平成24年度 春期 基本情報技術者試験 問21−40 解答編




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基本情報

(基本情報技術者試験)

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問21 仮想記憶システムにおいて主記憶の容量が十分でない場合、プログラムの多重度を増加させるとシステムのオーバヘッドが増加し、アプリケーションのプロセッサ使用率が減少する状態を表すものはどれか。
スラッシング
フラグメンテーション
ページング
ボトルネック
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。
スラッシング:仮想記憶方式において、実メモリの容量が少なく、データの入れ替え(スワップインとスワップアウト)ばかりに時間がとられ、処理が進まないこと。
フラグメンテーション:ファイルが断片化され、HDDの様々な部分に格納され、ファイルを読み出すのに時間がかかること。
ページング:仮想記憶において固定長のページという単位でデータを入れ替えたりすること。
ボトルネック:一連の処理の中で全体の処理向上の妨げとなっている部分のこと。

問22 ページ置換えアルゴリズムにおけるLRU方式の説明として、適切なものはどれか。
最後に参照されたページを置き換える方式
最後に参照されてからの経過時間が最も長いページを置き換える方式
最も参照回数の少ないページを置き換える方式
最も古くから存在するページを置き換える方式
解答
解説 それぞれの方式を以下にまとめます。

選択肢ア:LIFO(Last In First Out)
選択肢イ:LRU(Least Recently Used)
選択肢ウ:NFU(Not Frequently Used)
選択肢エ:FIFO(First In First Out)

問23 様々なサイズのメモリ資源を使用するリアルタイムシステムのメモリプール管理において、可変長方式と比べた場合の固定長方式の特徴として、適切なものはどれか。
メモリ効率がよく、獲得及び返却の処理速度は遅く一定である。
メモリ効率がよく、獲得及び返却の処理速度は遅く不定である。
メモリ効率が悪く、獲得及び返却の処理速度は速く一定である。
メモリ効率が悪く、獲得及び返却の処理速度は速く不定である。
解答
解説 まず、固定長と可変長のイメージをしたの図示しします。

固定長と可変長を表示できません

上記のように、固定長では、メモリの確保が一定の幅でしか確保できないので、少ない容量でも1つのブロックを使用してしまします。つまり、メモリ効率は悪いといえます。逆に、可変長では、必要な分だけ使用できるので、フラグメンテーション(断片化)が発生するものの、使用するメモリ効率は良いといえます。

一方、メモリの獲得と返却速度は、固定長では、必要なブロックの個数を確保すればいいので、すぐに確保でき、返却も速く一定です。しかし、可変長では、連続してあいているメモリスペースを検索する必要があり、処理速度は遅い上に、検索により早く見つかるときや遅く見つかるときもあるので、不定となります。

問24 シェルのリダイレクト機能による実現可能の可否に関する記述のうち、適切なものはどれか。
標準出力をファイルに切り替えることはできないが、標準入力をファイルに切り替えることはできる。
標準出力をファイルに追加することはできないが、標準入力と標準出力をファイルに切り替えることはできる。
標準入力と標準出力をファイルに切り替えることができ、標準出力をファイルに追加することもできる。
標準入力をファイルに切り替えることはできないが、標準出力をファイルに切り替えることはできる。
解答
解説 リダイレクトがあります。これは、『ls>log.txt』のようにすることで、標準出力(通常はディスプレイ)をファイルに変更するなどが可能です。『<』を使うことで標準入力を切り替えることもできます。さらに、「>>」とすることで追加を行うこともできます。

また、リダイレクトと似てよく使われるものとして、パイプがあります。パイプは、『ls|grep txt』のように、『|』の左で実行された結果を右側の入力として利用することです。

問25 7セグメントLED点灯回路で、出力ポートに16進数で6Dを出力したときの表示状態はどれか。ここで、P7を最上位ビット(MSB)、P0を最下位ビット(LSB)とし、ポート出力が1のとき、LEDは点灯する。

画像(問25)を表示できません
画像(問25ans)を表示できません
解答
解説 7セグメントLEDとは、10進数の1桁を表すのに用いられる表示装置で、一般に7つのセグメント(a〜g)とドットの合計8つの信号で制御されます。

