平成20年度秋期 シスアド 問21−40 解答編





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シスアド

(初級システムアドミニストレータ試験)

解答と解説のページです。

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問21 企業の様々な活動を介して得られた大量のデータを整理・統合して蓄積しておき、意思決定支援などに利用されるものはどれか。
データアドミニストレーション
データウェアハウス
データディクショナリ
データマッピング
解答
解説 データマイニングツールとデータウェアハウスは非常に出題傾向が高いのできちんと覚えておきましょう。以下にまとめます。

データマインングツール:大量のデータから相関関係を見つけ出す技術です。データウェアハウスのデータを使って行います。
データウェアハウス:意思決定を支援したり、データマイニングツール等で利用するための大量のデータが蓄積してあります

問22 インタプリタ方式によるプログラムの特徴として、適切なものはどれか。
一般にコンパイル方式よりも処理が高速であり、大規模なプログラムの作成に向いている。
生成される目的プログラムが、コンパイルによるものよりも大きくなる。
バッチ処理専用であり、会話的処理では使用できない。
プログラムを1行ずつ翻訳しながら実行するので、処理時間がかかる。
解答
解説 インタプリタとコンパイラの差を以下にまとめます。

コンパイラ:一括で機械語に変換する コンパイルに時間はかかるが実行ははやい C言語などが代表例 インタプリタ:必要になった行を機械語にその都度変換する コンパイルは不要だが、実行速度は遅い Basicなどが代表例

問23 Javaの説明として、適切なものはどれか。
1970年代に開発されたインタプリタ型のオブジェクト指向言語であり、エディタやデバッガなどの統合開発環境やOSの機能などを含む
Cにクラスやインヘリタンスといったオブジェクト指向の概念を取り入れたものであり、Cとの上位互換性をもつ。
Webで用いられているマーク付け言語であり、タグによって文章の構造を記述する。テキストや動画などを関連付けたハイパテキストが作成できる。
オブジェクト指向言語の一つであり、ブラウザで動作するアプレットが作成できる。
解答
解説 選択肢アはSmallTalk、選択肢イはC++、選択肢ウはHTML、選択肢エはJAVAアプレットの説明です。JAVAアプレットとはブラウザ上(クライアント上)で動作するJAVAのプログラムのことです。これに対して、サーバ上で動作するものをサーブレット、一般的なプログラムをJAVAアプリケーションといいます。

問24 SGMLの説明として、適切なものはどれか。
HTMLやXMLの基となった言語であり、文章の論理構造を記述するために用いられる。
HTMLを拡張した言語であり、ブラウザ上で画像や文章を表示するときに用いられる。
電子楽器間の通信方式の規格であり、音楽データを処理するときに用いられる。
標準ページ記述言語であり、フォーマット(整形)済み文章の変換などに用いられる。
解答
解説 SGMLはタグを用いて利用するマークアップ言語の一つです。代表的なマークアップ言語をいかにまとめます

HTML:インターネットで最も多く用いらているマークアップ言語。
SGML:国際標準のマークアップ言語
XML:ユーザ自身がタグを定義することができるマークアップ言語

問25 表計算ソフトを使用して、次の式で表現される数列を第10項まで求めたい、セルA3に計算式を入力し、セルA4〜A10に複写する。セルA3に入れる計算式はどれか。

a1=1,a2=2,an=an-2+an-1 (n≧3)

画像(問25)を表示できません
A$1+A$2
A$1+A2
A1+A2
合計(A$1〜A2)
解答
解説 いろいろと回りくどいことが書いてありますが、つまりは、現在あるセル(n)に前(n-1)とその前(n-2)の合計を代入せよという意味です。1や2(行)が固定されてしまうと、うまく下に移動できないので、絶対参照ではなく相対参照で複写を利用して処理を行っています。なお、選択肢エでは全体(1〜n-1まで)の合計を計算しています。

