平成19年度秋期 シスアド 問61−80 解答編





このページは

シスアド

(初級システムアドミニストレータ試験)

解答と解説のページです。

問題だけで勉強したい方は目次へ戻ってください


問61 企業経営で用いられるベンチマーキングを説明したものはどれか。
企業全体の経営資源の配分を有効かつ総合的に計画して管理し、経営の効率向上を図ることである。
業務のプロセスを再設計し、情報技術を十分に活用して、企業の体質や構造を抜本的に変革することである。
最強の競合相手又は先進企業と比較して、製品、サービス及びオペレーションなどを定性的・定量的に把握することである。
利益をもたらすことのできる、他社より優越した自社独自のスキルや技術に経営資源を集中することである。
解答
解説 ベンチマーキングとは、自分の企業以上を対象として比較することで、他者の良いところを自社に反映させようという考え方です。パクリとも少し違います。また、ベンチマークテストとは関係ありません。

問62 図に示すマトリックス表を用いたポートフォリオ類型によって、事業計画や競争優位性の分析を行う目的はどれか。

画像(問62)を表示できません
目標として設定したプロモーション効果を測定するために、自らの置かれた立場を客観的に評価する。
目標を設定し、資源配分の優位順位を測定するための基礎として、自らの置かれた立場を評価する。
目標を設定し、製品の品質を高めることによって、市場での優位性を維持する方策を評価する。
目標を設定するために、季節変動要因や地域的広がりを加味することによって、市場の変化を客観的に評価する。
解答
解説 図の四つの区分は以下のように分類されます。

画像(問62kai)を表示できません

これにより、自社が置かれている市場の立場を把握し、どこにどれくらい資源や資金を配分すれば良いかを自覚するために、用いられます。

問63 CRMの目的はどれか。
顧客ロイヤルティの獲得と顧客生涯価値の最大化
在庫不足による販売機会損失の削減
製造に必要な資源の発注量と発注時期の決定
販売時点での商品ごとの販売情報の把握
解答
解説 CRM(Customer Relationship Management)と、顧客が欲しいサービスや製品を適切に提供して満足してもらい、次も利用してもらえるようにする。ということを目的としています。

問64 損益計算書を説明したものはどれか。
一会計期間中に資金の変動を、営業・投資・財務の3領域の活動で示したもの
一会計期間に属するすべての利益と費用を記載し、算出した利益を示したもの
一定期間における、現金・預金の収入・支出を示したもの
会計期間末日時点でのすべての資産、負債、株主資本などを記載したもの
解答
解説 損益計算書(P/L)には、利益と費用を記載し、儲けや損害を計算します。また、資産・負債・資本を記述した貸借対照表(バランスシート)と併せて覚えておくとよいでしょう。これらを財務諸表といいます。

問65 損益計算資料から求められる損益分岐点売上高は、何百万円か。

画像(問65)を表示できません
225
300
450
480
解答
解説 損益分岐点とは損と売上が0つまり、これを上回ると黒字、下回ると赤字という分岐点のことです。1つ1つ意味を確認しながら指揮を導出してみます。

固定費:売上に関係なくかかる費用(例:人経費)
変動費:売上に比例してかかる費用(例:材料費)
変動費率:売上高に対する変動費の割合 これは変動費/売上高で算出されます。(変動費=変動費率×売上高)

利益:企業の儲け
利益 = 売上高 − 費用

= 売上高 − (変動費 + 固定費)

= 売上高 − (売上高 × 変動費率) − 固定費


固定費を移行して、売上高を括弧でくくると
利益 + 固定費 = 売上高(1 − 変動費率)

(1 - 変動費率)で両辺を割ると
(利益 + 固定費)/(1 − 変動費率)= 売上高

売上高を損益分岐点にしたいので、売上高=損益分岐点で、利益が0なので利益=0を代入します。
損益分岐点 = 固定費/(1− 変動費率)で求めることができます。


ではこの式に代入してきましょう。
固定費:製造固定費+販売固定費=100+80=180
変動費:材料費+外注費=200+100=300
売上高:売上高=500
よって、変動費率は300/500で0.6
損益分岐点=180/(1−0.6)=180/0.4=450[百万円]となります

問66 1,000万円の機器を4年リースで見積もり依頼したところ、リース料の総額は1,152万円であった。この機器を再リースして、リース料の総額を1,200万円とする場合、総使用月数は何か月か。ここで、使用期間中は新たな費用は発生しないものとし、再リース時の月額リース料は、当初の月額リース料の1/12とする。
54
56
72
76
解答
解説 まず最初の月額を計算します。1,152/4年(48か月)=24万円。再リースの月額はこの1/12で月額2万円となります。つぎに、残りの残金を計算します。これは1200−1152=48万円です。最後に48万円の予算で月額2万円かかるので48/2=24か月リースできます。これに元の4年(48か月)を加えて24+48=72か月が総使用月数となります。

