平成16年度春期 基本情報 問21−40 解答編





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基本情報

(基本情報技術者試験)

解答と解説のページです。

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問21 回転数が4,200回/分で、平均位置決め時間が5ミリ秒の磁気ディスク装置がある。この磁気ディスク装置の平均待ち時間は約何ミリ秒か。
10
12
14
解答
解説 HDDにアクセスする全体の時間をアクセス時間といい、これはサーチ時間+シーク時間+データ転送時間となります。平均待ち時間というのはサーチ時間のことです。まず、磁気ヘッドを目的のデータがあるトラックまで移動させます。(平均位置決め時間)その後、そのトラックを回して目的のデータを読み込みます。最も早いのは、磁気ヘッドの真下にあるときで、最も遅いのは、ほぼ1回転したときとなります。このときの期待値(平均)は、半回転したときといえるので、平均回転待ち時間=1回転あたりの時間÷2で求めることができます。

1回転するのに要する時間は、1分間で4200回転するので、60/4200≒14.3ミリ秒となります。
よって、平均待ち時間=平均位置決め時間+半回転に要する時間=14.3/2≒5+7=12ミリ秒となります。

問22 表の仕様の磁気ディスク装置に、1レコード200バイトのレコード10万を順編成で記録したい。10レコードを1ブロックとして記憶するときに、必要なシリンダ数は幾つか。ここで、一つのブロックは複数のセクタにまたがってもよいが、最後のセクタで余った部分は利用されない。

画像(問22)を表示できません
103
105
106
132
解答
解説 まず、セクタ、トラック、シリンダの関係を以下にまとめます。

画像(問22kai)を表示できません

つまり、問題文の表現を変えると、データはセクタにまたがっても良いが、トラックをまたがってはいけないということになります。

よって、1トラックあたりにどれくらいのブロックを保存できるかを計算します。

1ブロック=10レコード=2000バイトで、1トラック=40×256=10240バイト記憶できます。ということは、1トラック当たり5ブロック保存で240バイト無駄になります。
さらに、1シリンダでは、5×19=95ブロック保存できます。

全体で10万レコード=1万ブロック記録したいので、10000/95=105.2となり、106シリンダ必要となります。

問23 RAIDに関する記述のうち、適切なものはどれか。
1台のディスク装置で、ソフトウェアについて、磁気ディスクの信頼性の向上を図っている。
ストライピングの技術を利用して、アクセスの高速化を図っている。
ディスクキャッシュの技術を利用して、磁気ディスクの信頼性の向上を図っている。
ミラーリングの技術を利用して、アクセスの高速化を図っている。
解答
解説 RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)は、複数の磁気ディスクを使用して信頼性を向上させる技術です。基本的にはRAID−0からRAID5までがあり、組み合わせたRAID1+0やRAID0+1などもあります。代表的な3つの例を以下にまとめます。

RAID−0:ストライピング → 複数のディスクに並列的にデータを書き込む、信頼性は上がらない。
RAID−1:ミラーリング → 複数のディスクに同じデータを書き込む、アクセスの高速化にはならない。
RAID−5:ブロック単位で、パリティをすることで、高速化と信頼性を向上させている。

問24 パソコンでの記憶媒体のフォーマット処理に関する記述のうち、適切なものはどれか。
磁気ディスクでは、物理フォーマットの処理に先立って、論理フォーマットを行う必要がある。
物理フォーマットでは、磁気ディスク上にパーティションを作成し、装置として認識可能にする。
論理フォーマットでは、OS固有のファイルシステムの管理領域や実際に記録されるデータの論理的な位置を設定する。
論理フォーマットでは、不良セクタの検査を同時に行う。エラー発生時には予備領域内の正常なセクタを不良セクタの代替とすることができる。
解答
解説 フォーマットとは、初期化のことで、基本的には物理フォーマットと論理フォーマットがあります。順序は、物理フォーマット→論理フォーマットで、一般的にフォーマットといった場合は論理フォーマットを指します。論理フォーマットでは、OSのインストール時などに行うのが一般的でドライブの論理的な区分け(パーティショニング)を行うものです。

問25 周辺機器との接続インタフェースであるIEEE1394とUSBの両方に共通する特徴はどれか。
コンピュータや機器の電源を入れたままでも、機器の着脱が可能である。
最大転送速度が、10Mビット/秒である。
接続する機器ごとに、重複しないIDを設定する必要がある。
複数のデータ線をもち、転送方式がパラレル転送である。
解答
解説 IEEE(FireWire)とUSBは、両方とも主に外部周辺機器と接続するインタフェースで、選択肢ア(ホットプラグ)やプラグアンドプレイ機能を備えています。さらに、両方ともシリアル転送で、IDの設定は必要ありません。IDが必要なのはSCSIです。

