平成20年度春期 基本情報 問21−40 解答編





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基本情報

(基本情報技術者試験)

解答と解説のページです。

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問21 磁気ディスク装置の性能に関する記述のうち、適切なものはどれか。
アクセス時間は、回転速度を上げるか位置決め時間を短縮すると短くなる。
アクセス時間は、処理装置の前処理時間、データ転送後の後処理時間も含む。
記憶容量は、トラック当たりの記憶容量と1シリンダ当たりのトラック数だけで決まる。
データ転送速度は、回転速度と回転待ち時間で決まる。
解答
解説 磁気ディスクの性能には、記憶容量やアクセス速度などがあります。

記憶容量は、ディスクあたりのシリンダ数、シリンダ当たりのトラック数、トラックあたりのセクタ数、セクタ長(セクタあたりの記憶容量)で決まります。
アクセス速度は、シーク時間+サーチ時間+データ転送時間によって計算されます。

よって、回転速度を上げることで、サーチ時間を減らせます。位置決め時間(シーク時間)を短くすることでも、アクセス時間を短くすることができるといえます。

問22 磁気ディスクのバックアップを取るために使用されるストリーマ(テープドライブ)の特徴はどれか。
磁気ディスクの更新の差分バックアップをする場合は、記憶データの部分書換え機能が利用できる。
磁気ディスクの読出し速度に合わせて、書込み時の記録密度を変更できる。
データの書込み速度を向上させるために、複数の書込みヘッドを使用している。
データの読み書きを連続して行い、ブロックごとにスタート、ストップさせることはしない。
解答
解説 テープドライブ(磁気テープ)は、ランダムアクセス(ブロックごとの書き換えなど)はできない上、アクセスも比較的低速です。しかし、記憶容量あたりの単価が安価なため大容量のバックアップに用いられています(現在ではHDDを使う場合も多いようです)

問23 携帯同士でアドレス帳などのデータ交換を行う場合に使用される、赤外線を用いるデータ転送の規格はどれか。
IEEE1394
IrDA
PIAFS
RS−232C
解答
解説 IrDAは赤外線を用いてデータ転送をおこなう規格です。PIAFSも無線ですがPHSを用いた標準的な規格です。一方IEEE1394やRS-232Cは有線の規格で、両方ともシリアルインタフェースです。

問24 USBの転送モードのうち、主としてマウスやジョイスティックなどに用いられるものはどれか。
アイソクロナス転送
インタラプト転送
コントロール転送
バルク転送
解答
解説 USB(Universal Serial Bus)は現在最も主流な周辺機器をパソコンに接続するインタフェースの一種です。中でもUSB2.0というのが最も主流で、従来のUSB1.1で利用できたロースピードモード、フルスピードモードに、ハイスピードモードを追加したものです。また、転送モードも4つあります。なお、USB1.1とUSB2.0は互換性があります。

ロースピードモード(1.5Mbps):キーボードやマウスなど
フルスピードモード(12Mbps):スキャナやプリンタなど
ハイスピードモード(480Mbps):大容量のHDDなど

コントロール転送:デバイスの設定・制御するためのもの
インタラプト転送:一定間隔でデータを転送するためのもの。キーボードやマウスな等に使われる
バルク転送:まとまったデータを一度に転送するためのもの。スキャナ等に使われる
アイソクロナス転送:連続的、周期的なデータ転送するためのもの。ビデオやオーディオ等に使われる

問25 解像度600dpiのスキャナで画像を読み込み、解像度300dpiのプリンタで印刷すると、印刷される画像の面積は元の画像の何倍になるか。
1/4
1/2
解答
解説 dpiは(dot per inch)の略で1インチ当たりどの程度のドットを表現できるかの単位です。300dpiから600dpiになると値が2倍になっています。画像データは2次元(縦×横)なので、2×2で元の4倍となります。

問26 入力装置のうち、ポインティングデバイスに分類され、CADシステムの図形入力などに使用されるものはどれか。
OCR
OMR
イメージスキャナ
タブレット
解答
解説 ポインティングデバイスとは、画面上の座標を移動させるための入力装置で、代表的なものにマウスやジョイスティックなどがあります。また、CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)とは、コンピュータ上で製図をなどをつくることやその支援ツールをいいます。

