平成18年度秋期 シスアド 問21−40 解答編





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シスアド

(初級システムアドミニストレータ試験)

解答と解説のページです。

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問21 小さいアプリケーションプログラムを意味し、コンパイル済みのオブジェクトコードがサーバに格納されていて、クライアントからの要求によってクライアントへ転送されて実行されるプログラムはどれか。
アプレット
サーブレット文
スクリプト
スレッド
解答
解説 アプレットはサーバから転送されて、クライアント上で動作します。逆にサーブレットはサーバ上で動作します。この二つは出題頻度が高いのできちんと覚えておきましょう。また、代表的な例にJavaがあります。Javaアプレットは、ブラウザに埋め込んで利用するのが一般的です。

問22 PostScript言語の説明として、適切なものはどれか。
OSに対するコマンドを記述するためのスクリプト言語である。
主にプリンタ用に使用されるページ記述言語である。
ネットワーク上を次々に移動して処理を行うエージェントを作成するための言語である。
ブラウザ上で動くプログラムを作成するためのスクリプト言語である。
解答
解説 PostScriptはプリンタの制御に使用されるページ記述言語です。なお、選択肢アはLinux系やコマンドプロンプトで利用できるシェルスクリプトのことです。

問23 表計算ソフトを使って、20人分のアンケートを集計する。セルC23に入れるべき式はどれか。ここで、セルC23の式は、C24〜C27、及びD23〜L27の範囲の各セルに複写される。

[アンケートと集計の方法]
アンケートは、Q1〜Q10の10項目の質問から構成する。各質問には1〜5の5段階の回答がある。回答は、表の行ごとに1人分を入力してある。集計は、各質問について回答の1〜5のそれぞれの個数を件数関数で求め、その結果をC23〜L27に表示する。

[件数関数の仕様]
形式; 件数(e1,e2)
e1: セル範囲
e2: 値又はセル参照
機能;e1で指定された範囲で、e2で示される値と同じ値をもつセルの個数を返す。

画像(問23)を表示できません
件数($C2〜$C21,$A23)
件数($C2〜$C21,A$23)
件数(C$2〜C$21,$A23)
件数(C$2〜C$21,A$23)
解答
解説 まず、個数の列を変えてはいけないのでA列を絶対参照にします。そして、上部は列を固定して行を移動できるようにしたいので数字を固定します。

問24 X営業所には4名の営業担当者がいる。各担当者の個人売上目標額は、全体の売上目標額を、各担当者の職能に営業活動占有度を乗じた値に比例させて、決めている。セルB4に計算式“B2*B3”を入力し、セルC4〜E4に複写する。同様にセルB5にある計算式を入力し、セルC5〜E5に複写して個人売上目標額を計算する場合、セルB5に入れるべき計算式はどれか。ここで、セルF2に入力されている値は、X営業所の売上目標額とする。

画像(問24)を表示できません
B4/合計($B4〜$E4)*$F2
B4/合計(B$4〜E$4)*F$2
B4/合計(B4〜$E4)*$F2
B4/合計(B4〜E$4)*F$2
解答
解説 今回は縦(列)はコピーしないのでB、E、Fは列だけを固定すれば十分です。もちろんF2を両方絶対参照にしてもよいのですが、意味がないといえます。

問25 電子会議、電子メールなどのコミュニュケーション機能やバグ票管理などのワークフロー支援機能をもち、人と人との共同作業を支援するソフトウェアはどれか。
CAD
SCM
エキスパートシステム
グループウェア
解答
解説 複数の人間が共同で作業をするためのものをグループウェアといいます。また、CADは製図や設計を行うシステムで、SCMは材料販売管理をするシステムで、エキスパートシステムは、専門家の知識を蓄積し、専門家と同じ判断をできるようにしたシステムを言います。

問26 ERPパッケージに関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
企業のビジネスプロセスの分析が不要なので、比較的容易に導入できる。
導入後のメンテナンスは、システム部門が担当することが望ましい。
導入に当たっては、ビジネスプロセスの検証・標準化が不可欠である。
日本企業のビジネスプロセスに特化した統合パッケージである。
解答
解説 ERP(Enterprise Resource Planning)は、経営資源を最適化することを目的とするもので、導入に当たり、さまざまなプロセスの準備(検証・標準化等)が必要となります。メンテナンスはシステム部ではなく、全体にかかわることなので、専門の部門などにやらせる方がよいといえます。

問27 Webアプリケーションサーバの特徴として、最も適切なものはどれか。
外部からの不正パケットを排除する。
データベースを管理する。
表示用のHTML文章を動的に生成する。
ホスト名をIPアドレスに変換する。
解答
解説 Webサーバは、HTML文章の生成(ソースからの翻訳)を行います。また、外部からのパケットの排除はファイアウォールが行い、データベースを管理するのはデータベースサーバが行います。また、ホスト名をIPアドレスに変換するのはDNSが行います。