問26 液晶ディスプレイの説明として、適切なものはどれか。
電極の間に電気を通すと発光する特殊な有機化合物を挟んだ構造のディスプレイである。
電子銃から発射された電子ビームが蛍光体に当たり発光することを利用するディスプレイである。
光の透過を画素ごとに制御し、カラーフィルタを用いて色を表現するディスプレイである。
放電によって発生する紫外線と蛍光体を利用するディスプレイである。
解答
解説 ディスプレイに関する問題の出題率は高いので、以下にまとめます。

有機EL(選択肢ア):自らの発光でバックライトの不要なタイプ。次世代に期待されています
CRT(選択肢イ):いわゆる普通のブラウン管のディスプレイ。電子ビームを使って画像を作ります。
液晶(選択肢ウ):カラーフィルタによる色の制御を行う方式
PDP(選択肢エ):PはプラズマのPで、高い電力が必要となります
TFT:TはトランジスタのTで、1つ1つの画素をトランジスタの発光で実現しています

問27 ページプリンタで、画像と漢字コードが混在しているデータを印刷するための処理方法に関する記述として、適切なものはどれか。
パソコンが漢字データをビットマップ形式に展開した後、プリンタが画像と合成して、ライン単位で印刷イメージを作る。
プリンタが画像と漢字データをラインごとのビット列に展開して、ラインごとに順次印刷する。
プリンタが画像をビットマップ形式に展開して印刷イメージを作り、漢字フォントにはパソコンのフォントファイルを使用する。
プリンタ又はパソコンのプリンタドライバのどちらかが、画像と漢字データをビットマップ形式に展開して、印刷イメージを作る。
解答
解説 ページプリンタの印刷に関する問題です。一般的な書類などを印刷する場合は、アプリケーションからプリンタのデバイスドライバを通じてプリンタにデータが送られ印刷します。その過程で、1枚の画像情報のようなものに展開してそのイメージをを作成し、それを印刷します。

問28 入力装置の中で、ポインティングデバイスに分類され、CADシステムの図形入力などに使用されるものはどれか。
OCR
OMR
イメージスキャナ
タブレット
解答
解説 ポインティングデバイスとは、マウスに代表される座標情報を入力する機器のことです。タブレット(大型のものはデジタイザ等とよばれる)は、画像を書いたりする場合に用いられるもので、ポインティングデバイスに分類されます。OCRは光学的に文字を読み取るもので、郵便局などで用いられています。OMRは、光学的にマークを読み取るもので、情報処理技術者試験の午前問題のマークもこの方式です。イメージスキャナは、スキャナともよばれ、画像とパソコンに取り込むために用いられます。

問29 プロセッサは演算機構及び制御機構からなる。制御機構に分類されるものはどれか。
アキュムレータ
加算器
補数器
命令デコーダ
解答
解説 コンピュータのには5大構成要素というものがあり、入力装置、出力装置、演算装置、制御装置、記憶装置です。この中の、演算装置と、制御装置がプロセッサに相当するものです。演算機は計算を行うところで、制御機構はほかの装置の制御を行う部分です。命令デコーダとは、データの命令部が1100ならLOAD命令などの解釈を行う部分です。アキュムレータは、一時的にデータを保存しておくレジスタで、加算器は足し算を行う回路、補数器は、補数を計算する部分です。

問30 仮想記憶方式の一つに、仮想アドレス空間を固定長の領域に分割して管理するものがある。この固定長の領域を示す用語はどれか。
セクタ
セグメント
フレーム
ページ
解答
解説 4つの用語を以下にまとめます。

セクタ:磁気ディスクにおける最小単位
セグメント:仮想アドレス空間の可変長の分割領域の単位
フレーム:データリンク層のデータ転送の単位(ほかにもいろいろある)
ページ:仮想アドレス空間の固定長の分割領域の単位