出力が1のときに点灯し、6Dが入力されたということなので、(6D)16=(0110 1101)2となります。対応する信号はP7側が最上位とされているので、

Dt=0
g=1
f=1
e=0
d=1
c=1
b=0
a=1

となり、これに対応するところが点灯するので、選択肢ウのようになります。

問26 60分の音声信号(モノラル)を、標本化周波数44.1kHz、量子化ビット数16ビットのPCM方式でディジタル化した場合、データ量はおよそ何Mバイトか。ここで、データの圧縮は行わないものとする。
80
160
320
640
解答
解説 アナログデータ(時間も振幅も連続)をディジタルデータに変換するためには、標本化→量子化→符号化という作業を行います。各作業を簡単に以下にまとめます。

標本化:時間を離散化する。(一般的には復元が保証されている最大周波数の2倍で行います)
量子化:振幅を離散化する。
符号化:量子化したデータを特定の符号に対応付けする。

符号化と量子化は、多くのサンプリングポイントを取ることで、よりオリジナルに近いデータを作り出すことができます(データ量は多くなります)

それでは計算していきます。
60分×1(モノラル)×44.1k×16ビット=3600秒×44100×2バイト=317,520,000バイト=317.52Mバイト≒320Mバイトとなります。

問27 3次元コンピュータグラフィックスに関する記述のうち、ポリゴンの説明はどれか。
ある物体Aを含む映像aから他の形状の異なる物体Bを含む映像bへ、滑らかに変化する映像
コンピュータ内部に記憶されているモデルを、ディスプレイに描画できるように2次元化した映像
閉じた立体となる多面体を構成したり、2次元曲面や自由曲面を近似するのに用いらたりする基本的な要素
モデリングされた物体の表面に貼り付ける柄や模様などの画像
解答
解説 3Dグラフィックスの代表的な技術をまとめます。

アンチエイリアシング:黒と白の間にグレーを挟むような技術で、色が極端に変化する部分を目立たなくします。(極端に色が変化してギザギザになることをジャギーといいます。)
レイトレーシング:光源からの光線の経路を計算することで光の反射や透過などを表現し、物体の形状を描画する。
レンダリング:実際に画面に表示される画素や色を計算し、描画すること。
テクスチャマッピング:モデリングされた物体の表面に柄や模様など(テクスチャ)をはり付ける処理。
ブレンディング:半透明な画像を重ね合わせて表現する技術です。
メタボール:物体を球やだ円体の集合として擬似的にモデル化する。
ラジオシティ:光の相互反射を利用して物体表面の光エネルギーを算出することで、表面の明るさを決定する。
クリッピング:画面に見えている部分だけの計算をすることで、高速化をすることです。
シェーディング:光源の位置と角度を計算することで、影をつける技術です。

選択肢イがレンダリング、選択肢エがテクスチャの説明です。
なお、選択肢アのように動画において、画像と画像の中間をいれることで、滑らかに変化しているように見せる技術をモーフィングといいます。

問28 E−R図に関する記述として、適切なものはどれか。
関係データベースの表として実装することを前提に作成する。
業務で扱う情報をエンティティ及びエンティティ間のリレーションシップとして表現する。
データの生成から消滅に至るデータ操作を表現できる。
リレーションシップは、業務上の手順を表現する。
解答
解説 E−R(Entity-Relationship Diagram)図は、以下のような図で2つの実体と実体間の関係を表すのに適しています。多重度(カーディナリティ)を記述することができ、リレーショナルデータベースの設計などで用いられます。

E−R図を表示できません

問29 関係データベース管理システム(RDBMS)におけるビューに関する記述のうち、適切なものはどれか。
ビューとは、名前をつけた導出表のことである。
ビューに対して、ビューを定義することはできない。
ビューの定義を行ってから、必要があれば、その基底表を定義する。
ビューは一つの基底表に対して一つだけ定義できる。
解答
解説 ビューとは、実表ではない利用者の視点の一時的で仮想的な表のことです。

