは、NATなどの説明です。
選択肢ウは、セキュリティソフト等の説明です。
選択肢エは、VPN(Virtual Private Network)の説明です。

問56 紙の大きさの規格は図のような相似形であり、例えばA判用紙では、A3の面積の半分がA4になるという関係にある。コピー機でA4サイズの原稿をA3サイズに拡大するためには、どの拡大率(%)を選んだらよいか。ここで、拡大率は長い辺同士の比率を表す。

画像(問56)を表示できません
122
141
150
200
解答
解説 図からA3の長い辺はA5の長いほうの辺の2倍であることが分かります。規格は相似形なのでA5→A4とA4→A3は同じ倍率での変換となります。つまり、n倍をしてn倍をすると2倍になるということです。

これを式にするとn2=2なので、n=√2≒1.41となります。

問57 複数のコンピュータをLANやインターネットなどでのネットワークで結び、あたかも一つの高性能コンピュータのように利用できるようにする方式を何と呼ぶか。
CAD
IDE
グリッドコンピューティング
シンクライアント
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計):コンピュータで製品や建築物などの設計をおこなうこと
IDE(Integrated Development Environment:統合開発環境):エディタ、コンパイラなどプログラミングツールに必要なツールが一つに統合された開発環境
グリッドコンピューティング:複数のコンピュータをネットワークで接続し、高性能な処理を行う形態
シンクライアント:シン(tnin)とは、細い・薄いという意味で、クライアントに最小限の設備しか装備させず、ほとんどをサーバで行う処理形態

問58 あるキューに要素“33”、要素“27”、及び要素“12”の三つがこの順序で格納されている。このキューに要素“45”を追加した後に要素を二つ取り出す。2番目に取り出される要素はどれか。
12
27
33
45
解答
解説 まず、キューと直接は関係ありませんがスタックの2つのデータ構造を以下にまとめます。

スタックとキューを表示できません

キューは先入れ先出し、スタックは後入れ先出しのデータ構造となっています。

現在、33,27,12の順にデータが入っています。
ここに、45を加えるので、33,27,12,45となります。

キューは先頭から取り出すので、2番目に取り出されるのは27となります。


問59 関係データベースで管理された“社員”表から選択した結果が、“高橋二郎”を含む3名だけになる条件の組合せはどれか。

画像(問59)を表示できません


[条件]
1.勤務地 = '東京'
2.部署名 = '営業部'
3.勤続年数 > 10
1 and 2 and 3
(1 and 2)or 3
1 or (2 and 3)
1 or 2 or 3
解答
解説 それぞれの選択肢を評価してきます。

選択肢ア:勤務地が東京で部署が営業部、勤務継続が10年より長いのは、渡辺四朗の1人だけです。
選択肢イ:勤務地が東京で部署が営業部なのは、伊藤三郎と渡辺四郎の2人です。勤務継続が10年より長いのは高橋二郎と渡辺四郎の2人です。重複者はしており実質1人なので、合計3人で高橋二郎を含みます。
選択肢ウ:勤務地が東京なのは、佐藤一郎、鈴木春子、伊藤三郎、渡辺四郎、山本夏子の5人です。部署が営業部で勤務継続が10年より長いのは渡辺四郎の1人です。重複者はしており実質1人なので、合計5人で高橋二郎を含みません。
選択肢エ:勤務地が東京なのは、佐藤一郎、鈴木春子、伊藤三郎、渡辺四郎、山本夏子の5人です。部署が営業部なのは、田中秋子、伊藤三郎、渡辺四郎、中村冬子の4人です。勤務継続が10年より長いのは高橋二郎と渡辺四郎の2人です。これらを満たすのは全員となります。

問60 クロック周波数が1.6GHzのCPUは、4クロックで処理される命令を1秒間に何回実行できるか。
40万
160万
4億
64億
解答
解説 クロック周波数が1.6GHzということは、1秒間に1.6×109回のクロックが発生するということです。4クロックの命令であれば、1.6×109/4=0.4×109なので、400,000,000命令=4億命令が実行できることになります。