平成19年度春期 シスアド 問1−20 解答編





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シスアド

(初級システムアドミニストレータ試験)

解答と解説のページです。

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問1 磁気ディスク装置において、磁気ヘッドをある位置から目的の位置に移動させるのに要する時間を何と呼ぶか。
アクセス時間
サーチ時間
シーク時間
データ転送時間
解答
解説 解答欄の4つは非常に親密な関係があり、関係を式にすると次のように表すことができます。

アクセス時間 = シーク時間 + サーチ時間 + データ転送時間

次に各時間の説明ですが
アクセス時間
→入出力の要求があってから、実際にデータが転送されて手元に来るまでの総時間

シーク時間
→磁気ヘッドをある位置から読み出すデータのあるトラックの位置までくるまでの時間。

サーチ時間(回転待ち時間)
→読み出すデータのトラックに移動した磁気ヘッドが読み出すデータの上にくるまでの時間です。

データ転送時間
→実際にデータを読み取って必要な場所に転送するまでの時間です。

よって、シーク時間、サーチ時間、データ転送時間の順にかかります。また、これらはトラックの外側と内側、トラックに移動した後の近さによって少なからず変化するため、平均値で算出されます。


問2 磁気ディスクのデフラグメンテーションをすることによって、期待できる効果はどれか。
エラーのあるクラスタを代替クラスタに置き換える。
ファイルの見かけの容量が減少する。
ファイルの読み誤りが減少する。
ファイルを連続的に読み込むときのアクセス時間が短くなる。
解答
解説 フラグメンテーションをしたものを解消することをデフラグメンテーションといいます。フラグメンテーションを断片化。デフラグメンテーションを略してデフラグや最適化などと言ったりもします。

フラグメンテーションはファイルの追加や削除を繰り返し行うことで発生し、データを取り出すときに格納されている場所がばらばらのため、あっちこっちに拾いに行く必要ができるためシーク時間が大きくなり、アクセス時間が低下します。よって、これを解消することでアクセス時間が短縮することができます。


問3 磁気ディスクのデータ領域を16kバイト単位で管理するファイルシステムがある。このデータ領域一杯に、大きさが22kバイトのファイルと8kバイトのファイルを個数の比率1:1で作成した場合、磁気ディスクの全データ領域に占める実データの割合は約何%か。ここで、磁気ディスクの容量は十分に大きいものとする。
59
63
78
94
解答
解説 16kバイト単位というのは、16kバイトでしか区切りを作ることができないということです。つまり1kバイト使おうが16kバイト使い切ろうが、どちらにしろ16kバイトを使ってしまうということになります。

22kバイトは16kバイトが2つ → 22kバイトがデータ。10kバイトが無駄
8kバイトは16kバイトが1つ → 8kバイトがデータ。8バイトが無駄

比率は1対1なので、22k+8k=30kがデータ。10k+8k=18kが無駄となります。これを比率に直すと[データ/全体]=[30/48]≒0.625となります。

問4 表に示す仕様の磁気ディスク装置の理論上の最大読み書き速度は、何Mバイト/秒か。ここで、1Mバイトは10バイトとする。

画像(問4)を表示できません
1.25
3.0
10.0
33.0
解答
解説 まず、rpmとは『Revolution Per Minute』の略で1分間に何回転できるかという単位です。つまり、この問題では1分間に6000回転するので、1秒間に100回転するということになります。次に、1回転で読み取れるデータ量を計算します。トラックは、ディスク1周分で、セクタはトラックを分割したものです。

1トラックは500×200バイト=100000バイト=100kバイト
よって、1秒間にこのデータを100回転して読み出すので100×100kバイト=10000kバイト=10Mバイトとなります。

※ トラックの内側と外側では面積が違いますが、容量は一定になっています。(内側の方が密度が高いことになります)

問5 電源を入れたままで機器を着脱できるホットプラグに対応した、高速のシリアルインタフェースであり、FireWireとも呼ばれているものはどれか。
IEEE1394
SCSI
USB
シリアルATA
解答
解説 問題中にあるホットプラグとは電源を付けたままで機器の脱着ができる機構のことで。プラグアンドプレイ(接続するとデバイスドライバなどを自動的に設定し、すぐに使用できる機構)と合わせて覚えておくといいと思います。

