平成21年度 春期 ITパスポート試験 問61−80 解答編




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ITパスポート

(エントリ試験)

解答と解説のページです。

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問61 あるシステムは5,000時間の運用において、故障回数は20回、合計故障時間は2,000時間であった。おおよそそのMTBF、MTTR、稼働率の組合せのうち、適切なものはどれか。
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解答
解説 1つずつ計算していきましょう。
MTBF(Mean Time Between Failure:平均故障間隔)=合計稼働時間/故障回数=(5000−2000)/20=150時間=
MTTR(Mean Time To Repair:平均復旧時間)合計故障時間/故障回数=2000/20で100時間
稼働率=MTBF/(BTBF+BTTR)=150(150+100)=150/250=0.6=60%

となり、選択肢エが正解となります。

問62 所属するグループ及び個人の属性情報によって、人事ファイルへのアクセスコントロールするシステムがある。人事部グループの属性情報と、そこに所属する4人の個人の属性情報が次の条件の場合、人事ファイルを参照又は更新可能な人数の組合せはどれか。

[条件]
(1) 属性情報は3ビットで表される。
(2) 各ビットは、左から順に参照、更新、追加・削除に対応し、1が許可、0が禁止を意味する。
(3) グループの属性情報は、個人の属性情報が登録されていない場合にだけ適応される。
(4) グループと個人の属性情報は次のとおりとする。

人事部グループ:110
Aさん:100 Bさん:110 Cさん:001 Dさん:未登録
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解答
解説 Dさんのアクセス権は、条件(3)により、110となります。よって、参照可能なのは、A,B,Dさんの3名。更新可能なのは、B,Dさんの2名となり、選択肢エが正解となります。

問63 バイオメトリクス認証はどれか。
個人の指紋や虹彩などの特徴に基づく認証
個人の知識に基づく認証
個人のパターン認識能力に基づく認証
個人の問題解決能力に基づく認証
解答
解説 バイオメトリクス認証とは、人間の身体的特徴(指紋、声紋、虹彩、網膜、血管)を利用した認証方式です。本人拒絶率と他人受入率を適切に設定する必要があります。

問64 2進数10110を3倍したものはどれか。
111010
111110
100010
10110000
解答
解説 2進数の10110を10進数の22に変換し、3倍して66にした後に2進数に戻して100010とするのもいいのですが、ここでは、2進数の性質を利用して2進数のまま計算してみましょう。

まず、2進数には、左にnビットシフトすると、2nされるという性質があります。
(10進数でも、『345』を左に1ビットシフトすると、『3450』になり10倍されるのと同じです。)

また、もとの値を加えることは+1倍することと同じなので、(2倍+1倍)=3倍と考えます。

つまり、1ビット左にシフトして、101100とし、もとの値を足して、100010とすると答えを得られます。

問65 フェールセーフの説明として、適切なものはどれか。
故障や操作ミスが発生しても、安全が保てるようにしておく。
障害が発生した際に、正常な部分だけを動作させ、全体に支障を来さないようにする
組織内のコンピュータネットワークに外部から侵入されるのを防ぐ。
特定の条件に合致するデータだけをシステムに受け入れる。
解答
解説 重要なシステム設計法についてまとめておきます。

フォールトトレラント:障害時に全体が停止するということなく、動作し続けるようなシステムを設計するもの。
フォールトアボイダンス:システムの構成要素の信頼性を高め, 元から故障が極力発生しないように設計すること。
フェールセーフ:障害が発生した場合、常に安全側に制御・停止すること。
フェールソフト:障害が発生した場合、故障した個所を切り離すなどして、稼動を続けること。
フールプルーフ:ユーザが誤った操作をした場合、危険に晒されることがないように、事前に安全策を行うこと。

選択肢アがフェールセーフ、選択肢イがフェールソフトの説明です。

問66 アナログ音声信号をディジタル化する場合は、元のアナログ信号の波形に、より近い波形を復元できる組合せはどれか。
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解答
解説 アナログデータ(時間も振幅も連続)をディジタルデータに変換するためには、標本化→量子化→符号化という作業を行います。各作業を簡単に以下にまとめます。

標本化:時間を離散化する。(一般的には最大周波数の2倍で行います) 量子化:振幅を離散化する。 符号化:量子化したデータを特定の符号に対応付けする。
標本化周期は短いほど、量子化とそれに対応する符号化の段数は多いほど、よりオリジナルに近いデータを作り出すことができます。(データ量は多くなります)

問67 営業伝票を入力する画面の設計に際し、リストボックスを使った選択画面において、作業効率を高めるために、画面が表示された時点で、ある値がすでに選択された状態になるように設定することにした。

取引先の所在地(関東地方の七つの都道府県の名称)を選択するリストボックスの場合、選択された状態で設定される都道府県として、適切なものはどれか。ここで、入力作業に関する事項は、次のとおりである。



