平成19年度春期 基本情報 問61−80 解答編





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基本情報

(基本情報技術者試験)

解答と解説のページです。

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問61 “商品”表に対して、データの更新処理が正しく実行できるUPDATE文はどれか。ここで、“商品”表は次のCREATE文で定義されている。

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UPDATE 商品 SET 商品番号 = ’S001’ WHERE 商品番号 = ’S002’
UPDATE 商品 SET 商品番号 = ’S006’ WHERE 商品名 = ’C’
UPDATE 商品 SET 商品番号 = NULL WHERE 商品番号 = ’S002’
UPDATE 商品 SET 商品名 = ’D’ WHERE 商品番号 = ’S003’
解答
解説 テーブルの定義を見ると、主キー(PRIMARY KEY)は商品番号になっています。主キーとは、それがきまると、ほかの要素を一意に決定できるというものです。つまり、重複やNULLが認められません。よって、選択肢アと選択肢ウは不可能です。また、選択肢イも実行されると、商品名Cの2つの商品番号が同時にS006になり重複が発生するので実行できません。

問62 データベースの更新前や更新後の値を書き出して、データベースの更新記録として保存するファイルはどれか。
ジャーナルファイル
ダンプファイル
チェックポイントファイル
バックアップファイル
解答
解説 それぞれのファイルを下にまとめます。

ジャーナルファイル(ログファイル):データ更新の履歴を残したファイル
ダンプファイル:システムがエラーや停止した際、メモリやファイルの内容を書き出したファイル
チェックポイントファイル:チェックポイントと呼ばれる一定間隔で取られるポイントでの状況を記録しておくファイル
バックアップファイル:障害に備えて、内容のコピーなど保存したファイル

問63 事務室が複数の建物に分散している会社で、PCの設置場所を管理するデータベースを作ることになった。“資産”、“部屋”、“建物”の三つの表を作成し、各表の関連付けを行った。新規にデータを入力する場合は、参照される表のデータが先に存在している必要がある。各表へのデータの入力順序として、適切なものはどれか。ここで、各表の下線部の項目は、主キー又は外部キーである。

画像(問63)を表示できません
資産 → 建物 → 部屋
建物 → 部屋 → 資産
部屋 → 資産 → 建物
部屋 → 建物 → 資産
解答
解説 建物表は何も参照していないので、いきなり入力しても問題ありません。よって、一番最初に入力します。次に、部屋表ですが、部屋表は建物表を参照しているので、建物表に適切なデータが入力されている必要があります。最後に、資産表は建物表と部屋表の両方を参照しているので、最後に入力しなければならないことが分かります。

問64 文章の内容を秘匿して送受信する場合の公開鍵暗号方式のける鍵の取扱いのうち、適切なものはどれか。
暗号化鍵と復号鍵は公開してもよいが、暗号化のアルゴリズムは秘密にしなければならない。
暗号化鍵は公開してもよいが、暗号化のアルゴリズムは秘密にしなければならない。
暗号化鍵は秘密にしなければならないが、復号鍵は公開する。
復号鍵は秘密にしなければならないが、暗号化鍵は公開する。
解答
解説 公開鍵暗号方式は、秘密鍵と復号鍵がことなる暗号方式をいいます。送信者は受信者の公開鍵で暗号化し、受信者は自分の秘密鍵で複合化します。よって、暗号化鍵は公開し、復号鍵は秘密にします。また、一般的なRSAなどは素因数分解と拡張ユークリッド互除法等を利用していますが、これらは一方向性をもっているため、アルゴリズムを知られても問題ありません。

問65 二つの通信主体XとYの間で、次の手順の情報交換を行う認証はどれか。

[手順]

(1) Yは、任意の情報を含む文字列(チャレンジ)をXへ送信する。
(2) Xは、あらかじめX、Y間で定めた規則に基づき、受け取った文字列から新たな文字列(レスポンス)を生成し、Yへ返送する。
(3) Yは、返送された文字列(レスポンス)が正しいことを確認する。
XがYを認証する。
XがYを認証することによって、結果としてYがXを認証する。
YがXを認証する。
YがXを認証することによって、結果としてXがYを認証する。
解答
解説 チャレンジレスポンス式という一般的な認証方式です。

