平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問21−40 問題編




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ITパスポート

(エントリ試験)

解答と解説のページです。

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問21 新製品の開発に当たって生み出される様々な成果のうち、著作権法による保護の対象となるものはどれか。
機能を実現するために考え出された独創的な発明
機能を実現するために必要なソフトウェアとして作成されたプログラム
新製品の形状、模様、色彩など、斬新な発想で創作されたデザイン
新製品発表に向けて考え出された新製品のトレードマーク
解答
解説 著作権法では以下のように定められています。

第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物

2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。

3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。

つまり、プログラムは著作物であるが、プログラム言語、プロトコル、アルゴリズムやフローチャートは保護の対象外であると定められています。

選択肢アは、特許権の説明です。
選択肢イは、意匠権の説明です。
選択肢エは、商標権の説明です。

問22 ECサイトに関連するマーケティング施策のうち、マーケティングミックスを構成する4PのPlaceに関連するものはどれか。
ECサイトでの販売に際し、ECサイト専用の商品を開発した。
ECサイトへの来訪者数を増加させるために、検索連動型広告を活用した。
従来、代理店を通じて販売していた商品のECサイトでの直販を開始した。
販売代理店への手数料が不要になったので、ECサイトで直販する商品の価格を下げた。
解答
解説 まず、マーケティングミックスにおける4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通(Place)の4つです。これを選択肢に対応させると、以下のようになります。

選択肢ア:Product
選択肢イ:Promotion
選択肢ウ:Place
選択肢エ:Price

問23 労働基準法において、時間外及び休日の労働を認めるために規定されていることはどれか。
会社の就業規則が作成されていること
本人の労働意思が個別に確認されていること
労使の協定を書面で締結し、行政官庁に届け出ること
割増賃金について、支給細目が決まっていること
解答
解説 労働基準法とは、労働に関する規則をきめたもので、労働三法の一つです。第1条を挙げておきます。

(第1条:第1項)労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない
(第1条:第2項)この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労使関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

今回の問題は、第36条に関するもので、要約すると『使用者は、当該事業場に、労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。』とされています。

問24 PCやインターネットなどのITを利用する能力や機会の違いによって、経済的又は社会的な格差が生じることを何というか。
アクセシビリティ
ダイバーシティ
ディジタルディバイド
ディジタルデモクラシー
解答
解説 ディジタルディバイドとは、情報格差と訳され、主にインターネットによるICT技術を受けられない人との間に生まれる。情報的・経済的・社会的な格差のことを言います。

選択肢アは、高齢者や障害者でも、利用ができる性質をいいます。
選択肢イは、無線技術において通信の質や信頼性を向上させるための技術をいいます。(社会学での多様性のことを言う場合もあります。)
選択肢ウは、行政活動にIT(ICT)を導入することで、密なコミュニュケーションを実現した、民主政治形態をいいます。

問25 ソフトウェアライフサイクルプロセスにおいて、システム化計画の立案で行うべき作業はどれか。
経営要求、課題の確認
システム要求の定義
導入の費用対効果の予測
ベンダ企業の評価基準の作成
解答
解説 ソフトウェアライフサイクルプロセス(共通フレーム2007)は、システム開発に関連する作業をプロセス、アクティビティ、タスク、リスト」の4つの階層で構成され。プロセスは、主ライフサイクル・プロセス、組織に関するライフサイクル・プロセス、支援ライフサイクル・プロセス、システム監査の視点、共通フレームの修正から構成されています。導入費用対効果の予測は、システム化計画プロセスで行われます。

問26 インターネット上の広告手法の一つであるアフィリエイトを説明したものはどれか。
あらかじめ受信者の許可を得て、興味のある分野の広告を電子メールで送る。
個人のホームページなどに企業の広告やWebサイトへのリンクを掲載し、誘導実績に応じた報酬を支払う。
自社のWebサイトを検索エンジンの検索効果の上位に掲載させる。
大規模なポータルサイトなどに自社のWebサイトへの入り口となる画像を設置し、誘導する。
解答
解説 アフィリエイトとは、自分のHPやブログに企業の広告や商品へのリンクを掲載し、クリック数や商品契約が結ばれることで、料金を受け取るシステムをいいます。

選択肢アは、オプトインメール(ダイレクトメールの一種)の説明です。
選択肢ウは、SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)の説明で、アフィリエイトを行い際に不可欠なこととなります。
選択肢エは、バナー広告の説明です。

問27 製品やサービスの価値を機能とコストの関係で把握し、体系化された手順によって価値の向上を図る手法はどれか。
重要成功要因
バリューエンジニアリング
バリューチェーン
付加価値分析
解答
解説 選択肢の用語を下にまとめます。

