平成22年度 春期 ITパスポート試験 問41−60 解答編




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ITパスポート

(エントリ試験)

解答と解説のページです。

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問41 サービスサポートにおける管理機能のうち、ハードウェア、ソフトウェアといったIT資産を網羅的に洗い出し、IT資産の管理台帳に記録し管理するものはどれか。
インシデント管理
構成管理
問題管理
リリース管理
解答
解説 サービスサポートプロセスはITIL(ITサービスマネジメントにおけるベストプラクティス)を構成するプロセスのひとつで、ITサービス運営に手法について書かれています。サービスサポートは、一つの機能と、五つのプロセスで構成されています。下に内容をまとめます。

インシデント管理:障害時の迅速な回復を行い、影響を最小限にする
問題管理:インシデントや障害の原因の解明と対策・再発防止を行う
構成管理:構成アイテム情報の収集や維持・管理・確認・検査を行う
変更管理:構成アイテムの変更を安全かつ効率的に実施する
リリース管理:変更管理プロセスで承認された内容を本番環境に反映させる
サービスデスク:顧客との窓口の役割をし、サポート業務を行う

問42 企業の内部鑑査の一環で実施されるシステム監査の内容として、適切なものはどれか。
システム運用者が、自部門の業務がルールどおりに実施されているかを、自己点検表を使用して確認した。
システム開発者が、次期システムの要件をシステムの利用者へのアンケート調査によって確認した。
システム部門以外の者が、システム部門での業務がルールどおりに実施されているかを、チェックシートを使用して確認した。
システム部門の者が、社内で所有する情報機器が台帳の記載どおりに設置されているかを実地棚卸しによって確認した。
解答
解説 監査の基本は、監査機関と被監査機関の独立と、専門的で中立的な立場からの客観的指摘です。また、証拠資料はかならずコピーなどを取り複数保管しておくのが基本です。また、企業の監査部門が行う内部監査と第三者機関に依頼する外部監査の二つがあります。

問43 業務用サーバの停電対策として導入予定の自家発電設備は、停電を感知してから安定した電源供給が得られるまでに1分かかる。その1分間のサーバ用電源を確保するために必要な装置はどれか。
A/Dコンバータ
RAID
UPS
ファイアウォール
解答
解説 停電への対策としては、自家発電装置が有効ですが、切り替わるのには数秒から数分かかります。コンピュータがこの間電源を確保する(あるいは正常にシャットダウンするまでの時間を確保する)ための装置としてUPSがあります。UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)があります。UPSには、一瞬の電源異常や瞬断とよばれる電源の瞬間的な停止を防ぐ機能もあります。

A/Dコンバータは、アナログからディジタルへのデータの変換を行うものです。
RAIDは、複数のHDDを1台のドライブのように見なして、信頼性や安全性を向上させる技術です。
ファイアウォールは、内部と外部のネットワークの間に置かれ、セキュリティを確保するために用いられるものです。

問44 プロジェクトにおける開発予算に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
開発計画は総開発予算に基づき作成するものなので、個々の作業ごとの見積りを積算して計画してはならない。
開発予算と実績の差異を監視し、必要に応じて計画変更を行う。
開発予算は直接資材調達に対するものなので、プロジェクトに参加する社員の人件費は含めない。
類似プロジェクトの有無にかかわらず、ファンクションポイント法を用いて詳細な見積りを行う。
解答
解説 開発予算を個々の作業に分け積算することはありますし、当然、人件費も予算のうちです。ファンクションポイント法は代表的なプロジェクトの規模の見積り手法ですが、類似プロジェクトがある場合は、そちらを参考にすることも多いです。予算は常に監視し必要に応じて計画の変更が行われます。

問45 基本計画に基づいて内部統制を設備及び運用する役割と最終責任を有するものはだれか。
株主
監査役
経営者
内部監査人
解答
解説 企業の最終的な責任を負うのは経営者が負います。株主は会社の出資者でありオーナーですが、内部統制などの責任は負いません。監査役や監査人は監査結果に対しては責任はありますが、最終責任を負うものではありません。