IEEE1394:FireWireとも呼ばれるシリアルインタフェースです。
SCSI:基本的にパラレルインタフェースのでディジーチェーンで接続するインタフェース
USB:現在様々なところで使われているインタフェースで、USBとは Universal Serial Bus の略でシリアルとついているので、もちろんシリアルインタフェースです。
シリアルATA:ATAというパラレルインタフェースの後継でSATAと記述したりもします。パラレルからシリアルにしたにも関わらず速度は向上しています。おもに内臓HDDを接続するのに使用されています。

問6 レーザプリンタの性能を表す指標として、最も適切なものはどれか。
1インチ(2.54cm)当たりのドット数と1分間に印刷できるページ数
1文字を印字するのに使われる縦横のドット数と1秒間に印字できる文字数
印字する行の間隔と1秒間に印字できる行数
印字する文字の種類と1秒間に印字できる文字数
解答
解説 1インチ当たりに表示することができるドット数をdpi(Dot Per Inch)といい。これが多いほど細かくドットを表せるので、よりきれいに表示できるといえます。また、1分間(あるいは単位時間)に印刷することができる速さもプリンタのハードの性能を評価する上で重要な項目といえます。

印字する行の間隔や印字する文字の種類はソフトウェアの方で指定できるため、性能指標とは言えないでしょう。


問7 アナログデータをディジタルデータに変換する必要がある処理はどれか。
JPEG形式の画像を、MOに保存する。
MPEG形式のカラー動画を、ディスプレイに出力する。
磁気ディスクに保存された音声を、ヘッドフォン端子に出力する。
マイクロフォンで音声を取り込み、CD−Rに保存する。
解答
解説 まず数学的には、アナログとは連続的なデータ。ディジタルとは離散的(1と0などのように、とびとびの値)なデータです。また、アナログをディジタルに変換する回路をA/Dコンバータ。ディジタルをアナログに変換する回路をD/Aコンバータといいます。

次に、コンピュータ上で扱えるデータはすべてディジタルデータです。ア・イはディジタルからディジタル、ウはアナログからディジタル、エはディジタルからアナログへの変換が必要です。


問8 仮想記憶方式のPCで、新たにアプリケーションを起動しようとしたところ、仮想記憶領域不足エラーになった。このアプリケーションを起動できるようにするための暫定対策として、適切なものはどれか。
起動したいアプリケーションの実行優先度を低くする。
起動したいアプリケーションの主記憶割当て量を少なくする。
起動中のアプリケーションのうち、不要不急の幾つかの実行優先度を低くする。
起動中のアプリケーションのうち、不要不急の幾つかを停止する。
解答
解説 仮想記憶とはHDD等を主記憶装置の一部とみなして動作させる方式ののことです。見かけ上の主記憶装置の容量を増加させ、容量の大きなプログラムなどを実行させることができます。この仮想記憶を用いても領域不足エラーというのですから、これは、アプリケーションを止めて記憶領域を空けてもらうしかありません。根本的な解決方法には主記憶装置の増設などが挙げられます。また、HDDは主記憶装置と比べて非常に低速になるため、仮想記憶を使うと処理が遅くなることがあります。

問9 PCのプラグアンドプレイに関する記述として、適切なものはどれか。
アプリケーションを起動させるための機構である。
周辺機器を接続するときに、必要な設定を自動的に行う機構である。
電源を入れると自動的にOSを起動する機構である。
ほかのOS用に作られたソフトウェアを動作させるための機構である。
解答
解説 プラグアンドプレイとは、接続すると自動的にデバイスドライバなどの設定を行い、すぐに使用できる機構です。プラグアンドプレイ(plug and play)→ 栓と使用 → さしてすぐ使えるという意味です。ホットプラグ(本体の電源を付けたままで機器の脱着が可能な機構)と合わせて覚えておくと良いでしょう

