平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問41−60 解答編




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ITパスポート

(エントリ試験)

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問41 システム開発プロジェクトにおいて、プロジェクト作成の生産性を向上させるための施策として、新しく参加したメンバに対し、開発ツールの利用スキル向上のトレーニングを計画した。この施策の効果を評価する指標として、最も適切なものはどれか。
トレーニングの参加者の延べ人数
トレーニングの実施回数
メンバ1人当たりの1人のプログラム作成量
メンバ各自がトレーニングに参加した合計時間
解答
解説 施策の目的が「プロジェクト作成の生産性を向上」なので、“どれだけトレーニングを実施したか”ではなく、“トレーニングの結果どれだけプログラムが作成できるようになったか”で評価することが適切であるといえます。他の選択肢は、トレーニングの実施状況の評価指標と言えます。

問42 プロジェクトにおいて、当初のプロジェクト範囲に含まれている、予測はできるが発生することが確実ではないイベントの対策費用のことをコンティンジェンシー予備という。あるシステム開発プロジェクトにおいて、開発を受注したベンダ側のプロジェクトマネージャが計上するコストのうち、コンティンジェンシー予備に分類するのが適切なものはどれか。
開発環境で機器が故障したときの機器の入替えに必要なコスト
開発進捗を管理するプロジェクトリーダの作業に必要なコスト
プロジェクトスコープ外のユーザの新しい要求に対応するために必要なコスト
プロジェクトで採用を予定している、システムの品質管理ツールの購入に必要なコスト
解答
解説 問題文よりコンティジェンシー予備は、予測はできるが発生することが確実ではないイベントの対策費用とありますので、この観点で選択肢のコストを見ていきます。

選択肢ア:予測はできますが、発生が確実ではありません。(正解)
選択肢イ:予測でき、かつ確実に発生します。
選択肢ウ:スコープ外なので、コンティジェンシー予備と関係がありません。
選択肢エ:予測でき、かつ確実に発生します。

問43 システム開発における設計手順として、求められる要件を明確にしていく順に並べたものはどれか。
業務要件の定義、システム要件定義、ソフトウェア要件定義
業務要件の定義、ソフトウェア要件定義、システム要件定義
システム要件定義、業務要件の定義、ソフトウェア要件定義
システム要件定義、ソフトウェア要件定義、業務要件の定義
解答
解説 システム開発では、「業務要件の定義」→「システム要件定義」→「ソフトウェア要件定義」の順に要件の明確化/詳細化を行います。まず、業務要件の定義で今行われている業務にはどのような作業があるのかを定義します。次に、システムで実現するべき要件を整理/定義します。最後に各ソフトウェアでそれぞれどんな機能/性能が必要かを定義します。

問44 サービスデスクのインシデント管理に関する評価指標@〜Bのうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

@ SLAで定められた目標対応時間内に対応が完了したインシデントの割合
A インシデントの平均解決時間
B 対応が終了していないインシデントの割合
@、A
@,B
A、B
@、A、B
解答
解説 サービスデスクとは顧客との窓口の役割をしサポート業務を行う部門です。また、インシデント管理とは障害時の迅速な回復を行い影響を最小限にするための管理をいいます。

@、A、Bいずれもインシデントの管理に関することなので、インシデント管理の評価指標となります。

問45 次のような活動を行うプロジェクトマネジメントの知識エリアとして、適切なものはどれか。

 システム開発において、結合テスト開始前に、顧客から機能の追加要求があり、スコープの変更を行うことにした。本番稼働日は変更できないとのことなので、応援チームの編成とスケジュールの調整を行い、変更した計画について変更管理委員会の承認を得た。
プロジェクト・コスト・マネジメント
プロジェクト調達マネジメント
プロジェクト統合マネジメント
プロジェクト品質マネジメント
解答
解説 まず、PMBOKの10の知識エリアのには以下のようなものがあります。

統合マネジメント
スコープマネジメント
タイムマネジメント
コストマネジメント
品質マネジメント
人的資源マネジメント
コミュニケーションマネジメント
リスクマネジメント
調達マネジメント
ステークホルダーマネジメント

問題文の状況は、スコープの変更と人的資源の確保を統合的に行っていますので、プロジェクト統合マネジメントの説明となります。

問46 システム開発プロジェクトにおいて、類似している他のプロジェクトの実績を基準として、単体テストの不具合発生率を評価することにした。品質計画におけるこの手法はどれか。
統計サンプリング
パレート分析
ファンクションポイント法
ベンチマーク
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。
統計サンプリング:代表値として幾つかの値をサンプリングし、その代表値から全体(母集合)を推定する手法
パレート分析:パレート図を用いて、重要度の高い(構成比率の高い)要素を分析する手法
ファンクションポイント法:ソフトウェアの規模を見積もる手法で、機能(ファンクション)に得点(ポイント)を付けて見積もる。
ベンチマーク:類似プロジェクトや基準プロジェクトと比較し、品質などの善し悪しを推定する手法

