平成23年度 秋期 ITパスポート試験 問1−20 解答編




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ITパスポート

(エントリ試験)

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問1 情報システム部員の技術スキル習得に関する施策のうち、OJTに該当するものはどれか。
参画しているプロジェクトにおいて、モデル化のスキルを習得するため、一部の業務プロセスのモデル化を担当した。
数年後のキャリアや将来像を描き、そのために必要となるスキルの洗い出しや習得のための計画を自主的に策定した。
セキュリティに関するスキルを習得するため、専門性の高い社外のセミナーに参加した。
本年度の業務目標の一つとして、今後必要なスキルの習得を通信教育によって行うことを、上司と合意した。
解答
解説 OJT(On the Job Training)とは、上司や先輩から実際の具体的な仕事を通して、能力を高める技法です。 なおこれに対し、職場を離れての訓練はOFF−JT(OFF the Job Training)と呼ばれます。選択肢の中では、実際に業務のプロセスを担当した、選択肢アがOJTであるといえます。

問2 CIOの役割として、最も適切なものはどれか。
客観的な立場から、自社の業務に問題がないか、ITの統制が有効に機能しているかなどを監査する。
経営戦略を実現するための情報戦略の立案及び実施を主導する。
経営戦略を実現するための人事制度を構築し、勤務の実態を把握するなど管理・運営全般を掌握する。
自社の資金効率の向上、及び財務会計の正当性を維持する。
解答
解説 CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)とは、情報技術部門の責任を負う役職をいいます。また、情報戦略の立案や主導を行う責任者でもあります。

選択肢アは、システム監査人の説明です。
選択肢ウは、CHO(Chief Human resource Officer:最高人事責任者)の説明です。
選択肢エは、CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)の説明です。

問3 業務分析を行うときに、DFDを用いて検討するのに適しているものはどれか。
業務のクリティカルパス
業務の作業コスト
業務の作業日程
業務の流れの改善点
解答
解説 DFD(Data Flow Diagram)とは、データの源泉・吸収・処理・蓄積などの関係を、以下のような図を用いて、データフロー、プロセス、ファイル、外部の4つの記号によって表現します。

画像(問DFD)を表示できません

これにより、業務を構築する処理と、その間で受け渡されるデータの流れを表すことができます。

問4 コンピュータプログラムに関する著作権の説明として、最も適切なものはどれか。
改変が認められているフリーソフトを改変した場合、改変部分も含めてその著作権は、別段の定めがない限り、元のフリーソフトの著作者だけに帰属する。
外部のソフトウェアハウスに委託して開発したプログラムの著作権は、別段の定めがない限り、委託元の会社に帰属する。
派遣社員が派遣先で、業務上、作成したプログラムの著作権は、別段の定めがない限り、派遣元の会社に帰属する。
法人の発意に基づき、その法人の従業員が職務上作成するプログラムの著作権は、別段の定めがない限り、その法人が著作権者となる。
解答
解説 それぞれの選択肢を見ていきます。

選択肢ア:改変を行った部分については、改変者に著作権があります。
選択肢イ:システムを委託して開発した場合は、実際に開発を行った委託先に著作権があります。
選択肢ウ:派遣先でプログラムを開発した場合は、派遣先の会社に著作権があります。
選択肢エ:従業員がプログラムを開発した場合、その著作権は個人ではなく、会社に帰属します。

問5 業務で利用されるIT関連サービスに関する記述a〜cと、サービス名称の適切な組合せはどれか。

a 自社のサーバや通信機器を専門業者の施設内に預けて使用する。
b 専門業者の通信設備やサーバの一部を利用者が利用できる。
c ソフトウェアの必要な機能だけを必要時に、利用者がネットワーク経由で利用できる。
画像(問5ans)を表示できません
解答
解説 それぞれの用語と、SaaS,PaaS,IaaSについてまとめます。

ホスティングサービス、レンタルサーバー:、サーバ、サーバの設置場所共にレンタルするサービス。
ハウジングサービス、コロケーションサービス:サーバは自前で用意し、サーバの設置場所をレンタルするサービス。

SaaS(Software as a Service):必要な機能やサービスをインターネット経由で提供する形態
PaaS(Platform as a Service):ソフトウェアを稼動させるためのプラットフォームをインターネット経由で提供する形態
IaaS(Infrastructure as a Service):コンピュータ(仮想マシンを含む)やネットワークをそのものをインターネット経由で提供する形態

問6 単価200円の商品を5万個販売したところ、300万円の利益を得た。固定費が300万円のとき、商品1個当たりの変動費は何円か。
60
80
100
140
解答
解説 用語を整理してから計算します。

固定費:売上に関係なくかかる費用(例:人経費)
変動費:売上に比例してかかる費用(例:材料費)
変動費率:売上高に対する変動費の割合 これは変動費/売上高で算出されます。(変動費=変動費率×売上高)

