平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問81−100 問題編




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ITパスポート

(エントリ試験)

解答と解説のページです。

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問81 システムのアクセスに使用している通信ケーブルを誤って切断した。このとき、情報セキュリティマネジメント要素のうち、どれが低下したことになるか。
可用性
完全性
機密性
保全性
解答
解説 情報セキュリティの3要素に、機密性、完全性、可用性、その頭文字をとってCIAと呼ばれます。その中でケーブルを切断したということは、アクセスができなくなったということなので、復旧するまでアクセスができず、可用性が低下したといえます。(各用語は同じですが、RAS、RASISとCIAを混合しないようにしましょう)

問82 100Mビット/秒の伝送速度のLANを使用して、1Gバイトのファイルを転送するのに必要な時間はおおよそ何秒か。ここで、1Gバイト=109バイトとする。また、LANの伝送効率は20%とする。
50
400
5,000
解答
解説 LANの転送速度は、100Mビット/秒=12.5Mバイト/秒、伝送効率を考慮して12.5×0.2MB/秒=2.5MB/秒。一方データの方は、1GB=1000MBなので、1000/2.5=400秒となります。

問83 PCに利用されるDRAMの特徴に関する記述として、適切なものはどれか。
アクセスは、SRAMと比較して高速である。
主記憶装置に利用される。
電力供給が停止しても記憶内容は保持される。
読出し専用のメモリである。
解答
解説 よく使われるメモリの種類である。DRAMとSRAMを下にまとめます。

SRAM:フリップフロップで構成される。容量は小さいが高速。リフレッシュがいらず消費電力も小さい。比較的高価。主にキャッシュメモリに利用される。
DRAM:コンデンサで構成される。容量は大きいが低速。リフレッシュが必要で消費電力が大きい。比較的安価。主に主記憶に利用される。

リフレッシュとは、値を保持するために、電気的に再充電する操作をいいます。DRAMはトランジスタとコンデンサによって構成されているので、このような操作が必要となります。

問84 関係データベースの主キーに関する記述のうち、適切なものはどれか。
関係データベースの各表は、主キーだけで関連付けられる。
主キーとして指定した項目は、NULLを属性値としてもつことができる。
一つの表において、主キーとして指定した項目の値に同一のものがあってもよい。
一つの表において、複数の項目を組み合わせて主キーとしてもよい。
解答
解説 主キーとは、その表において、ほかの従属した要素を一意に決定できる項目のことをいいます。そのため、値にNULL(空値)や重複は認められません。また、複数の項目(キー)を主キーとして扱うこともできます(複合キー)。主キーと同じく一意に設定される制限『UNIQUE』がありますが、これはNULLが認められます。

問85 公開鍵基盤(PKI)において認証局(CA)が果たす役割はどれか。
SSLを利用した暗号化通信で、利用する認証プログラムを提供する。
Webサーバに不正な仕組みがないことを示す証明書を発行する。
公開鍵が被認証者のものであることを示す証明書を発行する。
被認証者のディジタル署名を安全に送付する。
解答
解説 CAは、信頼の置ける第三者として、サーバのディジタル署名の信憑性を保証します。サーバはあらかじめCSR(certificate signing request:証明書署名要求)と呼ばれるものをCAに送信し審査を受けておく必要があります。

問86 デュアルシステムに関する記述として、適切なものはどれか。
1台のコンピュータに複数のマイクロプロセッサを搭載し、並列処理ができるシステムのことである。
2系統のコンピュータが、互いの処理結果を照合しながら同一処理を行うシステムのことである。
障害時に、予備のコンピュータに切り替えて処理を継続するシステムのことである。
複数のコンピュータを直列に接続して、機能を分担するシステムのことである。
解答
解説 それぞれのシステムを下にまとめます。

選択肢ア:マルチプロセッサシステム
選択肢イ:デュアルシステム
選択肢ウ:デュプレックスシステム
選択肢エ:タンデムシステム

問87 木構造を採用したファイルシステムに関する記述のうち、適切なものはどれか。
階層が異なれば同じ名称のディレクトリが作成できる。
カレントディレクトリは常に階層構造の最上位を示す。
相対パス指定ではファイルの作成はできない。
ファイルが一つも存在しないディレクトリは作成できない。
解答
解説 一般的なフィルシステムは木構造で管理されています。同じ階層に同じファイルやディレクトリを作ると、どちらを指しているのか判断できないため作成はできません。また、カレントディレクトリ(現在作業をしているディレクトリ)からの相対的なパスと頂点からの絶対的なパスの2種類が存在します。空のフォルダをつくることはできます。一般的に頂点のディレクトリはルートディレクトリといいます。

