平成23年度 秋期 ITパスポート試験 問41−60 解答編




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ITパスポート

(エントリ試験)

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問41 ソフトウェア開発プロセスにおける結合テスト実施内容として、適切なものはどれか。
LANケーブルで複数のPCを接続し、ファイルの共有ができることをテストする。
PCと周辺装置をつなぐケーブルの差込口の形状を確認し、ケーブルが無理なく差し込めることをテストする。
インターネットサービスプロバイダと契約した後、ブラウザでWebサイトが閲覧できることをテストする。
二つの単体テスト済のプログラムを組み合わせ、プログラム間のインタフェースが仕様どおりに作成され、正常に連動することをテストする。
解答
解説 結合テストとは、単体テストの後に行われるテストです。単体テストは、1つのモジュールが正しく動作するかを調べるテストです。そして結合テストとは、単体テストを終了したモジュール同士が正しく連携できるかどうかを調べるテストです。さらに、結合テスト後は、全てのモジュールでの結合を行うシステムテストを行います。

問42 新営業店システム開発プロジェクトの作業を、図のように階層的に表現する手法はどれか。

画像(問42)を表示できません
PERT(Program Evalution and Review Technique)
WBS(Work Breakdown Structure)
構造化プログラミング
ファンクションポイント法
解答
解説 まず、WBS(Work Breakdown Strucuture:作業分割構成)とは仕事を分割して、作業のしやすい量にすることです。この分割の最下位の仕事の単位をワークパッケージといいます。ワークパッケージは必要に応じてアクティビティ(具体的な操作)に分解されます。また、ワークパッケージを人員に割り当てることで、OBS(Organization Breakdown Structure:組織分割構成)を作成することができます。

PERT図は、プロジェクトの日程管理などに用いられる図で、クリティカルパスを求めることで、遅延の許されない工程を調べることができます。
構造化プログラミングは、順次処理、繰返し処理、分岐処理などを使い、手続を記述し、関数化していくプログラミング手法です。
ファンクションポイント法は、機能の数と種類を調べることで、数値化し、開発するアプリケーションの規模を見積もる手法です。

問43 無停電電源装置の利用方法に関する説明のうち、適切なものはどれか。
携帯電話の予備バッテリとして、携帯電話を長時間使用するために利用する。
コンピュータセンタで長時間の停電が発生した場合に、電力の供給を継続するために利用する。
コンピュータに対して停電時に電力を一時的に供給したり、瞬間的な電圧低下の影響を防いだりするために利用する。
電源のない野外でコンピュータを長時間使用するために利用する。
解答
解説 数ミリ秒間電気が途絶えてしまう現象を瞬断といいます。コンピュータは瞬断により、メモリの内容が消えてしまったり予期せぬ動作をしてしまったりします。これを防ぐためにUPS(Uniterruptible Power Supply:無停電電源装置)が用いられます。また、停電時などに、シャットダウンまでの時間を稼ぐために用いられることもあります。

一般的な停電時などの対策としては、自家発電装置などが挙げられ、安定電源のために以下のような装置が利用される場合もあります。
・CVCF(Constant-Voltage Constant-Frequency:定電圧低周波数装置)は、安定した電圧・周波数を提供する電源装置です。
・AVR(Automatic Voltage Regulator:自動電圧調整期)は、電源電圧を自動的に適切な電圧に調整する電源装置です。

問44 システム開発において、システムテストで検証する内容として、適切なものはどれか。
個々のプログラム間のインタフェースの整合性を検証する。
端末から行う照合処理の応答時間を検証する。
プログラムに記述された全ての命令を少なくとも1回実行し、仕様どおりに動くことを検証する。
プログラムの分岐条件をホワイトボックステストによって検証する。
解答
解説 まずは、設計とテストなどの関係を以下のV字工程に示します。

V字工程を表示できません

テストは、個々のモジュールで行う単体テスト→複数のモジュールで行う結合テスト→全体のモジュールで行うシステムテストの順に行われます。
つまり、選択肢ウ、エ→選択肢ア→選択肢イとなります。

