平成19年度秋期 基本情報 問21−40 解答編





このページは

基本情報

(基本情報技術者試験)

解答と解説のページです。

問題だけで勉強したい方は目次へ戻ってください


問21 システムA、Bのキャッシュメモリと主記憶のアクセス時間は、次のとおりである。あるプログラムをシステムAで実行したときのキャッシュメモリのヒット率と実行アクセス時間は、システムBで実行したときと同じになった。このときのキャッシュメモリBのヒット率は幾らか。

画像(問21)を表示できません
0.2
0.3
0.5
0.8
解答
解説 ヒット率をaとして計算します。

15×a+50(1−a)=10×a+70(1−a)となるので、
5a=20(1−a)
5a=20−20a
25a=20
a=0.8

よって、ヒット率は0.8(80%)となります。

問22 メモリインタリーブの説明のうち、適切なものはどれか。
新しい情報をキャッシュメモリに取り出すとき、キャッシュ上では不要になった情報を主記憶に書き込む
主記憶のアクセス時間と磁気ディスクのアクセス時間とのギャップを補う。
主記憶の更新と同時にキャッシュメモリの更新を行う。
主記憶を幾つかの区画に分割し、連続したメモリへのアクセスを高速化する。
解答
解説 メモリインタリーブとは、複数のバンクと呼ばれる単位に分けておくことで、並列にアクセスでき、高速化できます。アクセス幅が1の場合は3語分、アクセス幅が2の場合は6語分に同時にアクセスできます。

画像(問22kai1)を表示できません

選択肢アは、キャッシュメモリのライトバックの説明です。
選択肢イは、ディスクキャッシュの説明です。
選択肢ウは、キャッシュメモリのライトスルーの説明です。

問23 メモリの誤り制御方式で、2ビット誤り検出機能と、1ビットの誤り訂正機能をもたせるのに用いられるものはどれか。
奇数パリティ
水平パリティ
チェックサム
ハミング符号
解答
解説 パリティは偶数や奇数になるように1の個数をそろえるもので、1ビットの誤り検出しか持ちません。チェックサムは値の合計を追加するものです。ハミング符号は、パリティに対するデータ数が少し多いですが、2ビットの誤り検出と1ビットの誤り訂正ができます。

問24 並列にアクセス可能な複数台の磁気ディスクに、各ファイルのデータを一定サイズのブロックに分割して分散配置し、ファイルアクセスの高速化を図る手法はどれか。
ディスクアットワンス
ディスクキャッシュ
ディスクストライピング
ディスクミラーリング
解答
解説 選択肢の内容を下にまとめます。ディスクとついていますが、全く違う用語です。

選択肢ア:CD−Rなどへの書き込み方式の一つ。データをまとめて一度に書き込む方式、互換性が高いが後から追記ができない。
選択肢イ:主記憶とハードディスクのアクセス速度の差を埋めるために用いられるメモリ
選択肢ウ:複数のディスクに並列に書き込み、アクセス速度を向上させる(RAID−0に相当)
選択肢エ:複数のディスクに同じデータを書き込み、信頼性を向上させる(RAID−1に相当

問25 USBの特徴はどれか。
PCなどの小型コンピュータと、磁気ディスク、レーザプリンタなどの周辺機器を接続するパラレルインタフェースである。
音声や映像など、リアルタイム性の必要なデータ転送に適した高速な転送方式を採用しており、FireWireとも呼ばれている。
シリアルインタフェースであり、元来はモデムを接続する規格であったが、PCと周辺機器を接続するのにも使われる。
三つのデータ転送モードがあり、ハイスピードモードは外付け磁気ディスクなどの接続に使用される。
解答
解説 USB(Universal Serial Bus)は現在最も主流な周辺機器をパソコンに接続するインタフェースの一種です。中でもUSB2.0というのが最も主流で、従来のUSB1.1で利用できたロースピードモード、フルスピードモードに、ハイスピードモードを追加したものです。なお、USB1.1とUSB2.0は互換性があります。

選択肢アはSCSIの説明です。
選択肢イはIEEE1394の説明です。
選択肢ウはRS−232Cの説明です。

問26 プログラムを主記憶に読み込んでおき、CPUが順次読み出し実行する方式はどれか。
アドレス方式
仮想記憶方式
直接プログラム制御方式
プログラム記憶方式
解答
解説 コンピュータが始まったころは、配線を組み替えて実行したいプログラムを実現していました。その後OSやHDDなどの登場により、プログラムをHDDから主記憶にロードして使用するようになりました。これをプログラム記憶方式、またはストアドプログラム方式といいます。