問31 CPUの処理時間を微小に分割し、それを実行可能な状態にあるタスクに順に割り当てることを何というか。
オーバレイ
スワッピング
タイムスライシング
リアルタイム処理
解答
解説 CPUの処理時間を小さなあたいに区切って順番にタスクに割り当てることをタイムスライシング(あるいは、ラウンドロビン)といい、また、複数人がタイムスライシングにより見かけ上CPUを独占して使用する処理形態をTSS(タイムシュアリングシステム)といい、このCPUの微小な処理時間をタイムウォンタムという。オーバレイは、大きな容量のプログラムを主記憶上で使うための入れ替えの仕組みのことで、スワッピングは、仮想記憶方式におけるデータの入れ替え(スワップインとスワップアウト)を表す言葉で、リアルタイム処理は、会話的に要求をすぐに処理をして結果を計算する処理のこと

問32 スプーリングの説明として、適切なものはどれか。
キーボードからの入力データを主記憶のキューにいったん保存しておく。
システムに投入されたジョブの実行順序を、その特性や優先順位に応じて決定する。
通信データを直接通信相手の装置に送らず、あらかじめ登録しておいた代理の装置に送る
プリンタなどの低速出力装置へのデータをいったん高速な磁気ディスクに格納しておき、その後に目的の装置に出力する。
解答
解説 スプーリングとは、低速な機器へのデータを高速な機器に格納しておき、時間が空いたときなどに出力することで、スループットを向上させる技術です。選択肢アはバッファリング、選択肢イはジョブスケジューリング、選択肢ウはプロキシの説明です。

問33 パソコンのOSが提供する機能を利用するためのAPIに関する記述のうち、適切なものはどれか。
APIで呼び出されるOSの処理モジュールは、あらかじめそれを利用するプログラムに静的にリンクしておく必要がある。
OSのAPIが提供されていない周辺機器は、ユーザプログラムから利用又は制御することはできない。
アーキテクチャの異なるCPU間でも、同じOSとそのAPIを使用することによって、プログラムの互換性を高め、移植時の工数を削減することが可能である。
異なるOS間でもAPIは共通であり、APIだけを利用したプログラムであれば、再コンパイルだけでほかのOSへの移植が可能である。
解答
解説 APIとは、OSが提供する命令群のことで、動的リンクでもかまいません。また、APIを使用しなくても、自分でプログラムを記述したりすることでサービスを提供することは可能です。APIはOSごとに異なっているので、OSが変わるとアプリケーションの仕様も変更しなければなりません。

問34 A,Bというディレクトリ名をもつ複数個のディレクトリが図の構造で管理されている。

画像(問34)を表示できません


カレントディレクトリを¥A¥B → .. → ..¥B → .¥A の順に移動させた場合、最終的なカレントディレクトリはどこか。ここで、ディレクトリの指定方法は次のとおりとする。



[ディレクトリの指定方法]
(1) ファイルは“ディレクトリ名¥・・・¥ディレクトリ名”のように、経路上のディレクトリを“¥”で区切って指定する。
(2) “¥”で始まるときは、左端にルートが省略されているものとする。 (3) カレントディレクトリは“.”で表す。

(4) 1階層上のディレクトリは“..”で表す。
¥A
¥A¥A
¥A¥B¥A
¥B¥A
解答
解説 カレントディレクトリは、¥A¥B → ¥A → ¥B → ¥B¥Aと移動していきます。

問35 ハッシュ法の説明として、適切なものはどれか。
関数を用いてレコードのキー値からレコードの格納アドレスを求めることによってアクセスする方法
それぞれのレコードに格納されている次のレコードの格納アドレスを用いることによってアクセスする方法
レコードのキー値とレコードの格納アドレスの対応表を使ってアクセスする方法
レコードのキー値をレコードの格納アドレスとして直接アクセスする方法
解答
解説 ハッシュ法とは、ハッシュ関数と呼ばれる関数によって決められた値の場所に格納する方式です。ハッシュ値が同じになることをハッシュが衝突するといい、オープンハッシュ法、クローズハッシュ法などでデータの重複を回避します。

問36 クライアントサーバシステムの特徴に関する記述のうち、適切なものはどれか。
クライアントで業務処理の主な部分を実行することによって、業務手続の変更に容易に対応することができる。
ファイルサーバ、プリントサーバなどのようにサーバが専用化されている場合、比較的容易に個々のサーバの性能を向上させることができる。
複数のサーバに機能を分散させることによって、データやプログラムが1か所に集まる集中型のシステムよりも容易にセキュリティを高めることができる。
複数のサーバに業務処理の各ステップを機能分散させている場合には、特定のサーバに負荷が集中したときにもシステム全体への影響を少なくすることができる。
解答
解説 クライアントサーバシステムは、サービスを提供する側(サーバ)とサービスを受ける側(クライアント)にシステムを分けて、それぞれを独立させることで、処理効率を向上させるシステムです。クライアントではなく、サーバで処理を行うことで変更をサーバのみに限定することができ変更を容易にすることができます。また、分散システムの方が集中型よりも、セキュリティを高めるのが難しいといわれています。複数のサーバに段階的に機能を分散させている場合は、そのサーバの負荷が過多になれば、全体へ影響します。

