平成22年度 春期 ITパスポート試験 問21−40 解答編




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ITパスポート

(エントリ試験)

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問21 システム開発案件A,B,Cのうち、採算性があるものはどれか。ここで、採算検討の対象期間はシステムのサービス開始後の5年目までとし、サービス開始後は、毎年、システムメンテナンス費用が初期投資額の10%発生するものとする。

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AとB
BとC
CとA
AとBとC
解答
解説 採算性とは、かかった費用の分儲けがでるということです。一つずつ計算していきます。

A:5年間でかかる費用=250+(250×0.1×5)=250+125=375。5年間で得られる利益=80×5=400
B:5年間でかかる費用450+(450×0.1×5)=450+225=675。5年間で得られる利益=140×5=900
C:5年間でかかる費用700+(700×0.1×5)=700+350=1050。5年間で得られる利益=200×5=1000

よって、
375<400
675<900
1050>1000

つまり、AとBには採算性があるといえます。

問22 ハウジングサービスを利用することによって得られる効果として、最も適切なものはどれか。
業務アプリケーションの利用、導入、更新に関する費用を低減することができる。
サーバの購入費用や運用負荷、ネットワークに関する費用を低減することができる。
サーバや社内のコンピュータのOSやオフィスソフトの更新作業を回避することができる。
自社サーバによるサービス提供に必要なネットワークや施設に関する費用を低減することができる。
解答
解説 ハウジングサービスとは、顧客が用意した設備に、場所と電源などを提供することでサーバを管理することです。サーバにかかる費用は顧客の負担になるので、選択肢ア、イ、ウが不正解であることが分かります。場所などの施設は提供されるので、費用を低減できます。

問23 ABC分析の説明として、適切なものはどれか。
不具合がどのような原因によって起きているかなどを、魚の骨に似た図によって系統的に把握する手法
二つの変数の間に関係があるかどうかを、収集したデータを用いて解析する手法
母集団からサンプルを抜き取って検査を行い、サンプル中の不良個数によって母集団の品質を判定する手法
優先的に管理する対象を明確にするために、売上金額などの累積構成比を基に重要度のランク付けを行う手法
解答
解説 ABC分析とは、その累計比率から分析を行うもので、製品をA、B、Cの3つの区分に分けます。一般的にはA区分は70%程度に設定します。なお、ABC分析にはよくパレート図が使われます。下にパレート図の例を示します。

パレート図を表示できません

選択肢アは、特性要因図の説明です。
選択肢イは、散布図の説明です。
選択肢ウは、層別の説明です。

問24 JANコード中にデータとして組み込まれている情報はどれか。
商品の製造会社
商品の製造日
製品の流通経路
商品のロット番号
解答
解説 JAN(Japanese Article Number)コードとは、商品識別コードのことで、一般的にスーパーなどで見られる一次元のバーコードです。一番右のけたにチェックディジットを持ちます。また、標準タイプと短縮タイプの2種類があります。

コードには、国コード、メーカーコード、商品コード、チェックディジットが含まれています。

問25 著作者の了解を得ないで次の行為を行った場合、著作権法に照らして適法な行為はどれか。
購入したCDの楽曲を自分のPCにコピーし、PCで毎日聴いている。
購入したCDの楽曲を自分のホームページからダウンロードできるようにしている。
自社製品に関する記事が掲載された雑誌のコピーを顧客に配布している。
録画したテレビドラマを動画共有サイトにアップロードしている。
解答
解説 著作権法に抵触しない代表的な例は、以下のようなものがあります。

・バックアップ目的のコピー
・私的使用によるコピー(適法のデータをパソコンから携帯へコピーするなど)
・効率化のためのカスタマイズ
・政府や地方公共団体・独立行政法人などが公に発表するもの

今回は4番目に相当するので、選択肢イは適法といえます。残りは著作権法に抵触します。。

問26 インターネット上での通信販売が図の手順で行われるとき、特段の取決めがない場合、取引が成立する時点はどれか。

画像(問26)を表示できません
注文メール送信
受注処理
受注承諾メール受信
代金支払
解答
解説 取引は、売り手の販売意思と買い手の購入意思が合致したときに成立します。今回は、注文メールによって購入意思が示され、受注受諾メールによって販売意思が示されるので、このタイミングで取引成立が成立します。

問27 ロングテールの考え方を活用したインターネットにおけるビジネスの説明として、適切なものはどれか。
Webサイト上で個人が出品した物品を参加者が入札し、購入する。
インターネット上に複数の仮想商店からなるWebサイトを構築し、出店料を徴収する。
販売数が少ない商品でもWebサイト上で売り続けることができる。
誘導実績に応じた報酬を支払うことを条件に、ほかのWebサイトにリンクを掲載し、自社製品の購入Webサイトへの顧客誘導を図る。
解答
解説 ロングテールとは、20対80の法則などとも言われ、べき乗則のグラフにすると恐竜の長い尻尾のような部分に相当することから来ています。これは、あまり売れない(需要の少ない)商品をたくさん用意しておくことで、売上の全体に占める割合が意外と高くなるという考えかたです。