[入力作業に関する事項]
(1) 営業担当者ごとの取引先の所在地は、一つ又は隣接する二つの都道府県にある。
(2) 営業担当者は、伝票を取引先ごとに分類して、入力作業担当者に渡す。
(3) 入力作業は、営業担当者ごとの伝票をまとめて行う。
(4) まとめて入力する伝票の数は、都道府県ごとに複数枚ある。
(5) 1画面の入力操作で、1枚の伝票が入力できる。
営業成績の良い担当者の取引先がある都道府県
会社数が最も多い東京都
五十音順で先頭となる茨城県
前画面で入力した都道府県
解答
解説 ここで考慮すべきことは、デフォルトにどんな値を設定すると変更する回数が最も少ないかということです。営業成績や五十音順では変更回数が最小限になるとはいえません。問題文中に、『取引先ごとにまとめる。都道府県ごとに複数枚ある。さらに、担当者は多くても2つの都道府県の取引先がある』とあるので、前回の都道府県を連続して入力することが多いと予想できます。よって、前画面で入力した都道府県をデフォルトにすることで、ほとんどの都道府県入力を省略することができるといえます。

問68 サーバに対するDoS攻撃のねらいはどれか。
サーバ管理者の権限を奪取する。
サービスを妨害する。
データを改ざんする。
データを盗む。
解答
解説 DoS(Denial of Service)攻撃とは、大量のデータやリクエストを送信することで、サービスを妨害・停止させる攻撃です。一般的で最も簡単なDos攻撃は、ブラウザで更新ボタンを連打する(F5攻撃)などがあげられます。また、DDoS(Distributed Denial of Service)という分散・協調してDoS攻撃をするというものもあります。

問69 PCのプロセッサ内にあるキャッシュメモリの利用目的はどれか。
PCへの電力供給が切れた状態でも記憶内容を保持する。
書き換える必要のない情報や、書き換えられては困る情報を記録する。
主記憶とのアクセス時間を見かけ上短縮することによって、CPUの処理効率を高める。
利用者IDやパスワードなどの重要情報や機密情報を記録する。
解答
解説 キャッシュメモリは、CPUのレジスタと主記憶との間におかれ、2つのアクセス速度の差を吸収する役割を持っています。現在は2段階や3段階のキャッシュメモリがあり、CPUに近い側からL1、L2、L3と呼ばれます。また、主記憶とHDDの間で同じようにアクセス速度の差を吸収するメモリ領域をディスクキャッシュといいます。

問70 2台の処理装置からなるシステムがある。両方の処理装置が正常に稼動しないとシステムは稼動しない。処理装置の稼働率がいずれも0.90であるときのシステムの稼働率は幾らか。ここで、0.90の稼働率とは、不定期に発生する故障の発生によって運転時間の10%は停止し、残りの90%は正常に稼動することを表す。2台の処理装置の故障には因果関係はないものとする。
0.81
0.90
0.95
0.99
解答
解説 全体の稼働率は、両方が正常に稼動している率なので、『処理装置Aが稼動してるかつ処理装置Bが稼動している』ということになり、0.9×0.9=0.81となります。

問71 次のベン図の黒色で塗りつぶした部分の検索条件はどれか。

画像(問71)を表示できません
(notA)andBandC
(notA)and(BandC)
(notA)or(BandC)
(notA)or(BorC)
解答
解説 ベン図は、3つまで(4変数以上は表せない部分が出てきます)の変数の真と偽の集合を視覚的に表現することができるものです。まず基本的なことですが、真の部分を塗りつぶします。読み方としては、円の中に黒い部分があったら真、なかったら偽と読めばいいと思います。

つまり、Aの円の中には黒い部分がないので、A=偽。Bの円の中には黒い部分があるので、B=真。Cの円の中には黒い部分があるので、C=真。
よって、Aでなく、Bであり、Cでもある。ということで(notA)andBandCとなります。

問72 図1のように二つの正の数値A1,A2を読み取り、二つの数値B1,B2を出力するボックスがある。B1にはA2と同じ数値を出力し、B2にはA1をA2で割った余りを出力する。図2のようにこのボックスを2個つないだ場合、A1=15、A2=6のとき後方のボックスのB1に出力される数値は幾らか。

画像(問72)を表示できません
15
解答
解説 順番に計算していくと下の図のようになります。

画像(問72kai)を表示できません

B2と間違えて、選択肢アと答えないように注意しましょう。

問73 複数のコンピュータを連動させ、全体を1台の高性能のコンピュータであるかのように利用する。連携しているコンピュータのどれかに障害が発生した場合には、ほかのコンピュータに処理を肩代わりさせることで、システム全体として処理を停止させないようにするものはどれか。
クラスタシステム
デュアルシステム
デュプレックスシステム
マルチプロセッサシステム
解答
解説 ここで重要なのは、全体を1台の高性能なコンピュータのように利用するという点です。障害発生時に一部を切り離したり肩代わりさせるのは、選択肢イやウも一緒ですがどちらも、それぞれが独立して計算をしています。もともとクラスタシステム(クラスタリング)とは、並列・分散システムの形態でよく見られます。