問27 スプーリング機能の説明として、適切なものはどれか。
あるタスクを実行しているときに、入出力命令の実行によってCPUが遊休(アイドル)状態になると、ほかのタスクにCPUを割り当てる。
実行中のプログラムを一時中断して、制御プログラムに制御を移す。
主記憶装置と低速の入出力装置との間のデータ転送を、補助記憶装置を介して行うことによって、システム全体の処理能力を高める。
多数のバッファからなるバッファプールを用意し、主記憶にあるバッファにアクセスする確率を増すことによって、補助記憶のアクセス時間を短縮する。
解答
解説 スプーリングとは、プリンタなどの低速な出力装置にダイレクトにデータを送ると時間がかかるため、一旦HDD等にデータを入れてそこからプリンタにデータを送ることで、処理効率を向上させる処理方式です。
選択肢アは、ディスパッチャの説明です。
選択肢イは、割込みの説明です。
選択肢エは、バッファリングの説明です。

問28 出力待ちの印刷要求を、同一機種の3台のプリンタA〜CのうちAから順に空いているプリンタに割り当てる(Cの次は再びAに戻る)システムがある。印刷要求の印刷時間が出力待ちの順に5、12、4、3、10、4(分)である場合、印刷に要した時間の長い順にプリンタを並べたものはどれか。ここで、初期状態ではプリンタはすべて空いているものとする。
A、B、C
B、A、C
B、C、A
C、B、A
解答
解説 順番に計算していきます。

処理開始
プリンタAにタスク(5)を割り当てる。
プリンタBにタスク(12)を割り当てる。
プリンタCにタスク(4)を割り当てる。

開始から4分後
プリンタCにタスク(3)を割り当てる。

開始から5分後
プリンタAにタスク(10)を割り当てる。

開始から7分後
プリンタCにタスク(4)を割り当てる。

開始から11分後
プリンタCが処理を終了する。

開始から12分後
プリンタBが処理を終了する。

開始から15分後
プリンタAが処理を終了する。

よって、A,B,Cの順に時間がかかるといえます。

問29 プログラムを実行するために主記憶に読み込んだとき、ロード位置に対応してプログラム内のアドレスを補正することを示す用語はどれか。
再コンパイル
最適化
再配置
リロード
解答
解説 プログラムが備えるべき能力の一つで再配置可能(リロケータブル)というものがあります。これは、相対番地を利用してメモリ上のどこにロードされても不自由なく使用できる能力を指します。

再コンパイルは、プログラムを修正した際に、再度実行可能ファイルを作り出すために、コンパイルをやり直すことをいいます。
最適化は、ファイルの追加や削除を行うことで、ファイルの位置が断片化(フラグメンテーション)するのを並べなおすことをいいます。
リロードは、更新ともいい、再度データを読み込むことをいいます。

問30 A、Bという名の複数ディレクトリが図に示す構造で管理されている。“¥B¥A¥B”がカレントディレクトリになるのは、カレントディレクトリをどのように移動した場合か。ここで、ディレクトリの指定は次の方法によるものとし、→は移動の順序を示す。

[ディレクトリ指定方法]
(1) ディレクトリは“ディレクトリ名¥・・・¥ディレクトリ名”のように、経路上のディレクトリを順に“¥”で区切って並べた後に“¥”とディレクトリ名を指定する。
(2) カレントディレクトリは、“.”で表す。
(3) 1階層上のディレクトリは、“..”で表す。
(4) 始まりが“¥”のときは、左端にルートディレクトリが省略されているものとする。
(5) 始まりが“¥”、“.”、“..”のいずれでもないときは、左端にカレントディレクトリ配下であることを示す“.¥”が省略されているものとする。

画像(問30)を表示できません
¥A → ..¥B → .¥A¥B
¥B → .¥B¥A → ..¥B
¥B → ¥A → ¥B
¥B¥A → ..¥B
解答
解説 各選択肢のパスの移動をトレースしてみます。

選択肢ア:¥A → 今の親の子のB → 今のディレクトリの子のAの子のB。¥B¥A¥B
選択肢イ:¥B → 今のディレクトリの子のBの子のA → 今の親の子のB。¥B¥B¥B
選択肢ウ:¥B → ¥A → ¥B。¥B
選択肢エ:¥B¥A → 今の親の子のB。¥B¥B

