平成17年度秋期 問21−40 解答編





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シスアド

(初級システムアドミニストレータ試験)

解答と解説のページです。

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問21 フライト(飛行便)予約システムにおいて、利用者が航空会社や時刻などを細かく指定しなくても、“水曜日の午前中にニューヨークに着きたい”と指示すれば、条件に合うフライトを検索し、第1希望が満席なら次着のフライトを検索するといった一連の処理を、利用者の意図を反映しながら進める機能の考え方はどれか。
アスペクト指向
エージェント指向
オブジェクト指向
プロセス指向
解答
解説 コンピュータのシステムが、その場その場で最適な答えを探し出すようにしたものをエージェントいいます。(また、クライアントとサーバの両方を兼ね備えるものもエージェントといいます)最近話題のオブジェクト指向はプログラムをものとしてとらえ、クラスやメソッドといった単位で開発を行う指向をいいます。

問22 インタプリタ方式の言語処理に関する記述のうち、適切なものはどれか。
コンパイラ方式に比べ、プログラムの実行速度は遅い。
再帰的な関数呼出しは許されない。
ソースプログラムをあらかじめ機械語に翻訳して実行する。
対話的な実行環境の構築には不向きである。
解答
解説 インタプリタとコンパイラの差を以下にまとめます。

コンパイラ:一括で機械語に変換する。コンパイルに時間はかかるが実行ははやい C言語などが代表例
インタプリタ:必要になった行を機械語にその都度変換する コンパイルは不要だが、実行速度は遅い Basicなどが代表例

問23 Javaの特徴に関する記述のうち、適切なものはどれか。
Javaアプレットは、ダウンロードしてきたサーバ以外のマシンとも通信できる。
Javaコンパイラがソースコードをバイトコードに変換し、Java仮想マシンがバイトコードを実行する
Javaで開発したプログラムを異なるアーキテクチャのマシンで実行するためには、再コンパイルが必要である。
Javaで開発したプログラムを実行するためには、ブラウザが必要である。
解答
解説 Javaはオブジェクト指向の代表的なプログラミング言語で、通常のJavaアプリケーションのほか、クライアント上で動作するJavaアプレットとサーバ上で動作するJavaサーブレットなど多岐にわたる設計が可能です。また、Java仮想マシンが用いられているため、OSなどのアーキテクチャが異なるマシンでも、仮想マシンとバイトコードが正しく動作するならば、プログラムを実行することができるという特徴があります。Javaアプレットはブラウザを用いるのが一般的です。

問24 XMLに関する記述として、適切なものはどれか。
C++を基本としたオブジェクト指向言語である。
テキスト処理用のインタプリタ言語であり、Webサーバ上で動くCGI(Common Gateway Interface)プログラムの標準言語である。
デスクトップパブリッシングの標準的なページ記述言語である。
データの構造や意味をタグを用いて表現する言語である。
解答
解説 XMLはマークアップ言語の一つです。代表的なマークアップ言語を以下にまとめます。

HTML:インターネットで最も多く用いられているマークアップ言語。
SGML:国際標準のマークアップ言語
XML:ユーザ自身がタグを定義することができるマークアップ言語

問25 表計算ソフトで作成した商品管理台帳のデータを、在庫金額の大きい順に整列しようとした。このとき、操作を誤り、次のような結果がひょうじされた。
・見出し行が行1から消え、行100に表示されている。
・在庫金額の大きいものから順に並んでいない。

画像(問25)を表示できません


[元の商品管理台帳]で、当初の目的どおり在庫金額の大きいものから順に整列するようにマクロを修正したい。正しいものはどれか。
選択セル(A1〜E100)選択セルの整列
(整列キー=“列C”,順序=“降順”)
選択セル(A1〜E100)選択セルの整列
(整列キー=“列E”,順序=“昇順”)
選択セル(A2〜E100)選択セルの整列
(整列キー=“列C”,順序=“昇順”)
選択セル(A2〜E100)選択セルの整列
(整列キー=“列E”,順序=“降順”)
解答
解説 範囲にA1が選択されていることから、項目名もソートの対象に入っています。そこでまず、対象をA2からEの100までにします。次に在庫金額の大きい順にしたいので、整列キーを列Eにして、順序を降順(大きい順)にします。