問28 ミドルウェアの説明として、適切なものはどれか。
CPU、メモリや入出力装置などをアプリケーションソフトから利用するための基本的な機能を提供するソフトウェア
基本ソフトウェアの機能を利用し、多様な利用分野に共通するより高いレベルの基本機能を提供するソフトウェア
経営資源の有効活用の視点から、経営資源を統合的に管理し、経営の効率化の実現を支援するソフトウェア
電子メールや電子掲示板を介したコミュニュケーション、データ共有、すケージュールの一元的管理などの機能をもち、共同作業の支援を行うソフトウェア
解答
解説 ミドルウェアとはOSとアプリケーションソフトの中間に位置するソフトウェア群の総称です。OSとアプリケーションソフトの仲介をするため、多様な共通的な機能を提供します。一方OSは選択肢アのようなCPUやメモリ等のハードウェア側をユーザが意識することなく使用することができることを目的としています。また、選択肢ウはEPRについての記述で、選択肢エはグループウェアについての記述です。

問29 社内の多数のエンドユーザが業務で頻繁に使用するシステムがある。このシステムを更新するときのシステムアドミニストレータと情報システム部門の役割を(1)〜(3)に分類した。このとき、(1)に該当する業務はどれか。

(1) システムアドミニストレータが主体となって遂行する業務
(2) 情報システム部門が主体となって遂行する業務
(3) システムアドミニストレータと情報システム部門が協力して遂行する業務
業務改善策に基づいたシステム構築
業務改善策の立案
システムの運用管理
システムのセキュリティポリシの策定
解答
解説 システムアドミニストレータは基本的にユーザ側の代表者として、エンジニアや経営部などとシステムの受け入れなどを交渉、要求する立場にあります。よって、この場合は、業務改善策の立案をします。システム構築は開発部門が行い、運用管理は保守部門が行います。セキュリティポリシーはセキュリティ部門が主体で行い全社が参加し、経営部が認証するのが基本です。

問30 システム開発の早い段階で、利用者が目に見える形で要求を確認できるように試作品を作成する開発モデルはどれか。
ウォータフォールモデル
エクストリームプログラミング
スパイラルモデル
プロトタイピング
解答
解説 システム開発の種類をいかにまとめます

ウォータフォールモデル:滝が上から下に流れるように、原則として工程の後戻りを許さず順番に行う。
プロトタイピング:システムの試作品(プロトタイプ)を作成し、クライアントの要求とエンジニア側の誤差などを調整する
スパイラルモデル:二つの長所を組み合わせたもので、単位ごとに開発を繰り返しながらシステムを成長させていきます

なお、エクストリームプログラミングとはコーディングとテストを重視しており、フィードバックを行なって修正・再設計していくことを重視している。 コミュニケーション、シンプルさ、フィードバック、勇気を中核の思想としているものである。

問31 データモデルの表記が次の表記法に従うとき、E−R図の解釈に関する記述のうち、適切なものはどれか。

画像(問31)を表示できません
同一の商品は一つの仕入先から仕入れている。
発注明細と納品明細は1対1に対応している。
一つの発注で複数種類の商品を発注することはない。
一つの発注で複数の仕入先に発注することはない。
解答
解説 一つの商品は複数の仕入れ先から仕入れているので選択肢アは間違いです。発注明細と納品明細は商品を介して1つの発注明細に対して複数の納品明細があるので選択肢イは間違いです。発注と商品も、仕入先を介して考えると、1つの発注に対して、複数の商品があり得ます。発注はゼロ以上で仕入れ先は1なので、選択肢エは正しいといえます。

問32 コード設計の作業の中で、最初に行うべき作業はどれか。
コード化作業とコード表作成
コード化対象の選定
コードファイルの作成
使用期間とデータ量の予測
解答
解説 コード化で一番最初にすることは、何をどんなふうにコード化するかを決めることです。よって、対象の選別をします。じっさいにコードファイルを作ったり、コード表を作ったりするのは、最後です。

問33 システム内の注文番号が一意でなければならないとき、次の注文データが入力された場合、今までの注文データが格納されている注文マスタファイルを調べて、一意であることをチェックする方式はどれか。

画像(問33)を表示できません
重複チェック
フォーマットチェック
リミットチェック
論理チェック
解答
解説 データベース等で行われる主キー等のようなものでシステム内で一意であるものを重複チェックといいます。また、フォーマット(書式)チェックはデータが形式どおりになっているかどうかをチェックします。リミット(限界)チェックは、上限や下限を超えていないかどうかをチェックします。論理チェックは、論理的に矛盾がないか(例えば、xが0以上かつ-10より小さいなどはエラー)をチェックします。