選択肢ア(重要成功要因、CSF):目標達成に大きな影響を与える要因のこと
選択肢イ(バリューエンジニアリング、VE):コストあたりの価値を最大にしようという体系的手法
選択肢ウ(バリューチェーン、価値連鎖):主活動(購買、製造、出荷、マーケティング・販売、サービス)と支援活動(企業インフラ、人材資源管理、技術開発、調達)の各プロセスを付加価値が追加されていくとみなす考え方
選択肢エ(付加価値分析):会社が製造したものが、関係者にどのように配付されているかを分析するもの

問28 組込みシステムの特徴として、最も適切なものはどれか。
組込みシステムの開発や稼動には、専用のOSを使用する。
組込みシステムの稼動には、ネットワークへの接続が必要である。
組込みシステムは機器内部の制御用であり、ユーザインタフェースは不要である。
組込みシステムは専用化されたハードウェアやソフトウェアからなる。
解答
解説 組込みシステムとは、機器に埋め込まれてその制御を行うもので、身近なところでは、冷蔵庫や、電子レンジ、車などの数多くのものに使われています。しかし、大量のデータを高速に扱うこと(=高い演算能力)は向いていません。制御を行うのが主な目的ですが、インタフェースが不要というわけではありません。

問29 現行システムの使用を開始してから10年が経過し、その間に業務内容も変化してきた。そこで、全面的に現行システムを開発し直すことになった。開発が、システム要求の分析と、それに基づく要求定義を行う場合、開発者のシステム利用部門とのかかわり方として、適切なものはどれか。
客観的に対象業務を分析するために、システム利用部門とかかわることは避ける。
システム要件は、システム利用部門と共同でレビューを行う。
システム利用部門の意見は参考であり、システム要件は開発者が決定する。
システム利用部門の作成した現行システムの操作マニュアルを基に、要求される機能を決定する。
解答
解説 現行のシステムを新システムに移行する際には、要求分析・定義と受け入れテストはシステム部門と共同で行います。設計やプログラミングは、開発部門が単独で行うのが一般的です。内容が変化してきたと問題文にあるので、マニュアルを基にすると、要求との誤差がある場合があると予想されます。

問30 ある作業を6人のグループで開始し、3か月経過した時点で全体の50%が完了していた。残り2か月で完了させるためには何人の増員が必要か。ここで、途中から増員するメンバの作業効率は最初から作業している要員の70%とし、最初の6人のグループの作業効率は残り2か月も変わらないものとする。
解答
解説 6人が3ヶ月で50%完了したということは、プロジェクト全体では、36人月かかるということです。現在18人月残っており、6人で2ヶ月できるので、増員したメンバに6人月分行ってもらえばよいことになります。α×0.7×2=6により、α=6/1.4≒4.28により、5人必要だということがわかります。

問31 サービスデスクがシステムの利用者から障害の連絡を受けた際の対応として、インシデント管理の観点から適切なものはどれか。
再発防止を目的とした根本的解決を、復旧に優先して実施する。
システム利用者の業務の継続を優先し、既知の回避策があれば、まずそれを伝える。
障害対処の進捗状況の報告は、連絡を受けた先だけに対して行う。
障害の程度や内容を判断し、適切な連絡先を紹介する。
解答
解説 インシデントとは、サービスの中断や低下を引き起こす場合のある、攻撃や事故などを指します。インシデントは管理はサービスの継続を目的とします。

問32 あるシステムの開発において、システムを24時間連続稼動させることになった。稼働時間について利用部門と取決めを行う工程はどれか。
システム結合テスト
システムテスト
システム要件定義
ソフトウェア方式設計
解答
解説 開発するシステムの条件、機能、性能は要求定義で行われます。その後開発部門が設計、開発、テストを行い、最後に利用部門と合同で受け入れテストを行います。

問33 ソフトウェア詳細設計書に関する記述として、適切なものはどれか。
ソフトウェア詳細設計書には、システム結合テストのためのテスト仕様が含まれる。
ソフトウェア詳細設計書に基づいてプログラミングが実施される。
ソフトウェア詳細設計書は、システム要件定義の終了を契機として作成が開始される。
ソフトウェア詳細設計書は、将来のメンテナンス用として、単体テストが完了した後で完成させる。
解答
解説 詳細設計は、プログラミングの直前におこなわれるもので、プログラムの詳細を定義します。また、詳細設計の内容に対応して、単体テストが設計されます。ソフトウェアの開発工程(V字工程)を下にまとめます。

