平成19年度秋期 シスアド 問1−20 解答編





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シスアド

(初級システムアドミニストレータ試験)

解答と解説のページです。

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問1 キャッシュメモリの効果として、適切なものはどれか。
主記憶から読み出したデータをキャッシュメモリに格納し、CPUが後で同じデータを読み出すときのデータ転送を高速に行う。
主記憶から読み出したデータをキャッシュメモリに保持し、命令を並列に処理することによって演算を高速に行う。
主記憶から読み出した命令をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上でデコードして実行することによって演算を高速に行う。
主記憶から読み出した命令をキャッシュメモリに保持し、この命令読み出しと並列に、主記憶からデータをレジスタに読み出すことによってデータ転送を高速に行う。
解答
解説 キャッシュメモリは、主記憶装置とCPUの間にある装置で、CPUが同じデータを読み出す場合に高速で読み出せます。少し補足をすると、まったく同じデータを近い時間に何度も読み出す(時間的局所性)、メモリアドレス的に近い場所を何度も読み出す(空間的局所性)という2つの局所性の理論を基底にしています。また、キャッシュメモリを複数用意することもあり、CPUに近い方から順に1次・2次・3次となっています。2次くらいが一般的です。

問2 1セクタが512バイトのディスクを、28ビットで表すセクタ番号で管理するとき、最大何Gバイトの容量まで管理することになるか。ここで、512×221を1Gバイトとする
32
64
128
256
解答
解説 28ビットで表すということは、228個の番号を表すことができるということです。つまり、512×228/1Gの容量(512×221)=27=128Gバイトを表せます。

問3 周辺機器との接続インタフェースであるIEEE1394とUSBの両方に共通する特徴はどれか。
コンピュータや機器の電源を入れたままでも、機器の着脱が可能である。
最大転送速度が、100Mビット/秒である。
接続する機器ごとに、重複しないIDを設定する必要がある。
複数のデータ線をもち、転送方式がパラレル転送である
解答
解説 どちらも、現在主流のインタフェースでシリアル転送・ホットプラグ・プラグアンドプレイ・ツリー接続(IEEE1394はデイジーチェーンも可能です)等の共通点があります。

問4 多くの周辺機器を、ハブを使ってツリー上に接続できるインタフェース規格はどれか。
IDE
RS−232C
SCSI
USB
解答
解説 USBはツリー接続の代表格です。代表的な接続法の2つを以下に示します。

画像(問4kai)を表示できません

問5 電圧を加えると自ら発光するのでバックライトが不要であり、低電圧駆動、低消費電力を特徴とするものはどれか。
CRT
PDP
TFT液晶
有機EL
解答
解説 この問題の出題率もたかいです。しかも有機ELばかりです。しっかり覚えましょう。4つの違いを以下にまとめます。

CRT:いわゆる普通のブラウン管のディスプレイ。電子ビームを使って画像を作ります。
PDP:PはプラズマのPで、高い電力が必要となります
TFT:TはトランジスタのTで、1つ1つの画素をトランジスタの発光で実現しています
有機EL:自らの発光でバックライトの不要なタイプ。次世代に期待されています

問6 データ転送速度が16Mバイト/秒のCFカードを用いるとき、1000×800画素の画像は、1秒間に約何枚転送できるか。ここで、画像圧縮はせず、1画素は24ビットで表すものとする。
0.8
5
6.6
20
解答
解説 まず、1枚のデータ量を求めましょう。1000×800×24ビット=2400Kバイトとなります。つぎに、転送枚数をもとめます。16Mバイト(16000Kバイト)/2400Kバイト≒6.6枚となります。

問7 仮想記憶方式によって得られる効果はどれか。
主記憶の実効アクセス速度が速くなる。
主記憶の見かけの容量を拡大する
消費電力が少なくなる。
電源を切っても主記憶の情報が消えなくなる。
解答
解説 仮想記憶方式とは、HDD等の一部を主記憶装置の一部とみなすことで、主記憶装置の見かけ上の容量を大きくすることができます。主記憶装置と、HDDでは主記憶装置の方がアクセス速度は速いので、実効アクセス速度は遅くなります。

