平成21年度 春期 ITパスポート試験 問1−20 解答編
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問題
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問1
コンプライアンス経営を説明したものはどれか。
ア
株主に対して企業活動の正当性を保持するために、経営管理が適切に行われているかどうかを監視し、点検する。
イ
株主やそのほかの利害関係者に対して、経営活動の内容、実績に関する説明責任を負う
ウ
企業倫理に基づき、ルール、マニュアル、チェックシステムなどを整備し法令や社会規範を遵守した企業活動を行う。
エ
投資家やアナリストに対して、投資判断に必要な正確な経営情報を適時に、かつ継続して提供する。
解答
ウ
解説
コンプライアンス(法令遵守)は企業活動における法的遵守を意味しており、企業存続の危機につながりかねない、経営者や従業員による不祥事の発生を抑制する。ことが、コンプライアンス経営(コンプライアンス強化)であるといえます。
問2
個人情報において、“個人情報”の対象となるものはどれか。
ア
企業の名称、電話番号、住所など、特定の企業が識別できる情報
イ
記名方式で所得したアンケートから、回答だけを集計して作成した報告書
ウ
氏名、生年月日、住所が記入された顧客台帳
エ
年代別顧客の人数分布と売上金額が表示された表
解答
ウ
解説
個人情報は個人にかかわる情報を規制・保護する法律で、個人の住所、氏名、年齢などが挙げられます。また、個人情報保護法第二条に個人情報は生存する個人に関する識別可能情報と定義されているので、故人の個人情報は保護されません。選択肢アは個人ではなく企業に対する情報なので、個人情報ではありません。選択肢イやエのように、情報を統計的に分析したり、抽象化したりしたものは個人を特定することはできなくなるので、個人情報ではなくなります。
問3
システム開発に関するRFP(Request For Proposal)の掲示元及び提示先として、適切なものはどれか。
ア
情報システム部門からCIOに提示する。
イ
情報システム部門からベンダに提示する。
ウ
情報システム部門から利用部門に提示する。
エ
ベンダからCIOに提示する。
解答
イ
解説
Requestは要求、Proposalは申し込み、提案、計画という意味です。RFPは提案依頼書と訳され、発注先のベンダを選定するときなどに作成されるものです。必要に応じて、業務モデルや予定金額を盛り込んだり、説明会の実施なども行うこともあります。ただし、特定のベンダにのみ情報を提供するのは公平性の立場から控えるべきです。
問4
商品市場での適当な競争を避け、まだ顧客のニーズが満たされていない市場のすきま、すなわち小さな市場セグメントに焦点を合わせた事業展開で、競争優位を確保しようとする企業戦略はどれか。
ア
ニッチ戦略
イ
プッシュ戦略
ウ
ブランド戦略
エ
プル戦略
解答
ア
解説
選択肢にある用語を下にまとめます。
ニッチ戦略:ニッチはくぼみという意味で、ニッチ戦略は別名焦点絞込戦略とも呼ばれます。これは、他社が入りにくい隙間のような市場に焦点を当てた戦略です。
プッシュ戦略:プッシュは押すという意味で、自社のメリットや魅力をアピールすることで消費者に強く商品を売り込む戦略です。
ブランド戦略:ブランドは銘柄、有名商品という意味で、自社の製品のイメージを高めロイヤリティを高める戦略です。
プル戦略:プルは引くという意味で、広告やCM、チラシなどで商品を宣伝し、顧客を商品に引き付けて購入してもらう戦略です。
問5
情報技術を利用して顧客に関する情報を収集、分析し、長期的視点から顧客と良好な関係を築いて自社の顧客として囲い込み、利益の拡大を図る手法はどれか。
ア
BSC
イ
CRM
ウ
ERP
エ
PPM
解答
イ
解説
選択肢にある用語を下にまとめます。
BSC(Balanced Score Card:バランス・スコアカード)は、戦略を財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点の4つに分類し、業績評価を行うシステムです。