利益:企業の儲け
利益 = 売上高 − 費用 = 売上高 − (変動費 + 固定費)= 売上高 − (売上高 × 変動費率) − 固定費

それでは、計算に移ります。
300万=200×5万 − (変動費 + 300万)
300万=1000万−変動費−300万
変動費=400万

これを1個当たりで割ると、400万/5万=80円となります。

これを図でまとめると以下のようになります。
損益分岐点を表示できません

問7 電子証明書の申請から電子入札までの手続きが図の@〜Eの手順で行われるとき、Cで行う手続きとして、適切なものはどれか。

画像(問7)を表示できません
開札結果の連絡
電子証明書の発行
電子証明書の有効性の確認
電子入札の実施
解答
解説 順番に並べると以下のようになります。

1.電子証明書の申請
2.電子証明書の発行(選択肢イ)
3.電子入札の実施(選択肢エ)
4.電子証明書の有効性の確認(選択肢ウ)
5.確認結果の応答
6.開札結果の連絡(選択肢ア)

問8 新商品の市場への浸透において重要であるといわれているオピニオンリーダの説明として、適切なものはどれか。
多くの人が当該商品を利用していることを確認してから購入する層
比較的慎重であり、早期購入者に相談するなどしてから当該商品を追随的に購入する層
比較的早期に自らの価値判断で当該商品を購入し、後続する消費者層に影響を与える層
冒険的で率先して当該商品を購入する層
解答
解説 オピニオンリーダとは、集団において後続の人(フォロアー)に大きな影響を与える者で、一般的には評論家などですが、クチコミなどで発言力を持つ投稿者などもこれに相当するといえます。

イノベーション理論においては、新製品の普及を以下の5つのカテゴリーの人物像に分類しています。
1.イノベーター(革新者)2.5%
2.アーリーアダプター(初期採用者)13.5%
3.アーリーマジョリティ(初期多数派)34%
4.レイトマジョリティ(後期多数派)34%
5.ラガード(遅延者)16%

オピニオンリーダは、アーリーアダプターに分類されることが多いです。

問9 損益計算書の営業利益の算出に関係する費用はどれか。
広告宣伝費
固定資産売却損
支払利息
法人税
解答
解説 営業利益は、「売上高 − 売上原価 − 販売費及び一般管理費」によって算出されます。選択肢の中では広告宣伝費が、販売費及び一般管理費に分類されるといえます。

問10 自社の保有する特許の活用方法の一つとしてクロスライセンスがある。クロスライセンスにおける特許の実施権に関する説明として、適切なものはどれか。
許諾した相手に、特許の独占的な実施権を与える。
特許の実施権を許諾された相手が更に第三者に実施許諾を与える。
特許を有する2社の間で、互いの有する特許の実施権を許諾し合う。
複数の企業が、有する特許を1か所に集中管理し、そこから特許を有しない企業も含めて参加する企業に実施権を与える。
解答
解説 クロスライセンスとは、相互ライセンスとも呼ばれ、2つ以上の企業が自社が持つ権利を互いに許諾すること(あるいはその契約)をいいます。これにより、権利の侵害リスクを避けたり、効率よく製品を開発したりすることができます。

また、特許権以外にも知的財産権や著作権などでも同様のことが行われることがあります。

問11 電化製品などに組込みシステムを採用する利点として、適切なものはどれか。
PCとはソフトウェアの構造が異なり、ウイルス感染の危険性がない。
システム設計において、ハードウェアの制約を受けない。
製品の改良に当たって、ソフトウェアの変更だけで一定範囲の機能追加が可能となる。
フェールセーフを担保する環境が提供されており、システムごとの対策が不要である。
解答
解説 それぞれの選択肢を見ていきます。

選択肢ア:組込みシステムのウイルスは普段見ませんが、構造上不可能というわけではなく、ウイルス感染の可能性は多分にあります。
選択肢イ:組込みシステムの方が、一般的なシステム設計よりも大きな制約を受けます。
選択肢ウ:組込みシステムを利用することで、ソフトウェアの変更だけ、機能の追加・変更・削除を実現することができます。
選択肢エ:フェールセーフは、組込みとは本質的に無関係で、組込みでなくとも実現は可能で、組込みを用いたからといってフェールセーフに成るわけでもありません。

問12 システム開発に関する投資プロジェクトA〜Dのうち、最も早く投資を回収できるものはどれか。ここで、毎年の維持管理費用として、初期投資の10%が発生するものとする。

画像(問12)を表示できません
解答
解説 それぞれのプロジェクトを順に見ていきます。

プロジェクトA:1年目=−200−20+50=−170。2年目=−170−20+150=−40。3年目=−40−20+200=140
プロジェクトB:1年目=−300−30+100=−230。2年目=−230−30+200=−60。3年目=−60−30+300=210
プロジェクトC:1年目=−500−50+200=−350。2年目=−350−50+400=0。3年目=0−50+400=350
プロジェクトD:1年目=−600−60+300=−360。2年目=−360−60+400=−20。3年目=−20−60+400=320