問8 三つのジョブA〜Cのプリンタ出力をスプーラ経由で行う。各ジョブは、同時に処理を開始し、Aは10秒後、Bは70秒後、Cは80秒後に処理を終了し、プリンタ出力要求を発行する。スプーラは、処理要求を受け付けた後、プリンタ出力が終われば次のプリンタ出力を開始する。プリンタへの出力時間はどのジョブも30秒である。すべてのプリンタ出力が完了するのは、ジョブが開始してから何秒後か。
100
110
120
130
解答
解説 計算をする前に、スプーリングについて説明します。スプーリングとは、プリンタなどに代表される処理速度の遅い装置に出力をするときに、一旦高速なHDD等のようなものに書き込んでおくことで、待ち時間を短縮させる技術で、この一時的に保存しておくバッファ領域をスプール。バッファを提供するHDD等をスプーラといいます。

それでは、計算に移ります。10秒から30秒間(つまり40秒後)でAの印刷が終了します。Bは70秒後から30秒間(つまり100秒後)でBの印刷が終了します。Cは80秒後に出力をしたいわけですが、まだBが印刷しているので、Bの印刷の終了(100秒後)まで待たされます。よって、100秒後から30秒間(つまり130秒後)でCの印刷が終了します。


問9 A、Bというディレクトリ名をもつ複数個のディレクトリが図の構造で管理されている

カレントディレクトリを \A\B → .. → ..\B → .\A の順に移動させた場合、最終的なカレントディレクトリはどこか。ここで、ディレクトリの指定方法は次のとおりとする


〔ディレクトリの指定方法〕
(1) ディレクトリは、“ディレクトリ名\…\ディレクト名”のように、経路上のディレクトリを順に“\”で区切って並べた後に、“\”とディレクトリ名を指定する。
(2) カレントディレクトは“.”で表す。
(3) 1階層上のディレクトリは、“..”で表す。
(4) 始まりが“\”のときは、左端にルートディレクトリが省略されているものとする。
(5) 始まりが“\”、“.”、“..”のいずれでもないときは、左端にカレントディレクトリ配下であることを表す“.\”が省略されているものとする

画像(問9)を表示できません
\A
\A\A
\A\B\A
\B\A
解答
解説 コマンドプロンプト等のCUIを経験している人には簡単だったと思います、4つの手順を順番に追っていきます。

@『\A\B』:\A\Bの位置に移動
A『..』:一つ上にあがる。→\Aに移動
B『..\B』:一つ上にあがって、その下のBに移動する。→\B
C『.\A』:現在の位置から、その下のAに移動する。→\B\A

Aは『..』と『\B』に分けることができます。Bは『\A』と同義であることをきちんと確認しておいた方がいいでしょう。


問10 データ管理ユーティリティの一つである。アーカイバの機能を説明したものはどれか。
磁気ディスクに、データを記録するための領域と、それを管理するための領域を作成する。
データのバックアップや配布のために、複数のファイルを一つにまとめたり、元に戻したりする。
不正使用や破壊からデータを守るファイルプロテクトや、不正コピー防止のためのコピープロテクトなどによって、データを保護する。
フラグメンテーションが発生した磁気ディスクで、ファイルを可能な限り連続した領域に再配置する。
解答
解説 アーカイバとは、複数のファイルを1つにまとめたり(圧縮など)、もどしたり(伸長『解凍とも言います』など)する機能をいいます。ちなみに、ユーティリティとは、補助的にあると便利なソフトウェアのことをいいます。余談になりますが、NHKアーカイブスというNHKの昔のデータを保存している施設があるのですが、このアーカイブスも同じ意味です。

