平成16年度秋期 シスアド 問1−20 解答編





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シスアド

(初級システムアドミニストレータ試験)

解答と解説のページです。

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問1 ディジタルカメラで撮影した画像データを、取外し可能なメディアに記録する。このメディアに使用する半導体メモリとして、適切なものはどれか。
DRAM
SDRAM
SRAM
フラッシュメモリ
解答
解説 SRAM、SDRAM、DRAMはいずれもパソコン本体にメインメモリやレジスタとして利用されるタイプのもので、取外しを容易にすることはできません。しかし、フラッシュメモリであれば、パソコンと接続していても比較的簡単に(現在の主流はUSB経由)接続したり取り外したりすることができます。

問2 パソコンの電源を入れると、OSが起動する前にフロッピーディスク装置や磁気ディスク装置へのアクセスが行われる。この働きを行っているものはどれか。
BIOS
DOS
起動ディスク
ディスクドライバ
解答
解説 BIOSはベーシックインプットアウトプットシステムの略で、基本的な入出力装置の制御やアクセスが行われています。また、DOSはディスクオペレーションシステムの略で、昔のOSの起動形態です。起動ディスクはハードディスクからOSを起動できなくなった場合に外部から起動するためのディスクです。

問3 CPUの1次キャッシュ及び2次キャッシュ(以下、1次,2次と略す)に関する記述のうち、適切なものはどれか。
1次と2次は、アクセス速度による分類であり、高速なものを1次、低速なものを2次という。
1次は磁気ディスクとCPU間のデータ転送速度を高速化するためメモリであり、2次はビデオボードの描画を高速化するためのメモリである。
1次はメモリアクセスを高速化するためのメモリであり、2次は主記憶の容量を見かけ上増やすためのメモリである。
最初にアクセスされるものを1次、そこに必要な情報がない場合に次にアクセスされるものを2次と呼ぶ。
解答
解説 1次と2次の差はCPU側かメモリ側かという問題です。また、データはCPU側に近い1次から順に呼び出されない場合は2次、メインメモリと順にアクセスしていきます。また、CPUに近いものほどアクセス速度は速くなります。CPUのレジスタ>1次キャッシュメモリ>2次キャッシュメモリ>メインメモリ

問4 データ転送速度が500kバイト/秒のストリーマを利用するとき、1Gバイトのデータのバックアップに関する時間は約何分か。
20
33
解答
解説 接頭語を1000倍で計算すると、1G=1,000M=10,000,000Kなので、10000000/500=2000秒≒33.3分かかります。

問5 CD−Rに関する記述のうち、適切なものはどれか。
格納したデータの書換えができないので、データのバックアップに適している。
記憶容量が大きいので、更新が多発する大きなマスタファイルの記録媒体に適している。
ディスクの記録面の記録面積を狭めることによって、書込みの高速化を実現している。
特殊なフォーマットを使っているので、読出しにはCD−R専用のドライブが必要である。
解答
解説 CD−Rは一度しか書き込みができません。(CD−ROMは読込み専用、CD−RWは書き換え可能)また、CD−Rの記憶容量は700M程度なので、大きいとも言い切れません。読出しにはドライブが必要ですが、CD−R専用のドライブというわけではありません。

問6 液晶ディスプレイに関する記述のうち、適切なものはどれか。
CRTディスプレイよりも薄く小型であるが、消費電力はCRTディスプレイよりも大きい。
STN液晶を使用したディスプレイは、TFT液晶を使用したものよりも表示速度が速い。
液晶自身は発光しないので、バックライト又は外部の光を取り込む仕組みが必要である。
同じ表示画面のまま長時間放置すると、焼付きを起こす。
解答
解説 ディスプレイに関する問題の出題率は高いので、以下にまとめます。

CRT:いわゆる普通のブラウン管のディスプレイ。電子ビームを使って画像を作ります。
PDP:PはプラズマのPで、高い電力が必要となります
TFT:TはトランジスタのTで、1つ1つの画素をトランジスタの発光で実現しています
有機EL:自らの発光でバックライトの不要なタイプ。次世代に期待されています

問7 入力装置に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ジョイスティックは、画面上に透明なセンサを取り付けたものであり、画面に指などを押し付けて座標を指示する。
タブレットは、ペンのような装置と板状の装置を組み合わせた入力機器であり、ペンのような装置を押し付けて座標を指示する。
ディジタイザは、人間のもつ静電気を利用して指の位置を検出するポインティングデバイスであり、操作面を指して座標を指示する。
トラックパッドは、球の一部分が装置の上面に出ているポインティングデバイスであり、球を指で直接回転させて、その変化量で座標を指示する。
解答
解説 タブレットやディジタイザはペンと板状の座標入力装置からなり、どちらかというと、画像を書いたりするのに適しています。ジョイスティックは棒状のレバーとボタンから構成され、主にシューティングなどのゲームで使用されます。トラックバッドはノートパソコンなどで利用されるもので、静電式と感圧式があり、指の動きから座標を指示します。