問45 社内でのシステム監査部門の位置付けとして、適切なものはどれか。

画像(問45)を表示できません
解答
解説 監査部門は、社長や経営者の配下でどの部門からも独立している必要があります。監査の基本は、監査機関と被監査機関の独立と、専門的で中立的な立場からの客観的指摘です。なお、aに相当するのは、取締役会や株主総会などが相当します。

問46 SLAのサービスレベルの項目は、可用性、信頼性、性能などに分けられる。可用性に分類されるものはどれか。
オンライン応答時間
外部接続性
サービス時間
通信の暗号レベル
解答
解説 それぞれの項目を分類すると以下のようになります。

選択肢アは、性能に分類されます。
選択肢イは、拡張性に分類されます。
選択肢ウは、可用性に分類されます。
選択肢エは、機密性(セキュリティ)に分類されます。

問47 ITサービスマネジメントのプロセスのうち、インシデントの根本原因を追及し、再発を防止するプロセスはどれか。
インシデント管理
変更管理
問題管理
リリース管理
解答
解説 ITサービスマネジメントの一部である、サービスサポートは主にITサービス運営における日々の運用について書かれており、一つの機能と、五つのプロセスで構成されています。下に内容をまとめます。

インシデント管理:障害時の迅速な回復を行い、影響を最小限にする
問題管理:インシデントや障害の原因の解明と対策・再発防止を行う
構成管理:構成アイテム情報の収集や維持・管理・確認・検査を行う
変更管理:構成アイテムの変更を安全かつ効率的に実施する
リリース管理:変更管理プロセスで承認された内容を本番環境に反映させる
サービスデスク:顧客との窓口の役割をし、サポート業務を行う

問48 受託したシステムの新規開発において、ソフトウェアを本番環境に移行するための計画を顧客に説明した。この計画に基づいた作業を実施する工程として、適切なものはどれか。
結合テスト
システムテスト
ソフトウェア導入
ソフトウェア保守
解答
解説 それぞれの用語をいかにまとめます。

結合テスト:単体テストの後に行われるテストで、複数のモジュールを結合して行われるテスト
システムテスト:結合テストの後に行われるテストで、全てのモジュールを結合して行われるテスト
ソフトウェア導入:システムテストや受入れテストなどの後に行われる工程で、ソフトウェアを本番環境に移行することです。
ソフトウェア保守:導入されたソフトウェアのバグの修正や、メンテナンスなどを行う工程です。

問49 システム開発において、システム要件定義の結果を受けてシステム化を進めるに当たり、最初に行うべき作業はどれか。
開発すべきシステムへの移行計画の策定
システムが全体として要求された仕様のとおりに動作するかを検証するためのシステムテスト計画の策定
ハードウェアとソフトウェアで分担すべき機能の明確化
プログラミングを行えるレベルでのソフトウェアの詳細設計
解答
解説 要件定義が行われた後は、ハードウェアとソフトウェアで分担すべき機能を明確化するなど、要件を満たすための機能などをはっきりさせます。そして、その後、外部設計へと続きます。

選択肢ア:システムが開発されてから行います。
選択肢イ:システムの機能が決まり、開発に入ってから行います。
選択肢エ:詳細設計で行います。

問50 ITガバナンスを説明したものはどれか。
IT政策を所轄する府省庁
ITに関する利用者の満足度
ITを適切に活用する組織能力
ITを利用した顧客管理の仕組み
解答
解説 ITガバナンスは、コーポレートガバナンスから派生した概念で、ITへの投資・効果・リスクを継続的に最適化する組織的な枠組みをいいます。

実際の内容は様々な定義があり下にその例をまとめます。
経済産業省:企業が競争優位性の構築を目的としてIT戦略の策定及び実行をコントロールし、あるべき方向へと導く組織能力
日本監査役協会:リスクマネジメントとパフォーマンスマネジメントを実施するにあたっての健全性確保のためのコンプライアンスマネジメントの確立

