平成21年度春期 シスアド 問21−40 解答編





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シスアド

(初級システムアドミニストレータ試験)

解答と解説のページです。

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問21 絶対パス名¥a¥a¥b¥cをもつディレクトリがカレントディレクトリであるとき、相対パス名.¥..¥..¥a¥b¥fileを持つファイルを、絶対パス名で表現したものはどれか。ディレクトリ及びファイルの指定方法は、次の規則に従うものとする。

[ディレクトリ及びファイルの指定方法]
(1) ファイルは、“ディレクトリ名¥・・・¥ディレクトリ名¥ファイル名”のように、経路上のディレクトリを順に“¥”で区切って並べた後に“¥”とファイル名を指定する。
(2) カレントディレクトリは“.”で表す。
(3) 1階層上のディレクトリは“..”で表す。
(4) 始まりが“¥”のときは、左端がルートディレクトリが省略されているものとする。
(5) 始まりが“¥”,“.”,“..”のいずれでもないときは、左端にカレントディレクトリ配下であることを示す“.¥”が省略されているものとする。
¥a¥b¥file
¥a¥a¥b¥file
¥a¥a¥a¥b¥file
¥a¥a¥b¥a¥b¥file
解答
解説 相対パスが表しているものを整理すると、現在の親の親のaのbの下にあるファイルということになります。現在のディレクトリ(=カレントディレクトリ)は¥a¥a¥b¥cなので、二つ上は、¥a¥aです。ここからa¥b¥fileと移動するわけですから、¥a¥a¥a¥b¥fileとなります。

問22 ワークシート内にある列において、数値が100未満であるセルの文字色を赤に変更したい。この処理を行うために、マクロ“red”を作成した。このマクロでは、[繰返し条件]を満たしている間、“繰返し範囲の開始”と“繰返し範囲の終了”で囲まれた処理を繰り返す。ワークシート中のデータ件数が明確に決まっていないとき、このマクロの[繰返し条件]はどのように指定したらよいか。ここで、このワークシートのデータは、先頭行からの連続した行に赤以外の文字色で格納されているものとし、データが格納されていないセルの値は、空値とする。

[マクロredの記述]
(1) マクロred()
(2) “繰返し範囲の開始[繰返し条件]間は繰り返す”
(3) “セルの値が100未満なら、セルの文字色を赤にする”
(4) “対象セルを1行下に移動する”
(5) “繰返し範囲の終了”
対象セルの値が100未満の数値である
対象セルの値が100未満の数値ではない
対象セルの値が空値である
対象セルの値が空値ではない
解答
解説 『(3)セルの値が100未満なら、セルの文字色を赤にする”』という文章があるので、繰返し条件に、色を変化させたりする条件は当てはまりません。ここには、どんな時にマクロを繰り返すかということを記述します。行頭に『ある列』という言葉と、『(4)対象セルを1行下に移動する』という言葉があるので、処理対象を下に移していくが、どんなときに止めればいいのかを書けばいいことが分かります。よって、数値がなくなったら止めればいいので、数値があるあいだ続けることになります。よって選択肢ウとなります。

問23 X営業所には4名の営業担当者がいる。各担当者の個人売り上げ目標額は、全体の売上目標額を、各担当者の職能に営業活動占有度を乗じた値に比例させて、決めている。セルB4に計算式“B2*B3”を入力し、セルC4〜E4に複写する。同様にセルB5にある計算式を入力し、セルC5〜E5に複写して個人売上目標額を計算する場合、セルB5に入れるべき計算式はどれか。ここで、セルF2に入力されている値は、X営業所の売上目標額とする。

画像(問23)を表示できません
B4/合計($B4〜$E4)*$F2
B4/合計(B$4〜E$4)*F$2
B4/合計(B4〜$E4)*$F2
B4/合計(B4〜E$4)*F$2
解答
解説 まず、理解しやすいように4行目を埋めてみます。

画像(問23kai)を表示できません

B4〜E4の合計から各々の値を割ってF2をかけたものを計算したいので、列を固定します。数値の前に$をつけてもいいのですが、今回は行は変化しないので省略されています。