問26 利用者の環境や要求に合わせて、ソフトウェアパッケージの機能の一部を変更することを表す用語はどれか。
アドオン
カスタマイズ
リファクタリング
ローカライズ
解答
解説 利用者(ユーザ)が自分の使いやすいように環境を変更することカスタマイズといいます。カスタマイズはソフトウェアの製作者の承諾なしにいわばプログラムの改変を行うわけですが、これは著作権上認められた行為です。アドオンはプログラムへの追加機能のことで、リファクタリングはプログラムの内容を整理することで、ローカライズはその国の言語を修正したりするような地域ごとの製品修正のことをさします。

問27 EUC(エンドユーザコンピューティング)の特徴のうち、適切なものはどれか。
業務に必要な情報に利用者自身が直接アクセスし、参照したり、加工したりする。
システムの運用・保守が優先されるので、情報システム部門のバックログが増える。
情報システム部門の開発要員を増やす必要があるので、システム部門の運用コストの増大につながりやすい。
情報システム部門の主導でアプリケーションを開発するので、利用者の負担は軽い
解答
解説 EUCは、ユーザ自身がデータを有効に活用することで、EUCを実現するには、エンドユーザに対してパソコンや市販アプリケーションの教育、さらには、簡単に操作できる開発ツールの選定・教育を行う必要があります。さらに、EUCを発展させて、ユーザ自らがシステム開発などを行うことをEUDと言います。

問28 プロトタイピングモデルの特徴として、適切なものはどれか。
開発初期段階での試作を通して、ユーザインタフェースの確定や、応答性などの性能確認を行い、後続段階での仕様変更による手戻りのリスクを減少させる。
開発プロセスを繰り返しながら改良していく成長型モデルの一種である。各繰返しで、開発コストや品質などからリスクを評価し、リスクが最小となるプロセスをとる。
短期間でシステム開発工程を一通り行って部門的に機能を完成させ、この作業を繰り返し、段階的にシステム全体を仕上げる。
要求分析、システム設計、製造、テストの順に実行され、大規模システムの開発に向いている。
解答
解説 ソフトウェアを作るための開発手段にはいくつかの種類があり、ウォータフォールモデル、スパイラルモデル、プロトタイピングモデルはその中でも最も代表的な3つです。3つの特徴を下にまとめます。

ウォータフォールモデル:前工程の成果物が確実であるとみなして、工程の後退をせずにその名の通り水が上から下へ流れる滝のように、順序に開発を進めます。しかし実際には、前の工程で不備が見つかることが多く、古典的であるといわれます。

スパイラルモデル:要求定義から実際に実装までを繰り返しながら開発を進めます。ウォータフォールモデルとプロトタイピングモデルの中間のような感じで、大規模システム開発に向いています。

プロトタイピングモデル:プロトタイプ(試作品)を作って、実際にどんなものかをクライアントに確認を取りながら開発を進めるため、クライアントと開発部の認識の誤差を少なくできます。

問29 取扱商品を管理するために、商品にコードを割り当てたい。先頭から3けたを英大文字、後半3けたには数字を使用した6けたのコードにするとき、最大で何種類の商品を管理することができるか。
2,340
18,576
999,999
17,576,000
解答
解説 英大文字はAからZまでの26種類あるので、263で、17576種類、数字は0から9までの10種類があるので103で1000種類あります。よって、この積で17576000種類あります。後半が1000であることを考えれば、X・・・X000と最後尾が000で終わることに気づけば計算をしなくても答えは分かります。

問30 出力帳票の設計方針のうち、最も適切なものはどれか。
数値項目と文字項目は、それぞれ上下又は左右に分けてひとまとめにする。
帳票に統一性をもたせるために、タイトルの位置、データ項目の配置などに関する設計上のルールを決めておく。
データ項目は、数値項目も文字項目も右詰めで印字する。
プログラムの分かりやすさや保守性を考慮して、データ項目を配置する。
解答
解説 設計方針は基本的に使いやすいか・間違いにくいか・覚えやすいかなどの利便性について常識的に考えれば解くことができます。項目は数値と文字などではなく、関係あるものや重要なものを隣接させるべきです。データ項目は文字は左詰で印字するほうが見やすいといえます。出力眺望にはプログラムの分かりやすさは必要ありません。