問67 ある商品の前月繰越と受払いが、表のとおりであるとき、総平均法によって算出した売上原価は何円か。

画像(問67)を表示できません
27,500
30,000
32,500
34,500
解答
解説 まず、売れた個数を計算します。70+60=130個売れました。
つぎに、1個当たりの単価を総平均法で計算します。総平均法とは、その名の通りすべての単価を平均値で計算するものです。前月繰越が100個×200円。1回目の仕入れが50個×250円。2回目の仕入れが100個×300円となり、この合計は20000+12500+30000=62500円。つまり1個当たり62500円/250(=仕入個数)=250円で評価することになります。現在130個売れたので、130×250=32500となります。

問68 ABC分析を説明したものはどれか。
POSシステムで収集した販売情報から、顧客が買物をした際の購入商品の組合せなどを分析する。
網の目状に一定の経線と緯線で区切った地域に対して、人口、購買力など様々なデータを集計し、より細かく地域の分析を行う。
一定の目的で地域を幾つかに分割し、各地域のオピニオンリーダを選んで反復調査を行い、地域の傾向や実態を把握する。
商品ごとの販売金額又は粗利益額の高い順に並べ、その累計比率から商品を三つのランクに分けて商品分析を行い、売れ筋商品を把握する。
解答
解説 ABC分析とは、項目を三つの重要度ランクに分けて分析を行うもので、主にパレート図を用いて評価します。以下にパレート図の例を示します。なお、Aランクは70%以上を指す場合が多いです。

画像(問68kai)を表示できません

問69 分析対象としている問題に数多くの要因が関係し、それらが相互に絡み合っているとき、原因と結果、目的と手段といった関係を追及していくことによって、因果関係を明らかにし、解決の糸口をつかむための図はどれか。
アローダイアグラム
パレート図
マトリックス図
連関図
解答
解説 目的と手段、原因と結果などが相互に関係しているときには関連図を使います。矢印は基本的に一方向で以下に図を示します。

画像(問69kai)を表示できません

問70 昨年度と今年度の入社試験の問題を比較するために、多数の社員に両年度の問題を解答させた。昨年度の問題の得点をx軸に、今年度の問題の得点をy軸にとって、相関係数と回帰直線を求めた。[結果]から分かることはどれか。

[結果]
相関係数は0.8であった。
回帰直線の傾きは、1.1であった。
回帰直線のy切片の値は、10であった。
回帰直線のy切片の値から、今年度の問題の得点が0点の人でも、昨年度の問題では10点程度とれることが分かる。
回帰直線の傾きから、今年度の問題の平均点は、昨年度の問題の平均点の1.1倍であることが分かる。
回帰直線の傾きと、y切片の値から、今年度の問題は昨年度の問題に比べて得点しやすい傾向にあることが分かる。
回帰直線の傾きと相関係数の値から、今年度の問題は質が高いことが分かる。
解答
解説 2つの関係は求めた回帰直線(一次方程式)のy=ax+bにあてはめて考えると分かりやすいです。傾きとはaのことで、切片とはbのことです。これを代入しグラフにすると以下のようになります。

画像(問70kai)を表示できません

質の良さや平均値はこのグラフからは分かりません。選択肢アは逆で、昨年度0点の人でも、今年度は10点程度とれるといえます。


問71 良品である確率が0.9、不良品である確率が0.1の外注部品について、受入検査を行いたい。受入検査には四つの案があり、それぞれの良品と不良品1個に掛かる諸経費は表のとおりである。期待費用が最も低い案はどれか。

画像(問71)を表示できません
解答
解説 ひとつずつ計算していきましょう

A案:0×0.9+1500×0.1=0+150=150
B案:40×0.9+1000×0.1=36+100=136
C案:80×0.9+500×0.1=72+50=122
D案:120×0.9+200×0.1=108+20=128

以上のことから、C案が122円で最も安上がりであることが分かります。

問72 X社では、次の算定方式で在庫補充量を決定している。第n週の週末時点での在庫量をB[n]、第n週の販売量をC[n]としたとき、第n週の週末に発注する在庫補充量の算出式はどれか。ここで、nは3以上とする。

[在庫補充量の算定方式]
(1) 週末ごとに在庫補充量を算出し、発注を行う。在庫は翌週の月曜日に補充される。
(2) 在庫補充量は、翌週の販売予測量から現在の在庫量を引き、安全在庫量を加えて、算出する。
(3) 翌週の販売予測量は、先週の販売量と今週の販売量の平均値とする。
(4) 安全在庫量は、翌週の販売予測量の10%とする。
(C[n-1]+C[n])/2×1.1-B[n]
(C[n-1]+C[n])/2×1.1-B[n-1]
(C[n-1]+C[n])/2+C[n]×0.1-B[n]
(C[n-2]+C[n-1])/2+C[n]×0.1-B[n]
解答
解説 まずは、算出方法をもとに文字で式を作ってみましょう
(2):在庫補充量=翌週の販売予測量−現在の在庫量+安全在庫量
(3):翌週の販売予測量=(先週の販売量+今週の販売量)/2
(4):安全在庫量=翌週の販売予測量×0.1

つぎに、式を整理していきます。(2)の式に(4)の式を代入します。

在庫補充量=翌週の販売予測量−現在の在庫量+[翌週の販売予測量×0.1]