よって、プロジェクトCのみが2年目で回収が終了します。

問13 外部のストレージサービスの利用を検討している。可用性の観点でサービスを評価する項目として、適切なものはどれか。
緊急のメンテナンスに伴うサービスの計画外の停止時間
サービス利用の際のユーザインタフェースの分かりやすさ
保管データや利用者に対するアクセス権の設定の自由度
利用するストレージの単位容量当たりの費用
解答
解説 可用性とは、システムをどの程度利用できるかを表す指標です。具体的には稼働率などがこれに相当します。つまり、メンテナンスに伴う停止は可用性の低下要因として評価することができます。

問14 パレート図の説明として、適切なものはどれか。
作業を矢印で、作業の始点/終点を丸印で示して、それらを順次左から右へとつなぎ、作業の開始から終了までの流れを表現した図
二次元データの値を縦軸と横軸の座標値としてプロットした図
分類項目別に分けたデータを件数の多い順に並べた棒グラフで示し、重ねて総件数に対する比率の累積和を折れ線でグラフで示した図
放射状に伸びた数値軸上の値を線で結んだ多角形の図
解答
解説 パレート図は下のような図で、値を表す棒グラフと累積比率を表す折れ線グラフで構成されています。値が全体に占める割合などを調べることができ、重要度の高い項目を探すABC分析などを行うのに適している図です。

パレート図を表示できません

選択肢アは、アローダイアグラムの説明です。
選択肢イは、散布図の説明です。
選択肢エは、レーダーチャートの説明です。

問15 標準化規格とその対象分野の組合せのうち、適切なものはどれか。
画像(問15ans)を表示できません
解答
解説 それぞれの規格についてまとめます。

IEEE802.3:イーサネットに関する規格
IEEE802.11:無線LANに関する規格
ISO9001:品質マネジメント
ISO14001:環境マネジメント

問16 監査役を選任する者又は機関として、適切なものはどれか。
会計監査人
株式総会
社長
取締役会
解答
解説 監査役は、日本の株式会社において、取締役及び会計参与の業務を監査する機関です。監査役は株主総会の決議によって選任されるのが一般的です。

監査役会設置会社においては監査役会の同意を得る必要があり、委員会設置会社では監査委員会が、株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定すると会社法により定められています。

問17 ある情報システムの構築において、ビジネスプロセス上の独立した業務機能という視点で部品化して情報システムを構築しておく。そして、将来の変更や他の情報システムの開発に、それらの部品を容易に利用できる仕組みを作り上げたい。この方法に適合する考え方として、適切なものはどれか。
ASP
DOA
ISP
SOA
解答
解説 それぞれの用語を以下にまとめます。

ASP(Application Service Provider):汎用的なアプリケーションシステムの機能やネットワーク経由で複数の顧客に提供するサービスをいいます。
DOA(Data Oriented Approach:データ中心アプローチ):データ構造や流れに注目して分析を行う手法をといいます。
ISP(Internet Service Provider):インターネットに接続する通信回線を提供する事業者、又はそのサービス形態。
SOA(Service Oriented Architecture):情報システムを製品からの視点ではなく、サービスという視点から部品化し、構築していこうとする考え方。

問18 製造物責任法によって責任を問われるのはどのケースか。
再販売価格を維持することを条件に小売店に製品を販売した。
実際には無い機能をもっていると誤解される広告をして製品を販売した。
取扱説明書に従った使い方をしていても過熱してやけどするなどの危険がある製品を販売した。
兵器として転用可能な製品を担当省庁の許可なしにテロ支援の懸念がある国家に販売した。
解答
解説 製造物責任(PL:Product Liability)法とは、「製造業者等は、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害賠償をする責めに任ずる。」と第3条に記載されています。この場合の製造業者とは、「当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者」などを指します。よって、今回のケースでは選択肢ウが相当するといえます。

問19 ベルトコンベア方式による分業型の流れ作業ではなく、一人又は少人数で最初の工程から最後の工程までを担当する多品種少量生産向きの生産方式はどれか。
セル生産方式
ファブレス生産方式
ライン生産方式
ロット生産方式
解答
解説 それぞれの生産方式を以下にまとめます。

セル生産方式:1人又は複数の作業員が、生産の全工程を相当する方式。多品種少量の生産を行うのに適している方式
ファブレス生産方式:自社では工場をもたずに製品の企画を行い、ほかの企業に製品委託する生産方式
ライン生産方式:流れ作業で行う生産方式で、主力製品の大量生産を行うのに適しています。
ロット生産方式:同じ製品をある程度まとまった量(ロット単位)で作成する生産方式です。

問20 コンピュータソフトウェアを使った新しいビジネスの方法に関して取得できる知的財産権として、適したものはどれか。
意匠権
実用新案権
商標権
特許権
解答
解説 意匠権や商標権は、美観のあるデザインや商売上の標識に関する権利に関わるものです。実用新案権も特許権も自然法則を利用した技術的思想に基づいて発明したものですが、ビジネス方法に係る発明に与えられる特許をビジネスモデル特許といいます。