問24 グループウェアに適している処理はどれか。
期末試験の得点集計処理
月末の売上集計処理
航空管制処理
社内の会議室の予約処理
解答
解説 グループウェアは他人で情報を共有して扱うソフトのことです。よって、集中処理には適していません。また、航空管制システムのような超リアルタイム処理にも対応できないと思われます。グループウェアは、予約システムやDB、スケジュール管理などが主な目的です。

問25 外部設計及び内部設計の説明のうち、適切なものはどれか。
外部設計ではシステムを幾つかのプログラムに分割し、内部設計ではプログラムごとのDFDを作成する。
外部設計ではデータ項目を洗い出して論理データ構造を決定し、内部設計では物理データ構造、データの処理方式やチェック方式などを決定する。
外部設計と内部設計の遂行順序は、基本計画における利用者の要求に基づいて決定される。
外部設計はコンピュータ側から見たシステム設計であり、内部設計は利用者側から見たシステム設計である。
解答
解説 2つの設計は、まず外部設計を行い、人間側から見た論理的なデータを洗い出します。その後内部設計でコンピュータ側から見た物理的なデータの洗い出しを行います。その後、プログラミング設計、テストなどとつながっていきます。

問26 プロトタイピングに関する記述として、適切なものはどれか。
開発工程ごとに確認を行い、工程の後戻りはしないことが原則である。
開発者間の意思疎通が確実に行われるので、大規模開発に向いている。
システム開発の早い段階から、試作品を作成して、利用者の確認を得ながら開発を進める。
プログラムモジュールを部品化し、再利用することが主な目的である。
解答
解説 ソフトウェアを作るための開発手段にはいくつかの種類があり、ウォータフォールモデル、スパイラルモデル、プロトタイピングモデルはその中でも最も代表的な3つです。3つの特徴を下にまとめます。

ウォータフォールモデル:前工程の成果物が確実であるとみなして、工程の後退をせずにその名の通り水が上から下へ流れる滝のように、順序に開発を進めます。しかし実際には、前の工程で不備が見つかることが多く、古典的であるといわれます。

スパイラルモデル:要求定義から実際に実装までを繰り返しながら開発を進めます。ウォータフォールモデルとプロトタイピングモデルの中間のような感じで、大規模システム開発に向いています。

プロトタイピングモデル:プロトタイプ(試作品)を作って、実際にどんなものかをクライアントに確認を取りながら開発を進めるため、クライアントと開発部の認識の誤差を少なくできます。

問27 システムの分析・設計において、DFDによって記述されるものはどれか。
データ入力画面の項目レイアウト
データの流れ
データベースの物理構造
プログラムの処理手順
解答
解説 DFD(Data Flow Diagram)とは、データの源泉・吸収・処理・蓄積などの関係を、データフロー、プロセス、ファイル、外部の4つの記号によって表現します

問28 次の方法によって求められるチェックディジットを付加した結果はどれか。ここで、データを7394、重み付け定数を1234、基数を11とする。

[方式]
(1) データと重み付け定数の各けたの積を重め、その和を求める。
(2) 和を基数で割って、余りを求める。
(3) 基数から余りを減じ、その結果の一の位をチェックディジットとしてデータの末尾に付加する。
73940
73941
73944
73947
解答
解説 一つずつ計算していきます。

(1) 7×1+3×2+9×3+4×4=56
(2) 56÷11=1
(3) 11−1=10の1の位 → 0

よって、チェックディジットは0となり、73940がデータとして作られます。

問29 入力画面の設計方針として、適切なものはどれか。
画面の操作性を向上させるために、関連する入力項目は隣接するように配置する。
初心者でも操作が容易になるように、コマンド入力方式を採用する。
入力の誤りに対するエラーメッセージは、“入力が誤っています”に統一する。
利用者の操作が容易になるように、入力画面には詳細な使用方法を表示する。
解答
解説 GUIの入力画面での留意事項がいくつかあります。常識的なことではありますが、以下に例を挙げます

