平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問1−20 解答編




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ITパスポート

(エントリ試験)

解答と解説のページです。

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問1 デファクトスタンダードの意味として、最も適切なものはどれか。
工業製品に関して、日本工業規格として定めたもの
工業や科学技術に関して、国際標準化機構が定めた規格
特定の企業やグループなどが採用した仕様が広く利用されるようになり、事実上の業界標準になったもの
特定の国や地域、企業などに限られた基準ではなく、世界中どこでも適用される規格
解答
解説 選択肢の用語をまとめると下のようになります。

選択肢ア:日本工業規格(JIS規格)
選択肢イ:国際標準化機構(ISO)
選択肢ウ:デファクトスタンダード
選択肢エ:グローバルスタンダード

代表的なデファクトスタンダードには、TCP/IPやイーサネットなどが挙げられます。

問2 パレート図の使用が最も適切である分析対象はどれか。
生産工程の信頼性
製品の重量のばらつき
品質不良の要因ごとの構成比率
二つの変動要素の間の関係
解答
解説 パレート図は下のような図で、値を表す棒グラフと累積比率を表す折れ線グラフで構成されています。値が全体に占める割合などを調べることができ、重要度の高い項目を探すABC分析などを行うのに適している図です。

パレート図を表示できません

選択肢アは下のような図で、管理図を用いるのが適切です。

管理図を表示できません

選択肢イは下のような図で、ヒストグラムを用いるのが適切です。

ヒストグラムを表示できません

選択肢エは下のような図で、散布図を用いるのが適切です。散布図には、正の相関(比例関係)、無相関(関係がない)、負の相関(反比例)の関係があります。

散布図を表示できません

問3 CSRに基づいた活動として、最も適切なものはどれか。
原材料の使用量を減らすとともに、消費電力を少なくした製品を提供する。
自社製品に新しい機能を付加し、他社製品と差別化した製品を提供する。
セル生産方式を導入し、市場の多様なニーズに合わせた製品を提供する。
他企業の買収によって、自社がもっていなかった製品を提供する。
解答
解説 CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは、企業が事業活動を営む上で、社会に与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダ(利害関係者)からの要求に対し適切な説明責任を果たすことをいい、具体的には、関係者への説明責任などがこれにあたります。

問4 データマイニングとは、データベースに蓄積されている大量の生データに対し、統計やパターン認識などの手法を用いることによって、認識されていなかった規則性や関係性を導き出す技術である。データマイニングの応用分野として、最も適切なものはどれか。
顧客に応じた商品の推薦
生産計画に基づき製造機械の割当て
店舗別商品カテゴリ別の売上高の集計
累計購買金額による優良顧客の抽出
解答
解説 データマイングとは、企業の様々な活動を介して得られた大量のデータを整理・統合して蓄積しておき、意思決定支援などに利用されるもので、大量のデータから相関関係を見つけ出す技術です。また、意思決定を支援したり、データマイニングツール等で利用するための大量のデータが蓄積しているデータベースをデータウェアハウスといいます。

問5 複数の企業がアライアンスによって連携して活動する際に、軽減が期待できるリスクとして、最も適切なものはどれか。
事業投資リスク
情報漏えいリスク
人材流出リスク
不正リスク
解答
解説 アライアンス(alliance)とは、同盟という意味で、この場合は、企業の提携を表します。企業の提携の相互協力体制により、互いに事業投資のリスクを軽減できるといえます。

問6 ハウジングサービスについて説明したものはどれか。
サービス提供事業者が、インターネット経由で業務ソフトウェアを提供するサービス
サービス提供事業者が、ほかの企業の情報システムに関する企画や開発、運用、管理、保守業務を行うサービス
サービス提供事業者が、利用者に自社の建物内に設置したサーバや通信機器を貸し出すサービス
サービス提供事業者が、利用者の通信機器やサーバを自社の建物内に設置し運用するサービス
解答
解説 ハウジングサービスとは、顧客が用意した設備に対し、、場所や電源などを提供することでサービス形態をいいます。

