平成20年度秋期 基本情報 問21−40 解答編





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基本情報

(基本情報技術者試験)

解答と解説のページです。

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問21 回転速度が5,000回転/分、平均シーク時間が20ミリ秒の磁気ディスクがある。この磁気ディスクの1トラック当たりの記憶容量は、15,000バイトである。このとき、1ブロックが4,000バイトのデータを、1ブロック転送するために必要な平均アクセス時間は何ミリ秒か。
27.6
29.2
33.6
35.2
解答
解説 アクセス時間はサーチ時間(平均回転待ち時間)+シーク時間(平均位置決め時間)+データ転送時間で求められます。

サーチ時間は、半回転するのにかかる時間です。これは、回転速度5000回転/分から60/5000(秒)=0.012。これは、1回転にかかる時間なので、この半分0.012/2=6ミリ秒となります。

シーク時間は、問題文より20ミリ秒

データ転送時間は、1トラック(=1周)あたり15000バイトなので、4000バイトは、4/15トラックとなります。これに1回転する時間をかけると、4/15×12ミリ秒=3.2ミリ秒

よって、アクセス時間は、6+20+3.2=29.2秒となります。

問22 記憶媒体の記録層として有機色素を使い、レーザ光によってビットと呼ばれる焦げ跡を作ってデータを記録する光ディスクはどれか。
CD−R
CD−RW
DVD−RAM
DVD−ROM
解答
解説 CD−Rは、レーザ光によって、表面にビットと呼ばれる焦げ跡を作ることでデータを記録します。俗に、CD−Rにデータを入れることを『焼く』といいますが、実際に焦げ跡を作って焼いているところからきています。よって、書き換えはできません。

CD−RW、DVD−RAMは書き換えが可能です。
DVD−ROMは、書き込むことができません。

問23 USBハブの説明として、適切なものはどれか。
ハブ同士はクロスケーブルで接続する。
ハブの接続は、コンピュータの電源を入れる前に行う必要がある。
ハブを経由して、複数のコンピュータ同士を接続することができる。
ハブを利用して、外部機器をハブを含めて最大127台まで接続できる。
解答
解説 USBハブはホットプラグに対応しているので、電源を入れた後で利用しても大丈夫です。USBはツリー状に127台の接続をすることができます。デイジーチェーンと比較したときのツリー接続の例を下に示します。

画像(問23kai)を表示できません

問24 シリアルATAの特徴として、適切なものはどれか。
SAS(Serial Attached SCSI)と双方向の互換性がある。
デイジーチェーン接続を採用している。
パラレルATAとケーブル、コネクタに互換性がある。
ホットスワップ対応が可能である。
解答
解説 シリアルATA(=SATA)はコントローラと1対1で接続するインタフェースで、主に内部HDDや光学式ドライブと接続します。また、従来HDD等を接続する際に必要だった。ジャンパーピン(マスタやスレーブの設定に必要)だったものも不要となり、適切なところに接続するだけですぐに使える便利なインタフェースです。また、電源をつけたまま着脱可能なホットスワップ機能に対応しています。

問25 プラズマディスプレイパネルの発行方式の説明として、適切なものはどれか。
ガス放電に伴う発光を利用する。
画面の各ドットを薄膜トランジスタで制御し、光の透過率を変化させる。
電圧を加えると発光する有機化合物を用いてる。
電子銃から電子ビームを発射し、蛍光体に当てて発光させる。
解答
解説 ディスプレイの種類をまとめます。、以下にまとめます。

CRT:いわゆる普通のブラウン管のディスプレイ。電子ビームと偏光版を使って画像を作ります。(選択肢エに相当)
PDP:PはプラズマのPで、高い電力が必要となります。(選択肢アに相当)
TFT:TはトランジスタのTで、1つ1つの画素をトランジスタの発光で実現しています。
有機EL:自らの発光でバックライトの不要なタイプ。次世代に期待されています。(選択肢ウに相当)
液晶:光の透過を画素ごとに制御し、カラーフィルタを用いて色を表現する。自ら発光はしない

