平成23年度 秋期 基本情報技術者試験 問21−40 解答編




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基本情報

(基本情報技術者試験)

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問21 小さいアプリケーションプログラムを意味し、コンパイル済みのオブジェクトコードがサーバに格納されていて、クライアントからの要求によってクライアントへ転送されて実行されるプログラムはどれか。
アプレット
サーブレット
スクリプト
スレッド
解答
解説 Javaに関する重要な用語をいくつか下にまとめておきます。

JavaScript:web上で用いられるスクリプト言語(プログラム言語のJavaとは互換性がなく、基本的に別物)
Javaアプリケーション:単独で動作する一般的なJavaで書かれたプログラム
Javaアプレット:サーバからクライアントにダウンロードして動作するJavaのプログラム
Javaサーブレット:サーバ上で動作するものをJavaのプログラム
JavaBeans:再利用可能なようにを部品化されたJavaのコンポーネント、あるいはその技術仕様

なお、スレッドとは、プロセスをさらに分割した、(並列処理などの)最小実行単位のことです。

問22 コンパイラにおける最適化の説明として、適切なものはどれか。
オブジェクトコードを生成する代わりに、インタプリタ用の中間コードを生成する。
コンパイルを実施するコンピュータとは異なるアーキテクチャをもったコンピュータで動作するオブジェクトコードを生成する。
プログラムコードを解析して、実行時の処理効率を高めたオブジェクトコードを生成する。
プログラムの実行時に、呼び出されたサブプログラム名やある時点での変数の内容を表示するようなオブジェクトコードを生成する。
解答
解説 コンパイラの最適化とは、ソースコードから実行可能ファイルを生成する(コンパイル)するときに、実行時の速度や使用するメモリ量が少なくなるように、プログラムの冗長や非効率な代入などを最適化することをいいます。具体的には、『a=2*3+4をa=10』のようにすることです。

選択肢アは、中間言語コンパイラの説明です。(一般的にコンパイルは何段階か(マルチパス)に分けてコンパイルされることが多いです。)
選択肢イは、クロスコンパイラの説明です。
選択肢ウは、デバッグオプションのことです。

問23 静的テストツールの機能に分類されるものはどれか。
ソースコードを解析して、プログラムの誤りを検出する。
テスト対象モジュールに必要なドライバ又はスタブを生成する。
テストによって実行した経路から網羅度を算出する。
プログラムの特定の経路をテストするためのデータを生成する。
解答
解説 プログラムを解析するツールは静的なツールと動的なツールに分けることができます。

動的なツールとは、プログラムを実行して調べるものです。
静的なツールとは、プログラムを実行せずに調べるものです。

選択肢アが、静的なツール。選択肢ウが動的なツールの一種といえます。

問24 RFIDの活用事例として、適切なものはどれか。
紙に印刷されたディジタルコードをリーダで読み取ることによる情報の入力
携帯電話とヘッドフォンとの間の音声データ通信
赤外線を利用した近距離データ通信
微小な無線チップによる人又は物の識別及び管理
解答
解説 RFID(Radio Frequency Identification)とは、小型のICチップを無線で認識することにより、対象物を認識する技術です。非接触であり、バーコードに変わる技術として注目されています。汚れに強い上に、梱包の外からもデータを読み取ることができます。現在では図書館などの本の管理などで実用化され始めています。

選択肢アは、バーコードリーダの説明です。
選択肢イは、Bluetoothの説明です。
選択肢ウは、IrDAの説明です。

問25 フラッシュメモリに関する記述として、適切なものはどれか。
高速に書換えができ、CPUのキャッシュメモリなどに用いられる。
紫外線で全内容の消去ができる。
周期的にデータの再書込みが必要である。
ブロック単位で電気的に消去できる。
解答
解説 最近は、持ち運びに便利なUSBフラッシュメモリが良く流通しています。フラッシュメモリは、何度でも書き換えが可能なメモリです。リフレッシュが必要なのは、DRAMというメモリです。また、紫外線によるデータの消去をするのはEPROM(UV−EPROM)で、電気的にデータを消去するのはEEPROMです。EEPROMを改良したのがフラッシュメモリになります

選択肢アは、SRAMの説明です。
選択肢イは、UV−EPROMの説明です。
選択肢ウは、DRAMの説明です。(定期的な再書き込みをリフレッシュといいます。)

問26 論理式X=・B+A・と同じ結果が得られる論理回路はどれか。ここで、論理式中の・は論理積、+は論理和、はXの否定を表す。
画像(問26ans)を表示できません
解答
解説 論理式を見るとA・B以外の場合出力が行われています。よって、A・Bである論理積の否定である否定論理積であることが分かります。