問37 コンピュータシステムの運転状況を集計したところ、各月のCPUの使用率と遊休時間の合計は表のとおりであった。この3か月間におけるCPUの平均使用率は何%か。

画像(問37)を表示できません
44
53
56
63
解答
解説 遊休率=1−使用率となります。また、全体の時間×遊休率=遊休時間により、遊休時間=全体の時間/遊休率となります。

4月:全体の時間=120/0.4=300
5月:全体の時間=20/0.2=100
6月:全体の時間=80/0.8=100

また、遊休時間の全体は220なので、使用時間=全体の時間−遊休時間により、500−220=280

最後に、使用時間/全体の時間=280/500=0.56となり、56%が正解です。

問38 あるシステムのサーバ処理において、次の条件で1年後の処理時間が現在より長くならないようにするためには、CPUの1ステップ当たりの処理時間を少なくとも現在の何%にしなければならないか。

[条件]
(1) データ1件の処理は、CPU命令100万ステップと磁気ディスクへの入出力20回で構成されている。
(2) 現在は、CPU処理が1ステップ当たり平均1マイクロ秒で、入出力は1回25ミリ秒で処理されている。
(3) 1年後は、入出力装置の性能改善によって、データ1件を処理する際の入出力時間が現在の80%に短縮される。
(4) 1年後に、1日当たりのデータの処理件数は現在の150%に増加する。
(5) 待ち時間及びその他のオーバヘッドは考慮しないものとする。
42
60
80
90
解答
解説 まず、現在の処理時間を求めます。Aを1ステップ当たりのCPUの処理時間、Bを入出力時間とすると

1件=100万A+20B。A=1μ秒、B=25ミリ秒を代入して、1件あたり1.5秒となります。

次に、1年後の処理時間を計算します。
1件=1.5×(100万A’+20B’)=1.5秒となる、A’を計算します。B’=25ミリ秒×0.8=20ミリ秒でこれを代入していくと
A’=(1.0−0.4)100万=0.6マイクロ秒となります。

1マイクロ秒を0・6マイクロ秒にするので、現在の60%の処理時間に縮める必要性があるといえます。

問39 図のようなLAN設備がある。LAN1のクライアントはLAN3に接続されているサーバを利用して、ある業務処理を行っている。通常は、ルータ1を介して通信を行っているが、ルータ1の故障時にはルータ2、ルータ3を介して通信を行う。このLAN1とLAN3をつなぐLAN設備の稼働率は幾らか。ここで、各ルータの故障率は0.1とし、故障時の切換えに時間はかからず、ルータ以外のLAN設備の故障は考慮しないものとする。

画像(問39)を表示できません
0.729
0.981
0.990
1.000
解答
解説 上記の問題を分かりやすく図にまとめると以下のようになります。

画像(問39kai)を表示できません

まず、ルータ2とルータ3の方は直列なので、0.9×0.9=0.81となります。これをルータ23と呼ぶことにします。
次に、全体はルータ1とルータ23の並列なので、1−(ルータ1の故障率×ルータ23の故障率)=1−(0.1×0.19)=0.891が全体の稼働率です。

問40 TCP/IPネットワークでDNSサーバが果たす役割はどれか。
サーバの物理的な位置を意識せず、プログラムの名前を指定するだけでサーバのプログラムの値呼出しを可能にする。
社内のプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換し、インターネットアックセスを可能にする。
ドメイン名やホスト名などとIPアドレスとの対応付けをする。
パソコンなどからのIPアドレス付与の要求に対し、サーバに登録してあるIPアドレスの中から使用されていないIPアドレスを割り当てる。
解答
解説 DNSサーバは、ドメインネームシステムサーバの略で、IPアドレスとホスト名の対応付けを行います。本来HPなどはIPアドレスでアクセスするわけですが、それでは人間に分かりにくいので、ホスト名、ドメイン名などでアクセスします。その変換を行うのがDNSサーバです。なお、選択肢アはディレクトリサーバ、選択肢イはNAT(NAPT・IPマスカレード)、選択肢エはDHCPの説明です。