選択肢アは、ネットオークションの説明です。
選択肢イは、バーチャルモールの説明です。
選択肢エは、アフィリエイトの説明です。

問28 導入を検討している機械について採算性の評価を行う。評価には予想される費用と、期待される利益を対比する方法を用いる。採算評価の期間は10年間であり、導入によって、毎年110万円の利益を得られる。また、保守費用として毎年取得費用の1%が発生する。この機械の取得費用が何万円未満であれば、採算がとれるか。
1,000
1,100
1,111
1,222
解答
解説 価格をnとすると、10年間でn+0.01n×10の費用がかかり、110×10=1100万円の利益が見込めます。

つまり、1.1n<1100なので、nが1,000円未満であれば、採算がとれるといえます。

問29 業務の流れを、図式的に記述することができるものはどれか。
E−R図
UML
親和図法
ロジックツリー
解答
解説 選択肢の図式手法を下にまとめます。

E−R図:概念データモデルを、エンティティ、リレーションシップで表現することで、データ構造やデータ項目間の関係を明らかにするための技法
UML:オブジェクト指向設計を支援する様々な手法を統一して標準化したもので、クラス図などのモデル図によってシステムの分析や設計を行うための技法
親和図法:収集した情報を相互の関連によってグループ化し、解決すべき問題点を明確にする方法
ロジックツリー(系統図):目的・目標を達成するための手段・方策を順次展開し、最適な手段・方策を追及していく方法

問30 不正アクセス禁止法が禁じている行為はどれか。
公序良俗に反する画像などを、自分の日記と一緒にブログ上で公開すること
大量の電子メールを送信し、他人のメールサーバに障害を起こさせること
他人の著作物を、出所などを明示せずに自分のホームページで利用すること
パスワードで保護されているサーバに、ネットワーク経由で他人のIDとパスワードを使ってログインすること
解答
解説 いずれも違法行為ですが、不正アクセス禁止法では『ネットワークを通じて、アクセス制限がかかっているデータに不正な方法でアクセスすることや、パスワードなどを第三者に漏えいさせること』を禁止しています。曲解すれば、ネットワークを使わない場合や、アクセス制限がかかっていないデータへのアクセスは、違法行為とはいえないといえます。

問31 Aさんだと10日、Bさんだと15日かかるプログラム開発の作業がある。これをAさんとBさんが一緒に作業した場合、何日かかるか。ここで、2人で作業を行った場合もそれぞれの作業効率は変わらないものとする。
7.5
12.5
解答
解説 まず、AさんとBさんの作業量をもとめると、1/10と1/15となります。つまり、1日の作業量は1/10+1/15=5/30=1/6となり、6日間で作業を完了できることがわかります。

問32 サービスマネジメントのPDCAサイクルのうち、A(Act)で実施することはどれか。
サービスマネジメントの適用範囲や必要な資源などを明確にする。
資源の活用状況の測定やプロセスの監視を行う。
資源の活用に関する改善目標の設定やプロセスの改善などを行う。
割り当てられた資源の管理や、サービスデスク及び運用者を含むチームの管理などを行う。
解答
解説 PDCAサイクルとはPlan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(確認)⇒Act(改善)の4つのサイクルを指します。今回の場合は、ア→エ→イ→ウとなります。

問33 ある開発プロジェクトでソフトウェア結合テストを終了し、システムの機能を確認するシステムテストを行っている。このシステムテストで、あるプログラムに不良が多発しているとの報告があった。プロジェクトマネージャが最初に行うべきこととして、最も適切なものはどれか。
システムテストを中断し、ソフトウェア結合テストからやり直す。
テストの進捗に遅れが出ないようにするために、問題のあるプログラムのテスト要員を増やす。
問題のあるプログラムの品質を再評価し、システムテストへの影響を把握する。
問題のあるプログラムをテスト対象から外し、プログラムを再作成する。
解答
解説 特定のプログラムにバグがかたよっている場合は、品質を評価し影響度を調べます。その後品質に問題があり、必要であれば、上流工程にさかのぼり原因を調べます。テスト要員を増やしたり、テストの中断、対象から外すというのは、品質の評価後に検討します。

問34 ソフトウェア結合テストに関して説明したものはどれか。
関連する業務処理を行っているシステムと結合して、正常に稼動することを確認する。
すべての命令や分岐条件などを網羅するホワイトボックステストによってプログラムが仕様書どおりに動作することを確認する。
プログラマが検査ツールやチェックリストを利用して、プログラムがコーディング基準に従って作成されていることを確認する。
プログラム間のインタフェースが整合していることを確認する。
解答
解説 テスト工程は、単体テスト → 結合テスト → システムテスト → 運用テストの順に行います。
単体テストでは、単一のモジュールが正しく動くかを主にホワイトボックステストで調べます。
結合テストでは、複数のモジュールのインタフェースが正しく動くかを主にブラックボックステストで調べます。