問26 商品コードが6けたの数値として入力されている表がある。商品コードは、左から大分類、中分類、小分類のコードが2けたずつで構成されている。セルE5には、コードを検査するために次の式が入力されている。
IF(整数部(A5/E$1)≧E$2,IF(整数部(A5/E$1)≦E$3,’○’,’○’),’×’)
セルE5の式は、セルE6〜E80に複写されている。列Eはどのような検査を行うために使われているか。ここで、セルE1〜E3には検査のための数値を入力してある。

画像(問26)を表示できません
商品コードのそれぞれの分類が一定の範囲に収まっているかどうかの検査
大分類が一定の範囲に収まっているかどうかの検査
中分類が一定の範囲に収まっているかどうかの検査
小分類が一定の範囲に収まっているかどうかの検査
解答
解説 まず、10000で割ると10000より上のかず、つまり上2桁がとりだせます。この値が10以上かつ70以下の時、○になるように出来ているので、大分類が一定の範囲に収まっているかを調べていることが分かります。

問27 大規模なWebサイトを構築する場合には、Webサーバに加えてアプリケーションサーバを用いる場合が多い。この理由として、適切なものはどれか。
Webサーバだけで構築すると、スケーラビリティが低くなるから
Webサーバだけでは、業務処理を実行できないから
Webサーバだけでは、コンテンツを動的に作成できないから
Webサーバには、認証を行う機能がないから
解答
解説 まず、Webサーバとはインターネットの閲覧などを行うサーバで、アプリケーションサーバは固有のアプリケーションの実行などを提供するサーバです。Webサーバだけで業務をしたり、動的コンテンツの作成はできます。また、プロトコルによっては認証を行うこともできます。しかし、Webサーバだけでは、スケーラビリティ(拡張性)が低いので、アプリケーションサーバを立てて応用範囲を広くするのが一般的です。

問28 利用者がシステム環境の構築・運用管理を行ったり、情報機器を使用して自ら業務処理を行うことを何というか
ASP
EDI
ERP
EUC
解答
解説 一般的なエンドユーザコンピューティング(EUC)に関する問題です。システムアドミニストレータはこのEUCに深くかかわっているので、この用語はきちんと覚えておきましょう。また、EUCを発展させて、ユーザ自らがシステム開発などを行うことをEUDと言います。

問29 A社営業部が、4か月後の実稼働を希望するシステムの開発を情報システム部に依頼したところ、社内で開発すると実稼働までに5か月かかるという回答であった。そこで、情報システム部と相談した結果、開発の実績がある外部ソフトハウスに開発を依頼することになった。このとき、システムの品質を維持しつつ4か月で安全に稼働させるために検討してもらう内容として、最も適切なものはどれか。ここで、開発モデルはウォータフォールモデルとする。
外部設計作業の開始と同時に、内部設計・プログラミングの作業を並行して行うことを検討してもらう。
内部設計書などのドキュメントは、システムの稼働後に後追いで作成することを検討してもらう。
内部設計・プログラミング・単体テストなどの各工程の中で、並行作業が可能なように開発要員を投入することを検討してもらう。
要求定義・外部設計・内部設計の結果について、内部設計終了時点でまとめてレビューすることを検討してもらう。
解答
解説 ウォータフォールモデルは、開発工程の同時進行はできないので各フェーズ(開発工程)で人員を増やしフェーズ内で並行作業をしてもらい、開発期間を短縮するのが望ましいといえます。レビューは各フェーズごとに行い、時間短縮のために一括で行うことはありません。