問11 クライアントサーバシステムを構築する。ブラウザによってクライアント処理を行う場合、専用のアプリケーションによって行う場合と比較して、最も軽減される作業はどれか。
クライアント環境の保守
サーバが故障したときの復旧
データベースの構築
ログイアカウントの作成と削除
解答
解説 専用のアプリケーションとブラウザを比較した際に、最も大きな差は専用アプリケーションのアップデート等を行う場合、わざわざ専用のサーバ等からダウンロードして修正しなければなりませんが、ブラウザであればそんな必要もありません(サーバの方では必要かもしれません)。よって、クライアント環境の保守が当てはまると考えられます。また、今後専用アプリケーションを作成や変更を行わなくてもよくなるため、コスト面などでも良いかもしれません。

問12 システムで使用するネットワーク対応のプリンタの台数を、次の式で求める

画像(問12)を表示できません

平均印刷時間が30秒で、印刷データが1分間に平均1.5件送られてくるとき、プリンタの利用率を50%以内に抑えるためには、プリンタは最低何台必要か。

2
3
4
5
解答
解説 まずは、平均印刷時間がすでに出ているので、平均到着間隔を求めます。データは1分間に1.5件=2分で3枚=120秒で3枚=1枚は40秒間隔で送られてくることがわかります。これを下の式に代入すると、トラフィック密度は、30/40で0.75となります。つぎに、上の式にこの値を代入すると、0.75/0.5=1.5台となります。1.5台のときにちょうど利用率が50%になるので、2台あれば十分だということが分かります。

問13 スループットに関する記述のうち、適切なものはどれか。
ジョブとジョブの実行の間にオペレータが介入することによってシステムの遊休時間が生じても、スループットには影響を及ぼさない。
スループットはCPU性能の指標であり、入出力の速度、オーバーヘッド時間などによって影響を受けない。
多重プログラミングはターンアランドタイムの短縮に貢献するが、スループットの向上にはあまり役立たない。
プリンタへの出力を一時的に磁気ディスク装置へ保存するするスプーリングは、スループットの向上に役立つ。
解答
解説 スループットは単位時間当たりの処理量のことです。遊休時間があるとスループットは低下しますし、ターンアラウンドタイムが短縮するということは、スループットが向上するということにつながります。また、スプーリングはスループットを向上させる代表的な技術の一つです。

問14 ベンチマークテストの説明として、適切なものはどれか。
監視・計測用のプログラムによってシステムの稼働状態や資源の状況を測定し、システム構成や応答性能のデータを得る。
使用目的に合わせて選定した標準的なプログラムを実行させ、その処理性能を測定する。
将来の予測を含めて評価する場合などに、モデルを作成して模擬的に実験するプログラムでシステムの性能を評価する。
プログラムを実際には実行せずに、机上でシステムの処理を解析して、個々の命令の出現回数や実行回数の予測値から処理時間を推定し、性能を評価する。
解答
解説 ベンチマークテストは、標準的なプログラムを実行してそれにかかった時間や精度などで、そのコンピュータの性能を(原則としては相対的に)評価します。代表的なテストとしては、SPECint(整数の演算)やSPECfp(浮動小数点の演算)などがあります。

問15 PCと2台の装置A、Bで構成されるシステムを考えるとき、そのシステム全体の稼働率を表す式が、

1 - (1 - 装置Aの稼働率) × (1 - 装置Bの稼働率)

となるものはどれか。ここで、PCの故障は考慮しないものとする。
データ入出力用端末(装置A)が、通信回線(装置B)を経由してPCに接続されている。
データ入力専用端末(装置A)とデータ参照専用端末(装置B)とがPCに接続されている。
データ入力用の装置として、内臓FD装置(装置A)に加え、外付けFD装置(装置B)がPCに接続されている。
データ入力用の内臓FD装置(装置A)に加え、データベース用の磁気ディスク装置(装置B)がPCに接続されている。
解答
解説 この式は、並列接続の稼働率を表す有名な式です。確実に覚えておいた方がいいでしょう。並列接続ということは、装置Aか装置Bのどちらかが動いていれば全体として、稼働しているとみなせるものはどれかということを聞いています。ほかの選択肢は直列であるとみなせます。

