平成19年度秋期 基本情報 問41−60 解答編





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基本情報

(基本情報技術者試験)

解答と解説のページです。

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問41 Javaのプログラムにおいて、よく使われる機能などを部品化し、再利用できるようにコンポーネント化するための仕様はどれか。
JavaBeans
JavaScript
Javaアプリケーション
Javaアプレット
解答
解説 Javaに関する用語を下にまとめておきます。

JavaScript:web上で用いられるスクリプト言語(プログラム言語のJavaとは互換性がなく、基本的に別物)
Javaアプリケーション:単独で動作する一般的なJavaで書かれたプログラム
Javaアプレット:サーバからクライアントにダウンロードして動作するJavaのプログラム
Javaサーブレット:サーバ上で動作するものをJavaのプログラム
JavaBeans:アプリケーションを部品化し、再利用することで開発効率を向上させる規約

問42 CMMIを説明したものはどれか。
ソフトウェア開発組織及びプロジェクトのプロセスの成熟度を評価するためのモデルである。
ソフトウェア開発のプロセスモデルお一種である。
ソフトウェアを中心としたシステム開発及び取引のための共通フレームのことである。
プロジェクトの成熟度に応じてソフトウェア開発の手順を定義したモデルである。
解答
解説 CMMIは能力成熟度モデル統合と略され、組織がプロセスを適切に管理できるように、守るべき指針を体系化したもので、以下のような段階に分かれています。

LV1:初期段階:何もルールがない
LV2:管理段階:システム開発の計画・コスト見積りの経験則ができている。
LV3:定義段階:システム開発の経験が組織として共有され、標準プロセスが確立している。
LV4:管理段階:プロセスからの定量的なフィードバックによって、継続的に改善されている。
LV5:最適化段階:プロセスの測定基準が定められ、組織的に分析が進められている。

問43 DFDの説明はどれか。
業務などの処理手順を流れ図記号を用いて視覚的に表現したもの
システムの状態がどのように推移していくかを視覚的に表現したもの
実体及び実体間の関連という概念を用いてデータの構造を視覚的に表現したもの
適用業務をデータの流れに注目して視覚的に表現したもの
解答
解説 DFD(Data Flow Diaglam)とは、データの源泉/データの流れ/プロセス/データストアなどを使って業務を視覚的にあらわした図です。

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問44 オブジェクト指向の特徴はどれか。
オブジェクト指向モデルでは、抽象化の対象となるオブジェクトに対する操作をあらかじめ指定しなければならない。
カプセル化によって、オブジェクト間の相互依存性を高めることができる。
クラスの変更を行う場合には、そのクラスの上位にあるすべてのクラスの変更が必要となる。
継承という概念によって、モデルの拡張や変更の際に変更部分が局所化できる。
解答
解説 オブジェクト指向の概念について下にまとめます。

クラス:データとメソッドを1つにまとめたもの
メソッド:オブジェクトがもっている手続のこと
メッセージ:オブジェクト間でやり取りされる情報のこと
カプセル化:データにメソッドを通じてのみアクセスできること。このため、内容を知らなくてもブラックボックス的に利用できます。
インスタンス:型であるクラスに実際の値を入れて、具現化すること
抽象化:共通の性質をまとめて定義したもの、一般的にスーパークラスとして定義される。
継承:スーパークラスを取り込むこと。(例:人間クラスを継承して学生クラスを作る)
多相性(多態性):同じメッセージに対して別の振る舞いをすること(例『鳴く』というメッセージに対して、『ワンワン・ニャーニャー』など別の振る舞いをする)

問45 UMLのクラス図に記述するものはどれか。
アクティベーション、オブジェクト、ライフライン
オブジェクト、メッセージフロー、リンク
初期状態、終了状態、遷移
操作、属性、ロール名
解答
解説 UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)は、クラス図、オブジェクト図、ユースケース図、シーケンス図など13種類の図がある汎用モデリング言語です。

選択肢ア:シーケンス図
選択肢イ:コラボレーション図
選択肢ウ:ステートチャート(状態遷移図)
選択肢エ:クラス図

問46 ボトムアップテストの特徴として、適切なものはどれか。
開発の初期の段階では、並行作業が困難である。
スタブが必要である。
テスト済みの上位モジュールが必要である。
ドライバが必要である。
解答
解説 結合テストに使われるドライバとスタブについて下にまとめます。

ドライバ:仮の上位モジュール(主にボトムアップテストで利用される)
スタブ:仮の下位モジュール(主にトップダウンテストで利用される)

問47 プログラムテストの管理図において、図のようにすべての線が横ばい状態になった。この状況から推測できることとして、適切なものはどれか。

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解決困難なバグに直面しており、その後のテストが進んでいない。
テスト項目の消化実績が上がっており、バグの発生がなくなった。
バグが多発し、テスト項目の消化実績が上がらなくなった。
バグ発生とテスト項目消化の比率が一致し、未解決バグがなくなった。
解答
解説 すべての線が横ばい(=変化なし)ということは、テスト自体が変化していないことを意味しており、つまりテストが進んでいないことを表しています。選択肢イのように、バグが発生しなくなったのであれば、未解決バグ数が0に近づくはずです。選択肢ウのように、バグが多発したのであれば、バグ検出数がもっと上がっていくはずです。選択肢エのようにテストが終了したのであれば、未消化テスト項目数と未解決バグ数が0になるはずです