よって、選択肢アが¥B¥A¥Bにたどり着くパスであるといえます。

問31 コンピュータシステムの構成に関する記述のうち、密結合マルチプロセッサシステムを説明したものはどれか。
通常は一方のプロセッサは待機しており、本稼動しているプロセッサが故障すると、待機中のプロセッサに切り替えて処理を実行する。
複数のプロセッサが磁気ディスクを共用し、それぞれ独立したOSで制御される。ジョブ単位で負荷を分散することで処理能力を向上させる。
複数のプロセッサが主記憶を共用し、単一のOSで制御される。システム内のタスクは、基本的にどのプロセッサでも実行できるので、細かい単位で負荷を分散することが処理能力を向上させる。
並列に接続された2台のプロセッサが同時に同じ処理を行い、相互に結果を照合する。1台のプロセッサが故障すると、それを切り離して処理を続行する。
解答
解説 複数のCPUが主記憶やOS、データを共有する形態を密結合マルチプロセッサといいます。逆に、各々のCPUが占有の主記憶、OS、データをもち、バスで接続されている形態を疎結合マルチプロセッサといいます。

選択肢アは、デュプレックスシステムの説明です。
選択肢イは、疎結合マルチプロセッサシステムの説明です。
選択肢エは、デュアルシステムの説明です。

問32 コンピュータの性能評価に用いるベンチマークに関する説明のうち、適切なものはどれか。
オンライントランザクション処理の代表的なベンチマークであるTPCは、性能尺度がTPSで客観的であるが、コストの尺度が欠けている。
コンピュータシステム全体の性能ベンチマークには、Dhrystone、Whetstone、Livermore Fortran Kernel、Linpack、SPECなどがある。
性能評価のために複数種類のベンチマークテストを実行することは、システム性能の特徴を理解することができるので、導入機種の選定に有効である。
ベンチマークテストは汎用的な評価モデルであり、その結果はコンピュータ性能の評価に広く適用できる。
解答
解説 ベンチマークテストは測定用のプログラムを実行し、ハードウェアやソフトウェアの性能を相対的な数値として表わすことを目的としています。ベンチマークテスト自体にもいろいろな種類があり、整数の計算(SPECint)や浮動小数点数の計算(SPECfp)などをさせたりするものもあります。

選択肢ア:TPCはコストも考慮されます。
選択肢イ:主にCPU性能をはかるもので、システム全体を測定するものではありません。
選択肢エ:ある程度の性能評価はできますが、汎用的で広く応用できるとまではいえません。

問33 平均故障間隔がx時間、平均修理時間がy時間のシステムがある。使用条件が変わったので、平均故障間隔、平均修理時間ともに従来の1.5倍になった。新しい使用条件での稼働率はどうなるか。
x、yの値によって変化するが、従来の稼働率よりは大きい値になる。
従来の稼働率と同じ値である。
従来の稼働率の1.5倍にあんる。
従来の稼働率の2/3倍になる。
解答
解説 まず、稼働率は、MTBF/(MTBF+MTTR)によって計算されます。これが両方とも1.5倍されるので、1.5×MTBF/(1.5×MTBF+1.5×MTTR)両辺が1.5でキャンセルされるので、MTBF/(MTBF+MTTR)となり、もとの稼働率と同じになります。

問34 3台のコンピュータA〜Cが図のように接続されている場合、システム全体の稼働率は幾らか。ここで、A〜Cの稼働率は、すべて0.8とする。また、コンピュータA、Bによって構成されている並列接続部分については、A、Bのいずれか1台でも稼動していれば、当該部分は稼動しているものとする。

画像(問34)を表示できません
0.512
0.768
0.928
0.992
解答
解説 まず、並列部分の稼働率は1−(1−0.8)×(1−0.8)=1−0.2×0.2=1−0.04=0.96となります。これに、稼働率0.8のコンピュータが直列に接続されているので、0.94×0.8=0.768となります。

問35 システムが稼動不能となった際のバックアップサイトをウォームサイト、コールドサイト、ホットサイトの3種類に分類したとき、一般に障害発生から復旧までの時間が短い順に並べたものはどれか。
ウォームサイト、コールドサイト、ホットサイト
ウォームサイト、ホットサイト、コールドサイト
コールドサイト、ウォームサイト、ホットサイト
ホットサイト、ウォームサイト、コールドサイト
解答
解説 バックアップについての3つを整理(稼働率が高い順)します。

ホットサイト:遠隔地に稼働しているものとまったく同じ状態で待機系を稼働させておき、障害時にすぐに切り替える方式
ウォームサイト:ホットサイトとコールドサイトの中間で、稼働までには何らかの準備が必要であり、すぐに切り替えはできない方式
コールドサイト:稼働に必要最低限のものだけを準備しておくだけで、稼働までにはそれなりに時間がかかる方式