問10 ファイル、フィールド(項目)、レコードの関係のうち、適切なものはどれか。ここで、”>”の左側が上位の構成要素とする。
ファイル>フィールド>レコード
ファイル>レコード>フィールド
フィールド>ファイル>レコード
フィールド>レコード>ファイル
解答
解説 この3つは表に見立てると分かりやすいです。表 → ファイル、レコード → 1行、フィールド → 1列(データベースにおいても似たように解釈されています)。

アンケートに例えると
100人分の全体を集計したデータ → ファイル
1人分のデータ → レコード
1人が記述した各項目(登録番号・氏名・年齢・性別等) → フィールド のように考えることができます。

問11 システムの稼働率の高い順に並べたものはどれか。ここで、各システムを構成するコンピュータは同一であるものとする。
コールドスタンバイシステム、シンプレックスシステム、デュアルシステム
コールドスタンバイシステム、デュアルシステム、シンプレックスシステム
シンプレックスシステム、コールドスタンバイシステム、デュアルシステム
デュアルシステム、コールドスタンバイシステム、シンプレックスシステム
解答
解説 3つを下のように比較してみます。これと同じく重要なホットスタンバイシステムについても紹介します。

デュアルシステムは:2台が同時に稼働していて結果を照合するシステム
ホットスタンバイシステム:2台を同時に稼働させておくが、一方は待機状態にしておくシステム
コールドスタンバイシステム:メインが故障したときにもう1台が代わりに処理を行うシステム
シンプレックスシステムは:1台のみの単純なシステム。故障するとお終いです。

稼働率の比較は
デュアルシステム > ホットスタンバイシステム > コールドスタンバイシステム > シンプレクスシステム

ホットスタンバイとコールドスタンバイの差は、一方が故障してから切り替えるまでのスピードの差によります。

問12 RFID(Radio Frequency Identification)を利用して実現できることはどれか。
家庭から銀行などの金融機関のサービスを利用する。
携帯電話でワンセグ放送のテレビ番組を視聴する。
携帯電話や携帯音楽プレーヤに音楽データをダウンロードする。
図書館で自動貸出欄に書籍をまとめて置くことで一度に貸出手続が進む。
解答
解説 RFIDは小さな無線チップのことで、非接触で識別できるため、バーコードのようにいちいちその部分を読み取らせなくても、まとめておくだけで、各品物を識別することができます。この技術の応用としてSuicaやEdyなどのICカードのようなものもあります。ちなみにFrequencyは周波数 Identificationは識別などという意味です。

問13 コンピュータシステムのベンチマークテストの説明として、最も適切なものはどれか。
1命令の実行に要する平均時間から、コンピュータの性能を測る。
システムが連携して稼動する割合を測定し、ほかの製品と比較する。
想定されるトランザクション量にシステムが耐えられるかを判定する。
測定用のソフトウェアを実行し、システムの処理性能を数値化して、ほかの製品と比較する。
解答
解説 ベンチマークテストは測定用のプログラムを実行し、ハードウェアやソフトウェアの性能を相対的な数値として表わすことを目的としています。ベンチマークテスト自体にもいろいろな種類があり、整数の計算や浮動小数点数の計算などをさせたりするものもあります。

問14 2台のPC、ファイルサーバ1台、プリンタ1台がLANで接続されたシステムがある。プリンタとファイルサーバの稼動率はそれぞれ0.9であり、PCの稼働率は0.8である。このシステム全体の稼働率を求める式として、適切なものはどれか。ここで、PCは少なくとも1台が動いていればシステムとして稼働しているものとする。

画像(問14)を表示できません
0.92×0.82
0.92×(1-(1-0.8)2)
(1-0.92)×0.82
(1-0.92)×(1-0.8)2
解答
解説 状況を整理すると以下のように表すことができます。

画像(14kai)を表示できません

よって、『0.9の直列と0.8の並列』の直列が正解になります。

問15 フォールトトレラントシステムの実現方法に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
システムを1台のコンピュータではなく、複数台のコンピュータで多重化する。
システムをフェールソフト構造ではなく、フェールセーフ構造にする。
装置や機器を二重化するのではなく、重要な処理を稼働率の高い装置で処理する。
ハードウェアではなく、ソフトウェアによってフォールトトレラントを実現する。
解答
解説 フォールトトレラントは耐故障性という意味で、故障したい際にシステムを暴走しないようにする工夫のことです。その中でも代表的な2つについて整理しておくと