選択肢イは、TFT液晶ディスプレイの説明です。

問26 レーザプリンタの性能を表す指標として、最も適切なものはどれか。
1インチ(2.54cm)当たりのドット数と1分間に印刷できるページ数
1文字を印字するのに使われる縦横のドット数と1秒間に印字できる文字数
印字する行の間隔と1秒間に印字できる行数
印字する文字の種類と種類と1秒間に印字できる文字数
解答
解説 1インチ当たりに表示することができるドット数をdpi(Dot Per Inch)といい。これが多いほど細かくドットを表せるので、よりきれいに表示できるといえます。また、1分間(あるいは単位時間)に印刷することができる速さもプリンタのハードの性能を評価する上で重要な項目といえます。印字する行の間隔や印字する文字の種類はソフトウェアの方で指定できるため、性能指標とは言えないでしょう。

問27 ページング方式の仮想記憶について、主記憶に存在しないページをアクセスした場合の処理や状態の順番として、適切なものはどれか。ここで、主記憶には現在、空きのページ枠はないものとする。
置換え対象ページの決定 → ページイン → ページフォールト → ページアウト
置換え対象ページの決定 → ページフォールト → ページアウト → ページイン
ページフォールト → 置換え対象ページの決定 → ページアウト → ページイン
ページフォールト → 置換え対象ページの決定 → ページイン → ページアウト
解答
解説 仮想記憶と実記憶のマッピングの処理の流れは次のようになります。

@ページフォールト(仮想ページを物理メモリに割り当てるために、割り込みを起こす)
A置き換え対象ページの決定(LRUやFIFOなどのアルゴリズムで決定する)
B古いページをページアウトさせる
C新しいページをページインさせる

問28 タスク管理の役割として、適切なものはどれか。
各種の補助記憶装置へのアクセス手段を、装置に依存しない形態で提供し、応用プログラム作成の負担を軽減する。
仮想記憶空間を提供し、実記憶を有効に利用する。
入出力装置の制御を行い、正確かつ効率よく入出力装置を動作させる。
マルチプログラミングの制御を行い、CPUを有効に利用する。
解答
解説 各選択肢のOSが提供する管理を下にまとめます。

選択肢ア:データ管理
選択肢イ:記憶管理
選択肢ウ:入出力管理
選択肢エ:タスク管理

問29 図はマルチタスクで動作するコンピュータにおけるタスクの状態遷移を表したものである。実行状態のタスクが実行可能状態に遷移するのはどれか。

画像(問29)を表示できません
自分より優先度の高いタスクが実行可能状態になった。
タスクが生成された。
入出力要求による処理が完了した。
入出力要求を行った。
解答
解説 まず、解説用に下のようにA〜Fの番号をふります。

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A:タスクが生成された
B:CPUの使用権が割り当てられた
C:自分より優先度の高いタスクが実行可能になり、CPUの使用権が横取りされた
D:入出力要求が完了した
E:入出力要求が行われ、完了をまっている。
F:タスクが終了した

選択肢アは、Cに相当します。
選択肢イは、Aに相当します。
選択肢ウは、Dに相当します。
選択肢エは、Eに相当します。

問30 ハッシュ法の説明として、適切なものはどれか。
関数を用いてレコードのキー値からレコードの格納アドレスを求めることによってアクセスする方法
それぞれのレコードに格納されている次のレコードの格納アドレスを用いることによってアクセスする方法
レコードのキー値とレコードの格納アドレスの対応表を使ってアクセスする方法
レコードのキー値をレコードの格納アドレスとして直接アクセスする方法
解答
解説 ハッシュ関数とは、キー値から別の値を算出し、その場所に格納するという手法です。ハッシュ関数は、一方向性と値が少しでも変わると、戻り値が全く異なることが理想的だといえます。したに、ハッシュ関数を例を示します。

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選択肢イは、(片方向)リスト構造の説明です。
選択肢ウは、索引編成方式の説明です。
選択肢エは、直接編成方式の説明です。