問31 食品卸業のA社は、インターネット経由で1,000社を超える取引先から注文を受け付けている。取り扱っている商品は数多く、それらを分類した品目も多岐にわたり、取引先によって注文する商品は異なる。ただし、取引先が注文する品目の日々の変更はすくない。

現在開発中の次期食材発注システムでは、取引先が短時間で商品を指定でき、かつ品目の変更も即応できるようにしたい。最も適切な方法はどれか。

取引先が、A社から配布された商品コード表を見て、商品コードを直接入力する。
取引先が、あらかじめA社にカスタマイズしてもらった商品一覧を表示し、その中から商品を選択する。
取引先が、商品名や品目名などで検索することによって商品一覧を表示し、その中から商品を選択する。
取引先が、必要に応じて自社でカスタマイズした商品一覧を表示し、その中から商品を選択する。
解答
解説 重要なのは、取引先によって注文する商品が異なるが、取引先が注文する品目の変更は少ないという部分です。これを言い換えると、取引先が決まると商品も大体きまるということです。前提として数多くの商品を取り扱っているので、個別に探し出すのは効率的とはいえません。よって、検索や直接入力は間違いです。自社でカスタマイズすることで変更にも即応できるといえます。

問32 入力画面で選択肢のデフォルト値(既定値)を決定する際の考え方のうち、適切なものはどれか。
業務要件に基づいて決定したものなので、値を変更しないほうが良い。
直前の利用者が指定した値をデフォルトにすると、常に効率が良い。
デフォルト値の表示位置は入力画面の左上にしたほうが入力効率が良い。
頻繁に使用される値がある場合は、それをデフォルト値とする。
解答
解説 デフォルト値とは、特に変更がない場合はその値を使うというもので、基本的に最も一般に利用されるものが指定されます。例えば、URLの入力にはhttp://xxx.yyy:ポート番号のように本来は指定しなければなりませんが、特に変更がない場合は省略可能なのと同じ原理です。

問33 GUI画面での入力方式として、候補一覧から選択する方法を採用するのが適切な場合はどれか。
入力データがあらかじめ決められた数種の値だけの場合
入力データのとり得る値が多数ある場合
入力データの編集が必要な場合
文章のような、一定の値とならないデータを入力する場合
解答
解説 プルダウンメニューのように複数の項目から選ぶ場合には、決められた値で多すぎない個数であるというのが一般的な制限です。決められた値(あるいは文字)以外は対応できませんし、あまりに多すぎると探し出すのに時間がかかります。よって、このような場合には、直接入力による検索などをする場合がよいでしょう。

問34 ホワイトボックステストの説明として、適切なものはどれか。
外部設計仕様に基づいてテストデータを作成する。
同値分割の技法を使用してテストデータを作成する。
内部構造に基づいてテストデータを作成する。
入力と出力の関係からテストデータを作成する。
解答
解説 ブラックボックステストは、入力と出力の関係が仕様書通りにできているかを調べるテストです。ホワイトボックステストは、内部構造に着目し論理がきちんとできているかを調べるチェックです。基本的に内部構造のテストにホワイトボックステストを行い、外部仕様のテストにはブラックボックステストを用いるのが一般的です

問35 システム開発におけるテストでは、小さな単位から大きな単位へ、テストを積み上げていく方法が採られる場合が多い。このとき、テストの適切な実施順序はどれか。
システムテスト→結合テスト→単体テスト
システムテスト→単体テスト→結合テスト
単体テスト→結合テスト→システムテスト
単体テスト→システムテスト→結合テスト
解答
解説 このようなテスト方式をボトムアップテストといいます。単体テストは、1つのモジュールで行うテスト、結合テストは、複数のモジュールを結合して行うテスト、システムテストは、全てのモジュールを結合して行うテストです。逆に選択肢アのようなテストをトップダウンテストといいます。