選択肢の入力装置を下にまとめます。
選択肢ア(OCR:Optical Character Reader:光学式文字読取装置)は、手書きされた文字を光学的に読み取り、パターンマッチングによりコンピュータに文字を認識させるものです。郵便局の郵便番号読み取りなどに利用されています。
選択肢イ(OMR:Optical Mark Reader:光学式マーク読取装置)は、アンケートや試験などでのマークシートによる、塗りつぶされた部分を読み取り、選択肢の入力を行うもので、情報処理技術者試験の午前問題はこれを使っています。
選択肢ウは、画像や文字の静止画をパソコンに取り込む(ディジタル化)するために用いられるものです。
選択肢エは、センサーを埋め込んだ板状の部品と、ペンから構成されるもので、建築の設計などを行うときに使われるものです。大型のものをデジタイザーと呼ぶ場合もあります。

問27 ページング方式の仮想記憶において、ページ置換えアルゴリズムにLRU方式を採用する。主記憶に割り当てられるページ枠が4のとき、ページ1、2、3、4、5、2、1、3、2、6の順にアクセスすると、ページ6をアクセスする時点で置き換えられるページはどれか。ここで、初期状態では主記憶にどのページも存在しないものとする。
解答
解説 まず、LRU(Least Recently Used)とは最近最も使われていないもの(使われてから最も時間が経過したもの)をページアウトして、新しいページを入れるというアルゴリズムです。これにのっとりトレースをしていきます。

@(1へアクセス)1
A(2へアクセス)1,2
B(3へアクセス)1,2,3
C(4へアクセス)1,2,3,4
D(5へアクセス)2,3,4,5(1がページアウト)
E(2へアクセス)3,4,5,2
F(1へアクセス)4,5,2,1(3がページアウト)
G(3へアクセス)5,2,1,3(4がページアウト)
H(2へアクセス)5,1,3,2
I(6へアクセス)1,3,2,5(5がページアウト)

よって、選択肢エが正解となります。

問28 特定のタスクがCPU資源の割当てを持ち続ける可能性が高いタスクスケジューリング方式はどれか。
各タスクの優先度を決めて、優先度が高い順に実行するが、CPU割当てまでの待ち時間の長さに応じて優先度を徐々に上げていく。
各タスクをCPU待ち行列に置かれた順に実行し、一定時間が経過したら実行を中断してCPU待ち行列の最後尾に加える。
処理予定時間が最も短いタスクから処理を実行する。現在実行中の処理が完結するか、又は何らかの要因によって中断されたとき、次のタスクを開始する。
タスクがシステムに到着した順に実行可能待ち行列の最後尾に加え、常に実行可能待ち行列の先頭のタスクにCPUを割り当てる。
解答
解説 それぞれのスケジューリング方式の待たされるタスクについて順に見ていきます。

選択肢ア(優先順位方式):単純に優先度の高いものを実行すると、待ち続けるタスクが発生するが、待った時間に応じて優先順位を上げる(エイジング)を行うことでこれを回避しています。
選択肢イ(ラウンドロビン方式):タスクの切り替えに多少のオーバヘッドがかかりますが、すべてのタスクに順番にCPUの使用権がわたります。
選択肢ウ(処理時間順方式):常に自分よりも処理時間の短いものが投入され続ける限り、そのタスクはまたされ続けます。
選択肢エ(到着順方式):リアルタイム性は失われますが、投入したタスクはいつかは処理してもらえます。

いつまでも投入したジョブが実行されないことをスタベーションといいます。

問29 OSにおけるAPI(Application Program Interface)の説明として、適切なものはどれか。
アプリケーションがハードウェアを直接操作して、各種機能を実現するための仕組みである。
アプリケーションから、OSが用意する各種機能を利用するための仕組みである。
複数のアプリケーション間でネットワークを介して通信する仕組みである。
利用者の利便性を図るために、各アプリケーションのメニュー項目を統一する仕組みである。
解答
解説 APIとはOSにあらかじめ準備されているインタフェース群(関数)のことで、各アプリケーションはAPIを通じてOSの機能を利用することができ、これにより、簡潔なプログラムを書くことなどができるようになります。

選択肢アは、デバイスドライバの説明です。
選択肢ウは、さまざまな用語が考えられますが、低いレベルではプロセス間通信。高いレベルではグループウェアなどだと思われます。
選択肢エは、CUA(Common User Access)の説明です。