問31 グリッドコンピューティングの説明として、最も適切なものはどれか。
コンピュータの存在を意識させることなく、人間がどこに移動しても利用できる。
処理能力や記憶容量など、コンピュータがもつ計算資源を必要なときに必要なだけ購入する。
ネットワークを介して複数のコンピュータを結ぶことによって処理能力の高いシステムを作り出す。
複数のコンピュータを相互に接続して、一つのシステムとして利用し、システムの一部のコンピュータで障害が発生した場合は、ほかのコンピュータに処理を肩代わりさせる。
解答
解説 グリッドコンピュータは、多数のPCをネットワークで接続し協調動作させたコンピュータをいいます。

選択肢アは、ユビキタスコンピューティングの説明です。
選択肢イは、ユーティリティコンピューティングの説明です。
選択肢エは、クラスタリングの説明です。

問32 処理はすべてCPU処理である三つのジョブA、B、Cがある。それらを単独で実行したときの処理時間は、ジョブAが5分、ジョブBが10分、ジョブCは15分である。この三つのジョブを次のスケジューリング方式に基づいて同時に実行すると、ジョブBが終了するまでの経過時間はおよそ何分か。

[スケジューリング方式]
(1) 一定時間(これをタイムクウォンタムと呼ぶ)内に処理が終了しなければ、処理を中断させて、待ち行列の最後尾へ回す。
(2) 待ち行列に並んだ順に実行する。
(3) タイムクウォンタムは、ジョブの処理時間に比べて十分に小さい値とする。
(4) ジョブの切換え時間は考慮しないものとする。
15
20
25
30
解答
解説 ラウンドロビンによるジョブスケジューリングの問題です。

@最初の15分で、各ジョブに5分ずつ割り当てられ、Aが終了します。(Bは残り5分。Cは残り10分)
A次の10分で、B,Cに5分ずつ割り当てられ、Bが終了します。(Cは残り5分)
B最後の5分で、Cに5分割り当てられ、Cが終了します。

よって、Aは15分。Bは25分。Cは30分かかります。

問33 スループットの説明として、適切なものはどれか。
ジョブがシステムに投入されてからその結果が完全に得られるまでの経過時間のことであり、入出力の速度やオーバヘッド時間などに影響される
ジョブの稼働率のことであり、“ジョブの稼働時間÷運用時間”で求められる。
ジョブの同時実行可能数のことであり、使用されるシステムの資源によって上限が決まる。
単位時間当たりのジョブの処理件数のことであり、スプーリングはスループットの向上に役立つ。
解答
解説 スループットとは、単位時間当たりの処理量のことで、スプーリングとは、一度高速な磁気ディスクなどに蓄えておき、その後出力することで、処理効率を上げる方式です。なお、選択肢アは、ターンアラウンドタイムの説明です。

問34 システムの稼動モデルが図のように表されるとき、システムのMTBFとMTTRを表した式はどれか。ここで、riはシステムの稼働時間、riはシステムの修理時間を表すものとする(i = 1, 2, ・・・, n)

画像(問34)を表示できません
画像(問34ans)を表示できません
解答
解説 2つの用語をまとめます。
MTBF(Mean Time Between Failure)は平均故障間隔で故障と故障の間の動作していた時間。
MTTR(Mean Time To Repair)は平均故障時間で、実際に故障していた時間。

つまり、MTBFは、稼動していた時間(=故障と故障の間隔)の平均。MTTRは、故障していた時間の平均となります。

なお、MTBFとMTTRは交互に現れ、MTBF+MTTR=稼働していた時間+故障していた時間=全体の時間となります

問35 TCP/IPネットワークでDNSが果たす役割はどれか。
PCなどからのIPアドレス付与の要求に対し、サーバに登録してあるIPアドレスの中から使用されていないIPアドレスを割り当てる。
サーバのIPアドレスを意識せず、プログラムの名前を指定するだけでサーバのプログラムの呼出しを可能にする。
社内のプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換し、インターネットへのアクセスを可能にする。
ドメイン名やホスト名などとIPアドレスとを対応付ける。
解答
解説 DNS(Domain Name System)は、URLのドメイン名とIPアドレスを対応付けるものです。これが正しく機能していないと、ホームページなどをIPアドレスで指定しなければならなくなります。