なお、ビューを更新する際は元のデータと対応づいていなければなりません。つまり、 集計データであるGROUPBY句でまとめられている場合や関数・演算を使っている場合、DISTINCTで重複を排除している場合は、更新ができません。

問30 “注文”表と“製品”表に対して、次のSQL文を実行したときに得られる結果はどれか。

SELECT 製品名,数量 FROM 注文,製品 WHERE 注文.製品コード = 製品.製品コード

画像(問30)を表示できません
画像(問30ans)を表示できません
解答
解説 SQL文では、注文表の製品コードと製品表の製品コードが同じもの「製品名と数量」を表示しています。

注文表を基準にして、1行ずつ評価していきます。
1行目、P2は製品表のテレビに対応しているので、「テレビ、120」が表示されます。
2行目、P1は製品表のPCに対応しているので、「PC、100」が表示されます。
3行目、P4は製品表の冷蔵庫に対応しているので、「冷蔵庫、50」が表示されます。
4行目、P8は製品表に対応するものがないので、表示されません。
5行目、P1は製品表のPCに対応しているので、「PC、100」が表示されます。
6行目、P3は製品表の掃除機に対応しているので、「掃除機、70」が表示されます。


問31 表Rに対する次のSQL文の操作はどの関係演算か。

画像(問31)を表示できません
結合
射影
直積
解答
解説 それぞれの関係演算の処理を以下にまとめます。

結合:複数の表を合わせる演算
差:片方にしか含まれないものを取り出す演算
射影:条件を満たす列を取り出す演算
直積:項目の組合せ処理を行う演算

なお、条件を満たす行を取り出す演算は選択といいます。

問32 DBMSにおけるログファイルの説明として、適切なものはどれか。
システムダウンが発生したときにデータベースの回復処理時間を短縮するため、主記憶上の更新データを定期的にディスクに書き出したものである。
ディスク障害があってもシステムをすぐに復旧させるため、常に同一データのコピーを別ディスクや別サイトのデータベースに書き出したものである。
ディスク障害からデータベースを回復するため、データベースの内容をディスク単位で複写いたものである。
データベースの回復処理のため、データの更新前後の値を書き出してデータベースの更新記録を取ったものである。
解答
解説 それぞれの選択肢の用語を以下にまとめます。

選択肢ア:チェックポイント時のジャーナルファイルの説明です。
選択肢イ:ミラーリングの説明です。
選択肢ウ:バックアップの説明です。
選択肢エ:ログファイルの説明です。

問33 DBMSの排他制御に関する記述のうち、適切なものはどれか。
アクセス頻度の高いデータの処理速度を上げるためには、排他制御が必要である。
処理速度を上げるため、排他制御を行うデータの範囲は極力大きくすべきである。
データアクセス時のデッドロックを防止するために、排他制御が必要である。
複数人が同時に更新する可能性のあるデータには、排他制御が必要である。
解答
解説 排他制御とは、複数のプロセスによってデータが書き換えられる可能性がある場合に、アクセス中に他のプロセスから利用できないようにして、整合性や一貫性を保つ制御です。(具体的な技術には、mutexやセマフォなどがあります。)

なお、ロックを利用すると他のプロセスは待たされるため処理速度は低下するので、データ範囲はできるだけ小さくするべきです。
デッドロックとは、下図のように、互いのユーザやプロセスがロックと資源要求を行うことで、処理が進まなくなってしまうことをいいます。

デッドロックを表示できません

問34 10Mバイトのデータを100,000ビット/秒の回線を使って転送するとき、転送時間は何秒か。ここで、回線の伝送効率は50%とし、1Mバイト=106バイトとする。
200
400
800
1,600
解答
解説 10Mバイトのデータをビットに直すと、80,000,000ビットになります。これを100,000ビット/秒×0.5(伝送効率が50%)=50,000ビット/秒の回線を使って転送します。よって転送時間は、80,000,000/50,000=80,000/50=1600秒となります。

問35 LAN間接続装置に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ゲートウェイは、OSI基本参照モデルにおける第1〜3層だけのプロトコルを変換する。
ブリッジは、IPアドレスを基にしてフレームを中継する。
リピータは、同種のセグメント間で信号を増幅することによって伝送距離を延長する。
ルータは、MACアドレスを基にしてフレームを中継する。
解答
解説 OSI基本参照モデルと対応するネットワーク機器をまとめると、以下のようになります。