問16 DHCPを説明したものはどれか。
IPアドレスからMACアドレスを取得するためのプロトコルである。
IPアドレスからホスト名を取得するためのプロトコルである。
IP通信においてエラー通知や通信状態の診断に使用されるプロトコルである。
LANに接続する端末に、アドレスプールからIPアドレスを割り振るためのプロトコルである。
解答
解説 DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)とは動的にIPアドレスを割り振るプロトコルのことで、まず、IPを幾つか確保しておきます(アドレスプール)。接続があった端末にそのなかから、つまり空いているIPアドレスを割り当てます。つまり、この機能を前提としてネットワークを利用する場合は、通信を行うたびにIPアドレスが異なる可能性もあります。(IPv6に対応したDHCPをDHCPv6といいます。)

問17 インターネットに関するプロトコル及び言語に関する記述のうち、適切なものはどれか。
FTPは、電子メールにファイルを添付して転送するためのプロトコルである
HTMLは、文章の論理構造を表すタグをユーザが定義できる言語である。
HTTPは、HTML文章などを転送するためのプロトコルである。
SMTPは、画像情報を送受信するためのプロトコルである。
解答
解説 重要なプロトコルを以下にまとめます。

FTP(File Transfer protocol):ファイルのダウンロードやアップロードを行うときに使用されます。
HTTP(Hyper Text Transfer Protocol):ハイパーテキスト形式(HTMLやXML等)の転送に使用されます。URLのhttpもこれのことです。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol):メールを送信するときに使われるプロトコル。サーバー間の転送も担当します。
POP3(Post Office Protocol):メールをサーバから取り出すときに使われるプロトコル

問18 インターネットを経由してA社からB社に10通の電子メールを連続して送ったところ、B社には送った順序とは異なる順序で届いた。これについて、適切な見解はどれか。
A社のメールサーバの設定に問題がある。
B社の電子メールに関するファイアウォールの設定に問題がある。
後から到着した電子メールは転送中に改ざんされた可能性が高い。
転送経路が同一とは限らないので、到着順序は変わることがある。
解答
解説 選択肢アやイだった場合は、すべてのメールが影響を受けて送信エラーのような状態になります。選択肢ウですが、特定のメールだけが届くかず、極端に遅れ、改ざんや盗聴に対するセキュリティ対策を行っていなかった場合には、その可能性も全くないわけではありませんが、今回の場合はそういうった極端な例ではないので、選択肢エが妥当だといえます。

問19 2.4GHz帯の電波を利用し、半径10mの範囲で1Mビット/秒程度までの通信速度を実現する無線技術はどれか。
Bluetooth 1.0
IEEE 802.11b
IEEE 802.11g
IrDA
解答
解説 4つとも無線の規格で混合しやすいので、以下にまとめます。

Bluetooth 1.0 : 1Mbps程度の通信を行える
IEEE 802.11b : 10Mbps以上の通信を行える。現在の無線LANの主流
IEEE 802.aag : 約54Mbpsの高速通信が行える。
IrDA : 赤外線を利用したもので、比較的低速な通信を行う。

なお、『Bluetooth 1.0』『IEEE 802.11b』『IEEE 802.11g』はいずれも2.4GHzという値の周波数帯を利用していますが、これは無免許で行えるためこの周波数帯を利用しています。


問20 データマイニングの説明として、適切なものはどれか。
大量のデータを高速に検索するための並行的アクセス手法
大量のデータを統計的、数学的手法で分析し、法則や因果関係を見つけ出す技術
販売実績や製造実績などの時系列データを大量に蓄積するデータベースの保存手法
ユーザの利用目的に合わせて、部門別のデータベースを作成する技術
解答
解説 データマイニング(あるいはデータマイニングツール)とは、業務でいままで蓄積してきた大量のデータ(データウェアハウス)から相関関係などを分析することによって、今後の意思決定を支援する技術のことです。一見紙おむつと生ビールには全くの関係がないように見えますが、統計学的に調べてみたところ、紙おむつを買う年代は若い夫婦の場合が多く生ビールも購入するケースが多いなど、関係がなさそうに見えるものにも相関関係等を見つけ出します。データウェアハウスと合わせて覚えておくとよいでしょう。