平成19年度秋期 基本情報 問61−80 解答編





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基本情報

(基本情報技術者試験)

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問61 “商品”表のデータが次の状態のとき、[ビュー定義]で示すビュー“収益商品”表に現れる行数が減少する更新処理はどれか。

画像(問61)を表示できません
商品コードがS001の行の売値を130,000に更新する。
商品コードがS003の行の仕入値を150,000に更新する。
商品コードがS005の行の売値を130,000に更新する。
商品コードがS005の行の仕入値を90,000に更新する。
解答
解説 ビューでは、売値−仕入れ値=40000を表示しているので、今ある行の中から、この差が40000未満になるような更新は、表示されなくなることになります。現状は、S001ととS005の2行が表示されます。

選択肢アは、更新後は、差額が40000未満になり、行数が減少します。
選択肢イは、更新後は、差額が40000以上になり行数が増えてしまいます。
選択肢ウは、更新後も差額が40000以上なので、変化しません。
選択肢エは、更新後も差額が40000以上なので、変化しません。

問62 データベースが格納されている記憶媒体に故障が発生した場合、バックアップファイルとログを用いてデータベースを回復する操作はどれか。
アーカイブ
コミット
チェックポイントダンプ
ロールフォワード
解答
解説 選択肢の用語を下にまとめます。

アーカイブ:複数のファイルを1つにまとめた圧縮ファイル
コミット:データベースの変更を確定させる処理
チェックポイントダンプ:チェックポイント時のメモリやレジスタなどのデータを保存したファイル
ロールフォワード:バックアップファイルと障害発生直前までのログファイル(ジャーナルファイル)を使って行う復旧作業

問63 関係データベースの説明として、適切なものはどれか。
属性単位に、属性値とその値をもつレコード格納位置を組にして表現する。索引として利用される。
データを表として表現する。表間は相互の表中の列の値を用いて関連付けられる。
レコード間の親子関係を、ポインタを用いたデータ構造で表現する。木構造の表現に制限される。
レコード間の親子関係を、リンクを用いたデータ構造で表現する。木構造や網構造も表現できる。
解答
解説 選択肢のデータ構造を下にまとめます。

選択肢アは、ハッシュの説明です。
選択肢イは、関係データベースの説明です。
選択肢ウは、ヒープの説明です。
選択肢エは、グラフの説明です。

問64 公開鍵暗号方式に関する記述のうち、適切なものはどれか。
AESは、NISTが公募した公開鍵暗号方式である。
RSAは、素因数分解の計算の困難さを利用した公開鍵暗号方式である。
公開鍵暗号方式に参加する利用者の数が増えると鍵の配送が煩雑になる。
通信文の内容の秘匿に公開鍵暗号方式を使用する場合は、受信者の復号鍵を公開する。
解答
解説 公開鍵暗号方式とは、下のようなもので、暗号化鍵と復号化鍵が異なる暗号化方式です。

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中でも、RSAは代表的なもので、素因数分解の難しさ(素数の積は簡単に計算できるが、合成数を素数に分解するのは難しい)を利用した暗号方式です。

問65 ディジタル証明書をもつA氏が、B商店に対して電子メールを使って商品の注文を行うときに、A氏は自分の秘密鍵を用いてディジタル署名を行い、B商店はA氏の公開鍵を用いて署名を確認する。この手法によって確認できることはどれか。ここで、A氏の秘密鍵はA氏だけが使用できるものとする。
A氏からB商店に送られた注文の内容は、第三者に漏れない。
A氏から発信された注文は、B商店に届く。
B商店に届いたものは、A氏からの注文である。
B商店は、A氏に商品を売ることの許可が得られる。
解答
解説 ディジタル署名は公開鍵暗号方式を応用したもので、署名をした人物(署名に使われた秘密鍵)が確実にその人物であるということを証明します。盗聴に対する対策はないので、第三者に漏れる可能性はあります。確実に届くかどうかは、分かりませんし、販売許可は全く関係ありません。
公開鍵暗号方式と、ディジタル署名(メッセージダイジェスト)を用いた本人確認と改ざん検出の例を下に示します。
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問66 コンピュータウイルス対策ソフトのパターンマッチング方式を説明したものはどれか。
感染前のファイルと感染後のファイルを比較し、ファイルに変更が加わったかどうかを調べてウイルスを検出する。
既知ウイルスのシグネチャコードと比較して、ウイルスを検出する。
システム内でのウイルスに起因する異常現象を監視することによって、ウイルスを検出する。
ファイルのチェックサムと照合して、ウイルスを検出する。
解答
解説 パターンマッチングとは、あらかじめ特徴的なコードをパターンとして登録したウイルス定義ファイル(パターンファイル)を用いて、ウイルス検査対象と比較し、同じパターンであれば検出する。既存のウィルスをほぼ確実に検出できる、反面新種や亜種に弱い。