問30 ファイルの格納に関する記述のうち、アーカイブの説明として適切なものはどれか。
主記憶における特定のデータやレジスタの値などを一時的にほかの記憶装置に格納する。
同一ファイルを二つの磁気ディスクに格納し、データ保存の信憑性を確保する。
ファイルの更新履歴を磁気ディスクに格納する。
複数のファイルを一つのファイルにまとめて、記憶装置に格納する。
解答
解説 アーカイブ(書庫)ファイルとは、複数のファイルを1つにまとめる作業をいいます。また、アーカイブファイルを行った後にデータ圧縮を行われることも多いです。

選択肢アは、メモリダンプの説明です。
選択肢イは、RAID−1(ミラーリング)の説明です。
選択肢ウは、ジャーナリング(ログ)機能の説明です。

問31 図に示すように、2系統のシステムで構成され、一方は現用系としてオンライン処理を行い、もう一方は待機系として現用系の故障に備えている。通常、待機系はバッチ処理を行っている。このようなシステム構成をなんと呼ぶか。

画像(問31)を表示できません
シンプレックスシステム
デュアルシステム
デュプレックスシステム
パラレルプロセッサシステム
解答
解説 3つのシステムをを比較してみます。

デュアルシステムは:2台が同時に稼働していて結果を照合するシステム
デュプレックスシステム:2台を同時に稼働させておくが、一方は待機状態にしておくシステム
シンプレックスシステムは:1台のみの単純なシステム。故障するとお終いです。

稼働率の比較は
デュアルシステム > デュプレックスシステム > シンプレクスシステム

パラレルプロセッサシステムとは、CPUを複数個準備しておき、負荷を分散させるシステムです。

問32 図のように、1台のサーバ、3台のクライアント及び2台のプリンタがLANで接続されている。このシステムはクライアントからの指示に基づいて、サーバにあるデータをプリンタに出力する。各装置の稼働率が表のとおりであるならば、このシステムの稼働率を表す計算式はどれか。ここで、クライアントは3台のうち1台でも稼動していれば正常とみなし、プリンタは2台のうちどちらかが稼動していれば正常とみなす。

画像(問32)を表示できません
ab32
a(1−b3)(1−c2
a(1−b)3(1−c)2
a(1−(1−b)3)(1−(1−c)2
解答
解説 問題文をまとめると、サーバ、クライアント、プリンタ、LANが直列に接続されている。クライアントは3台。プリンタは2台が並列に接続されおり、LANの稼働率は1である(故障しない)

よって、サーバ×クライアントの並列部×プリンタの並列部となります。

これは、a(1−(1−b)3)(1−(1−c)2)となります。

問33 5台の磁気ディスクをすべて使用し、1週間に100時間連続運用するシステムがある。磁気ディスク1台のMTBFが10,000時間のとき、このシステムは平均何週間に1度の割合で故障が発生するか。ここで、MTTRはMTBFに対して無視できるほど小さく、磁気ディスク以外の構成要素の故障は考慮しないものとする。
20
100
500
2,000
解答
解説 まず、稼働率についてまとめます。
MTBF(Mean Time Between Failure:平均故障間隔)
MTTR(Mean Time To Repair:平均復旧時間)
稼働率=MTBF/(BTBF+BTTR)

それでは、計算してみます。
10000時間で1台が故障するので、5台では2000時間となります。2000時間は20週間なので、選択肢アが正解となります。

問34 コンピュータシステムの高信頼化技術は、目標とする特性からRASISと呼ばれる。RASISを構成する五つの要素はどれか。
信頼性、可用性、保守性、保全性、機密性
信頼性、経済性、拡張性、再現性、操作性
正確性、可用性、拡張性、保全性、機密性
正確性、経済性、保守性、再現性、操作性
解答
解説 RASISについてまとめておきます。

Reliability:(信頼性):故障しにくい性質(MTBFに相当)
Availability:(可用性):いつでも使える性質(稼働率=MTBF/(MTBF+MTTR)に相当)
Serviceability:(保守性):故障をすぐに修復できる性質(MTTRに相当)
Integrity:(保全性):データが一貫しており、矛盾がない性質
Security:(安全性):機密性が高く、不正にアクセスされない性質

問35 IP電話において、電話番号とIPアドレスの対応表を管理することを主たる機能とする機能はどれか。
IP電話機
VoIPゲートウェイ
ゲートキーパ
ルータ
解答
解説 選択肢の用語を下にまとめます。