OSIを表示できません

選択肢ア:ゲートウェイは、4層以上でプロトコルの変換を行います。
選択肢イ:ブリッジは、MACアドレスを基に中継を行います。
選択肢エ:ルータは、IPアドレスを基に中継を行います。

問36 インターネットにおける電子メールの規約で、ヘッダフィールドの拡張を行い、テキストだけでなく、音声、画像なども扱えるようにしたものはどれか。
HTML
MHS
MIME
SMTP
解答
解説 MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)とは、本来アスキーコードしか電子メールで様々なフォーマットを取り扱えるようにしたものです。また、これにセキュリティ機能を追加したS/MIMEという規格もあります。

HTML(Hyper Text Markup Language)は、インターネットで最も一般的に利用されているマークアップ言語です。
MHS(Message Handling System)は、電子メールシステムの標準ですが、一般にはあまり普及していません。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は、メールクライアントからメールサーバ、メールサーバ間でメールを転送するプロトコルです。

問37 プライベートIPアドレスの複数の端末が、一つのグローバルIPアドレスを使ってインタネット接続を利用する仕組みを実現するものはどれか。
DHCP
DNS
NAPT
RADIUS
解答
解説 選択肢の用語を以下にまとめます。

DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol):動的にIPアドレスを割り振ったり設定を行うプロトコル
DNS(Domain Name System):ドメイン名と対応するIPアドレスを対応付けるシステム
NAPT( Network Address Port Translation):IPとポート番号をを組み合わせて、1つのグローバルIPアドレスと複数のプライベートIPアドレスを相互変換する機能
RADIUS(Remote Authentication Dial In User Service):IP上のプロトコルで、本人の認証を行うシステム

問38 電子メールシステムで使用されるプロトコルであるPOP3の説明として、適切なものはどれか。
PPPのリンク確立後に、利用者IDとパスワードによって利用者を認証するときに使用するプロトコルである。
メールサーバ間でメールメッセージを交換するときに使用するプロトコルである。
メールサーバのメールボックスから電子メールを取り出すときに使用するプロトコルである。
利用者が電子メールを送るときに使用するプロトコルである。
解答
解説 まず、メールの転送の際のプロトコルをまとめると下のようになります。

メールを表示できません

選択肢アは、PAP(Password Authentication Protocol)やCHAP(Challenge-Handshake Authentication Protocol)などの説明です。
選択肢イ、エは、SMTPの説明です。

また最近では、IMAP(Internet Message Access Protocol)というメールサーバ上の電子メールにアクセスして操作するプロトコルもよく利用されます(POP3と違いメールは基本的にサーバ上に残ります)。

問39 HTMLやXMLの要素をどのように表示するかを指示する場合に用いられ、表示クライアント側で処理されるものはどれか。
CGI
CSS
PHP
SSI
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

CGI(Common Gateway Interface):サーバ上でプログラムを動かす仕組みです。PHPやPerlなどを利用するのことが多いようです。
CSS(Cascading Style Sheets):HTML等で記述されたページを装飾するために用いられる仕様です。
PHP(Hypertext Preprocessor):Web上でサーバ側の処理を記述するために用いられるプログラム言語です。
SSI(Server Side Includes):HTMLの中にサーバ側のコマンドを埋め込み、その結果をクライアントに返答する仕組みです。

問40 送信者から電子メール本文とそのハッシュ値を受け取り、そのハッシュ値と、受信者が電子メール本文から求めたハッシュ値とを比較することで実現できることはどれか。ここで、受信者が送信者から受け取るハッシュ値は正しいものとする。
電子メールの送達の確認
電子メール本文の改ざんの有無の検出
電子メール本文の盗聴の防止
なりすましの防止
解答
解説 メッセージダイジェストとディジタル署名を利用した認証について下図にまとめます。

メッセージダイジェストを表示できません

上図のように、ディジタル署名を利用することで、本人確認と改ざんの検出を行うことができます。