問47 無停止のシステムを実現するために、システムの方式を設計するときの検討事項として、適切なものはどれか。
ソフトウェアの部品化
データの暗号化
ハードウェアの省電力化
ハードウェアの多重化
解答
解説 無停止のシステムを実現するということは、信頼性を向上させる(=稼働率を高くする)必要があります。選択肢の中で、信頼背の向上に繋がるのは選択肢エのハードウェアの多重化のみとなります。
なお、24時間365日無停止が要求されるシステムをミッションクリティカルといいます。

問48 ソフトウェア、データベースなどを契約で指定された通りに初期設定し、実行環境を整備する作業はどれか。
ソフトウェア受入れ
ソフトウェア結合
ソフトウェア導入
ソフトウェア保守
解答
解説 それぞれの作業を以下にまとめます。
ソフトウェア受入れ:開発側からユーザ側へのソフトウェアの納品作業をいいます。受入れテストの支援や受入れ後の運用支援(マニュアル作成や育成)を含む場合もあります。
ソフトウェア結合:単体試験が終わったモジュールを結合する作業を言います。結合後に結合試験が行われます。
ソフトウェア導入:実際に開発されたソフトウェアを導入する作業で、システムの初期環境/設定を整備します。
ソフトウェア保守:システムが安定して動作し続けられるように監視し、場合によってバグの修正などを行う作業です。

問49 ITサービス提供のためのIT機器類を設置しているデータセンタにおいて、IT機器類の冷却や電源、建物への入退館といった物理的環境面での管理を責務とする活動として、適切なものはどれか。
アセットマネジメント
インシデント管理
サービスレベル管理
ファシリティマネジメント
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。
アセットマネジメント:アセット(資産)をマネジメント(管理)することで、資産の運用、管理、代行などを行うことをいいます。
インシデント管理:障害時の迅速な回復を行い影響を最小限にするために行う管理のこと
サービスレベル管理:サービスの利用者と提供者の間で結ばれたサービスレベルを管理すること
ファシリティマネジメント:ファシリティ(設備)をマネジメント(管理)することで、立地、建物、建物内の空調や電力などを運用、管理することを言います。

問50 バイオメトリクス認証に該当するものはどれか。
顔写真を印刷した、ICチップ内蔵のIDカードの目視による認証
個人ごとに異なるユーザIDとパスワードによる認証
てのひらを読取り機にかざすことによる認証
人間には判別できるが機械的に判別できないような文字を正しく読み取ることができるかどうかによる認証
解答
解説 バイオメトリクス認証(生体認証)とは人間の持つ固有の特徴を利用した認証で、パスワードのような知っていれば誰でも使えるようなものと違い、安全性が高いといわれています。バイオメトリクス認証は、身体的特徴(生体器官)抽出と行動的特長(癖)抽出があります。
また、バイオメトリクス認証を導入する際には、本人拒否率(FRR)と他人受入率(FAR)などを十分に考慮した閾値を設ける必要があります。


問51 関係データベースの表に設定できる主キー、外部キー及びインデックスのうち、一つの表に対して複数設定できるものだけを全て挙げたものはどれか。
インデックス
外部キー、インデックス
主キー
主キー、外部キー、インデックス
解答
解説 まず、3つの設定を以下にまとめます。
主キー:他のキーを一意に決定できる項目
外部キー:他の表で主キーとなっている項目
インデックス:アクセス効率を向上させるために用いられる項目

主キーは他のキーを一意に決定できるという特性上、複数あると矛盾が生じる可能性が生じるため、一つしか設定できません。外部キーとインデックスは複数設定できます。

問52 図1のように稼働率0.9の装置Aを2台並列に接続し、稼働率0.8の装置Bをその後に直列に接続したシステムがある。このシステムを図2のように装置Aを1台にした場合、システムの稼働率は図1に比べて幾ら低下するか。ここで、図1の装置Aはどちらか一方が稼働していれば正常稼働とみなす。
なお、稼働率は小数第3位を四捨五入した値とする。

画像(問52)を表示できません
0.07
0.09
0.10
0.45
解答
解説 両方の稼働率を計算します。
図1:並列部×装置B={1−(1−0.9)×(1−0.9)}×0.8=(1−0.01)×0.8=0.99×0.8=0.792
図2:装置A×装置B=0.9×0.8=0.72

よって、稼働率は0.072低下します。小数点第三位を四捨五入しますので、選択肢アの0.07が正解となります。

問53 PCのディスプレイに表示する文字や図形などのデータを格納する専用メモリはどれか。
DVD-Video
ROM
キャッシュメモリ
グラフィックスメモリ
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。
DVD-Video:動画情報が記録されたDVD
ROM:読出し専用のメモリ
キャッシュメモリ:CPUとメインメモリの速度の差を埋めるために用いられるメモリ
グラフィックスメモリ:ディスプレイに表示するデータ専用のメモリ