問74 インターネットからの不正アクセスを防ぐことを目的として、インターネットと内部ネットワークの間に設置する仕組みはどれか。
DNSサーバ
WAN
ファイアウォール
ルータ
解答
解説 ファイアウォール(FireWall:FWと略されることが多いです)はその名のとおり防火壁です。ここでいう火とは外部からの攻撃などを比喩しています。DNSはURLなどとIPアドレスの対応付けをするものです。WAN(Wide Area Network:広域通信網)はLAN同士を接続したネットワークです。ルータは、OSI基本参照モデルの第3層(ネットワーク層)でパケットの転送などを行うネットワーク機器です。

問75 PC間で電子メールを送受信する場合に、それぞれのPCとメールサーバとのやり取りで利用される通信プロトコルに関する記述のうち、適切なものはどれか。
PCから送信するときはPOPが利用され、受信するときはSMTPが利用される。
PCから送信するときはSMTPが利用され、受信するときはPOPが利用される。
PCから送信するときも、受信するときも、ともにPOPが利用される。
PCから送信するときも、受信するときも、ともにSMTPが利用される。
解答
解説 メール送信の流れは下のようになります。

メール

PCからサーバへはSMTP、その後サーバ間もSMTPで送信されます。最後の、受信のときのみPOP3(POPのバージョン3)が利用されます。

SMTPはSimple Mail Transfer Protocolの略で、POPはPost Office Protocolの略です。現在はバージョン3や暗号化されたAPOPが使われています。

問76 業務アプリケーションソフトウェアを独自に開発せず、ソフトウェアパッケージを導入する目的として、最も適切なものはどれか。
開発環境の充実
開発コストの削減
開発手法の習熟
開発担当者のスキルの向上
解答
解説 独自でアプリケーションを開発する技術がない企業や、開発コストがかかり過ぎる場合にソフトウェアパッケージの導入を行います。実際に開発を行わなければ、環境の充実化や技術の取得や向上は見込めません。

問77 暗号化に関する記述のうち、適切なものはどれか。
暗号文を平文に戻すことをリセットという。
共通鍵暗号方式では、暗号文と共通鍵を同時に送信する。
公開鍵暗号方式では、暗号化のための鍵と平文に戻すための鍵が異なる。
電子署名には、共通鍵暗号方式が使われる。
解答
解説 暗号化には大きく分けて暗号鍵と復号鍵が同じな共通鍵暗号方式と、暗号鍵と復号鍵が異なる公開鍵暗号方式があります。

暗号の基本的な流れを下の図に示します。

暗号

電子署名(ディジタル署名)は、公開鍵暗号方式で用いられる認証機能のことです。

問78 マルチメディアのファイル形式であるMP3はどれか。
G4ファクシミリ通信データのためのファイル圧縮形式
音声データのためのファイル圧縮形式
カラー画像データのためのファイル圧縮形式
ディジタル動画データのためのファイル圧縮形式
解答
解説 情報を伝達する場合に、そのままではなく圧縮して送られることが多くあります。そのときの形式について下にまとめておきます。

音声データ:MIDIやMP3
カラー画像:GIF、JPEG、PNG
動画データ:MPEG、AVI
ファクシミリ通信:MH MR MMR JBIG(G4はMMRとJBIG)

ファクシミリ通信とは、画像情報を通信回線を通して遠隔地に伝送するもので、FAXなどをイメージしてもらえれば分かりやすいかと思います。

また、MP3とMPEG3を混合される方がいますが、MPEG3というのは存在しません。

問79 従来のサーバが個別に備える電源装置や外部インタフェースなどをサーバ間で共有し、高密度化、省スペース化を実現したサーバシステムはどれか。
タワー型サーバ
デスクトップ型サーバ
ブレード型サーバ
ラックマウント型サーバ
解答
解説 4つのサーバの形態について下にまとめます。

タワー型:拡張性を重視した形態
デスクトップ型:一般的な形態
ブレード型:ブレードと呼ばれる高密度化されたケースを何台もセットでき、外部電源やインタフェースを共有する。
ラックマウント型:ブレード型と似ているが、電源やインタフェースは個別に持っている。

問80 横軸を点数(0〜10点)とし、横軸を人数とする度数分布のグラフが、次の黒い棒グラフになった場合と、グレーの棒グラフになった場合を考える。二つの棒グラフを比較して言えることはどれか。

画像(問80)を表示できません
分散はグレーの棒グラフが、黒の棒グラフより大きい。
分散はグレーの棒グラフが、黒の棒グラフより小さい。
分散はグレーの棒グラフと、黒の棒グラフで等しい。
分散はこのグラフだけで比較することはできない。
解答
解説 統計的な用語について、軽く下にまとめます。

平均:データの値の平均:全部のデータの合計/データの個数
分散:データのばらつき:全体の平均からの誤差の2乗/データの個数(2乗するのは、負数をプラスにして統一するため)
標準偏差:分散の平方根

つまり分散とは、平均からのデータのばらつきなので、値が中央に寄っているグレーの方が、末広がりになっている黒よりも分散が小さいといえます。