選択肢アは、DHCPの説明です。
選択肢イは、RPC(Remote Procedure Call)の説明です。
選択肢ウは、NATの説明です。

問36 インターネットにおける電子メールの機密性に関する記述のうち、適切なものはどれか。
電子メールの機密性を確保するためには、S/MIMEなどを利用して暗号化の対策を講じる必要がある。
電子メールの機密性を確保するためには、送信者が接続するプロバイダに受信者IDの登録を依頼する必要がある。
電子メールを発信する場合、メーリングリスト内のやり取りに限定すれば、機密性は確保される。
ワープロソフトなどで作成された文章ファイルを添付して送るとき、ユーザ認証用プロトコルであるCHAPを利用すれば、通信経路の途中でその内容が読まれるおそれはない。
解答
解説 機密性は、データが他社に盗まれないような性質をいいます。よって、暗号化などが機密性を高める対策になります。同じネットワークや、インターネットなどの誰しもが使えるネットワークでは、パケットを不正に取り出すことは簡単にできます。よって、盗聴されても解読されない工夫が必要となります。

S/MIMEとは、MIMEに公開鍵暗号方式や、ディジタル署名などの機能を追加したものです。

問37 大量に蓄積されたデータから、ビジネスなどに有効な情報を統計学的手法などを用いて新たに見つけ出すプロセスはどれか。
データウェアハウス
データディクショナリ
データマイニング
メタデータ
解答
解説 業務でいままで蓄積してきた大量のデータを目的別にまとめたものをデータウェアハウスといい、そこから、相関関係などを分析することによって、今後の意思決定を支援する技術をデータマイニングといいます。

データディクショナリは、データの項目・属性、データ間の関係等を管理するもの
メタデータは、データに関するデータのようなもので、抽象度の高いデータです。(変更日や所有者など)

問38 動的リンクライブラリ(DLL)の特徴として、適切なものはどれか。
アプリケーションがメモリにロードされるときに、同時にリンカによって組み込まれる。
アプリケーションの実行中、必要になったときにOSによって連係される。
コンパイル時に、コンパイラによってアプリケーションに組み込まれる。
コンパイルの前に、プリコンパイラによってアプリケーションに組み込まれる。
解答
解説 動的というのは、プログラムが実行されている最中にという意味です。つまり、実行中に必要になったらその都度適切に利用されるというものです。
一方で静的というのは、プログラムが始まる前に、必要なものを事前に準備しておくという意味です。

問39 プログラム言語における関数呼出し時の引数の性質のうち、適切なものはどれか。
値呼出しでは、仮引数の値を変えると実引数の値も変わる。
実引数から仮引数に情報を渡す方法として、値呼出し、参照呼出しなどがある。
実引数は変数だけであるが、仮引数は変数でも定数でもよい。
実引数は呼び出される関数の中だけで有効であるが、仮引数は関数の呼出し例でも有効である。
解答
解説 まず、関数を呼び出す側が渡す引数を、実引数。呼び出された関数側が使う引数を、仮引数といいます。関数への値の引き渡し方には、値呼出し(call by value)と参照呼出し(call by reference)があります。値呼出しでは、仮引数が変化しても、実引数が変化しませんが。参照呼出しでは、仮引数が変化すると、実引数が変化します。

また、実引数と仮引数では、引数の種類(整数型や文字型など)と個数を一致させる必要があります。

問40 状態遷移図を用いて設計を行うことが最も適しているシステムはどれか。
月末及び決算時の棚卸資産を集計処理する在庫棚卸システム
システム資源の稼動状態を計測し、レポートとして出力するシステム資源稼働状況計測システム
水道の検針データから料金を計算する水道料金計算システム
設置したセンサの情報から、温室内の環境を最適に保つ温室制御システム
解答
解説 状態遷移図は、現在の状態と入力された値から、次の状態を表すのに適しています。よって、状態数が決まっており、かつ入力が決まっている場合には適した図だといえます。