選択肢アは、アプリケーションサービスプロバイダの説明です。
選択肢イは、システムインテグレータの説明です。
選択肢ウは、ホスティングサービスの説明です。

また、自社ではなく、他社に業務を委託する形態をアウトソーシング(外注)といいます。

問7 一定期間ごとに最適量を発注する方式を定期発注方式という。この定期発注方式で購買品を調達するに当たり、発注サイクルを10日、納入リードタイムを5日、1日の平均消費量を50個、安全在庫量を30個とした場合、今回の発注量は幾らか。ここで、発注は、発注日の消費終了後に行うものとし、今回の発注時点での在庫量は300個で、発注残はないものとする。
420
450
480
530
解答
解説 まず、発注サイクルが10日で納入リードタイムが5日あるので、15日間は在庫の補充ができないことになります。つまり、15日後に安定在庫量を維持する必要があります。1日の平均消費量を考えると15×50+30=780個が15日間で必要となり、現在残っている300個を引いて780−300=480が答えとなります。

問8 ファブレスを説明したものはどれか。
相手先の商標やブランド製品を製造し、供給すること
自社では工場をもたずに製品の企画を行い、ほかの企業に製品委託する企業形態のこと
製品の企画から製造、販売までの機能を垂直結合した製造小売業のこと
製品の設計、試作、製造を一括して生産受託するサービスのこと
解答
解説 ファブレスとは、fab(fabrication facility:工場)をless(もたない)という意味で、これにより自社では設計などに専念できるという利点があります。

選択肢アは、OEM(original equipment manufactur:他社のブランド製造)の説明です。
選択肢ウは、SPA(speciality store retailer of private label apparel:製造小売業)の説明です。
選択肢エは、ODM(original design manufacturer:他社のブランド設計製造)の説明です。

問9 2人又はそれ以上の上司から指揮命令を受けるが、プロジェクトの目的別管理と職能部門の職能的責任との調和を図る組織構造はどれか。
事業部制組織
社内ベンチャ組織
職能別組織
マトリックス組織
解答
解説 マトリックス組織とは、下のような組織形態で、1人が複数の上司や部署に所属するものです。マトリックスとは行列の意味です。

マトリックス組織図を表示できません

事業部制組織は、製品や市場ごとに社内組織を分割し、利益責任単位として権限と目標が与えられるものです。
社内ベンチャ組織は、企業内で新たな事業を行う部署を、企業を支援する企業形態をいいます。
職能別組織は、専門化を志向した組織であり、研究開発、製造、販売、人事・総務、経理・財務のような職能別に構成された組織形態です。

問10 キャッシュフローの増加要因となるものはどれか。
受取手形や売掛金などの売上債権の増加
器具や備品などの投資金額の増加
製品在庫などの棚卸資産の増加
短期や長期の借入金の増加
解答
解説 キャッシュフロー(cash flow:現金流量)とは、その名の通り現金の動きを表すものです。実際にキャッシュフローを計算したものをキャッシュフロー計算書または、C/Sといい、営業活動、投資活動、財務活動の3つで評価されます。キャッシュフローは現金の動きなので、たとえ借入金であっても、現金として手元に来るのでキャッシュフローはプラス(増加要因)になります。

問11 インターネットなどのネットワークを介してコンピュータを利用する場合において、不正アクセス禁止法で禁止されている行為はどれか。
他人のIDとパスワードを、本人の許可なく、その利用方法を知っている第三者に教えること
他人のPC操作を盗み見るなどして、他人のIDとパスワードを入手すること
本人の了解を得ることなく、他人のメールアドレスを第三者に教えること
本人の了解を得ることなく、不正に他人のメールアドレスを入手すること
解答
解説 不正アクセス禁止法で禁止されているのは、IDの無断使用や提供、セキュリティホールへの攻撃などです。また、他人のIDやパスワードをネットワークを介して盗み取る行為は禁止されていますが、直接見た場合に関しては禁止されてはいません。