問46 プロジェクトマネージャが行うプロジェクト関係者とのコミュニケーションに関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
どのような報告をいつ、だれに対してどのような方法で行うか、プロジェクトの開始時点で決めておく。
発注者にプロジェクトの進捗報告を行うときは、開発担当者が作成した進捗報告をそのまま使用する。
プロジェクトチームのメンバとのコミュニケーションは、連絡の迅速性を重視して口頭で行う。
プロジェクトの規模にかかわらず、定期的にプロジェクト内外の関係者全員を集めた進捗状況確認の会議を開催する。
解答
解説 プロジェクトマネージャーはプロジェクトの運営の管理を行う責任者で、報告の手段や対象・相手などはプロジェクト開始時に細かく決めておく必要があります。進捗情報は、プロジェクトマネージャーが総合的に判断して決めます。メンバとのコミュニュケーションは、記録が残るように口頭ではなくメールや報告書で行うのが基本です。プロジェクトの規模が大きいと全員参加というのは難しいと考えられます。
また、プロジェクトマネジメント協会が提供する、プロジェクトマネジメントの知識体系でPMBOKというものもあります。

問47 プログラムの単体テストに関する記述のうち、適切なものはどれか。
作成したプログラムごとのテストは行わず、複数のプログラムを組み合せ、一括してテストする。
テスト仕様は、システム要件を定義する際に作成する。
テストデータは、システムの利用者が作成する。
ロジックの網羅性も含めてプログラムをテストする。
解答
解説 テスト工程は、単体テスト → 結合テスト → システムテスト → 運用テストの順に行います。単体テストでは、単一のモジュールが正しく動くかを主にホワイトボックステストで調べます。結合テストでは、複数のモジュールのインタフェースが正しく動くかを主にブラックボックステストで調べます。また、設計とテストは以下のように大まかに対応しています。

V字工程を表示できません

問48 ITサービスにおいて、問題が発生したときの解決プロセスにはインシデント管理と問題管理がある。インシデント管理の説明として、適切なものはどれか。
将来発生する可能性のある問題の原因を取り除き、問題発生を未然に防ぐ。
発生した問題によって生じたサービスの低下や停止から、可能な限り迅速にサービスを復旧させる。
発生した問題によって生じた変更を、効果的かつ効率的に実施する。
発生した問題の根本原因を突き止めて、恒久的な解決策を提供する。
解答
解説 ITサービスにおける問題(障害)対策のプロセスにはインシデント管理と問題管理があります。二つを以下にまとめます。

インシデント管理:インシデントが発生してから暫定的な解決を行うまでの管理
問題管理:インシデントの根本的な解決を行う管理

つまり、インシデント管理 → 問題管理という風になります。

選択肢ア、エは問題管理の説明です。
選択肢ウは、変更管理の説明です。

問49 ソフトウェアの受入れに関する記述として、適切なものはどれか。
受入れでは、そのソフトウェア開発者の支援などの関与があってはならない。
受入れでは、そのソフトウェアの開発で用いた詳細設計に基づいて、取得者がレビュー及びテストする。
受入れでは、そのソフトウェアの開発者が主体的に行う。
受入れでは、そのソフトウェアの取得者が行い、開発者は受入れを支援する。
解答
解説 受入れテスト(承認)は、ソフトウェア開発部や委託先などが取得者(受入れを行う部門)に導入する際に、行うテストのことで、原則として取得者側がテストを行います。取得者側は要求した機能などが満たされているかどうかを、普段使用しているデータなどを基にテストします。開発部門はこれを支援します。

問50 図は開発するソフトウェアの動作ロジックを検討し、その結果を文書化した流れ図の一部である。このような作業を実施するのはソフトウェア開発のどの段階か。

画像(問50)を表示できません
システム方式設計
システム要件定義
ソフトウェア詳細設計
ソフトウェア要件定義
解答
解説 まず、ソフトウェアの開発は以下のような工程になります。

V字工程を表示できません

単体テストでは、単一のモジュールが正しく動くかを主にホワイトボックステストで調べます。
結合テストでは、複数のモジュールのインタフェースが正しく動くかを主にブラックボックステストで調べます。