選択肢アは運用テストの説明です。

問35 図のアローダイアグラムで、AからGに至る全体の作業日数に影響を与えないことを条件に、C→Fの作業の遅れは最大何日間まで許容できるか。

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解答
解説 まず、最も早く作業を開始できる日(最早結合日)を求めると以下のようになります。

画像(問35kai)を表示できません

よって、Cは3日には開始できますが、6日後に13日になっていればいいので、遅くても13−6=7日までに開始すればいいということになります。つまり、4日間の猶予があるということになります。

問36 合意済みのシステム要件に対し、機能追加となる変更依頼を顧客から受けた。このときの受諾側の対応として、適切なものはどれか。
運用設計担当者が、変更を行うかどうかを判断する。
決定権をもつ会議や責任者が、変更を行うかどうかを判断する。
当該顧客の営業担当者が、変更を行うかどうかを判断する。
変更に係るソフトウェアの開発担当者が主体となって、変更を行うかどうかを判断する。
解答
解説 本来は要求定義の時点で全ての機能を洗い出し、追加などがでないようにするのですが、どうしてもこのような場合が発生しえます。このような場合には、決定権を持つ人物が、予算、納期、追加する機能と他への影響を考慮し、決定します。

問37 ソフトウェア開発とその取引の適正化に向けて、それらのベースとなる作業項目を一つ一つ定義し、標準化したものはどれか。
SLCP
WBS
オブジェクト指向
データ中心アプローチ
解答
解説 選択肢の用語を以下にまとめます。

SLCP(Software Life Cycle Process):代表的なソフトウェアソフトウェアライフサイクルである、共通フレーム2007は、システム開発に関連する作業をプロセス、アクティビティ、タスク、リスト」の4つの階層で構成されています。
WBS(Work Breakdown Strucuture:作業分割構成):仕事を分割して、作業のしやすい量にすることです。この分割の最下位の仕事の単位をワークパッケージといいます。
オブジェクト指向:オブジェクト同士の振る舞いとして見る考え方。
データ中心アプローチ:プロセス中心アプローチと比べて、個々のデータをデータベースとして共有化することで一元管理をすることが可能です。

問38 ある企業では、業務を遂行する上で違法行為や不正、ミスやエラーなどを防止し、組織が健全かつ有効・効率的に運営されるように基準や業務手続を定め、管理・監視を行うことにした。これを表すものとして最も適切なものはどれか。
情報モラル
内部設計
内部統制
プライバシ
解答
解説 選択肢の用語を以下にまとめます。

情報モラル:情報技術やインターネットでの常識や倫理観のこと。
内部設計:外部設計の後に行われる工程で、データ設計などを行います。
内部統制:企業内で不正やミスが起きないように基準を定めたり、それに基づき管理をすることをいいます。
プライバシ:他人から私的なことを干渉されないことや(古典的プライバシ)、自分の情報を統制できることをいいます(積極的プライバシ)。

問39 部門サーバに対するファシリティマネジメントにおける環境設備の実施事項として、適切なものはどれか。
ウイルス対策ソフトを導入した。
定められた時刻にバックアップが実施されるなどの自動運転機能を設けた。
設置場所は水漏れのおそれがある配水管の近くを避けた。
ネットワークを介して伝送する情報などを暗号化する機能を設けた。
解答
解説 ファシリティマネジメント(施設管理)とは、業務にかかわる施設を最適な状態に管理することをいいます。(社団法人日本ファシリティマネジメント推進協会の定義では、企業・団体等が組織活動のために施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動とされています。)

問40 表計算ソフトを利用して、次の3種類のワークシートを作成した。それぞれのワークシートをプログラムと考えるとき、これらのワークシートの動作を確認するテストのうち、結合テストに相当するものはどれか。

(1)4〜9月の各月の売上をすべて入力すると、その合計を計算するワークシート“上半期”
(2)10〜3月の各月の売上をすべて入力すると、その合計を計算するワークシート“下半期”
(3)ワークシート“上半期”の売上合計とワークシート“下半期”の売上合計を加えて年間の売上合計を自動計算し、月別のグラフを表示するワークシート“年間”
ワークシート“上半期”、ワークシート“下半期”のいずれにおいても、1か月分の売上を入力しなかった場合には、各ワークシート上で売上合計がエラーになることをテストする。
ワークシート“上半期”に4〜9月の各月の売上を、ワークシート“下半期”に10〜3月の各月の売上を入力し、それぞれのワークシート内で半期の売上合計が正しく計算されることをテストする。
ワークシート“上半期”の売上合計とワークシート“下半期”の売上合計が、ワークシート“年間”に正しく反映されることをテストする。
ワークシート“上半期”の売上合計とワークシート“下半期”の売上合計を手計算することにって合算し、別途手計算で算出した年間の売上合計と一致することをテストする。
解答
解説 各ワークシートを単体のプログラム(モジュール)だとみなすと、複数のモジュールにまたがったものや、インタフェースを確かめるものが結合テストに相当します。

選択肢ア、イはそれぞれのワークシートで完結しているので、単体テストに相当します。選択肢ウは複数のワークシートにまたがっているので結合テストであるといえます。