翌週の販売予測量をまとめます。

在庫補充量=翌週の販売予測量×1.1−現在の在庫量


この式に、(3)の式を代入します。

在庫補充量=[(先週の販売量+今週の販売量)/2]×1.1−現在の在庫量


最後にこの式を数式に直します。

(C[n−1]+C[n])/2×1.1−B[n]となります。


第n週といわれると分かりずらいですが、n週とは今週のことです。

問73 “1次式で表現される制約条件の下にある資源を、どのように配分したら最大の効果が得られるか”という問題を解く手法はどれか。
因子分析法
回帰分析法
実験計画法
線形計画法
解答
解説 線形計画法(PL法)とは、幾つかの制約条件式と目的関数から、最適解を導き出す方法です。下に例を示します。

画像(問73kai)を表示できません

問74 MRP(Materials Requirements Planning)システムを導入すると、改善が期待できる場面はどれか。
画面情報が電子ファイルと紙媒体の両方で管理されていて、設計変更履歴が正しく把握できない。
製造に必要な資材及びその必要量に関する情報が複雑で、発注量の算出を誤りやすく、生産に支障を来している。
設計変更が多くて、生産効率が上がらない。
多品種少量生産を行っているので、生産設備の導入費用が増加している。
解答
解説 MRP(Material Requirements Planning)とは、資材所要量計画のことで、適切な場所で適切な量(過剰や不足を防ぐ)の在庫を確保するために、発注点や発注量を計算し計画することです。Materialとは資材・物質、Requirementsは必要物、要求という意味です。

問75 “カンバン方式”を説明したものはどれか。
各作業の効率を向上させるため、仕様が統一された各メーカの部品、半製品を調達する。
効率よく部品調達を行うため、関連会社から部品を調達する。
中間在庫を極力減らすため、生産ラインにおいて、後工程が自工程の生産に合わせて、必要な部品を前工程から調達する。
より品質の高い部品を調達するため、部品の納入指定業者を定め、競争入札で部品を調達する。
解答
解説 カンバン方式とは別名トヨタ自動車方式(あるいはジャストインタイム生産システム)とよばれ、必要な時に、必要なものを発注することで、中間在庫を極力減らすことができます。

問76 電子商取引に使用される、企業間でデータ交換を行う仕組みはどれか。
CA
EDI
SSL
XBRL
解答
解説 EDI(Electronic Data Interchange)とは企業間でフォーマットを統一するなどをして、注文を効率よく行うための取決めです。取決めには情報伝達規約、情報表現規約、情報運用規約、情報基本規約の4つの取決めがあります。

選択肢アのCA(Certification Authority)は、ディジタル署名などの保証を行う認証局のことです。
選択肢ウのSSL(Secure Sockets Layer)は、httpsなどに利用されるトランスポート層以上の安全性を保証するセキュリティ技術の1つです。
選択肢エのXBRL(eXtensible Business Reporting Language)は、各種財務諸表を電子化するために作られたXMLベースの言語です。

問77 A社は顧客管理システムの開発を、情報システム子会社であるB社に委託し、B社は要求定義を行った上で、設計・プログラミング・テストまでを協力会社であるC社に委託した。C社では優秀なD社員にその作業を担当させた。このとき、開発したプログラムの著作権はどこに帰属するか。ここで、関係者の間には、著作権の帰属に関する特段の取決めはないものとする。
A社
B社
C社
D社員
解答
解説 著作権は、基本的に作った会社に権利があり、担当者がだれであろうと会社に帰属します。よって、実際に開発を行ったC社に権利があります。

問78 不正競争防止法で保護されるものはどれか。
特許権を取得した発明
領布されている独自のシステム開発手順書
秘密として管理している事業活動用の非公開の顧客名簿
秘密としての管理を行っていない、自社システムを開発するために重要な設計書
解答
解説 不正競争防止法は、その目的(第1条)に『この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。』とあるように、企業の市場における公平な競争を保護するためのもので、秘密として管理しているものが流出などした場合は、公平な競争に支障をきたすため、保護の対象となっています

問79 労働派遣法に基づいた労働者の派遣において、労働派遣契約関係が存在するのはどの当事者の間か。
派遣先事業主と派遣労働者
派遣先責任者と派遣労働者
派遣元事業主と派遣先事業主
派遣元事業主と派遣労働者
解答
解説 派遣元・派遣先・労働者の関係は度々テストに出題されているので、以下に関係をまとめます。

画像(問79kai)を表示できません

問80 個人情報保護法の目的はどれか。
個人情報の取扱いで起こる事件・事故を想定し、被害者から加害者に対する損害賠償請求のルールを定め、弱者である被害者を保護する。
個人情報の取扱い範囲を厳しく制限することによって、個人の自由な活動や名誉を保証する。
個人情報の売買や、それに準ずる行為の細部にわたる保護規則を定め、個人情報関連ビジネスの拡大・発展を図る。
個人情報の不適切な取扱いによって、個人の権利利益が侵害されることを未然に防止する。
解答
解説 個人情報保護法は第1条の一部に[個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする]とあるように、権利を侵害されることを未然に防止する目的があります。なお、適切に個人情報を取り扱っている業者には、プライバシーマークという認定制度があります。