問48 る偽のアローダイアグラムで表される作業A〜Hを見直したところ、作業Dだけが短縮可能であり、その所要日数を6日間にできることがわかった。業務全体の所要日数は何日短縮できるか。ここで、矢印に示す数字は各作業の標準日数を表す。

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解答
解説 クリティカルパスと日数はは短縮前では、1 → 2 → 3 → 4 → 5 → 6 → 7で31日。短縮後では1 → 2 → 3 → 6 → 7の28日。となります。短縮するとクリティカルパスが変更されることに注意しましょう。また、ダミーの作業とは作業日数0日間の実線と考えると分かりやすいです。

問49 あるプロジェクトの工数配分は表のとおりである。基本設計からプログラム設計までは計画どおり終了した。現在はプログラミング段階であり、3,000本のプログラムのうち、1,200本が完成したところである。プロジェクト全体の進捗度は何%か。

画像(問49)を表示できません
40
44
54
59
解答
解説 順番に計算していきます。現在は、プログラミングの1200/3000=0.4となります。

基本計画(完了)=0.08
詳細設計(完了)=0.16
プログラム設計(完了)=0.20
プログラミング(40%)=0.25×0.4=0.1

つまり、0.08+0.16+0.2+0.1=0.54=54%が現在の進捗状況となります。

問50 データベースのロールバック処理を説明したものはどれか。
更新後ジャーナルを用いて、トランザクション開始後の障害直前の状態にまでデータを復旧させる。
更新後ジャーナルを用いて、トランザクション開始直前の状態にまでデータを復旧させる。
更新前ジャーナルを用いて、トランザクション開始後の障害直前の状態にまでデータを復旧させる。
更新前ジャーナルを用いて、トランザクション開始直前の状態にまでデータを復旧させる。
解答
解説 まず、ロールバックとロールフォワードの違いを以下にまとめます。

ロールバック(バック=後ろ):障害が発生したデータから、障害が発生する前にもどす。
ロールフォワード(フォーワード=前)バックアップデータから、障害発生する前にもどす。

一般的に、論理的な障害はロールバック、物理的な障害はロールフォワードを用います。つぎに、使用するファイルですが、更新前のジャーナルを使って復元します。0/2を入力して障害が発生したので、この0/2というデータ(更新前のジャーナル)を用いて復元(=取り消す)するという感じで

問51 システムの移行テストを実施する主要な目的はどれか。
安全性・効率性の観点で、既存システムから新システムへの切替え手順や切替えに伴う問題点を確認する。
既存システムのデータベースのコピーを利用して、新システムでも十分な性能が発揮できることを確認する。
既存のプログラムと新たに開発したプログラムとのインタフェースの整合性を確認する。
新システムが要求されたすべての機能を満たしていることを確認する。
解答
解説 移行テストとは、システムの移行の際にどのような問題点があるかを調べるものです。一方で運用テストは実際の業務に使えるかどうかを調べるテストです。

選択肢イは、性能テストの説明です。
選択肢ウは、結合テストの説明です。
選択肢エは、機能テストの説明です。

問52 販売管理システムの運用担当者は、販売部門のユーザと協力して顧客マスタファイルのレコードを整備することにした。このときマスタファイルの設備方針として、適切なものはどれか。
同じ顧客のレコードが複数件存在してもキーが異なれば販売データの分析には問題ないので、そのまま残す。
顧客レコードを削除する場合は、その顧客コードが販売管理システム内で使われていないことを確認してから削除する。
当月の売上が発生した顧客のレコードは、内容は正しいと見なして確認の対象外とする。
当月の売上が発生しなかった顧客のレコードは、スペース効率の観点から、月末に物理的に削除する。
解答
解説 マスタファイルにかかわらず、DBでは、削除する際に参照関係を確認し、削除を行う必要があります。同じ顧客のレコードがある場合は、整合性を保つために、どちらかに統一するべきです。当月の売上が発生していたとしても、なんらかの問題点がないことを証明するわけで張りません。当月の売上がなかったから削除するということは、1か月分しか顧客データを保持できなくなり、業務上よくないことが推測されます。

問53 システムの一部に修正を加えたときに、修正部分がほかに悪影響を及ぼさずに正しい結果が得られることを検証するテストはどれか。
機能テスト
結合テスト
退行テスト
例外テスト
解答
解説 バグを修正したことで、いままで正常だった部分が正しく動作しなくなることがあります。これを調べるテストを退行テスト(レグレッションテスト)といいます。