問51 プロジェクトのコスト管理、進捗管理、品質管理に関する記述a〜dのうち、進捗管理に関する記述だけを全て挙げたものはどれか。

a 成果物に不具合があったとき、その修正内容が仕様どおりであることを確認する。
b 成果物の手直しなどの問題対策が予算超過につながらないことを確認する。
c 総合テストの開始までに発注先から成果物が納品されることを確認する。
d マイルストーンで予定どおりに成果物が作成されたことを確認する。
a,b
b,c
b,d
c,d
解答
解説 それぞれの項目を分類すると以下のようになります。

a:品質管理に関する項目です。
b:コスト管理に関する項目です。
c:進捗管理に関する項目です。
d:進捗管理に関する項目です。

なお、マイルストーンとは、もともと基準点からの距離をあらわすもので、そこからプロジェクトで遅延の許されないポイントや重要な日時などを表します。

問52 ITを利用した業務処理の統制のうち、ソフトウェアによる自動処理と人手による処理を組み合わせた統制について記述しているものはどれか。
営業員が開拓した取引先の情報を本人が直接入力するので、誤入力を防止できる。
営業員が入力した受注金額がある金額を超えると管理者の承認操作を必要とするので、取引内容の適切性が複数の目で確認できる。
新規の取引先を登録するために操作に慣れている専門の契約担当者が情報を入力するので、誤入力を防止できる。
登録された受注データに基づいてソフトウェアで製造指示データを自動作成するので、ヒューマンエラーを排除できる。
解答
解説 一般的に、一定の基準や範囲などを調べる際には自動処理を、複雑で自動判断できないものを人間が行います。これらを組み合わせることで、ミスの防止などにつながります。

選択肢ア:同じ人物が確認するだけでは、勘違いなどを防げません。
選択肢ウ:操作に慣れている人物もミスをする可能性があります。
選択肢エ:データが自動生成されている場合でも、プログラムのミスなどがありえるので、人間が最終確認するべきです。

問53 データベース管理システムを利用する目的はどれか。
OSがなくてもデータを利用可能にする。
ディスク障害に備えたバックアップを不要にする。
ネットワークで送受信するデータを暗号化する。
複数の利用者がデータの一貫性を確保しながら情報を共有する。
解答
解説 データベース管理システム(DBMS、DataBase Management System)とは、データベースを管理、構築するために利用されるソフトウェアです。その目的は、DBの冗長や矛盾をとりのぞき、複数のユーザに情報を提供することです。

選択肢ア:DBMSは基本的にOSの上で動作します。
選択肢イ:レプリケーションなどのバックアップをサポートする機能はDBMSにありますが、DBMSだけでバックアップを不要にすることはできません。
選択肢ウ:遠隔地からのリモートアクセスをサポートする機能はDBMSにありますが、基本的にDBMSと暗号化は別問題です。

問54 サーバの仮想化に関する記述として、適切なものはどれか。
現実感を伴った仮想的な世界をコンピュータ上で作り出す技術
手元のコンピュータからネットワークで接続された他のコンピュータのGUIを操作する技術
一つのコンピュータ上で、仮想的に複数のコンピュータを実現させる技術
補助記憶装置の一部を利用して、主記憶装置の容量よりも大きなメモリ容量を仮想的に利用できる技術
解答
解説 サーバの仮想化とは、一つの物理的なコンピュータの上に複数のコンピュータを仮想的に動作させる技術をいいます。ハイパーバイザと呼ばれるソフトウェア上で複数のOSが平等に存在するタイプと、ホストOSと呼ばれるOSの上にゲストOSと呼ばれるほかのOSが存在する2種類があります。

選択肢アは、バーチャルリアリティの説明です。
選択肢イは、リモートデスクトップの説明です。
選択肢エは、仮想記憶の説明です。

問55 インターネットに接続されているサーバ上のディスクスペースを、ファイル保管用に貸し出すサービスであり、自宅や外出先などから利用者がデータを読み書きできるものはどれか。
アーカイブ
オーサリング
オンラインストレージ
フラッシュメモリ
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