問8 ルータの説明として、適切なものはどれか。
データリンク層での接続を行い、トラフィック分離機能をもつ。
トランスポート層以上のプロトコルを含めてプロトコル変換を行い、異なるネットワークアーキテクチャをもつネットワークを相互に接続する。
ネットワーク層での接続を行い、広域網を介してLAN間を接続する場合などに使われる。
物理層での接続を行い、接続距離を延ばすために使われる。
解答
解説 ルータはネットワーク層に該当し、LANの制御を行ったり、パケットの行き先を指示したりします。物理層=リピータ。データリンク層=ブリッジ。ネットワーク層=ルータは重要なネットワーク機器なので各層との対応を覚えておくとよいでしょう。

問9 データ転送速度が15Mバイト/秒のPCカードを用いるとき、1,000×750画素の画像は、1秒間に約何枚転送できるか。ここで、画像は圧縮せず、1画素は24ビットで表すものとする。
0.8
6.7
20
解答
解説 まず、1枚のデータ量からを求めましょう。1000×750×24ビット=2250Kバイトとなります。つぎに、転送枚数をもとめます。15Mバイト(15000Kバイト)/2250Kバイト≒6.7枚となります。

問10 ファイルシステムに関する記述のうち、最適なものはどれか。
階層構造の最上位のディレクトリとして、最初にカレントディレクトリを作成する。
ディレクトリで管理するためには、ファイルシステムを磁気ディスクに作成する必要がある。
ファイルシステム内の特定のファイルを指定するためには、ディレクトリパスを指定する。
ファイルを登録するディレクトリと下位のディレクトリを登録するディレクトリを別々に用意する必要がある。
解答
解説 ディレクトリは記憶装置であれば、磁気ディスク装置以外でも使えます。また、最上位にはルートディレクトリを作成します(カレントディレクトリとは、今操作の対象としているディレクトリのこと)。ディレクトリパスは絶対・相対パスのいずれかで指定します。

問11 集中処理システムと比較した場合の分散処理システムの特徴として、適切なものはどれか。
一部の装置の故障がシステム全体の停止につながることが多い。
機能の拡張や業務量の増大に対応したシステムの拡張が困難である。
機密保護やセキュリティの確保が容易である。
システム全体を効率よく運用するための運用管理が複雑になることが多い。
解答
解説 集中処理システムとは、中央にサーバのようなものおいて、処理を一点集中して管理行うもので、矛盾や重複が起こりにくいので管理が容易ですが、反面サーバがダウンしたときの被害が大きいです。この長所と短所を入れ替えたのが分散処理システムで、なお、分散処理システムでも管理者は必要です。

問12 同一性能のプリンタが2台あり、パソコンからの出力は空いているプリンタで自動的に印刷されるとき、プリンタの使用率を平均50%以下にしておくためには、接続するパソコンを何台までに抑える必要があるか。ここで、パソコン1台当たりの印刷量は1時間に平均30ページであり、プリンタの印刷速度は、1分間に20ページとする。また、パソコンとプリンタ間のデータ転送時間や、プリンタ装置におけるオーバヘッドは考慮しないものとする。
15
20
30
40
解答
解説 まずは、平均印刷時間がすでに出ているので、平均到着間隔を求めます。データは1分間に1.5件=2分で3枚=120秒で3枚=1枚は40秒間隔で送られてくることがわかります。これを下の式に代入すると、トラフィック密度は、30/40で0.75となります。つぎに、上の式にこの値を代入すると、0.75/0.5=1.5台となります。1.5台のときにちょうど利用率が50%になるので、2台あれば十分だということが分かります

問13 仮想記憶方式においてスワッピングが多発しているシステムに対して、主記憶を増設することの効果はどれか。
画像修正ソフトで取り扱える色の数が増える。
表計算ソフトの計算精度が向上する。
より大きいサイズのファイルを処理できるようになる。
ワープロソフトが速く動作するようになる。
解答
解説 スワッピングとは仮想メモリと実メモリ間のデータの交換が頻発することで、実際の処理が滞る現象です。これを根本的に解決するのはメインメモリの増設です。これにより、増設前と比べて多くのデータをメインメモリに置くことができるようになり、仮想メモリとの入れ替えを少なくできます。よって、さまざまな処理の速度が向上します。なお、取り扱える色は、ソフトやディスプレイの性能によりますし、計算精度は用いる有効桁数に依存します。大きいファイルサイズは仮想記憶の導入自体で解決できます。