問27 HTML文書の文字の大きさ、文字の色、行間などの視覚表現の情報を扱う標準仕様はどれか。
CMS
CSS
RSS
Wiki
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

CMS(Contents Management System):Web上のデジタルコンテンツを統合的、一元的に管理し、配信などを行うシステム
CSS(Cascading Style Sheets):HTML等で記述されたページを装飾するために用いられる仕様です。
RSS(RDF site summary):ニュースやブログ、Webページなどの更新情報を配信するためのフォーマット
Wiki:ウェブブラウザを利用して、Webページを編集するシステム

問28 次のような注文データが入力されたとき、注文日が入力日以前の営業日かどうか検査するために行うチェックはどれか。

画像(問28)を表示できません
シーケンスチェック
重複チェック
フォーマットチェック
論理チェック
解答
解説 それぞれのチェック法を以下にまとめます。

シーケンスチェック:順番が決まっているもので、適切に並んでいるかをチェックする。
重複チェック:同じ番号が許されない(ユニークな連番が必要)なものに、同じ番号が割り振られていないかをチェックする。
フォーマットチェック:数字が入る部分に文字が入っているなど、書式をチェックする。
論理チェック:フォーマットは正しくても、意味的に矛盾していたりおかしなところがないかをチェックする。

問29 音声のサンプリングを1秒間に11,000回行い、サンプリングした値をそれぞれ8ビットのデータとして記録する。このとき、512×106バイトの容量をもつフラッシュメモリに記録できる音声の長さは、最大何分か。
77
96
775
969
解答
解説 まず、1秒間に必要なデータ量は11,000×8ビット(1バイト)=11,000バイト/秒。これを512×106バイトの容量に記録するので、512,000,000/11,000=512,000/11≒46545秒記録できます。これを分に換算すると、46545/60≒775秒となります。

問30 液晶ディスプレイなどの表示装置において、傾いた直線を滑らかに表示する手法はどれか。
アンチエイリアシング
テクスチャマッピング
モーフィング
レイトレーシング
解答
解説 3Dグラフィックスの代表的な用語をまとめます。

アンチエイリアシング:黒と白の間にグレーを挟むような技術で、色が極端に変化する部分を目立たなくします。(極端に色が変化してギザギザになることをジャギーといいます。)
レイトレーシング:光源からの光線の経路を計算することで光の反射や透過などを表現し、物体の形状を描画する。
レンダリング:実際に画面に表示される画素や色を計算し、描画すること。
テクスチャマッピング:モデリングされた物体の表面に柄や模様などをはり付ける処理。
ブレンディング:半透明な画像を重ね合わせて表現する技術です。
メタボール:物体を球やだ円体の集合として擬似的にモデル化する。
ラジオシティ:光の相互反射を利用して物体表面の光エネルギーを算出することで、表面の明るさを決定する。
クリッピング:画面に見えている部分だけの計算をすることで、高速化をすることです。
シェーディング:光源の位置と角度を計算することで、影をつける技術です。
モーフィング:動画において、画像と画像の中間をいれることで、滑らかに変化しているように見せる技術です。

問31 関係データベースの説明として、適切なものはどれか。
親レコードと子レコードをポインタで結合する。
タグを用いてデータの構造と意味を表す。
データと手続を一体化(カプセル化)してもつ。
データを2次元の表によって表現する。
解答
解説 関係データベースは、2次元の表から行や列を取り出すモデルです。

選択肢アは、木構造の説明です。
選択肢イは、マークアップ言語の説明です。
選択肢ウは、オブジェクト指向の説明です。

問32 同じ属性からなる関係RとSがある。RとSの属性値の一部が一致する場合、関係演算R−(R−S)と同じ結果が得られるものはどれか。ここで、−は差集合、∩は共通集合、∪は和集合、×は直積、÷は商の集合を表す。
R∩S
R∪S
R×S
R÷S
解答
解説 まず、R−Sとは、RであってSではない集合をいいます。つまり、R∩です。図にすると以下のような範囲になります。


画像(問32kai_1)を表示できません

そして、これをもともとのRから引くので、下図の範囲になります。

画像(問32kai_2)を表示できません

これは、R∩Sと同等の範囲になります。

問33 UMLを用いて表した図のデータモデルの解釈のうち、適切なものはどれか。

画像(問33)を表示できません
1回の納品に対して分割請求できる。
顧客への請求を支払で相殺できる。
請求処理は納品と同時に実行される。
複数回の納品分をまとめて請求できる。
解答
解説 データモデルを解釈すると以下のようになります。