アーカイブ:複数のファイルを1つにまとめること。圧縮処理を伴う場合が多い。
オーサリング:文字、画像、動画などのデータを編集し、1つのコンテンツを作ること。
オンラインストレージ:インターネット上でファイルの置き場所を提供するもの。インターネット経由でファイルを自由に読み書きです。
フラッシュメモリ:USBなどで接続できる代表的な外部記憶装置の一種。

問56 ネットワークのデータ伝送単位を表す単位はどれか。
bps
fps
ppm
rpm
解答
解説 それぞれの単位を以下にまとめます。

bps(bit per second):1秒間に転送できるビット数を表したもの。ネットワークやデータの移動などを行う際の単位。
fps(frames per second):1秒間に表示できる画像を表したもの。アニメーションなどの動画で用いられる単位。
ppm(page per minute):1分間に印刷できるページの枚数を表したもの。プリンタの性能として用いられる。
rpm(rotation per minute):1分間に回転できる回数を表したもの。ハードディスクの性能として用いられる。

問57 社員数が50人で、部署が10ある会社が、関係データベースで社員や部署の情報を管理している。“社員”表と“部署”表の関係を示したE−R図はどれか。ここで、1人の社員が複数部署に所属することはない。下線のうち実線は主キーを、破線は外部キーを表す。E−R図の表記は次のとおりとする。

画像(問57)を表示できません
画像(問57ans)を表示できません
解答
解説 社員のレコードに外部キーとして、部署コードがあるので、社員1に対して部署が多であることがわかります。しかし、今回の場合はこの関係が分からなくても解等を得ることができます。まず、「1人の社員が複数の部署に所属することがない」という社員と部署は1対1か1対多であることがわかります。社員50人で部署が10では1対1では論理的におかしいことになります。つまり、社員1に対して部署が多になります。

問58 ネットワークインタフェースカードの役割として、適切なものはどれか。
PCやアナログ電話など、そのままではISDNに接続できない通信機器をISDNに接続するための信号変換を行う。
PCやプリンタなどをLANに接続し、通信を行う。
屋内の電力線を使ってLANを構築するときに、電力と通信用信号の重ね合わせや分離を行う。
ホスト名をIPアドレスに変換する。
解答
解説 ネットワークインタフェースカード(NIC)は、PCをネットワークに接続するために用いられます。

選択肢アは、ターミナルアダプタなどの説明です。
選択肢ウは、電力線通信(PLC:Power Line Communication)の説明です。
選択肢エは、DNS(Domain Name System)の説明です。

問59 迷惑メールを受信したときに避けるべき行為はどれか。
電子メールの経路情報などから送信元プロバイダが判明したときに、迷惑メールが送られていくることを、そのプロバイダに通報する。
発信者に対して苦情を申し立てるために、迷惑メールに返信する。
迷惑メールは開かずに削除する。
メールソフトの迷惑メールフィルタを設定し、以後、同一発信者からの電子メールを迷惑メールフォルダに振り分ける。
解答
解説 迷惑メールに送信することは、そのアドレスが有効でありかつ使用中であることを迷惑メール送信者に伝えることになってしまします。これによりさらに迷惑メールが送られてくる可能性があるので、避けるべき行為といえます。可能であれば、プロバイダに依頼し、迷惑メールのアドレスからの送信を止めてもらうべきです。

問60 受信した電子メールにPKI(公開鍵基盤)を利用したディジタル署名が付与されている場合に判断できることだけを全て挙げたものはどれか。

a 電子メールの添付ファイルはウイルスに感染していない。
b 電子メールの内容は通信途中において、他の誰にも盗み見られていない。
c 電子メールの発信者は、なりすましされていない。
d 電子メールは通信途中で改ざんされていない。
a,b
a,c
b,d
c,d
解答
解説 メッセージダイジェストとディジタル署名を利用した認証について下図にまとめます。

メッセージダイジェストを表示できません

上図のように、ディジタル署名を利用することで、本人確認と改ざんの検出を行うことができます。

なお、盗み見には暗号化が有効ですが、これは盗み見られても情報を読み取られないという意味で、盗み見が行われていないということを保証する技術はありません。