問88 複数の利用者が同時にデータベースを利用する場合に、1人の利用者がデータ更新中に、同一のデータを別の利用者が参照しようとした。このとき、データの整合性を保障するためにのデータベース管理システムでの制御として、適切なものはどれか。
更新処理を中断して参照させる。
更新中の最新データを参照させる。
更新中の利用者の処理が終了してから参照させる。
更新を破棄して更新前のデータを参照させる。
解答
解説 データ更新中にデータを参照しようとすると、更新が失敗したり正しいデータが参照できなかったりします。よって、更新処理が完了するまで参照を待たせます。これを占有ロックといいます。(データを読み出す場合に、書き換えられないようにかけるロックを共有ロックといいます。)しかし、占有ロックを互いにかけたまま処理が進まなくなる場合もあり、これをデッドロックといいます。デッドロックの例を下に示します。

デッドロックを表示できません


中間A 販売管理業務に関する次の記述を読んで、問89〜92に答えよ。

S社の販売管理業務は、受注処理、出荷処理及び請求処理で構成されており、業務効率の向上を目的として販売管理システムを利用している。

販売管理業務の概要と販売管理システムの概要は次のとおりである。

[販売管理業務の概要]
(1) 受注処理では、営業担当者が顧客から注文依頼を受けると、受注データを販売管理システムに登録する。注文には、通常注文と優先注文の二つの種別がある。
(2) 出荷処理では、受注データを基に在庫引当を行う。通常注文は在庫数の70%まで引当可能であり、優先注文は在庫数まで引当可能である。在庫引当ができた分は、倉庫担当者が納品書を作成して出荷作業を行う。在庫引当ができなかった分は、次の入荷を待ってから出荷する。
(3) 請求処理では毎月20日を請求締め日として、その翌日に経理担当者が出荷済データから顧客ごとに請求書を作成して送付する。

[販売管理システムの概要]
販売管理システムでは、受注処理、出荷処理、請求処理が、それぞれ受注管理ファイル、出荷管理ファイル、請求管理ファイルに登録される。

問89 S社の販売管理業務をDFDで表すとき、次の図のa、bに入る適切な字句の組合せはどれか。

画像(問89)を表示できません
画像(問89ans)を表示できません
解答
解説 まず、DFDの記号の意味を下にまとめます。

DFDを表示できません

よって、aがファイル、bが処理なので、選択肢ウが正解だとわかります。

また、aの前は受注処理。顧客の直前が請求処理だということがわかります。
そして、出荷処理の後が出荷管理ファイル、請求処理の顧客側でない出力先が請求管理ファイルとなります。

問90 出荷処理において、引当数の求め方を流れ図で表すとき、次の図のc、dに入る適切な字句の組合せはどれか。

画像(問90)を表示できません
画像(問90ans)を表示できません
解答
解説 『在庫数を引当数とする』に相当するのは、優先注文なので、優先注文が『c』でNOと判断される必要があります。つまり、cは『通常注文か』が入ります。『注文数を引当数とする』に相当するのは、通常注文で、在庫数が70%以下の場合です。よって、『d』がNOのとき、この処理がされるので、dは、『注文数>在庫数の70%』が入ることがわかります。

問91 ある日の商品Tの注文状況が次の表のとおりであったとき、11:00の注文に対して引当可能な数量は幾つか。ここで、この日の仕入はなく、前日の業務終了時の在庫数は100とする。

画像(問91)を表示できません
10
14
20
解答
解説 順番に追いかけていきます。

@100個の在庫に対して、通常注文80個なので、100×0.7の70個までが引当可能となり、100−70=30個が在庫数となります。
A30個の在庫に対して、特別注文10個なので、10個が引当可能であり、30−10=20個が在庫数となります。
B20個の在庫に対して、通常注文40個なので、20×0.7の14個までが引当可能となり、20−14=6個が在庫数となります。

よって、3回目の注文は14個の引当となります。

問92 請求処理において、顧客P社との取引が次の表のとおりであったとき、eに入る請求金額は幾らか。

画像(問92)を表示できません
70,000
90,000
105,000
155,000
解答
解説 問題文に『請求処理では毎月20日』とあるので、先月の21日から今月の19日までの間に行われた出荷に対して請求を行います。20,000+30,000+40,000=90,000円が正解となります。