問30 ソフトウェア開発手法の一つであるプロトタイピングの特徴の記述として、適切なものはどれか。
基本計画、外部設計、内部設計、プログラム設計、プログラミング、テストの順に工程を進めていくので、全体を見通すことができ、スケジュールの決定や資源配分が容易になる。
システム開発の早い段階で試作品を作成するので、ユーザ部門と開発部門との認識のずれやあいまいさを早期に取り除くことができる。
ソフトウェアを仕様変更の可能性があるものとないものに分類し、仕様変更の可能性があるものについては、作成、見直し、変更のプロセスを繰り返す。
大規模アプリケーションを独立性の高い部分に分割し、その部分ごとに設計、プログラミング、テストの工程を繰り返し、徐々にその開発範囲を広げていく
解答
解説 ソフトウェアを作るための開発手段にはいくつかの種類があり、ウォータフォールモデル、スパイラルモデル、プロトタイピングモデルはその中でも最も代表的な3つです。3つの特徴を以下にまとめます。

ウォータフォールモデル:前工程の成果物が確実であるとみなして、工程の後退をせずにその名の通り水が上から下へ流れる滝のように、順序に開発を進めます。しかし実際には、前の工程で不備が見つかることが多く、古典的であるといわれます。

スパイラルモデル:要求定義から実際に実装までを繰り返しながら開発を進めます。ウォータフォールモデルとプロトタイピングモデルの中間のような感じで、大規模システム開発に向いています。

プロトタイピングモデル:プロトタイプ(試作品)を作って、実際にどんなものかをクライアントに確認を取りながら開発を進めるため、クライアントと開発部の認識の誤差を少なくできます。

問31 DFDのデータフローの書き方に関する説明として、適切なものはどれか。
1個のプロセスから流れ出るデータフローは、1本となるようにする。
異なるプロセスから流れ出るデータフローは、同一のプロセスに流入させないようにする。
ファイル間のデータのやり取りは、ファイル同士をデータフローで結合する。
プロセス間のデータフローには、流れている情報がわかるような名前を付ける。
解答
解説 DFD(データフローダイアグラム)は特定のプロセスに対し複数の入出力が認められています。また、データフローには分かりやすい名前または、受け渡すデータなどを記述するのが一般的です。また、ファイル同士をデータフローで結合することはありません。

問32 社員がどの部門に所属しているかを表すE-R図として、適切なものはどれか。ここで、図の*は関連における多を表す。
画像(問32abs)を表示できません
解答
解説 E−R図(エンティティーリレーションシップ図)は実体を□、関係を◇で表現します。この場合1つの部門には複数の社員が所属しているので、エが正解になります。

問33 次の方式によって求められるチェックディジットを付加した結果はどれか。ここで、データを7394,重み付け定数を1234,基数を11とする。

[方式]
(1) データと重み付け定数の各桁の積を求め、その和を求める。
(2) 和を基数で割って、余りを求める。 (3) 基数から余りを減じ、その結果の1の位をチェックディジットとしてデータの末尾に付加する。
73940
73941
73944
73947
解答
解説 一つずつ計算していきます。

(1) 7×1+3×2+9×3+4×4=56
(2) 56÷11=1
(3) 11−1=10の1の位 → 0

よって、チェックディジットは0となり、73940がデータとして作られます。

問34 次の順序でテストを実施するとき、システムの要求仕様に照らしたマニュアル検証やテストケース設計などを考慮した場合、どの段階からユーザ部門の要員に参加してもらうのが望ましいか。

単体テスト → 結合テスト → システムテスト → 運用テスト
単体テスト
結合テスト
システムテスト
運用テスト
解答
解説 モジュール間のテストである結合テストまではシステム開発部門の担当です。システムテストからは、仕様書道理に出来ているかを調べるためユーザ部門にも参加してもらいます。