V字工程を表示できません

問34 プロジェクトを管理する上で、プロジェクトマネージャが考慮すべき制約条件の組合わせとして、適切なものはどれか。
対象範囲、納期、予算
対象範囲、納期、リスク
対象範囲、予算、リスク
納期、予算、リスク
解答
解説 PMBOK(ピンボック:Project Management Body of Knowledge:プロジェクトマネジメント知識体系)には、42個のプロセスを、5個のプロセスグループと、9個のナレッジエリアに分けて、3大制約として、「スコープ」「タイム」「コスト」をあげています。つまり、対象範囲、時間=納期、予算といわれています。

問35 SLAに含めることが適切な項目はどれか。
サーバの性能
サービス提供時間帯
システムの運用コスト
新規サービスの追加手順
解答
解説 SLA(Service Level Agreement)とは、サービス品質保証契約ともよばれ、サービスに関する取り決めを行うものです。利用者と提供者が取り交わす契約事項であり、課金項目、問合せ受付時間、システム障害時の復旧時間などの項目が盛り込まれます。また、契約事項が実行されなかった場合の補償規定も盛り込まれることもあります。

問36 図は、リスクシミュレーションを基に、あるプロジェクトの見積もりコストに対して最終的にその額に収まる確率を示したものである。現在、プロジェクトの予算として4,000万円を用意している。実際のコストが見積もりコストを上回ってしまう確率を20%まで引き下げるためには、予備として、あとおよそ何百万円用意することが妥当か。

画像(問36)を表示できません
1,000
2,000
4,800
9,000
解答
解説 見積もりを上回る可能性を20%以下にするということは、見積もり内の収まる可能性を80%以上にするということです。現在4,000万円用意しおり、5,000万円で80%ととなるので、1,000万円を用意すればよいことになります。

問37 ソフトウェア要件として明確に規定するものはどれか。
開発環境のディスク容量
システム化目標
データ定義
データベースの最上位レベルの設計
解答
解説 要件定義では、ソフトウェアに必要とされるものを定義していきます。中でもデータの定義は代表的な項目です。

選択肢ア(開発環境のディスク容量):開発環境は開発するソフトウェアの要件とは全く関係ありません。
選択肢イ(システム化目標):システム化計画ももっと上位で定義されます。
選択肢エ(データベースの最上位レベルの設計):データベースが存在する場合は、ソフトウェア設計で行います。

問38 ソフトウェア保守に含まれるものはどれか。
工期内に開発が終わらないことが分かり、あらかじめ開発要員を増員する。
障害を引き起こす可能性のあるプログラムを見つけ、あらかじめ修正する。
取り扱うデータ量が増えてきたので、あらかじめディスクを容量の大きなものに変更する。
要求仕様からプログラムの開発量を、あらかじめ予測する。
解答
解説 保守(メンテナンス)は、開発したものが正常に動作し続けるように管理することをいいます。ソフトウェア保守は、その中でもソフトウェアの保守を指します。

選択肢ア:プロジェクト管理で(プロジェクトマネージャが)行います。。
選択肢イ:ソフトウェア保守の説明です。
選択肢ウ:ハードウェア保守の説明です。
選択肢エ:基本計画で行います。

問39 プログラムの開発作業で担当者A〜Dの4人の工程ごとの生産性が表のとおりのとき、4人同時に見積もりステップ数が12kステップのプログラム開発を開始した場合に、最初に開発を完了するのはどれか。

画像(問39)を表示できません
解答
解説 各メンバについて順番に計算していきます。

A:12/3+12/3+12/6=4+4+2=10ヶ月
B:12/4+12/4+12/4=3+3+3=9ヶ月
C:12/6+12/4+12/2=2+3+6=11ヶ月
D:12/3+12/4+12/5=4+3+2.4=9.4ヶ月

よって、Bが一番早く終わることになります。

問40 情報システムのファシリティマネジメントの対象範囲はどれか。
IT関連設備について、最適な使われ方をしているかを常に監視し改善すること
工場の生産ラインの制御にコンピュータやネットワークを利用して、総合的に管理すること
顧客データベースで顧客に関する情報を管理することによって、企業が顧客と長期的な関係を築くこと
取引先との受発注、資材の調達から在庫管理、製品の配達などといった事業計画にITを使用して、総合的に管理すること。
解答
解説 ファシリティマネジメント(施設管理)とは、業務にかかわる施設を最適な状態に管理することをいいます。(社団法人日本ファシリティマネジメント推進協会の定義では、企業・団体等が組織活動のために施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動とされています。)

選択肢イは、CIM(Computer Integrated Manufacturing:コンピュータ統合生産)の説明です。
選択肢ウは、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の説明です。
選択肢エは、SCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)の説明です。