サーバははチャレンジをユーザに送り、ユーザはチャレンジからレスポンスを生成し、送り返します。サーバはこのレスポンスが正しいと正規のユーザだと認証します。

問66 メッセージ認証符号におけるメッセージダイジェストの利用目的はどれか。
メッセージが改ざんされていないことを確認する。
メッセージの暗号化方式を確認する。
メッセージの概要を確認する。
メッセージの秘匿性を確保する。
解答
解説 メッセージダイジェスト(MD)とは、ディジタル署名などで使われている改ざん検出技術をいいます。ディジタル署名と組み合わせることで、本人確認もできます。ディジタル署名でのメッセージダイジェストの例を下に示します。

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問67 Webビーコンを説明したものはどれか。
Webサイトからダウンロードされ、PC上で画像ファイルを消去するウィルス
Webサイトで用いるアプリケーションプログラムに潜在する誤り
悪意のあるスクリプトによってPCとWebサーバ自体の両方に被害を及ぼす不正な手口
利用者のアクセス動向などの情報を収集するためにWebページなどに埋め込まれた画像
解答
解説 Webビーコン(Webバグ)とは、HTMLソースの中に非常に小さい画像(気づかれないことを目的とするため、縦横1ビットなど)を挿入し、その画像をクライアントのブラウザが取得しに来ることで、サーバ側がクライアントのページの移動の動きを把握できるというもものです。違法性はないもののクライアントに無許可で行われるため配慮が必要です。

問68 ネットワークシステムのセキュリティ対策に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ISDN回線やパケット交換回線では、接続時に通知される相手の加入者番号によって相手確認を行うことができる。これをコールバックと呼ぶ。
回線暗号化装置をDTE(通信制御装置や端末装置など)とDCE(モデムやDSUなど)の間に設置して、伝送区間ごとに暗号化を行う方法では、既設のハードウェアやソフトウェアの一部に変更が必要となる。
閉域接続機能をもつ回線交換網を利用して、回線接続の範囲を特定の利用者グループに限定することは、外部からの不正アクセスの防止に有効である。
無線LANの使用は、ケーブルを介在させないので伝送途中の盗聴防止に有効である。
解答
解説 コールバックは、一度接続した回線を切断して相手側からかけなおす事で接続元を確認することです。また、伝送区間ごとの暗号化ではハードウェアやソフトウェアの変更は必要ありません。さらに、無線LANの方が盗聴されやすいので、より一層セキュリティ対策が必要となります。

問69 UCS−2(Unicode)を説明したものはどれか。
JISから派生したコード体系である。英数字は1バイト、漢字は2バイトで実現する。
主にUNIXで使用するコード体系であり、英数字は1バイト、漢字は2バイトで表現する。
すべての文字を1バイトで表現するコード体系である。
すべての文字を2バイトで表現するコード体系であり、多くの国の文字体系に対応できる。
解答
解説 選択肢の文字コードを下にまとめます。

選択肢アは、Shift−JISコードの説明です。
選択肢イは、EUC(Extend UNIX Code)の説明です。
選択肢ウは、ASCIIコードの説明です。
選択肢エは、Unicodeの説明です。(UCS−2やUCS−4などがあります。)

問70 静止画像データの圧縮方式の特徴のうち、適切なものはどれか。
可逆符号化方式で圧縮したファイルのサイズは、非可逆符号化方式よりも小さくなる。
可逆符号化方式では、圧縮率は伸張後の画像品質に影響しない。
非可逆符号化方式では、伸張後の画像サイズが元の画像よりも小さくなる。
非可逆符号化方式による圧縮では、圧縮率を変化させることはできない。
解答
解説 圧縮された情報を完全に元に戻せる圧縮を可逆圧縮、圧縮された情報を完全に元に戻せない圧縮を非可逆圧縮といいます。可逆圧縮の代表例はGIFで、非可逆圧縮の代表はJPEGです。非可逆圧縮は元に戻せない分、圧縮率が高くなる傾向があります。