問35 結合テスト行程のテスト項目未消化件数と不良摘出件数をグラフ化したところ、下図のようになった。このときの対策として適切なものはどれか。

画像(問35)を表示できません
テスト環境が悪いので、テスト環境の改善を検討する。
投入マンパワーが不足しているので、増員を手配する。
特に対策検討の必要はない。このままテストを継続する。
品質が悪いので、前工程のテスト項目と結果を見直す。
解答
解説 バグの数が予想より圧倒的におおく、プログラムの品質が悪いことが分かります。このような場合はこの工程よりも前に致命的な原因があったりするので、前の工程以前にさかのぼって仕様書などに矛盾等がなかったか等を調べるのがいいと考えられます。。なお、この曲線をゴンベルツ曲線といいます。

問36 あるプロジェクトの作業が図のとおりに遂行されるとき、プロジェクト全体が終了するまでに最短で何日が必要か。

画像(問36)を表示できません
24
25
30
31
解答
解説 このプロジェクトのクリティカルパスはA → D → H → Kとなり、31日になります。

問37 システムインテグレーションサービスの説明として、最も適切なものはどれか。
複数のベンダの製品を統合し、最適なシステムの設計、製造、テスト、運用・保守などを一括して請け負うサービス
マルチベンダ環境下の情報システム構築におけるプロジェクトを管理を、要員を派遣して引き受けるサービス
マルチベンダ環境下の情報システムの運用と保守を一括して請け負い、その窓口を一本化するサービス
ユーザと協力してシステム要件の分析と定義を行うサービス
解答
解説 システムインテグレーション(SI)とは複数のベンダの製品を組み合わせて、自分たちにあったものを作ることをいいます。このSIサービスは,基本計画から運用や保守まで,を丸ごと請け負うサービスをいいます。ハードウェアの選定などもおこないます。SIサービスrはは高度な知識やコンサルティング能力をはじめとするさまざまな能力や技術が必要とされています。

問38 各支店に分散配置されている多数のサーバを、情報システム部門のサーバに統合することになった。各支店のシステムアドミニストレータが配慮すべき点として、適切なものはどれか。
運用時間帯の自由度がなくなるなど、業務運用に支障が生じないように、現場及び情報システム部門との調整を十分におこなう。
各支店のサーバの増強・追加やバージョンアップは不要になるが、運用が複雑になるので、各支店の要員を強化する。
障害時の復旧が不可能になってしまうので、その回復方法を利用部門と十分に検討する。
利用部門のシステム運用負荷が増大するので、運用ツールを整備して、運用の自動化を図る。
解答
解説 システムアドミニストレータはユーザサイド考慮すべき点を見ればいいということになります。つまり、今までどおり、業務に差し障りがないかをユーザサイド(現場)と情報システム部門(あるいは開発部門)の間に入り調整を行います。他の選択肢は情報システム部門が行うべきものだと考えられます。

問39 配備した機器を特定するときに有効となる、台帳に記入しておくべき項目はどれか。
機器の大きさ
機器の契約者
機器の購入時期
機器の設置場所
解答
解説 選択肢ア除いた3は台帳に残しておくべきことですが、配備した機器を特定するということは、それがわかれば機器を一意に特定できる情報ということになります。契約者はおそらく、他にも契約をしているでしょうし、購入時期が同じ製品もあると考えられ一意には定まりません。しかし、設置場所は詳細に記録しておけば限りなく機器の特定を一意にすることができると考えられます。

問40 コンピュータ関連施設の設計時の注意事項として、適切なものはどれか。
コンピュータシステムを設置する区画は免振床にする。
建物にはコンピュータ施設であることを明示する。
出入り口はなるべく多くする。
配水管は室内の天井裏を通す。
解答
解説 免振床とは字の通り地震などの振えを免れる床。つまり、衝撃などを緩和する床のことです。建物にコンピュータ施設であることを外部に知れるように明示したり、出入り口を多くするのはセキュリティ上好ましくありません。配水管が災害等で破損や水漏れをしたときのことを考えると、天井裏に通すのもよくないといえます。