問54 “男性のうち、20歳未満の人と65歳以上の人”に関する情報を検索するための検索式として、適切なものはどれか。
男性 AND (20歳未満 AND 65歳以上)
男性 AND (20歳未満 OR 65歳以上)
男性 OR (20歳未満 AND 65歳以上)
男性 OR (20歳未満 OR 65歳以上)
解答
解説 問題の文の条件を言い換えると「男性かつ20歳未満、あるいは、男性かつ65歳以上」となります。つまり「(男性 AND 20未満) OR (男性 AND 65歳以上」となり、男性の部分が共通しているため外にだすと選択肢イの「男性 AND (20歳未満 OR 65歳以上)」が得られます。

問55 プログラムの実行方式としてインタプリタ方式とコンパイル方式がある。図は、データを入力して結果を出力するプログラムの、それぞれのプログラムの実行の様子を示したものである。a,bに入れる字句の適切な組合せはどれか。

画像(問55)を表示できません
画像(問55ans)を表示できません
解答
解説 まず、コンパイラとインタプリタの違いをまとめます。

インタプリタ:ソースコードを1行ずつ機械語に変換しながら実行するソフトウェア
コンパイラ:ソースコードを一括で機械語に変換(コンパイル)してから実行するソフトウェア

aは入力に対してソースコードを対応付けているため、実行時に1行ずつ変換を行うインタプリタの図になります。
bはソースプログラムを一括で目的プログラムに変換しているため、コンパイラの図になります。

問56 リスクマネジメントに含まれる四つのプロセスであるリスク対応、リスク特定、リスク評価、リスク分析を実施する順番として、適切なものはどれか。
リスク特定 → リスク評価 → リスク分析 → リスク対応
リスク特定 → リスク分析 → リスク評価 → リスク対応
リスク評価 → リスク特定 → リスク分析 → リスク対応
リスク分析 → リスク特定 → リスク対応 → リスク評価
解答
解説 ISO 31000のリスクマネジメントには選択肢の用語は以下のように定義されています。
リスク特定:リスクを発見、認識及び記述するプロセス
リスク分析:リスクの特質を理解し、リスクレベルを決定するプロセス
リスク評価:リスク及び/又はその大きさが、受容可能か又は許容可能かを決定するために、リスク分析の結果をリスク基準と比較するプロセス
リスク対応:リスクを修正するプロセス

よって、選択肢イのように、リスク特定 → リスク分析 → リスク評価 → リスク対応な順に行います。

問57 ISMSを運用している組織において、退職者が利用していたIDを月末にまとめて削除していたことについて、監査で指摘を受けた。これを是正して退職の都度削除するように改めるのは、ISMSのPDCAサイクルのどれに該当するか。
P
D
C
A
解答
解説 PDCAサイクルはPlan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(点検・確認)⇒Act(処置・改善)⇒Plan・・・のように業務を改善するサイクルをいいます。今回はCheckにおいて指摘を受けた結果改善を行うので、Actの工程になります。

問58 Apacheと称されるオープンソースソフトウェアの用途はどれか。
DBMS
OS
Webサーバソフトウェア
Webブラウザ
解答
解説 Apacheは世界中で利用されているオープンソースのWebサーバの名称です。Apacheライセンスの下で自由に利用することができます。
なお、Apacheは通常Webサーバのことを表しますが、団体の名称(団体の正式名称は、Apache Software Foundation)でもあるため、Webサーバを明示的に表す場合は、「Apache HTTP Server」と表現します。
Apache Software Foundationでは多くのオープンソースのソフトウェアが公開・管理されています。

問59 LANに直接接続して、複数のPCから共有できるファイルサーバ専用機を何というか。
CSV
NAS
RAID
RSS
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。
CSV(Comma Separated Value)データをコンマで区切りレコード間を改行で表すことで、表形式のデータ等を表すフォーマット形式
NAS(Network Attached Storage):ネットワークに直接接続して利用するファイルサーバやストレージ
NASの例を以下に図示します。
NASを表示できません
RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks あるいはRedundant Arrays of Independent Disks):複数のHDDを1台の高信頼性のHDDとして利用する技術
※接続形態によって、RAID0〜6に分類され、応用的に組合せて利用する場合もある
RSS(RDF site summary):ニュースやブログ、Webページなどの更新情報を配信するためのフォーマット形式

問60 AさんがBさんに署名付きメールを送信したい。S/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions)を利用して署名付きメールを送信する場合の条件のうち、適切なものはどれか。
Aさん、Bさんともに、あらかじめ、自身の公開鍵証明書の発行を受けておく必要がある。
Aさん、Bさんともに、同一のISP(Internet Service Provider)に属している必要がある。
Aさんが属しているISPがS/MIMEに対応している必要がある。
Aさんはあらかじめ、自身の公開鍵証明書の発行を受けておく必要があるが、Bさんはその必要はない。
解答
解説 まず、MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)とは、本来アスキーコードしか電子メールで様々なフォーマットを取り扱えるようにしたものです。そして、S/MIMEは、MIMEにセキュリティ機能をつけたものです。暗号化やディジタル署名をすることができ、改ざんを検出することができます。

S/MIMEでは、公開鍵暗号方式で通信を行うため受信者の公開鍵が必要となります。送信者にはその必要はないため、選択肢エが正解となります。