問67 SSL/TLSを利用することによって実現できるものはどれか。
クライアントサーバ間の通信の処理時間を短縮する。
クライアントサーバ間の通信を暗号化する。
ブラウザとWebサーバの通信の証跡を確保する。
メールソフトからWebサーバへのSMTP接続を可能にする。
解答
解説 SSL(Secure Socket Layer)/TLS(Transport Layer Security)とは、セキュア、セキュリティという用語が両者に含まれているため、情報の保護に関するものだということが分かります。SSLは、ウェブブラウザでHTTPSと表示されているときに利用されているものなので、馴染み深いと思います。

問68 緊急事態を装う不正な手段によって組織内部の人間からパスワードや機密情報を入手する行為は、どれに分類されるか。
ソーシャルエンジニアリング
トロイの木馬
パスワードクラック
踏み台攻撃
解答
解説 4つの行為を以下にまとめます

ソーシャルエンジニアリング:コンピュータ等を使わないで、主に人をだますことで重要情報を聞き出す行為。
トロイの木馬:無害なプログラムを装って、起動された後、バックグラウンド等で情報を盗んだり破壊したりするプログラム
パスワードクラック:いわゆるパスワードを解析して突破する方法。誕生日などの分かりやすい情報をパスワードに使ったり、パスワードが短かったりすると破られやすい。
踏み台攻撃:直接の被害はないものの、セキュリティ不足の自分のシステムを経由してほかのシステムに不正な行為を行うために利用されること。下手をすると、知らないうちに加害者になる場合もありうる。このようなPCをゾンビPCと呼んだりもする。

問69 ISMSプロセスのPDCAモデルにおいて、PLANで実施するものはどれか。
運用状況の管理
改善策の実施
実施状況に対するレビュー
情報資産のリスクアセスメント
解答
解説 PDCAサイクルとはPlan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(確認)⇒Act(改善)の4つのサイクルを指します。

今回の場合は、情報資産のリスクアセスメント(P)⇒運用状況の管理(D)⇒実施状況に対するレビュー(C)⇒改善策の実施(A)に分類できます。

問70 QRコードの特徴はどれか。
3個の検出用シンボルで、回転角度と読取り方向が認識できる。
最大で数字なら128文字、漢字なら64文字を表すことができる。
バイナリ形式を除いた文字をコードで表現することができる。
プログラム言語であり、携帯電話で実行できる。
解答
解説 QRコード(2次元バーコード)は、バーコード(JANコード)と比べて、四隅のうちの3つに位置検出パターンがあり、誤り検出能力があります。情報量もJANコードに比べて格段に大きくなっています。

問71 SCMを説明したものはどれか。
営業部門だけではなく企業内のすべての顧客チャネルで情報を共有し、サービスのレベルを引き上げて顧客満足度を高め、業績向上に結びつける手法である。
卸売業者・メーカが、小売店の経営活動を支援してその売上と利益を伸ばすことによって、自社との取引拡大につなげる手法である。
企業全体の経営資源を有効活用できるように統合的に管理し、経営の効率を向上させる手法である。
生産、在庫、購買、販売、物流など関連の企業間で情報を共有することによって、全体の効率を向上させる手法である。
解答
解説 サプライチェーンマネージメント(SCM:供給連鎖管理)とは、物流システムを1つの部署内で完結させるのではなく、会社規模・全社規模で一元管理し、最適化することで、納期の短縮やコストの低下を目的とするものです。