また、本人の了解なしにメールアドレスを入手・提供する行為は、ネチケットやモラル上よろしくない行為ですが、違法ではありません。

問12 A社では企業理念に基づいてビジネス戦略を策定し、実行するための手順を考えた。重要成功要因の抽出、ビジネス環境の分析、ビジネス戦略の立案、ビジョンの設定を図のように順序付けて行うとき、図のCで行うものはどれか。

画像(問12)を表示できません
重要成功要因の抽出
ビジネス環境の分析
ビジネス戦略の立案
ビジョンの設定
解答 ア/ウ(IPAのミスにより正解が2つあります。)
解説 順番どおりに並べると下のようになります。

@ ビジョンの設定:企業の将来像を決める
A ビジネス環境の分析:企業がおかれている周辺環境を分析する
B ビジネス戦略の立案:周辺環境を考慮して、ビジネス戦略を立てる
C 重要成功要因の抽出:目標を達成する上での重要な要因を調べる(重要成功要因はCSF:Critical Success Factorsと呼ばれることもあります。)
D 実行計画の策定:実際の実行計画を決めます。

ただし、場合によっては、先にCSFを調べてからその要因に基づいて戦略を立てる場合があり、これが別解となっています。

問13 損益計算資料から求められる損益分岐点となる売上高は何百万円か。

画像(問13)を表示できません
160
250
300
360
解答
解説 各用語がどんな意味をもち、どうやって算出されるのかを下にまとめておきます。

固定費:売上に関係なくかかる費用(例:人経費)
変動費:売上に比例してかかる費用(例:材料費)
変動費率:売上高に対する変動費の割合 これは変動費/売上高で算出されます。(変動費=変動費率×売上高)

利益:企業の儲け 利益 = 売上高 − 費用 = 売上高 − (変動費 + 固定費)= 売上高 − (売上高 × 変動費率) − 固定費

固定費を移行して、売上高を括弧でくくると
利益 + 固定費 = 売上高(1 − 変動費率)

(1 - 変動費率)で両辺を割ると
(利益 + 固定費)/(1 − 変動費率)= 売上高 ・・・ @

損益分岐点とは損と売上が0つまり、これを上回ると黒字、下回ると赤字という分岐点のことです。
@の式で利益が0なので、損益分岐点 = 固定費/(1− 変動費率)で求めることができます。

損益分岐点=(100+20)/(1− (100+140)/400)=120/(240/400)=120/0.4=300となります。

これを図でまとめると以下のようになります。
損益分岐点を表示できません

問14 業務で利用するデータの構造を分析し、抽出したエンティティとエンティティ間の関係をE−R図などで整理する手法はどれか。
データクリーニング
データクレンジング
データマイニング
データモデリング
解答
解説 選択肢の用語を下にまとめます。

データクリーニング、データククレンジング:古くなったデータを新しくしたり、不要になったデータを破棄することで、データを一新することです。
データマイニング:データウェアハウスなどの大量のDBから、今まで発見されていない相関関係などを導き出すことです。
データモデリング:E−R図などを用いて実体(エンティティ)と実体間の関係(リレーション)などを整理する手法のことです。

問15 CRMの導入効果として、最も適切なものはどれか。
売掛金に対する顧客の支払状況を把握しやすくなる。
顧客が発注してから納品するまでの時間を短縮しやすくなる。
顧客に対するアプローチ方法を営業部門全体で共有しやすくなる。
顧客のニーズや要求に対する理解が深まり長期的な関係を築きやすくなる。
解答
解説 CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)とは、情報技術を利用して顧客に関する情報を収集、分析し、長期的視点から顧客と良好な関係を築いて自社の顧客として囲い込み、利益の拡大を図る手法