知覚しやすいか:極端に早い動きの動作がないか
動作しやすいか:動作の距離や順番に無理はないか
ミスをなおせるか:人間は必ずミスをするので、これを修正できるか
記憶量は適切か:一時的に覚える情報量、学習する量は適切か
レベルはあっているか:ユーザに合ったレベルを提供できているか

以上のようなことを考える必要があります。選択肢イは、初心者にはGUI環境を導入すべきです。選択肢ウは、どこが誤っているかを指摘するべきです。選択肢エは、簡単な説明を提示して、必要であれば詳しくするようにするべきです。

問30 フールプルーフに該当するものはどれか。
更新の対象となるデータをコピーして保存する。
入力したデータの取消し操作を行うことができるようにする。
メニュー画面上の使用権限のない選択肢は、選択できないようにする。
利用者の操作内容をログとして保存する。
解答
解説 フールプルーフとは、人間の間違った行為や馬鹿げた入力などが受理されないように事前に対策を講じて置くことです。ここでは、元から権限のない選択肢を使用できないようにすることが相当します。

問31 次の順序でテストが実施するとき、システムの要求仕様に照らしたマニュアル検証やテストケース設計などを考慮した場合、どの段階から利用部門の要員に参加してもらうのが望ましいか。

単体テスト → 結合テスト → システムテスト → 運用テスト

単体テスト
結合テスト
システムテスト
運用テスト
解答
解説 ユーザ部門には、要求定義のような仕様を決めるときと、実際に出来上がったものをチェックするときに参加してもらいます。実際の実装やテストは開発部門に一任するのがよいといえます。システムテストと運用テストで迷うかもしれませんが、運用テストとはもう実際に使用できるかどうかのテストなので、システムが出来上がった時点で確認してもらうのが適切です。

問32 モジュールの内部構造を考慮することなく、仕様書どおりに機能するかどうかをテストする手法はどれか。
トップダウンテスト
ブラックボックステスト
ボトムアップテスト
ホワイトボックステスト
解答
解説 トップダウンテストは上位のモジュールから下位のモジュールに向かってテストを行うもので、仮想的な下位のモジュールをスタブと言います。ボトムアップテストは下位のモジュールから上位のモジュールに向かってテストを行うもので、仮想的な上位のモジュールをドライバと言います。

ブラックボックステストは、入力と出力の関係が仕様書通りにできているかを調べるテストです。ホワイトボックステストは、内部構造に着目し論理がきちんとできているかを調べるチェックです。


問33 デザインレビューを実施する目的として、最も適切なものはどれか。
経営トップ、利用者、開発委託予定企業のリーダなど、システムに関連する多くの人々の参加を得て、広く意見を聞くため
システム開発の作業方法を確認し、目的とするシステムが構築できるかどうかを評価するため
設計の工程ごとに設計品質の評価を行い、各工程が終了したかどうかを判断するため
プログラミング工程に進む直前に、システムの最終的な設計書が完成したかどうかを確認するため
解答
解説 デザインレビューとは、出来上がった成果物を多人数で評価することをさします。デザインレビューのやり方には、インスペクション、ウォークスルー、ラウンドロビンなどの方式があります。

問34 開発作業の順序や相互関係を表すのに用いられる図はどれか。
WBS(Work Breakdown Structure)
アローダイアグラム
ガントチャート
マイルストーンチャート
解答
解説 作業の順番を表すにはアローダイアグラム(PART図)を用いるのが一般的です。一方でガントチャートは、作業に対する時間を表したもので掛かる時間は分かりますが、相互関係を表すのには適していません。

問35 大規模なシステム開発における利用部門の役割に関する記述として、最も適切なものはどれか。
利用部門の責任者は、導入するシステムに対して、投資効果については考慮せず、利用部門が要求する機能の実装を開発部門に受け入れさせる努力をする。
利用部門は、開発部門によって開発されたシステムを利用する立場であるから、システム開発については開発部門にすべて任せる。
利用部門は、システム開発における成果物に対して、業務的観点から内容確認を行うが、プログラムの詳細な設計については開発部門に任せる。
利用部門は、積極的にシステム開発に参加し、様々な助言をする必要があるので、業務知識は少なくてもコンピュータについての知識が豊富な人を優先して参加させる。
解答
解説 ユーザ部門には、要求定義のような仕様を決めるときと、実際に出来上がったものをチェックするときに参加してもらいます。実際の実装やテストは開発部門に一任するのがよいといえます。

