平成17年度秋期 問61−80 解答編
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シスアド
(初級システムアドミニストレータ試験)
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解答と解説
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問題
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問61
プロダクトライフサイクルにおける成熟期を説明したものはどれか。
ア
売上が急激に上昇する時期である。新規参入企業によって競争が激化してくる。
イ
売上と利益が急激に減少する時期である。市場からの撤退が検討される段階である。
ウ
需要の伸びが鈍化してくる時期である。製品の品質改良、スタイル変更などによって、シェアの維持、利益の確保が行われる。
エ
先進的な消費者に対し製品を販売する時期である。ブランドの認知度を高める戦略が採られる。
解答
ウ
解説
PPM(プロダクトポートフォリオ)で以下のように対応します。
導入期:問題児、成長期:花形、成熟期:金のなる木、衰退期:負け犬
問62
図中のa〜dは、X社が顧客との取引で行う書類の受け渡し手順を示したものである。時間経過を左から右としたとき、bに該当する書類はどれか。ここで、a〜dはア〜エのどれかに対応する。
ア
検収書
イ
請求書
ウ
注文請書
エ
発注書
解答
ウ
解説
空欄はそれぞれ、a:発注書(注文の依頼)、b:注文請書(注文を承諾)、c:検収書(納品の確認)、d:請求書(料金の請求)となります。
問63
管理会社の特徴を示すものはどれか。
ア
会計上の情報は、契約書などの証拠で必ず立証できる必要がある。
イ
経営の必要に応じて、部門別、製品別、又はプロジェクト別に損益計算や財務計算が行われる。
ウ
計量化に当たっては、貨幣による測定に限定される。
エ
商法や税法など法律に基づいた計算をする必要があり、経済学や統計学を用いた計算は許されない。
解答
イ
解説
財務諸表には大きく2つあり、損益計算書(P/L)は、利益と費用を記載し、儲けや損害を計算します。貸借対照表(バランスシート)は資産・負債・資本を記述したものです。2つとも重要なので名前程度は覚えておいた方がよいです。
問64
損益計算を表計算ソフトで行っている。セルB5、B7、B10、B11に計算式が埋め込まれていたが、操作ミスでセルB5にあった計算式を消してしまい、次の表になった。セルB5を正しい計算式に戻したとき、セルB9に表示される数値として、正しいものはどれか。ここで、営業外損益と特別損益が損となったときは、負の数値で入力するものとする。
ア
311
イ
318
ウ
393
エ
400
解答
イ
解説
まず、営業利益=利益−費用=売上高−売上原価−販売費及び一般管理費となるので、B5=B2−B3−B4となり、17700−16200−1100=400となります。次に税引き前当期純利益=営業利益+営業外損益+特別損益なので、B9=B5+B6+B8となり、400−7−75=318となります。
問65
損益分岐点に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ア
固定費が変わらないとき、変動費率が低くなると損益分岐点は高くなる。
イ
固定費が変わらないとき、変動費率が元の1/2にいなれば損益分岐点も1/2になる。
ウ
損益分岐点での売上高は、固定費と変動費の和に等しい。
エ
変動費率が変わらないとき、固定費が小さくなると損益分岐点は高くなる。
解答
ウ
解説
各用語がどんな意味をもち、どうやって算出されるのかを下にまとめておきます。
固定費:売上に関係なくかかる費用(例:人経費)
変動費:売上に比例してかかる費用(例:材料費)
変動費率:売上高に対する変動費の割合 これは変動費/売上高で算出されます。(変動費=変動費率×売上高)
利益:企業の儲け
利益 = 売上高 − 費用
= 売上高 − (変動費 + 固定費)
= 売上高 − (売上高 × 変動費率) − 固定費
固定費を移行して、売上高を括弧でくくると
利益 + 固定費 = 売上高(1 − 変動費率)
(1 - 変動費率)で両辺を割ると
(利益 + 固定費)/(1 − 変動費率)= 売上高 ・・・ @
損益分岐点:損と売上が0つまり、これを上回ると黒字、下回ると赤字という分岐点のことです。
@の式 売上高 = (利益 + 固定費)/(1− 変動費率)の式で売上高=損益分岐点を代入し、利益が0なので
損益分岐点 = 固定費/(1− 変動費率)で求めることができます。
この計算式を見ると、損益分岐点では売上+費用=0なので、売上高は、固定費と変動費の和に等しいことがわかります。