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、顧客満足度を高めて、再び自社の製品を利用・購入してもらおうという考え方です。
ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)は、企業全体の資源を統括的に管理することで効率化を目的としたものです。これを実現する支援ソフトウェアをERPパッケージといいます。
PPM(Products Portfolio Management:プロダクトポートフォリオ)は、市場成長率と市場占有率を縦軸と横軸にとり、4つの事象に分けることで自社の製品を客観的に把握し、今後の方針を決める手法です。
問6
SaaSを説明したものはどれか。
ア
コンピュータ設備の利用をサービスとして提供し、使用料を課金する。
イ
情報システム部門の機能の一部を受託し、業務委託料を課金する。
ウ
ソフトウェアの機能を複数の企業にインターネット経由でサービスとして提供し、使用料を課金する。
エ
ソフトウェアをダウンロードさせる対価としてライセンス料を課金する。
解答
ウ
解説
SaaS(Software as a Service)は、従来のライセンス販売とインストールという形態ではなく、インターネット経由でサービスを提供するのが特徴です。ダウンロードして利用するのではなく、セキュリティで守られたWebページ上でサービスを利用します。
問7
いずれも時価100円の四つの株式があり、そのうちの一つに投資したい。経済の成長が高成長、中成長、低成長の場合、それぞれの株式の予想値上がり幅が票のとおりであるとき、値上がり幅の期待値が最も高い株式はどれか。ここで、高成長、中成長、低成長になる確率はそれぞれ0.4、0.4、0.2であり、経済が成長しない場合は考えないものとする。
ア
A
イ
B
ウ
C
エ
D
解答
イ
解説
一つずつ計算してきます。期待値とは確率的な平均のことをいいます。
株式A:(20×0.4)+(10×0.4)+(15×0.2 ) = 8+4+3=15
株式B:(30×0.4)+(20×0.4)+(5×0.2) =12+8+1=21
株式C:(25×0.4)+(5×0.4) +(20×0.2) =10+2+4=16
株式D:(40×0.4)+(10×0.4)+(−10×0.2)=16+4−2=18
よって、株式Bが最も期待値が高いといえます。
問8
POSシステムなどで商品を一意に識別するために、バーコードとして商品に印刷されたコードはどれか。
ア
JAN
イ
JAS
ウ
JIS
エ
QR
解答
ア
解説
選択肢にある用語を下にまとめます。
JAN(Japanese Article Number):商品識別コードのことで、一般的にスーパーなどで見られる一次元のバーコードです。一番右のけたにチェックディジットを持ちます。また、標準タイプと短縮タイプの2種類があります。
JAS(Japanese Agricultural Standard):日本農業規格のことで、農・林・水・畜産物およびその加工品の品質保証をする規格です。認められた場合にはJASマークがつけられます。
JIS(Japanese Industrial Standards):日本工業規格のことで、認められた場合にはJISマークがつけられます。
QR(Quick Response):四隅のうちの3つに位置検出パターンがあり、誤り検出能力があります。情報量もJANコードに比べて格段に大きくなっています。
問9
不正競争防止法の営業秘密に該当するものはどれか。
ア
インターネットで公開されている技術情報を印刷し、部外秘と表示してファイリングした資料
イ
限定された社員の管理下にあり、施錠した書庫に保管している、自社に関する不正取引の記録
ウ
社外秘としての管理の有無にかかわらず、秘密保持義務を含んだ就業規則に従って勤務する社員が取り扱う書類
エ
秘密保持契約を締結した下請業者に対し、部外秘と表示して開示したシステム設計書
解答
エ
解説
不正競争防止法では、『秘密として管理されている有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの』を営業秘密としているので、広く回覧されていたり市場に出回ったりしているものは営業秘密とはいえません。選択肢イは技術上、営業上の情報ではありません。
問10