フェールソフト:故障したときに能力を低下させてでも、システムを継続使用できる工夫
フェールセーフ:故障したときに安全にシステムを停止できる工夫

となります。フォールトトレラントは基本的にハードウェアの多重化などで実現するので、ウやエは間違いです。また、故障そのものをしにくくする工夫をフォールトアボイダンス(高信頼性)といいます。

問16 CTI技術を応用したシステムに関する記述として、適切なものはどれか。
携帯電話から電子メールの送受信ができる電子メールシステム
社外のPCから、リモートアクセスポイントに接続して承認ができる決裁処理システム
販売した製品に関する問合せに対応するコールセンタの電話応答システム
ブラウザからインターネット経由で製品の注文ができる受発注システム
解答
解説 CTI(Computer Telephony Integration)はコンピュータと電話、FAXを連動させる技術で企業のコールセンター等で利用されており、『○○だったら1番を、××だったら2番を押してください』のようなものもこの技術の身近な例の1つだといえます。ちなみに Integration 統合、総合という意味です。

問17 アナログTVからHDTV(高品位テレビジョン)までの放送品質を対象にしたディジタル圧縮符号化技術の国際規格であり、ディジタル放送やDVD−Videoで利用されているものはどれか。
MPEG−1
MPEG−2
MPEG−4
MPEG−7
解答
解説 まず、MPEGは動画の規格の1つで現在最も主流なものの1つです。その細かい規格についてですが画質の悪いMPEG−1。高画質のMPEG−2。高圧縮のMPEG−4があります。MPEG−7というのは動画の規格ではなく、マルチメディアのデータの表現形式を定めたもので。1・2・4とは全くと言っていいほど異なっています。最後にMP3とMPEG−3は同じではありませんので、ご注意を

問18 情報分析と意思決定を支援する目的で、基幹業務システムからデータを抽出、再構成して構築されるデータベースを示す概念はどれか。
グループウェア
データウェアハウス
ピープルウェア
ファームウェア
解答
解説 データウェアハウスとは、企業等で発生する大量のデータを解析・分析などを目的に作られた、データベースのことです。データマイニングと合わせて覚えておくとよいでしょう。

問19 商用データベースサービスの説明として、適切なものはどれか。
商業分野に固定して集めた情報を、データベースの形で無償で公開する。
データベースの設計・構築の際に発生する様々な問題について、専門家の立場から助言する。
特定の分野に関して集めた情報をデータベース化し、営利を目的として提供する。
利用者が構築したデータベースについて、その管理業務を代行する。
解答
解説 商用データベースは、商用つまり業務的に利益を上げることを目的としたデータベースのことです。一般の検索では探し出すのが難しい専門的なものを集めて公開したり、検索を代行したりするものが一般的です。

問20 バーチャルリアリティの説明として、最も適切なものはどれか。
画像を上から順次表示するのではなく、モザイク状の粗い画像をまず表示して、徐々に鮮明に表示することによって、GUIを改善することである。
コンピュータで模倣した物体や空間を、コンピュータグラフィックスなどを使用して実際の世界のように知覚できるようにすることである。
自動車や飛行機の設計に使われている風洞実験などの代わりに、コンピュータを使用して模擬実験をすることである。
別々に撮影した風景と人物の映像をコンピュータを利用して合成し、実際とは異なる映像を作ることである。
解答
解説 バーチャルリアリティ(よくVRと略されたりもします)は仮想現実と訳されます。コンピュータ上で様々な情報を基に現実世界の再現を行います。現在では、映画『マトリックス』やゲーム『セカンドライフ』などですっかり有名な言葉となりました。バーチャルリアリティにはCG(コンピュータグラフィックス)が不可欠ともいえます。

一方現実世界にあるものに、特定の装置を通してだけ見ることができる情報を付加する技術を拡張現実といいます。