問66
商品有高額から、期末在庫品を先入先出法で評価した場合の在庫評価額は何千円か。
ア
123
イ
138
ウ
150
エ
168
解答
ウ
解説
先入先出法は先に入れた在庫を先に処分していくというものです。在庫は全部で10+1+2+3+4で20あり、12余っているので、最初から数えて8個が処分されたということになります。よって、期首有高2個と、それ以後に仕入れたものが残っています。これを評価額で直すので、2×10 + 1×11 + 2×12 + 3×13 + 4×14 = 150となります。
問67
アローダイアグラムが最も有効に活用される事例はどれか。
ア
新製品の発表会に際し、会場の準備や関係者への連絡など、落ち度がないような計画を立てる。
イ
建物の設計・施工に際し、幾つかの作業をどのような手順で進めれば工程に遅れが出ないかを管理する。
ウ
テーマの選定に際し、解決すべき重要な問題は何かを探るために、問題点を絞り込む。
エ
取引価格の改定交渉に際し、相手の出方を想定して、幾つかの代替策を準備する。
解答
イ
解説
アローダイアグラムはPERT図とも呼ばれ、QC7つ道具の一つです。以下に例を示します。
なお、ダミーの作業とは同期をとるためのもので、作業日数0日の実線だと考えると分かりやすいです。
問68
現象や原因などの項目を件数の大きい順に並べた棒グラフと、その累積和を折れ線グラフで表し、どの項目が重要かを判断するのに適している図はどれか。
ア
管理図
イ
散布図
ウ
特性要因図
エ
パレート図
解答
エ
解説
項目の値と比率の両方を一度に表示するにはパレート図が適しています。ABC分析(重要度の高いものに分けて分析する手法)などでもよく用いられます。例を以下に示します。
問69
ヒストグラムを説明したものはどれか。
ア
原因と結果の関連を魚の骨のような形状として体系的にまとめ、結果に対してどのような原因が関連しているかを明確にする。
イ
時系列的に発生するデータのばらつきを折れ線グラフで表し、管理限界線を利用して客観的に管理する。
ウ
収集したデータを幾つかの区間に分類し、各区間に属するデータの個数を棒グラフとして描き、品質のばらつきをとらえる。
エ
データを幾つかの項目に分類し、横軸方向に大きさの順に棒グラフとして並べ、累積値を折れ線グラフで描き、問題点を整理する。
解答
ウ
解説
ヒストグラフの例を以下に示します。
なお、選択肢アは特性要因図(フィッシュボーン)、選択肢イは管理図、選択肢エはピラミッドグラフを表しています。ヒストグラム、特性要因図、管理図はいずれもQC7つ道具です。
問70
プログラムのステップ数が多くなるほどステップ当たりのエラー数も多くなる傾向があるように見受けられたので、データを採って調べた。これを分析するのに最も適せした図はどれか。
ア
系統図
イ
散布図
ウ
特性要因図
エ
パレート図
解答
イ
解説
二つの事象の間に相関関係があるかどうかを調べるには散布図が適しています。以下に例を示します。
問71
KJ法を説明したものはどれか。
ア
事態の進展とともに、様々な結果が想定される問題について、望ましい結果に至るプロセスを定める方法である。
イ
複雑な要因が絡み合う現象について、その事象間の因果関係を明らかにする方法である。
ウ
ブレーンストーミングを行い。収集した情報を相互の関連によってグループ化し、解決すべき問題点を明確にする方法である。
エ
目的・目標を達成するための手段・方策を順次展開し、最適手段・方策を追求していく方法である。
解答
ウ
解説
KJ法は提案者の川喜多二郎氏のイニシャルからとられたもので新QC7つ道具の一つです、親和図法とも言います。ブレーンストーミングなどで使われる方法で、 情報収集 → カード作成 → グルーピング → 図解 → 文章化で行われます。なお、選択肢アはPDPC、選択肢イは関連図法、選択肢エは系統図法だと考えられます。
問72
窓口業務において、来訪者の到着状況に応じた窓口数とサービス時間を解析するときに用いる理論はどれか。
ア
グラフ理論
イ
ゲーム理論
ウ
情報理論
エ
待ち行列理論
解答
エ
解説
窓口の数、来訪者数、来訪者の間隔、サービスの時間などからどれくらいの時間がかかるかを割り出す手法を待ち行列理論と言います。特に窓口が一つの場合をM/M/1モデルといいます。(ソフトウェア開発技術者試験では実際の計算なども出題されています。)
問73
図の@〜Gのライン作業にA、B、C、の3人を配置し、それぞれ(@,A,B)、(C,D)、(E,F,G)と割り当てたとき、このラインのサイクルタイムは幾らか。ここで、作業@〜Gの中に示す数値は、その作業の所要時間を表す。
ア
8
イ
9
ウ
10
エ
13
解答
エ
解説