問36 情報システムのコストを削減するために、情報システムの開発や運用保守にかかわる全部又はほとんどの業務を外部の専門企業に委託する形態はどれか。
アウトソーシング
システムインテグレーション
ハウジング
ホスティング
解答
解説 四つの用語を以下にまとめます。

アウトソーシング(外注):自社ではなく、他社に業務を委託する形態
システムインテグレーション:業務を分析し、企画、運用、保守などの総合的な管理を行うことを言います
ハウジング:顧客が用意した設備に、場所と電源などを提供することでサーバを管理すること
ホスティング:ハウジングのように顧客が用意した設備ではなく、業者側でサーバなどを準備し提供することをいいます。

問37 データのバックアップに関する記述のうち、適切なものはどれか。
バックアップからの復旧時間を最短にするために、差分バックアップ方式を採用する。
バックアップからの復旧処理でランダムアクセスを可能にするために、磁気テープにバックアップする。
バックアップしたデータの整合性を保障するために、バックアップ処理と業務処理が重ならないようにスケジューリングする。
バックアップ処理の時間を最短にするために、同一媒体内にバックアップする。
解答
解説 差分バックアップは、現在からの差をバックアップするもので、特定の期間ごとにフルバックアップを必要とします。また、磁気テープは順次アクセスのみでランダムアクセスはできません。バックアップは、同一媒体よりも、災害などでデータが失われないように遠隔地などの離れた場所にとるのが理想的といえます。

問38 トランザクションTはチェックポイント取得後に完了し、その後にシステム障害が発生した。データベースをトランザクションTの終了直後の状態に戻すために用いられる復旧技法はどれか。ここで、チェックポイントのほかに、トランザクションログが利用できるものとする。
2相ロック
トランザクションスケジューリング
ロールバック
ロールフォワード
解答
解説 トランザクションTからログファイルを利用して現在の状態に戻すのをロールフォワードといいます。一般的にこれはハード的な障害に利用されます。一方で障害状態からログファイルを利用して障害直前前復元するのをロールバックといいます。これはソフト的な障害に利用されることが多いです。残りの選択肢は、直接の復旧用語ではありません。

問39 一斉移行方式の特徴のうち、適切なものはどれか。
新旧システム間を接続するアプリケーションが必要となる。
新旧システムを並行させて運用し、ある時点で新システムに移行する。
新システムへの移行時のトラブルの影響が大きい
並行して稼動させるための運用コストが発生する。
解答
解説 新しいシステムを現行のシステムと入れ替える際に用いられる形態の一つに一斉移行方式があります。これは、いきなり新しいシステムを行うもので、並行しない分コストが小さくてすむ反面、障害時の影響が大きいといえます。長所と短所を入れ替えたものに並行移行方式があります。

問40 各視点に分散して配置されている多数のサーバを、情報システム部門のサーバに統合することになった。各支店のシステムアドミニストレータが配慮すべき点のうち、適切なものはどれか。
運用時間帯の自由度がなくなるなど、業務運用に支障が生じないように、現場及び情報システム部門と調節する。
各支店のサーバの増強・追加やバージョンアップは不要になるが、運用が複雑になるので、各視点の要員を増強する。
障害時の復旧が各支店では不可能になるので、その回復方法を利用部門と検討する。
利用部門でのシステム運用の付加が増大するので、運用ツールを整備して、運用の自動化を図る。
解答
解説 システムアドミニストレータはユーザサイド考慮すべき点を見ればいいということになります。つまり、今までどおり、業務に差し障りがないかをユーザサイド(現場)と情報システム部門(あるいは開発部門)の間に入り調整を行います。他の選択肢は情報システム部門が行うべきものだと考えられます。