問71 企業経営において、ステークホルダを重視する目的はどれか。
企業存続の危機につながりかねない、経営者や従業員による不祥事の発生を抑制する。
競合他社に対する差別化の源泉となる経営資源を保有し、競争力を強化する。
経営者の権力行使をけん制し、健全な経営を行うことができる仕組みを作る。
顧客、株主、従業員などの利害関係者の満足度を向上させ、企業の継続した発展を図る。
解答
解説 ステークホルダとは利害関係者と訳されます。つまり、利害(主に利益)関係の強い関係者の満足度を上げることで、企業に利益をもたらしてもらうという考え方です。

問72 年間1,000,000個の製品を生産している工場がある。不良率は5%であり、不良品1個当たりの損失額は10円である。不良率を逓減させ、製品1個当たりのコストを削減させるために、表に示す機器A、Bの導入を検討している。生産量、不良品1個当たりの損失額は変わらず、機器はそれぞれ5年間使用する。機器の導入によるコスト見積りに関する記述のうち、適切なものはどれか。

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機器Aはコスト削減が期待できるが、機器Bではコスト増加になる。
機器Bはコスト削減が期待できるが、機器Aではコスト増加になる。
どちらの機器を導入しても、コスト削減を期待できる。
どちらの機器を導入しても、コストは導入前と変わらない。
解答
解説 まず現状ですが、1,000,000×0.05×10=500,000円が損失となっています。

次に、AとBを計算します。
機器A:1,000,000×0.035×10=350,000。
500,000−350,000=150,000。これを5年間使用するので750,000
機器の導入金額80万を引くとマイナス50,000
機器B:1,000,000×0.015×10=150,000。
500,000−150,000=350,000.これを5年間使用するので1,750,000
機器の導入金額160万を引くと150,000

よって、Aでは損失、Bでは利益になります。

問73 表の条件でA〜Eの商品を販売したときの機会損失は何千円か。

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800
1,500
1,600
2,400
解答
解説 機会損失とは、需要があり売り手も売りたいのに、製造が間に合わず売れない(例:ヒット商品の在庫切れ)ことで発生する損失をいいます。この場合は、A,D,Eで発生しているといえます。

Aでは、100個×1=100。Dでは、200個×4=800。Eでは、300個×5=1500。
この合計で、2400(千円)が正解となります。

問74 システムの運用設計においては、運用操作ミスを防止するために、あらゆる場合を想定した設計が大切である。これまでの経験を生かしながら、未知の状況を先読みして対処手順の検討、問題点の所在の確認を行う必要がある。これをまとめるときに活用できる手法はどれか。
PDPC法
アローダイアグラム法
系統図法
連関図法
解答
解説 選択肢の図を下にまとめます。

PDPC(Process Decision Program Chart:過程決定計画図)は、事前にさまざまな状況を想定し、問題時に修正するために用いられる図です。
アローダイアグラム:プロジェクトのクリティカルパスなどを求めるために、作業を矢印でつないだ図です。
系統図法:目的や結果にいたる手段や原因を順次展開していき、どんな手段があるのかを調べる図です。
連関図法:原因に対して、その因果関係を調べるための図です。

問75 パレート図を説明したものはどれか。
2変数を縦軸と横軸にとり、測定した値を打点して作図して、相関関係を見る。
管理項目を出現頻度の大きい順に並べた棒グラフとその累積和の折れ線グラフを作成し、管理上の重要項目を選択する。
作業別に作業内容と実施機関を棒グラフに図示し、作業の予定や実績を示す。
複数項目の基準値に対する比率をプロットし、各点を線で結んだ形状によって、全体のバランスを比較する。
解答
解説 パレート図とは以下のような図で、棒グラフとその累積を表した棒グラフを組み合わせた図です。これは、ABC分析に用いられ、その累計比率から分析を行うもので、製品をA、B、Cの3つの区分に分けます。一般的にはA区分は70%程度に設定します。