中間B 商品の販売データの分析に関する次の記述を読んで、問93〜96に答えよ。

N社の営業部では、今年度の販売戦略立案に向けて、前年度の商品売上実績を売上総利益率、商品回転率及び売上構成比率の視点で分析することにした。ここで、商品回転率は、一定期間の売上高を平均在庫高で割った値である。

分析には表計算ソフトを用いることとし、前年度の売上に関する資料を基に図のようなワークシートを作成した。ここで、列I、列Jの計算式は、セルA2〜H11の範囲を、列Bをキーとして降順に整列した後に入力する。


画像(問B)を表示できません

問93 図のセルE2に入力されている計算式として適切なものはどれか。ここで、計算式は百分率の処理や端数処理を行わず、セルの表示形式でパーセント表示している。
C2/B2
D2/B2
D12/B12*B2
D2/D12
解答
解説 売上純利益率は、売上高に対する売上純利益の比率なので、D2/B2で求めることができます。

問94 売上の分析に当たっては、売上総利益率と商品回転率がともに高い商品が、販売効率が良く利益の上がる良い商品と判断される。そこで、販売効率を示す指標と売上高を視覚的に確認するために、各商品の売上高、売上総利益率及び商品回転率の関係を次のようなバブルチャートにして表した。この図を分析した内容として、適切なものはどれか。

画像(問94)を表示できません
“商品え”は、薄利多売で利益を上げている商品であり、利益を維持するためには品切れが起こらないように商品管理に注意する必要がある。
“商品か”は、売上高は少ないが最も販売効率が良いので、現状維持でよい。
“商品く”は、売上高は多くないが、余分な在庫が少なく、利益が大きいので、売上を増やす工夫をすれば効率よく利益の増加が図れる。
“商品こ”は、販売数量は少ないが価格の高い高級商品であり、幅広い顧客層を維持するためには大切な商品である。
解答
解説 各選択肢について解説します。

選択肢ア;“商品え”は、売上率が高く、回転率が低いので、薄利多売(利益が少なく大量に販売している)とはいえません。
選択肢イ:“商品か”は、売上率、回転率ともに低いので、なんらかの改善策が必要となります。
選択肢ウ:“商品く”は、売上率、回転率ともに高いので、現状でもある程度の利益がありさらに伸びる可能性もあります。
選択肢エ:“商品こ”は、回転率が比較的高く、売上率が中程度なので、販売数が比較的多いことがわかります。

問95 N社では、売上販売構成比率を基準に商品をランク分けし、ランクに応じた仕入、販売管理の重点化を図っている。次の条件に従い、図の商品別販売分析ワークシートを用いて商品のランクを決めるとき、セルJ2に入力する計算式はどれか。

[条件]
(1) セルA2〜H11の範囲を、列Bをキーとして降順に整列する。
(2) セルI2に、セルH2の値を複写する計算式を入力する。
(3) セルI3に、計算式I2+H3を入力し、セルI4〜I11に複写する。
(4) ランク分けの基準は、表のとおりである。

画像(問95)を表示できません
IF(I2≦0.7,’A’,IF(I2≦0.9,’B’,’C’))
IF(I2≦0.9,’C’,IF(I2≦0.7,’A’,’B’))
IF(I2≧0.7,’A’,IF(I2≧0.9,’B’,’C’))
IF(I2≧0.9,’C’,IF(I2≦0.7,’A’,’B’))
解答
解説 まず、IF文の構文は、IF(条件、真の場合、偽の場合)となります。

よって、0.7以下になるのはAなので、これに該当するのは選択肢アしかありません。70%に入るので、0〜0.7の間であり、0.8〜1の間でないことに注意しましょう。

問96 今年度の販売戦略案に当たり、売上構成比率を売上高上位の商品から順に累計した売上構成比率累計が70%以内で、商品回転率が10回以下の商品を抽出し、商品回転率の改善を図る重点商品としたい。対象となる商品は何品目あるか。
解答
解説 売上の高い順に、構成比率累計が70%以下の間と回転率を計算していきます。