問14 信頼性に関する記述として、適切なものはどれか。
MTBFとMTTRを長くすれば、装置の稼働率は高くなる。
MTBFを長くし、MTTRを短くすれば、装置の稼働率は高くなる。
MTBFを長くすれば、MTTRは短くなる。
MTTRを短くすれば、MTBFは長くなる。
解答
解説 信頼性とは、故障のしにくさに該当しMTBFに相当します。厳密には稼働率は可用性のほうに属するのですが、今回の場合はこれらの相関関係についての問題です。稼働率はMTBF/(MTBF+MTTR)で導出されるので、MTBF(平均故障間隔)を長くし、MTTR(平均故障時間)を短くすることで、稼働率は高くなります。

問15 図のような構成のクライアントサーバシステムの稼働率はどれか。ここで、クライアント及びサーバの稼働率はいずれも0.9とし、LANの故障はないものとする。また、二つのクライアントは同機能をもち、どちらか一方が稼働していればよいものとする。

画像(問15)を表示できません
0.729
0.810
0.891
0.999
解答
解説 問題文を要約すると『サーバとクライアントの並列』の直列の稼働率を計算せよという問題なので、まず、クライアントの並列部分は1-(1-0.9)×(1-0.9)=0.99となり、全体では0.9×0.99なので、0.981となります。

問16 多数の電子メール利用者に対する広告や勧誘などの目的で、受信者の意向とは無関係に短時間のうちに大量に送られ、場合によってはメールサーバのダウンにもつながるものを何と呼ぶか。
スパムメール
チェーンメール
マクロウイルス
マルチキャスト
解答
解説 一度に大量に送られてくるメールをスパムメールと言います。目的は宣伝や悪意のある攻撃の場合が多いです。チェーンメールは不幸の手紙の電子版で相手に別の人にメールを出すように煽るような内容が書かれています。マクロウィルスとはワードやエクセルなどの機能の一部であるマクロというプログラムを使ったコンピュータウィルスの一種です。マルチキャストとは、特定の全体に一度に送信をすることをいいます。なお、特定の個人に行う通信をユニキャスト。不特定多数の全員に送信を行うことをブロードキャストと言います。

問17 インターネットを経由してA社から10通の電子メールを連続して送ったところ、B社には送った順序とは異なる順序で届いた。これについて、適切な見解はどれか。
A社のメールサーバの設定に問題がある。
B社の電子メールに関するファイアウォールの設定に問題がある。
後から到着した電子メールは転送中に改ざんされた可能性が高い。
通信経路が一定ではないので、到着順序は変わることがある。
解答
解説 選択肢アやイだった場合は、すべてのメールが影響を受けて送信エラーのような状態になります。選択肢ウですが、特定のメールだけが届くかず、極端に遅れ、改ざんや盗聴に対するセキュリティ対策を行っていなかった場合には、その可能性も全くないわけではありませんが、今回の場合はそういうった極端な例ではないので、選択肢エが妥当だといえます。

問18 電子メールに関する記述のうち、適切なものはどれか。
MIMEは、電子メールで送信できるデータ形式として、テキストだけでなく、画像、音声などの形式も規定している。
クライアントからメールサーバに電子メールを送信する場合は、POP3が使用される。
現在加入しているプロバイダでの電子メールのアドレスをabc@xxx.yyy.ne.jpとすると、別のプロバイダに加入した時は“@”の左側abcは使用できない。
電子メールのアドレスは、DHCPによって管理されている。
解答
解説 現在は、電子メールのデータ形式をMIMEというもので利用しています。また、これにセキュリティを追加したS/MIMEも覚えておいた方がよいでしょう。なお、メールを送信するのはSMTPで、@より前の部分はユーザIDに相当するので別のプロバイダで同名のものが使われていない限り使用することができます。また、DHCPは動的にIP(プライベート)アドレスを割り振るときに使われるプロトコルです。

問19 既存の電話回線を利用したADSLサービスで、ADSLモデムと電話機を接続する装置Aはどれか。

画像(問19)を表示できません
スプリッタ
ターミナルアダプタ
ダイヤルアップルータ
ハブ
解答
解説 ネットワーク機器に関する問題です。ADSLと電話回線を分離・結合するものをスプリッタと言います。ターミナルアダプタは、ISDNと電話回線を分けるものを言います。ダイヤルアップルータは、ルータの一種でダイヤルアップ接続をするときに利用します。ハブは集線装置ともいいLANケーブルの集線を行います。

問20 マルチメディアオーサリングツールの説明として、適切なものはどれか。
画像、音声、文字などの素材を画面上で組み合わせて、マルチメディアコンテンツを作るためのツールである。
画像、音声、文字などのマルチメディア情報を扱うソフトウェアを作成するためのCASEツールである。
画像、音声、文字などのマルチメディア情報を検索するためのツールである。
画像、音声、文字などのマルチメディアデータベースのスキーマを会話的に定義するためのツールである。
解答
解説 マルチメディアオーサリングツールとは、さまざまな情報を合成してマルチメディアコンテンツを作成するツールのことで、プログラム開発ではないのでCASEツールではありません。また、データベースではありません。