選択肢アは、CRM(Customer Relationship Management)の説明です。
選択肢イは、リテールサポートの説明です。
選択肢ウは、EPR(Enterprise Resource Planning)の説明です。

問72 営業損益の計算式はどれか
売上高 − 売上原価
売上高 − 売上原価 − 販売費及び一般管理費
売上高 − 売上原価 − 販売費及び一般管理費 + 営業外損益
売上高 − 売上原価 − 販売費及び一般管理費 + 営業外損益 + 特別損益
解答
解説 選択肢の計算式をまとめます。

選択肢ア(売上総利益、粗利益):商品や製品そのものの儲け
選択肢イ(営業利益、営業損益):原材料に、仕入れコストなどを考慮して出した利益
選択肢ウ(経常利益、経常損益):活動で得られる利益。企業の採算性の指標となる
選択肢エ(純利益):経常利益に特別損失と税金などを差し引いて残る利益

問73 販売価格が14万円の製品を製造する案として、表のA案とB案がある。月当たりの販売数量が500個の場合、A案とB案の評価のうち、適切なものはどれか。

画像(問73)を表示できません
A案、B案ともに利益が出ない。
A案とB案の利益は等しい。
A案の方が利益が多い。
B案の方が利益が多い。
解答
解説 利益は売上 − 固定費 − 変動費で計算されます。売上げは14×500=7000万円です。

A案:7000−1500−(500×9)=7000−6000=1000万円
B案:7000−2500−(500×7)=7000−6000=1000万円

よって、二つの案件の利益は等しいといえます。

問74 ABC分析を適用する事例はどれか。
顧客が買物をしたときの購入商品の組合せを把握したい。
商品ごとの販売金額や粗利益額から、売れ筋商品を把握したい。
商品の品切れを起こさないように、きめ細かな販売見込数量を把握したい。
地域ごとのオピニオンリーダにアンケート調査を行い、市場ニーズを把握したい。
解答
解説 ABC分析とは、その累計比率から分析を行うもので、製品をA、B、Cの3つの区分に分けます。一般的にはA区分は70%程度に設定します。

なお、ABC分析にはよくパレート図が使われます。下にパレート図の例を示します。

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問75 パレート図を説明したものはどれか。
原因と結果の関連を魚の骨のような形態に整理して体系的にまとめ、結果に対してどのような原因が関連しているかを明確にする。
時系列的に発生するデータのばらつきを折れ線グラフで表し、管理限界線を利用して客観的に管理する。
収集したデータを幾つかの区間に分類し、各区間に属するデータの個数を棒グラフとして描き、品質のばらつきをとらえる。
データを幾つかの項目に分類し、出現頻度の大きさの順に棒グラフとして並べ、累積和を折れ線グラフで描き、問題点を絞り込む。
解答
解説 パレート図は以下のような図で、ABC分析をするのに用いられます。

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選択肢アは、特性要因図の説明です。
選択肢イは、管理図の説明です。
選択肢ウは、ヒストグラムの説明です。

問76 昨年度と今年度の入社試験の問題を比較するために、多数の社員に両年度の問題を解答させた。昨年度の問題の得点をx軸に、今年度の問題の得点をy軸にとって、相関係数と回帰直線を求めた。[結果]から分かることはどれか。

[結果]
相関係数は0.8であった。
回帰直線の傾きは、1.1であった。
回帰直線のy切片の値は、10であった。
回帰直線のy切片の値から、今年度の問題の得点が0点の人でも、昨年度の問題では10点程度とれることが分かる。
回帰直線の傾きから、今年度の問題の平均点は、昨年度の問題の平均点の1.1倍であることが分かる。
回帰直線の傾きと、y切片の値から、今年度の問題は昨年度の問題に比べて得点しやすい傾向にあることが分かる。
回帰直線の傾きと相関係数の値から、今年度の問題は質が高いことが分かる。
解答
解説 2つの関係は求めた回帰直線(一次方程式)のy=ax+bにあてはめて考えると分かりやすいです。傾きとはaのことで、切片とはbのことです。これを代入しグラフにすると以下のようになります。