クリティカルパスを考えそうですが、A、B、Cのそれぞれの作業時間を計算して最も長くかかる時間を計算すればいいだけです。A=5+1+2=8、B=5+4=9、C=7+4+2=13となるので、13が正解です。
問74
流通システムをもつチェーンストアと製造会社の間でコンピュータを接続し、最適な生産量の決定に役立てたい。チェーンストア側で得られる情報のうち、製造会社にとって必要なものはどれか。
ア
在庫情報と販売時点情報
イ
棚割情報と在庫情報
ウ
棚割情報と入庫情報
エ
入庫情報と販売時点情報
解答
ア
解説
コンビニエンスストアなどのレジで見かけるPOSシステム(販売時点情報管理システム)を考えると分かりやすいかと思います。あれは、在庫と何が売れたかをチェックして製造会社に送信してすくなくなった在庫を注文しています。
問75
店舗で商品を販売した時点で販売情報を記録し、商品売上情報を単品ごとに収集、蓄積、分析するシステムはどれか。
ア
CAD
イ
CIM
ウ
EOS
エ
POS
解答
エ
解説
コンビニエンスストアなどのレジで見かけるPOSシステム(販売時点情報管理システム)を考えると分かりやすいかと思います。あれは、在庫と何が売れたかをチェックして製造会社に送信してすくなくなった在庫を注文しています。(上問と同じ解説)なお、EOSは電子受発注システムのことで、オンラインで在庫の発注を行うシステムです。
問76
プログラムの著作権に関する記述のうち、著作権法に抵触するおそれのある行為はどれか。
ア
会社が、業務として従業員に作成させたプログラムを、就業規則に特段の定めがないので作成者に無断でコピーし、他者に販売した。
イ
購入プログラムを自社のコンピュータで効果的に活用するために、著作者に無断で、一部を改変した。
ウ
購入プログラムを自社のバックアップ用に、著作者に無断でコピーし保管した。
エ
使用許諾を受けている購入プログラムを、著作者に無断でコピーし、子会社に使用させた。
解答
エ
解説
自社で作成したプログラムの著作は、従業員ではなく会社に帰属するため他社に販売しても問題ありません。程度にもよりますが、カスタマイズは著作権上認められている行為です。また、バックアップのみコピーも許されています。子会社へのコピーはバックアップではないので著作権法に抵触する可能性があります。
問77
A社は、B社と著作物の権利に関する特段の取決めをせず、A社の要求仕様に基づいて、販売管理システムのプログラム作成をB社に依頼した。この場合のプログラム著作権の原始的帰属は、どのようになるか。
ア
A社、B社で共有する。
イ
A社とB社が話し合って決定する。
ウ
A社に帰属する。
エ
B社に帰属する。
解答
エ
解説
プログラムの著作は制作した会社に帰属します。複数の会社が著作権を共有することはありません。
問78
著作権に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ア
管轄官庁に登録しないと権利が発生しない。
イ
管轄官庁は特許庁である。
ウ
権利の存続期間は20年である。
エ
著作物を創作した時点で権利が発生する。
解答
エ
解説
著作権は、作成した瞬間から作成者の死後50年まで保護されます。他の選択肢は、特許に関するものです。
問79
請負契約の下で、自己の雇用する労働者を契約先の事務所などで働かせる場合の記述のうち、適切なものはどれか。
ア
雇用主が自らの指揮命令の下に当該労働者を業務に従事させる。
イ
当該労働者の勤務時間、出退勤時間などの労働時間は、契約先が指示する。
ウ
当該労働者は、契約先で働く期間は本来の雇用主だけでなく、契約先との間にも雇用関係が生じる。
エ
当該労働者は、契約先の指揮命令を受けて仕事を行う。
解答
ア
解説
請負と派遣の違いの大きな違いの一つに雇用主が自ら指揮・命令する関係にあることがあります。(派遣の場合は派遣先が指揮・命令権をもつ)また、どちらの契約も、雇用主(請負元、派遣元)とだけ雇用関係が発生します。
問80
個人情報取扱事業者が、自社の提供サービスに関して、住所や氏名を記入させるアンケート調査を実施する場合、個人情報保護法に違反している行為はどれか。
ア
アンケート実施時に特には言及せずに、回答者へ新製品発表会の招待状を郵送する。
イ
アンケートの回答者には特別なプレゼントを用意するなど、回答率を高めるための施策を実施する。
ウ
アンケート用紙に、質問票とその回答情報の利用目的を並記しておく。
エ
ブラウザの画面でアンケート調査を行う場合も、紙で行う場合と同じ規定を適用する。
解答
ア
解説
アンケートに利用目的や利用の制限などを書くのが基本的な個人情報保護となります。選択肢アは使用目的以外の目的として利用しているため、個人情報保護法に抵触する可能性があります。また、個人情報を適切に取り扱っている業者にはプライバシーマークを認定するなどの制度もあります。