まず、全体は11680です。
商品え:売上高=3360(累積売上高=3360)、構成比累計=28.77%、回転率=9.2回 → 重点商品に該当する
商品う:売上高=2630(累積売上高=5590)、構成比累計=51.28%、回転率=12.0回 → 重点商品に該当しない
商品あ:売上高=1730(累積売上高=7320)、構成比累計=62.67%、回転率=14.4回 → 重点商品に該当しない
商品こ:売上高=1260(累積売上高=3360)、構成比累計=73.46%、回転率=14.4回 → 重点商品に該当しない

構成比率累計が70%を超えたのでこれ以下は該当しないので、該当するのは商品えの一つだけとなります。

中間C PC関連機器の販売管理業務に関する次の記述を読んで、問97〜100に答えよ。

I社は、企業に対してPC関連機器の販売を行っており、販売管理業務の情報をデータベースによって管理している。図1に示すデータベースとデータベース管理システムの印刷機能を使って、販売時に図2の請求書を発行する。

各商品の販売単価は適宜変更され、新たな販売単価とその更新日時が販売単価表の該当レコードに上書きされる。また、取引を行う企業(以下、取引先という)の担当者は原則1人であるが、取引先によっては部署ごとに1人存在することがある。取引先コードは、取引先ごとに採番する。

画像(問C)を表示できません

問97 I社は、月末に図1の各表のデータをバックアップしている。取引先担当者表が次のような構成となっているとき、取引先担当者表を記録するには、少なくとも何kバイトの領域を確保する必要があるか。ここで、バックアップでは、データの圧縮は行わないものとする。

[取引先担当者表の構成]
・件数:10,000件
・取引先コード、電話番号:それぞれJISの1バイトコードで10文字
・部署名:JISの2バイトコードで20文字
・所在地:JISの2バイトコードで40文字
・名前、役職:それぞれJISの2バイトコードで10文字
1,000
1,500
1,800
2,000
解答
解説 まず、1件あたりのデータ容量を求めます。1バイト×10+1バイト×10+2バイト×20+2バイト×40+2バイト×10+2バイト×10=10+10+40+80+20+20=180バイト。これが10000件あるので、1,800,000バイト=1,800kバイトとなります。

問98 図1の取引先担当者表のレコードを一意に特定するための主キーとして、適切なものはどれか。
取引先コード
取引先コード、名前
取引先コード、部署名
名前、役職
解答
解説 まず、『取引先コードは、取引先ごとに採番する。』という文章から、取引先担当者の主キーに必要だということがわかります。次に、『取引を行う企業の担当者は原則1人であるが、取引先によっては部署ごとに1人存在することがある。』という文章から、部署名も必要なことがわかります。よって、選択肢ウのように、取引先コードと部署名の複合キーが主キーになっていることが分かります。

問99 図2の請求書を発行するのに図1の4種類の表を参照する必要がある。1枚の請求書を発行するとき、4種類のレコードのそれぞれを参照する回数の大小関係を示したものはどれか。

なお、請求書の発行作業の時点で、取引先コード、名前、部署名、購入した商品ごとの商品コードと数量が分かっており、これらの値を使って各表を参照する。参照では、主キーによって一つのレコードを取り出す操作を1回と数える。また、“商品表>販売単価表”という記述は、商品表の方が販売単価表より表の参照回数が多いことを示している。

販売単価表 = 商品表 = 取引先担当者表 = 取引先表
販売単価表 = 商品表 ≧ 取引先担当者表 = 取引先表
販売単価表 ≧ 商品表 ≧ 取引先担当者表 = 取引先表
販売単価表 ≧ 商品表 ≧ 取引先担当者表 ≧ 取引先表
解答
解説 商品表にある商品名の単価を調べるために、商品表と販売単価表の参照回数は等しくなります。また、図2から1つの請求書に複数の商品があることが分かります。最後に、取引先名を調べるために、取引先担当者表と、取引先表の参照回数は等しくなります。

問100 図2の請求書を表として記録することになった。請求書の表を作成するに当たり、伝票番号、日付、取引先コード、部署名、商品コード、数量、単価の七つの項目を記録することにした。これらの項目を正規化して記録するとき、表の構成として適切なものはどれか。
画像(問100ans)を表示できません
解答
解説 数量と単価が、伝票番号と商品コードに部分従属していると考えられるので、この部分を別の表として定義します。選択肢アでは、部分従属が表の中に存在しています。選択肢イ、エでは、商品コードからだけでは数量を引くことができません。