問16 SWOT分析で把握できるものはどれか。
経営環境
事業戦略
事業目標
事業領域
解答
解説 SWOT分析とは、目的達成の環境を4つに分けて分析するものです。下に概要を示します。
まず、内部要因と外部要因に分けられます。

内部要因
強み(Strengths) :目標達成に貢献する個人や組織の要因
弱み(Weaknesses):目標達成に障害となる個人や組織の要因
外部要因
機会 (Opportunities):目標達成に貢献する外部の要因
脅威 (Threats) :目標達成に障害となる外部の要因

これにより、自社を取り巻く経営環境を把握することができます。

問17 情報システムのサービスを行っているA社は、B社に対して表に示す分担で施設や機器などを提供する契約を締結した。A社が提供するサービスの内容として、適切なものはどれか。

画像(問17)を表示できません
SaaS
システム開発の受託
ハウジングサービス
ホスティングサービス
解答
解説 ホスティングとハウジングの違いをまとめると下のようになります。

ホスティングサービス:建物内に設置したサーバや通信機器をまとめて貸し出すサービス
ハウジングサービス:サーバなどをおくを施設だけを貸し出すサービス

また、SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアの機能セキュリティで守られたインターネット経由でサービスとして提供し、使用料を課金する。形態を言います。

問18 企業会計を財務会計と管理会計に分類したとき、管理会計の特徴を表したものはどれか。
一会計期間ごとに決算を行い、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成が強制される。
企業の経営者が、株主や債権者などの企業外部の利害関係者に対して会計報告を行う。
財務諸表規則や企業会計原則、各種会計基準などの会計法規に準拠した会計処理を行う必要がある。
部門、製品、地域別などの予算統制、利益管理、業績評価など、経営判断のための内部報告書を作成する。
解答
解説 まず、財務会計と管理会計についてまとます。

財務会計:企業外部向けに作成する損益計算書などのデータ
管理会計:企業内部向けに意思決定を支援するためなどのデータ

選択肢ア〜ウは、財務会計の説明です。

問19 要求定義プロセスに含まれる作業はどれか。
システム化計画の作成と承認
システム詳細設計の実施
システム投資効果とシステム化費用の予測
システム利用者のニーズの整理
解答
解説 ユーザーとベンダの間で誤解がないように標準化をするためのガイドラインである、『共通フレーム』に関する問題です。共通フレーム2007は、システム開発に関連する作業をプロセス、アクティビティ、タスク、リスト」の4つの階層で構成され。プロセスは、主ライフサイクル・プロセス、組織に関するライフサイクル・プロセス、支援ライフサイクル・プロセス、システム監査の視点、共通フレームの修正から構成されています。

選択肢アは、企画プロセス
選択肢イは、運用プロセス
選択肢ウは、企画プロセス
選択肢エは、要求定義プロセス

いずれも、主ライフサイクル・プロセスに属しています。

問20 ICカードと磁気カードの偽造に対する安全性の比較に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ICカードは、ICチップへの情報の格納や情報の暗号化を行っているので、磁気カードに比べて偽造されにくい。
ICカードは、情報の記録に二次元コードを使うので、磁気カードに比べて偽造されにくい。
磁気カードは、時期ストライプに情報を格納されており、ICカードに比べて情報を保護する仕組みが複雑で偽造されにくい。
磁気カードは、情報の記憶にバーコードを利用しており、ICカードに比べて偽造されにくい。
解答
解説 ICカードと磁気カードの違いを下にまとめます。

ICカード:非接触型が増えつつある、ICチップを搭載したで、暗号化などがしやすいカード
磁気カード:磁性体によって、データを記憶するカード。基本的にデータがそのまま記録されているので、スキミングなどをされやすい傾向があります。

なお、物理的あるいは論理的に内部の情報を読み取られることに対する耐性を耐タンパ性といいます。