問34 ソフトウェアのテスト方法のうち、ソフトウェア保守のために行った変更によって、影響を受けないはずの箇所に影響を及ぼしていないかどうかを確認する目的で行うものはどれか。
運用テスト
統合テスト
システムテスト
リグレッションテスト
解答
解説 レグレッションテストは、退行テストとも言われシスアドのテストの中でも出題頻度が高い問題の一つです。確実に覚えておきましょう。また、結合テストは、単体テストの後に行われるテストで、その後、システムテスト、運用テストと続きます。

問35 四つのサブシステム(ア〜エ)から成るシステムを開発している。次のグラフは、それぞれのサブシステムのテスト行程で発見されたバグの累積数を表したものである。最も高品質と考えられるサブシステムはどれか。
なお、発見されたバグはすべて除去済みであり、各サブシステムの開発規模、開発期間、要員数は、ほぼ同じである。
画像(問35ans)を表示できません
解答
解説 この曲線を信頼度成長曲線または、ゴンベルツ曲線といいます。バグの数が収束しているためシステムの品質が高くなっているといえます。

問36 プロジェクトが次の条件に従って遂行されるとき、プロジェクト全体が終了するまでには最短で何日が必要か

[プロジェクト遂行条件]
このプロジェクトは、九つの作業A〜Iで構成される。

各作業の所要日数は次のとおりである。
作業Aは5日、作業Bは5日、作業Cは4日、作業Dは3日、作業Eは6日、作業Fは3日、作業Gは4日、作業Hは8日、作業Iは8日

作業順序は次のとおりである。
作業Aはすべての作業に先行する。
作業Bに先行する作業は作業Aである。
作業Cに先行する作業は作業Aである。
作業Dに先行する作業は作業Bである。
作業Eに先行する作業は作業Cである。
作業Fに先行する作業は作業Cである。
作業Gに先行する作業は作業Fである。
作業Hに先行する作業は作業Dである。
作業Iに先行する作業は作業EとGである。
21
22
23
24
解答
解説 上の図をアローダイアグラムにすると、以下のようになります。

画像(問36kai)を表示できません

なお、クリティカルパスは、A→C→F→G→Iとなります。

問37 アウトソーシングサービスのうち、MSP(マネージドサービスプロバイダ)のサービスはどれか。
サーバを預かり、インターネットへの接続環境を提供する。
人事・経理・販売・物流などのビジネスプロセスを提供する。
ネットワーク、サーバ、ストレージなどのIT基板の運用管理業務をネットワーク介して行う。
ネットワークを介して標準的なアプリケーションサービスを定額制などの課金方式によって提供する。
解答
解説 MSPはシステム管理をネットワークを介して行う業者です。選択肢エは一般的なプロバイダ(ASP)です。

問38 ネットワークに接続しているPCがコンピュータウィルスに感染したことが判明したときの対処のうち、最初に行うべきものはどれか。
感染したPCをネットワークから切り離す。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA )に届け出る。
ハードディスクを初期化する。
ワクチンソフト開発会社のWebページなどで対処方法を調べる。
解答
解説 コンピュータウィルスに感染したことが判明した場合、感染拡大を防ぐためにネットワークから切り離します。その後自社のネットワークやシステムを管理する部門に連絡をし、指示を仰ぎます。コンピュータウィルスに感染したからと言って必ずハードディスクを初期化する必要があるとは言えません。

問39 ディスク障害時に、バックアップテープからデータをリストアした後、バックアップ時以降のジャーナルを反映させてデータベースを回復する方法はどれか。
チェックポイントリスタート
リブート
ロールバック
ロールフォワード
解答
解説 ロールバックとロールフォワードは出題頻度の高い問題の1つです。ロールフォワードは、バックアップ時以降のジャーナルで回復します。逆にロールバックは、バックアップ時前のジャーナルを用いて回復します。なお、チェックポイントリスタートとは、あらかじめ作っておいたチェックポイントから再度処理を再開することで、リブートとは再起動のことです。

問40 情報システムの障害対策の一つである縮退運転に関する記述として、適切なものはどれか。
実行中のプログラムが異常終了したとき、ほかのプログラムに影響を与えないように、システムの運転を続行することである。
障害箇所を部分的に切り離し、機能や処理能力を落としてもシステムを稼働させ続けることである。
障害が発生した時点で、その後に実行する予定のジョブのスケジュールを変更することである。
処理を一斉に停止するのではなく、順を追って段階的に停止させることである。
解答
解説 縮退運転とはフェールソフトのことで、障害が発生しても能力を落として運用を続けることです。逆に、障害が発生した場合、システムを安全側に終了させることをフェールセーフといいます。