問54 IPアドレスに関する記述のうち、サブネットマスクの説明はどれか。
外部のネットワークへアクセスするときに、ゲートウェイが一つのIPアドレスを複数の端末で共用させるために使用する情報である。
クラスA〜Dを識別するために使用する4ビットの情報である。
ネットワーク内にあるすべてのノードに対して、同一の情報を送信するために使用される情報である。
ホストアドレス部の情報を分割し、複数のより小さいネットワークを形成するために使用する情報である。
解答
解説 サブネットマスクとは、ネットワーク部とホスト部を分けるもので、大きなネットワークを小さな複数のネットワークに分けたいときに使います。(例えば、会社に256個のホストを接続できるネットワークがあるときに、8個の部署に32個のホストを割り振るなど)

今では、クラスに依存しないCIDR(Classless INter Domain Routing)を使うことで、より柔軟にクラス編成を行えるようになっています。

選択肢アは、NATやIPマスカレード(NAPT)の説明です。
選択肢イは、クラスの識別に関しては正しいですが、サブネットマスクの説明ではありません。
選択肢ウは、ブロードキャスト(アドレス)の説明です。

問55 利用者のPCから電子メールを送信するときや、メールサーバ間で電子メールを転送するときに使われるプロトコルはどれか。
IMAP
MIME
POP3
SMTP
解答
解説 メールの転送の際のプロトコルをまとめると下のようになります。

画像(問55kai)を表示できません

IMAP(Internet Message Access Protocol)は、メールサーバ上の電子メールにアクセスして操作するプロトコルです。
MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)は、電子メールでさまざまなフォーマットを利用できるようにした規格です。

問56 PCM伝送方式によって音声をサンプリング(標本化)して8ビットのディジタルデータに変換し、圧縮しないで転送したところ、転送速度は64,000ビット/秒であった。このときサンプリング間隔は何マイクロ秒か。
15.6
46.8
125
128
解答
解説 まず、アナログデータ(時間も振幅も連続)をディジタルデータに変換するためには、標本化→量子化→符号化という作業を行います。各作業を簡単に以下にまとめます。

標本化:時間を離散化する。(一般的には最大周波数の2倍で行います)
量子化:振幅を離散化する。
符号化:量子化したデータを特定の符号に対応付けする。

符号化と量子化は、多くのサンプリングポイントを取ることで、よりオリジナルに近いデータを作り出すことができます(データ量は多くなります)

それでは、計算していきます。
64000/8=8000回サンプリングポイントがあります。、
つまり、1/8000=0.000125=125マイクロ秒となります。

問57 CSMA/CD方式のLANで用いられるブロードキャストによるデータ伝送の説明として、適切なものはどれか。
すべてのノードに対して、送信元から順番にデータを伝送する。
選択された複数のノードに対して、一度の送信でデータを伝送する。
選択された複数のノードに対して、送信元から順番にデータを伝送する。
同一セグメント内のすべてのノードに対して、一度の送信でデータを伝送する。
解答
解説 CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access / Collision Detection:搬送波感知多重アクセス/衝突検出方式)とは、ネットワークにデータが流れていないかを確認してから、データを送信し、衝突したらランダムな時間待って再送信するというものです。制御が簡単ですが、クライアントが増えると急激に効率が悪化するという特徴があります。

ブロードキャストとは、すべてのノードに同一のデータを一度に送信することをいいます。

問58 ネットワーク機器の一つであるスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)の機能として、適切なものはどれか。
LANポートに接続された端末に対して、IPアドレスの動的な割当てを行う。
受信したパケットを、あて先MACアドレスが存在するLANポートだけに転送する。
受信したパケットを、すべてのLANポートに転送(ブロードキャスト)する。
受信したパケットを、ネットワーク層で分割(フラグメンテーション)する。
解答
解説 スイッチングハブはOSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)で動作するネットワーク機器です。つまり、MACアドレスを制御する部分です。

選択肢アは、DHCPの説明です。
選択肢ウは、リピータハブの説明です。
選択肢エは、ルータの説明です。

問59 関係データベースの表aに対して、表b、表cを得る操作の組合せとして、適切なものはどれか。

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解答
解説 関係データベースの操作に関する用語をまとめます。

結合:2つ以上の表を元に、1つの表として作り出すこと
射影は、条件にあった列を取り出すこと
選択は、条件にあった行を取り出すこと
挿入は、条件にあった行を表に入れること
削除は、条件にあった行を表から除くこと


よって、aを選択したのがb、aを射影したのがcとなります。

問60 E−R図に関する記述として、適切なものはどれか。
関係データベースの実装を前提に作成する。
業務上の各プロセスとデータの関係を明らかにする。結果として導かれる実体間の関連は、業務上の各プロセスを実現する。
業務で扱う情報を抽象化し、実体及び実体間の関連を表現する。
データの生成から消滅に至るプロセスを表現する。
解答
解説 E−R(エンティティーリレーションシップ)図とは、下の図のようなもので、2つの実体と実体間の関係を表すのに適しています。また、1対多などの関係も表せるので、リレーショナルデータベースの設計などで用いられます。

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