プロダクトポートフォリオマネジメントでは、縦軸に市場成長率、、横軸に市場占有率をとったマトリックス図を四つの象限に区分し、製品の市場における位置付けを分析して資源配分を検討する。四つの象限のうち、市場成長率は低いが市場占有率を高く保っている製品の位置付けはどれか。
ア
金のなる木
イ
花形製品
ウ
負け犬
エ
問題児
解答
ア
解説
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)の例を下に図示します。
合わせて、各象限の状態も解説しておきます。
問題児(導入期):マーケティングへの参入を考える
花形(成長期):今後に期待ができるが、まだ資金の投入が必要
金のなる木(成熟期):利益が安定し、収入が期待できる
負け犬(衰退期):マーケティングからの撤退を考える
マーケティングの流れは、問題児 → 花形 → 金のなる木 → 負け犬となります。
問11
業務プロセスモデルを説明したものはどれか。
ア
システム開発でプログラム作成に必要なデータ、機能などを記載したもの
イ
システム開発を外部委託するときの提案依頼に必要な条件を明示したもの
ウ
システム化の対象となるビジネスの活動やデータの流れを明記したもの
エ
システムの開発、運用、保存に必要な組織、資源などを記載したもの
解答
ウ
解説
業務プロセスモデルとは、業務の流れやデータの流れを表したものです。一般的には、意思決定活動や計画活動などの抽象的なものもも含む必要があります。。
問12
サプライチェーンマネジメントの効果はどれか。
ア
小売店舗などの商品の販売情報を即時に知ることができる。
イ
知識や知見をデータベース化し、ビジネス上で効果的に活用できる。
ウ
調達から製造、物流、販売までの一連のプロセスを改善し、納期、コストの最適化を図ることができる。
エ
電話、FAX、電子メールなど多様な手段による顧客からの各種問合わせに対し、即時に対応することができる。
解答
ウ
解説
サプライチェーンマネージメント(SCM:供給連鎖管理)とは、物流システムを1つの部署内で完結させるのではなく、会社規模・全社規模で一元管理し、最適化することで、納期の短縮やコストの低下を目的とするものです。
問13
株式会社の最高意思決定機関はどれか。
ア
株主総会
イ
監査役会
ウ
代表取締役
エ
取締役会
解答
ア
解説
株式会社というのは、簡単にいうと、みんなで少しずつお金を出し合って作った会社で、その出資した額に応じて分配されるのが株式です。よって、この出資者(=株主)が集まって話し合いをする株主総会が最高意思決定機関と成ります。なお、株式の数に応じて議決権をもち、最も多くの株式を保有している人や会社を筆頭株主といいます。上場している株式は、証券取引所で売買されています。
問14
売価が20万円の新商品を売り出して、8,000万円を売り上げた。固定費は4,000万円であり、利益は2,000万円のマイナスであった。利益をマイナスにしないためには、あと何個以上売る必要があるか
ア
100
イ
200
ウ
400
エ
800
解答
ウ
解説
利益は売上から費用を引いた額となります。さらに費用は売った個数に関わらず一定に掛かる固定費(広告費等)と個数に比例する変動費(原材料費等)に分けられます。つまり、式にすると
利益 = 売上高−(固定費+変動費)となります。また、同じ定価で売っているので、売上額 = 単価×個数となります。
現状は、8000 = 20×αとなり、売上個数α = 400個となります。
−2000 = 8000−(4000+400β) → 10000 = 4000+400βとなり、変動費β = 15万円となります。
再び、利益 = 売上高−(固定費+変動費)に利益=0、変動費=15を代入してみます。 0 = 20α −(4000+15α) → 5α = 4000となり、800個販売すれば利益は0となります。
現在400個売っているので、800−400で400個販売すればいいことになります。
問15
知的財産権のうち、権利の発生のために申請や登録の手続を必要としないものはどれか。
ア
意匠権
イ
実用新案権
ウ
著作権
エ
特許権
解答
ウ
解説
産業財産権(工業所有権)に属する、特許権、実用新案権、意匠権、商標権は関係省庁への手続が必要ですが、著作権は作成した時点から作者の死後50年間保護されます。特許権の保護期間は、通常20年です。