1つの納品に対して、0か1の請求が対応する。
1つの請求に対して、1以上の納品が対応する。

よって、1つの請求で複数回の納品が対応できることがいえます。

問34 DBMSにおけるデッドロックの説明として、適切なものはどれか。
2相ロックにおいて、第1相目でロックを行ってから第2相でロックを解除するまでの状態のこと
ある資源に対して専有ロックと専有ロックが競合し、片方のトランザクションが待ち状態になること
あるトランザクションがアクセス中の資源に対して、他のトランザクションからアクセスできないようにすること
複数のトランザクションが、互いに相手のロックしている資源を要求して待ち状態となり、実行できなくなること
解答
解説 デッドロックとは、互いに占有ロックをした状態で他方の資源を要求することで、処理が進まなくなってしまう現象です。デッドロックの例を以下に図示します。

デッドロックを表示できません

問35 関係データベースの操作の説明のうち、適切なものはどれか。
結合は、二つ以上の表を連結して、一つの表を生成することをいう。
射影は、表の中から条件に合致した行を取り出すことをいう。
選択は、表の中から特定の列を取り出すことをいう。
挿入は、表に対して特定の列を挿入することをいう。
解答
解説 関係データベースの操作に関する用語をまとめます。

結合:2つ以上の表を元に、1つの表として作り出すこと
射影は、条件にあった列を取り出すこと
選択は、条件にあった行を取り出すこと
挿入は、条件にあった行を表に入れること
削除は、条件にあった行を表から除くこと

問36 媒体障害時のデータベース回復に備え、あるバックアップ時点から次のバックアップ時点までの間のデータとして、稼働中のデータベースとは別の媒体に保存しておく必要のあるものはどれか。
インデックスデータ
チェックポイントデータ
ディクショナリデータ
ログデータ
解答
解説 それぞれのデータを以下にまとめます。

インデックスデータ:検索などの処理を高速化するために用いられる索引用のデータ
チェックポイントデータ:チェックポイント時点でのデータ
ディクショナリデータ:データベースでの名前や構成情報などをまとめた管理データ
ログデータ:チェックポイントからのデータ変更の記録をまとめたデータ

よって、復旧は、チェックポイントデータをもとにログデータを用いて最新の状態前復旧します。

問37 OSI基本参照モデルの各層で中継する装置を、物理層で中継する装置、データリンク層で中継する装置、ネットワーク層で中継する装置の順に並べたものはどれか。
ブリッジ、リピータ、ルータ
ブリッジ、ルータ、リピータ
リピータ、ブリッジ、ルータ
リピータ、ルータ、ブリッジ
解答
解説 OSI基本参照モデルと各層の役割、対応するネットワーク機器などを以下にまとめます。

OSI基本参照モデルを表示できません

問38 TCP/IP階層モデルにおいて、TCPが属する層はどれか。
アプリケーション層
インターネット層
トランスポート層
リンク層
解答
解説 OSI基本参照モデルと各層の役割、対応するネットワーク機器などを以下にまとめます。

OSI基本参照モデルを表示できません

問39 TCP/IPを利用している環境で、電子メールに画像データなどを添付するための規格はどれか。
JPEG
MIME
MPEG
SMTP
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

JPEG(Joint Photographic Experts Group):不可逆圧縮(元のデータを完全に復元できない場合のある圧縮方法)で24ビット(俗に言うフルカラー)で記録をする国際標準です。
MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions):本来アスキーコードしか電子メールで様々なフォーマットを取り扱えるようにしたもの。
MPEG(Moving Picture Experts Group):動画圧縮の規格で、MPEG−1、MPEG−2、MPEG−4、MPEG−7等があります。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol):メールの送信及びメールサーバ間の転送に用いられるプロトコル。

問40 TCP/IPネットワークにおいて、ネットワークの疎通確認に使われるものはどれか。
BOOTP
DHCP
MIB
ping
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

BOOTP(Bootstrap Protocol):ネットワーク(IPアドレス、ホスト名、サブネットマスクなど)の情報をサーバから自動的に読み込むプロトコル
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol):動的にIPアドレスを割り振るプロトコル
MIB(Management Information Base):SNMPにおいて、ネットワーク機器が保有するノード情報
ping:対象のコンピュータにパケットを送信し戻ってくるかを確認するもので、疎通確認に利用されます。なおICMPというプロトコルを利用しています。