問36 Webサーバに対するアクセスがどのPCからのものであるかを識別するために、Webサーバの指示によってブラウザにユーザ情報などを保存する仕組みはどれか。
CGI
cookie
SSL
URL
解答
解説 選択肢の用語を下にまとめます。

CGI(Common Gateway Interface):Webサーバから外部のプログラムを利用するもので、Wikiなどでも利用されている
cookie:サーバーの指示で、クライアントのコンピュータ上にデータを保存しておく仕組み
SSL(Secure Socket Layer):インターネット上で暗号化通信を行うためのプロトコル。使用時は、httpsなどと表示される場合がある
URL(Uniform Resource Locator)インターネット上でのリソースを特定するためのアドレス

問37 社内ネットワークからインターネット接続を行うときに、インターネットへのアクセスを中継し、Webコンテンツをキャッシュすることによってアクセスを高速にする仕組みで、セキュリティ確保にも利用されるものはどれか。
DMZ
IPマスカレード(NAPT)
ファイアウォール
プロキシ
解答
解説 選択肢の用語を下にまとめます。

DMZ(DeMilitaried Zone:非武装セグメント):外部と内部のネットワークの間に置かれるネットワークエリア。外部向けのサーバ類がおかれることが多い。
IPマスカレード(NAPT):グローバルメモリとローカルメモリを相互に透過的に変換する。NATと違いポート番号も動的にへんかんされる。
ファイアウォール:外部からの防火壁。パケットフィルタリングを利用して、ルールに従って通過するパケットの取捨選択をおこなう
プロキシ:内部のネットワークから外部へアクセスするときに、代理してアクセスを行うシステムやサーバ。セキュリティの向上に加え、キャッシュ機能を利用することで、アクセスの高速化も見込める。逆に外部から内部へのアクセスを中継するものをリバースプロキシという。

問38 データマイニングの説明として、適切なものはどれか。
大量のデータを高速に検索するための並行的アクセス手法
大量のデータを統計的、数学的手法で分析し、法則や因果関係を見つけ出す技術
販売実績や製造実績などの時系列データを大量に蓄積するデータベースの保存手法
ユーザの利用目的に合わせて、部門別のデータベースを作成する技術
解答
解説 業務でいままで蓄積してきた大量のデータを目的別にまとめたものをデータウェアハウスといい、そこから、相関関係などを分析することによって、今後の意思決定を支援する技術をデータマイニング(あるいはデータマイニングツール)といいます。

問39 プログラムの各種特性に関する記述のうち、適切なものはどれか。
再帰的処理のためには、実行途中の状態をFIFO方式で記録し、制御する必要がある。
再入可能プログラムを実現するためには、プログラムを手続部分とデータ部分に分割して、データ部分をプロセスごとにもつ必要がある。
逐次再使用可能なプログラムは、再入可能でもある。
複数のプロセスで同時に実行できるようにしたプログラムは、再帰的である。
解答
解説 プログラムの性質について以下にまとめます。

リエントラント(再入可能):同時、非同期的に呼び出されても互いに干渉せずに動作できる性質
リカーシブル(再帰):自分自身を呼び出すことができる性質
リユーザブル(再使用可能):終わったプログラムを再ロードすることなく、また、使うことができる性質
リロケータブル(再配置可能):メモリ上のどの番地に呼び出されても使用することができる性質

再入可能は、個々のプロセスが独自に値を保有するため、データ部分をプロセスごとに持つ必要あります。

問40 各種言語プロセッサのうち、適切なものはどれか。
アセンブラは、ある処理系用に書かれた原始プログラムを、ほかの処理系用の原始プログラムに変換する。
インタプリタは、ほかのコンピュータ用のプログラムを解読し、実行するマイクロプログラムである。
ジェネレータは、入力・処理・出力などの必要な条件をパラメタで指示することによって、処理目的に応じたプログラムを生成する。
トランスレータは、高水準言語で書かれたプログラムを、解釈しながら実行する。
解答
解説 ジェネレータは、指定されたパラメタから、処理の目的に応じたプログラムを自動的に生成するプログラムをいいます。

選択肢アは、トランスレータの説明です。
選択肢イは、エミュレータの説明です。
選択肢エは、インタプリタの説明です。

なお、アセンブラ(言語)は、機械語と1対1に対応した低水準言語です。