問36 テスト時間と検出したエラー累積の関係を示すグラフは、信頼度成長曲線で近似できることが多い。この信頼度成長曲線とは、どのようなグラフか。
画像(問36ans)を表示できません
解答
解説 品質が安定しているということは、バグが修正され、新しいバグが発見されなくなってきた状態をいいます。つまり、累積バグ数が収束してるグラフを選べばよいことになります。なお、このグラフを信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線)といいます。

問37 あるプロジェクトの作業が、次のアローダイアグラムで示されるとき、すべての作業が終了するまでの最小所要日数は何日か。

画像(問37)を表示できません
10
11
12
解答
解説 クリティカルパスはA→B→E→H→Jとなり、12日間となります。

問38 現時点における設計書作成の作業実績工数及び進捗率は表のとおりである。これまでどおりの生産性で完了まで進められるとすると、すべての設計書を完成させるために今後必要な工数は何人日か。

画像(問38)を表示できません
150
630
780
1,120
解答
解説 内部設計書は、350/0.7で全体では500人日で500−350であと150人日かかります。プログラム設計書は270/0.3で全体では900人日で900−270であと630人日かかります。よって、150+630=780人日かかることが分かります。

問39 メールサーバのハードディスクに障害が発生して、多数のユーザの電子メールが消失した。消失したデータの復旧を試みたが、2週間ごとにしかバックアップを行っていなかったので、最後のバックアップ以降2週間以内の電子メールを回復できなかった。そこで、この反省をふまえ、前日の状態までには復旧できるようにしたい。この対応策として、適切なものはどれか。
2週間後とのフルバックアップに加え、毎日差分バックアップを行う。
電子メールを複数の異なったハードディスクに分散して蓄積する。
バックアップ方法は今のままとして、メールサーバのハードディスクをミラーリングするようにし、信頼性を高める。
毎日、同一のハードディスクにバックアップを行い、2週間に1回、別の記憶媒体にコピーして保管する。
解答
解説 現在の方式では、2週間に1度のバックアップしかとっていないので、その間に障害が発生した場合、このチェックポイントまでさかのぼってしか修復することはできません。よって、もっと間隔を狭めてバックアップをとることで、データの損失を少なくすることができます。選択肢イ、ウ、エの方法では、サーバ自体の信頼率は上がりますが、障害発生時の復旧データ量の減少にはつながりません。

問40 WANで結ばれた社内ネットワーク上にあるサーバを利用したグループウェア用のアプリケーションとして、画像情報を含む大量のデータの定期的な更新を必要とする商品カタログシステムと、データのリアルタイム更新が要求される会議室予約システムを開発している。このグループウェアには複数のサーバ間で自動的にデータベースの内容を一致させる複数機能があり、指定した時刻に更新内容を複製元のデータベースから複製先のデータベースに反映することができる。データ量とアプリケーションの運用面を考慮したとき、適切なデータベース配置はどれか。
商品カタログは単一サーバ、会議予約システムは複製機能を使って複数サーバに配置
商品カタログは単一サーバ、会議予約システムは別の単一サーバに配置
商品カタログは複製機能を使って複数サーバ、会議予約システムは単一サーバに配置
商品カタログは複製機能を使って複数サーバ、会議予約システムも複数機能を使って複数サーバに配置
解答
解説 基本的に一元管理をして矛盾が発生してはいけないものは単一サーバにおき、一元管理をする必要がなく、負荷が大きいものは分散配置を行います。個の場合は、会議室の予約システムは矛盾や重複が許されないので単一サーバに置く方がよいといえます。また、単一サーバにおいて処理量が大きくなる場合は、単一サーバの二重化などで負荷を分散させます。