問16
損益計算書を説明したものはどれか。
ア
一会計期間における経営成績を表示したもの
イ
一会計期間における現金収支の状況を表示したもの
ウ
企業の一定時点における財務状態を表示したもの
エ
純資産の部の変動額を計算し表示したもの
解答
ア
解説
財務諸表について下にまとめます。
損益計算書(P/L)は、企業のある一定期間における収益と費用の状態を表す。(選択肢ア)
キャッシュフロー(現金流量)は、実際に得られた収入から外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのこと(選択肢イ)
貸借対照表(B/S)は、企業のある一定時点における資産、負債、純資産の状態を表す。(選択肢ウ)
株主資本等変動計算書(S/S)は、純資産の変動状況を『株主資本、評価・換算差額、新株予約権、少数株主持分』の4つに分けて掲載する。(選択肢エ)
問17
グループウェア導入の目的として、適切なものはどれか。
ア
PC、周辺機器などの機器に組み込んで、ハードウェアの基本的な制御を行う。
イ
共同作業の場を提供することによって、組織としての業務効率を高める。
ウ
ハードウェアとソフトウェアが一体となったセキュリティ製品の導入によって、企業におけるインターネット利用のセキュリティを強化する。
エ
パッケージ化されたソフトウェア群を導入することによって、システムの開発期間の短縮及び保守の効率化を図る。
解答
イ
解説
グループウェアとは、複数の人数がネットワークを通じて共同作業をするためのソフトウェアです。代表例は電子会議室、データ共有、スケジュール管理等があります。
問18
現在使っているキャッシュカードで、銀行口座からリアルタイムに代金を直接引き落として決済できるものはどれか。
ア
ETCカード
イ
デビットカード
ウ
プリペイドカード
エ
ポイントカード
解答
イ
解説
選択肢の用語を下にまとめます。
ETCカード:高速道路で利用できるカード。一般的には、即時引き落としではない。
デビットカード:商品購入時(後日の場合もある)に銀行口座から代金を引き落として料金を支払えるカード
プリペイドカード:事前にお金を払っておき、その料金分だけ使えるカード。テレフォンかカードなどが代表例。
ポイントカード:直接お金には関係せず、ポイントという形で積み立てておき、換金や商品などに変換するカード
問19
コアコンピタンス経営を説明したものはどれか。
ア
競合企業に対して優位に立つために、既に事業を確立している他社の経営資源を獲得する。
イ
事業の組合せの最適化を図り、それぞれの事業を単独で運営する場合よりも大きな効果が得られるようにする。
ウ
他社にまねできない独自のノウハウや技術などに経営資源を集中し、競争優位を確立する。
エ
他社のベストプラクティス(優れた事例)を参考にして、現状の業務プロセスを根本的に改善・改革する。
解答
ウ
解説
コアコンピタンス(core competenceあるいはcore competency)コア:核、コンピタンス:能力、資格、権限という意味で、自社の核となる技術を強みにして他者との差別化を図る経営戦略です。なお、選択肢アはM&A、選択肢イはマーケティングミックス、選択肢エはベンチマーキングの説明です。
問20
BRPを説明したものはどれか。
ア
顧客のニーズにきめ細かく対応し、顧客の利便性と満足度を高めるために、企業の情報システムを再構築すること
イ
企業の活動を、調達、開発、製造、販売、サービスといった側面からとらえ、情報システムを再構築すること
ウ
企業の業務効率や生産性を改善するために、既存の組織やビジネスルールを全面的に見直して、再構築すること
エ
企業の戦略を、四つの視点(財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点)から再評価し、再構築すること
解答
ウ
解説
BRP(Business Process Reengineering):ビジネス・プロセス・リエンジニアリングとは、企業の目標達成のために、大規模な企業の見直し、再構築を行うことです。選択肢アはCRM(顧客関係管理)、選択肢イはSCM(供給連鎖管理)、選択肢エはBSC(バランススコアシート)の説明です。