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問76 乱数を応用して、求める解や法則性の近似を得る手法はどれか。
クラスタ分析法
指数平滑法
デルファイ法
モンテカルロ法
解答
解説 それぞれの分析法を下にまとめます。

クラスタ分析法:対象の中から集落(クラスター)を探し出す分類分析法
指数平滑法:新しいものに大きい重み付け、古いものに小さい重み付けをした加重平均から、将来の値を予測する分析法
デルファイ法:専門家の経験的判断などを反復アンケートなどを使って、意見を収束させていく定性的将来予測分析法
モンテカルロ法:何度も乱数をはっせいさせ、近似解を求める手法や分析法の総称。曲線で囲まれた面積を求めるときなどに用いられる。

問77 表の条件で、1回の発注量を40個とする場合を、1回の発注量を100個とする場合比べたとき、仕入額、発注費、保管費用の年間総額はどうなるか。ここで、在庫は一定の割合で減少し、在庫がなくなると同時に入荷するものとする。

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182万円安い
152万円安い
152万円高い
182万円高い
解答
解説 40個の場合と、100個の場合をそれぞれ計算し、比較します。

40個の場合
発注回数は、400/40=10回
仕入額は、40×10×5=2000万円
発注費は、10×2=20万円 年間保管費の平均は、(40−0)/2で20万円
よって、合計は、2040万円

100個の場合
発注回数は、400/100=4回
仕入額は、100×4×(5×0.9)=1800万円
発注費は、4×2=8万円
年間保管費の平均は、(100−0)/2で50万円
よって、合計は、1858万円

つまり、40個づつ注文する方が2040−1858=182万円高くなるといえます。

問78 図中の矢印に記した数値は、各区間の運賃を表す。出発地点から目的地までの経路のうち、最も安い総運賃は幾らか。

画像(問78)を表示できません
19
20
21
23
解答
解説 さまざまな経路を検証するよりも、目的地に近い方から順に解を決定していく(動的計画)方が高速にかつ間違いを少なく解を求めることができると思います。

@3段目
中継地7からは、4が最短
中継地8からは、7が最短

A2段目
中継地4からは、7を経由して(10+4)14が最短
中継地5からは、7を経由して(7+4)11が最短
中継地6からは、8を経由して(3+7)10が最短

B1段目
中継地1からは、6を経由して(7+10)17が最短
中継地2からは、6を経由して(5+10)15が最短
中継地3からは、5を経由して(8+11)19が最短

C出発地
出発地からは、2を経由して(5+15)20が最短

つまり、出発地 → 中継地2 → 中継地6 → 中継地8 → 目的地となります。

このように大きくて複雑な問題は、終わりの方から順に確定させていくとすんなりと解くことができる場合があります。

問79 ICタグ(RFID)の特徴はどれか。
GPSを利用し、位置情報を表示する。
大量の情報を扱うので、情報の記憶には外部記憶装置を使用する。
プラスチック製のカードに埋め込み、専用の読取装置に挿入して利用する。
汚れに強く、梱包の外からも記録された情報を読むことができる。
解答
解説 RFID(Radio Frequency IDentification:電波による固体識別)は、外部から一度に複数のものも読み取ることができる非接触のタグです。レジの高速化や図書館の返却などに応用されています。記憶容量は比較的小さく、単独ではGPS機能は有していません。

問80 コンピュータプログラムなどの著作物に関する記述のうち、適切なものはどれか。
共同開発によるプログラムの著作権は、開発費用を負担した割合に従って権利が帰属する。
著作権は、プログラムには認められているが、データベースについては認められていない。
著作権法では、プログラム及びプログラムを作成するためのノウハウを保護の対象としている。
著作物を作成するために用いるプログラム言語や規約は、著作権法による保護の対象外である。
解答
解説 著作権法では以下のように定められています。

第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物

2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。

3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。

つまり、プログラムは著作物であるが、プログラム言語、プロトコル、アルゴリズムやフローチャートは保護の対象外であると定められています。著作権が割合に応じて発生するということはありません。