画像(問76kai)を表示できません

質の良さや平均値はこのグラフからは分かりません。選択肢アは逆で、昨年度0点の人でも、今年度は10点程度とれるといえます。


問77 表は、顧客(x、y、z)を営業担当者(A、B、C)が担当するときの売上高を示している。例えば、営業担当者Aの顧客xに対する売上高は2百万円である。各営業担当者は、顧客を1人しか担当できないとするとき、最大の売上高は何百万円か。

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16
17
18
19
解答
解説 すべての組み合わせを検証してみます。

A−x、B−y、C−z=2+3+6=11
A−x、B−z、C−y=2+6+8=16
A−y、B−x、C−z=4+5+6=15
A−y、B−z、C−x=4+6+7=17
A−z、B−x、C−y=5+5+8=18
A−z、B−y、C−x=5+3+7=15

よって、18百万円が最大となります。

問78 X社では、次の算定方式で在庫補充量を決定している。第n週の週末時点での在庫量をB[n]、第n週の販売量をC[n]としたとき、第n週の週末に発注する在庫補充量の算出式はどれか。ここで、nは3以上とする。

[在庫補充量の算定方式]
(1) 週末ごとに在庫補充量を算出し、発注を行う。在庫は翌週の月曜日に補充される。
(2) 在庫補充量は、翌週の販売予測量から現在の在庫量を引き、安全在庫量を加えて、算出する。
(3) 翌週の販売予測量は、先週の販売量と今週の販売量の平均値とする。
(4) 安全在庫量は、翌週の販売予測量の10%とする。
(C[n-1]+C[n])/2×1.1-B[n]
(C[n-1]+C[n])/2×1.1-B[n-1]
(C[n-1]+C[n])/2+C[n]×0.1-B[n]
(C[n-2]+C[n-1])/2+C[n]×0.1-B[n]
解答
解説 まずは、算出方法をもとに文字で式を作ってみましょう
(2):在庫補充量=翌週の販売予測量−現在の在庫量+安全在庫量
(3):翌週の販売予測量=(先週の販売量+今週の販売量)/2
(4):安全在庫量=翌週の販売予測量×0.1

つぎに、式を整理していきます。(2)の式に(4)の式を代入します。

在庫補充量=翌週の販売予測量−現在の在庫量+[翌週の販売予測量×0.1]


翌週の販売予測量をまとめます。

在庫補充量=翌週の販売予測量×1.1−現在の在庫量


この式に、(3)の式を代入します。

在庫補充量=[(先週の販売量+今週の販売量)/2]×1.1−現在の在庫量


最後にこの式を数式に直します。

(C[n−1]+C[n])/2×1.1−B[n]となります。


第n週といわれると分かりずらいですが、n週とは今週のことです。

問79 EDIを実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。
企業間の取引の契約内容
システムの運用時間
伝送制御手順
メッセージの形式
解答
解説 EDI(Electronic Data Interchange)は企業間商取引のことで、取決めには情報伝達規約、情報表現規約、業務運用規約、取引基本規約の4つの取決めがあります。

第1レベルの情報伝達規約では、ネットワークの種類や手順を決めます。
第2レベルの情報表現規約では、構文ルールなどのフォーマットを取り決めます。
第3レベルの業務運用規約では、業務の処理に関する取り決めを行います。
第4レベルの取引基本規約では、実際の契約を取り決めます。

これを選択肢にあわせると、下のようになります。
選択肢ア:取引基本規約
選択肢イ:業務運用規約
選択肢ウ:情報伝達規約
選択肢エ:情報表現既約

問80 労働派遣法に基づいた労働者の派遣において、労働派遣契約関係が存在するのはどの当事者の間か。
派遣先事業主と派遣労働者
派遣先責任者と派遣労働者
派遣元事業主と派遣先事業主
派遣元事業主と派遣労働者
解答
解説 派遣と請負についてまとめると下のようになります。

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