IP電話機:一般電話網の交換機にIP網への接続機能を追加したもの
VoIPゲートウェイ:IP電話を公衆交換電話網や他の電話網と情報の送受信やプロトコル変換を行う機器
ゲートキーパ:VoIPネットワークにおいて、電話番号とIPアドレスの対応を運用・管理する機器、機能です
ルータ:ネットワーク層で、ルーティングなどを行うネットワーク機器

問36 ADSLに関する記述として、適切なものはどれか。
既存の電話回線(ツイストペア線)を利用して、上り下りの速度が異なる高速データ伝送を行う。
電話音声とデータはターミナルアダプタ(TA)で分離し、1本の回線での共有を実現する。
電話音声とデータを時分割多重して伝送する。
光ファイバケーブルを住宅まで敷設し、電話やISDN、データ通信などの各種通信サービスを提供する。
解答
解説 ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line : 非対称デジタル加入者線)は上り(アップデート)と下り(ダウンロード)の速度が違う通信方式を指します

選択肢イは、ISDNの説明です。
選択肢ウは、ISDNの説明です。
選択肢エは、光通信(FTTH等)の説明です。

問37 知識ベースを利用して推論を行うものはどれか。
エキスパートシステム
ニューラルネットワーク
バーチャルリアリティ
ファジィコンピュータ
解答
解説 選択肢の用語を下にまとめます。

エキスパートシステム:専門家の知識データベースから推論を行う人工知能システム
ニューラルネットワーク:人間の脳の仕組みを行い学習するシステム
バーチャルリアリティ:CGなどを利用して人工的に仮想空間を作り出す技術
ファジィコンピュータ:曖昧さを導入したコンピュータ

問38 コンパイラによる最適化の主な目的はどれか。
ソースプログラムのレベルでのデバッグを容易にする。
プログラムの実行時間を短縮する。
プログラムの保守性を改善する。
目的プログラムを生成する時間を短縮する。
解答
解説 コンパイラ言語におけるコンパイラの役割とは、ソースプログラムや中間言語を機械語に変換することですが、その際に、実行時間の短縮や、実行時の使用メモリ容量が最小になるようにするなど、いくつかの最適化を行います。

(例えば、a=10。b=a*2というプログラムならa=10。b=20のように修正します。)

問39 タグを使って文章の論理構造や属性を記述する方法を定めた国際規格であって、電子的な文章の管理や交換を容易に行うための文章記述言語はどれか。
DML
HTML
SGML
UML
解答
解説 まず、代表的な3つのマークアップ言語をまとめます

HTML:インターネットで最も多く用いらているマークアップ言語
SGML:HTMLやXMLの元となった、国際標準のマークアップ言語
XML:ユーザ自身がタグを定義することができるマークアップ言語

転送には基本的に、HTTPが使われます。さらに、最近はXHTMLというのもあります

DMLは、データ操作言語のことで、データベースなどで用いられています。
UMLは、統一モデリング言語のことで、オブジェクト指向のシステムを記述するのに用いられています。

問40 Linuxに代表されるソフトウェアであって、再配布の自由、再配布時のソースコード包含、派生ソフトウェア改変の許諾などが要求されるものを何というか。
オープンソースソフトウェア
コンポーネントウェア
シェアウェア
ミドルウェア
解答
解説 一般的にオープンソースはOpen Source Initiativeが定義した以下の10個の条件を満たしたものをさします。
1. 自由な再頒布ができること
2. ソースコードを入手できること
3. 派生物が存在でき、派生物に同じライセンスを適用できること
4. 差分情報の配布を認める場合には、同一性の保持を要求してもかまわない
5. 個人やグループを差別しないこと
6. 適用領域に基づいた差別をしないこと
7. 再配布において追加ライセンスを必要としないこと
8. 特定製品に依存しないこと
9. 同じ媒体で配布される他のソフトウェアを制限しないこと
10. 技術的な中立を保っていること

一方で、フリーソフトは、ソースコードの変更の不許可や再配布の禁止をしているのが一般的です。また、オープンソースは無償のものが多いですが、定義には無償の義務はありません。さらに、有償のサポートを提供している団体も存在します。

なお、両者とも著作権は放棄されておらず、著作権が放棄されたソフトをパブリックドメインソフトといいます。