今回の図はホワイトボックステストですので、これは単体テスト用のテストデータであることが分かります。
つまり、単体テストを設計するのは、詳細設計であるといえます。

問51 表計算ソフトのマクロ機能を活用し、製品ごとの営業イベントの成果を分析するプログラムを作成しようとしている。このプログラムのソフトウェア要件定義の作成として適切なものはどれか。
組み込むマクロの動作ロジックを検討し、コーディングする。
組み込んだマクロが正しく動作するか、テスト用のデータで試してみる。
集計するデータ項目としてどのようなものが必要であるか洗い出す。
分析対象年度の製品ごとの各月の売上データを表計算ソフトに入力する。
解答
解説 要求定義とは、必要な機能などを定義することで、プロジェクト開発の上流で行われます。

選択肢アは、コーディング(プログラミング)の説明です。
選択肢イは、テストの説明です。
選択肢ウは、運用の説明です。

問52 2進数1.101を10進数で表現したものはどれか。
1.2
1.5
1.505
1.625
解答
解説 順番に計算していきます。

1×20+1×2-1+0×2-2+1×2-3=1+0.5+0+0.125=1.625となります。

問53 変数AとBに格納されているデータを入れ替えたい。データを一時的に格納するための変数をTMPとすると、データが正しく入れ替わる手順はどれか。ここで“x←y”は、yのデータでxの内容を置き換えることを表す。
画像(問53ans)を表示できません
解答
解説 真ん中でA←Bが実行されているので、Aの中身ををTMPに退避する必要があります。最後に、TMPのデータをBに代入すれば入れ替えはできます。分かりにくい場合は下のように実際に値を入れてみるとよいでしょう。

TMP=不定
A=10
B=20



TMP=10
A=10
B=20



TMP=10
A=20
B=20



TMP=10
A=20
B=10

なお、Bを先に退避させる場合は以下のようになります。
@ TMP ← B
A B ← A
B A ← TMP

問54 Xさんは、Yさんにインターネットを使って電子メールを送ろうとしている。電子メールの内容を秘密にする必要があるので、公開鍵暗号方式を用いて暗号化して送信したい。電子メールの内容を暗号化するのに使用する鍵はどれか。
Xさんの公開鍵
Xさんの秘密鍵
Yさんの公開鍵
Yさんの秘密鍵
解答
解説 公開鍵暗号方式は、暗号化鍵と復号化鍵が別々の暗号方式です。代表的なものに巨大数の素因数分解の困難性を利用したRSAがあります。公開鍵暗号方式は、受信者の公開鍵で暗号化し、受信者の秘密かぎで復号化することで実現します。つまり、Yさんの公開鍵で暗号化しYさんの秘密鍵で復号します。
また、本人確認もできるディジタル署名は、これの逆で送信者の秘密かぎで暗号化し、送信者の公開かぎで復号化します。

問55 セルD2とE2に設定した2種類の仮の消費税でセルA4とA5の商品の税込み価格を計算するために、セルD4に入れるべき計算式はどれか。ここで、セルD4に入力する計算式は、セルD5、E4及びE5に複写して使うものとする。

画像(問55)を表示できません
B4*(1.0+D2)
B$4*(1.0+D$2)
$B4*(1.0+D$2)
$B$4*(1.0+$D2)
解答
解説 まず、セルの複写をする際には、絶対参照と相対参照があります。絶対参照は行や列番号の前に$をつけます。つまり、下図のようになります。

セルを表示できません

まず、税率のことを考えると、D→Eは相対参照で変化させ、2→3は絶対参照で変化させないようにする必要があります。
次に、税抜き価格のことを考えると4→5は相対参照で変化させ、B→Cは絶対参照で変化させないようにします。

よって、税率の行を絶対参照にし、税抜き価格の列を絶対参照にしている選択肢ウが正解であることが分かります。

問56 PCのOSに関する記述のうち、適切なものはどれか。
OSが異なってもOSとアプリケーションプログラム間のインタフェースは統一されているので、アプリケーションプログラムはOSの種別を意識せずに処理を行うことができる。
OSはアプリケーションプログラムに対して、CPUやメモリ、補助記憶装置などのコンピュータ資源を割り当てる。
OSはファイルの文字コードを自動変換する機能をもつので、アプリケーションプログラムは、ファイルにアクセスするときにファイル名や入出力データの文字コード種別の違いを意識しなくても処理できる。
アプリケーションプログラムが自由にOSの各種機能を利用できるようにするために、OSには、そのソースコードの公開が義務付けられている。
解答
解説 OS(オペレーティングシステム)が行っている機能はたくさんありますが、その代表的なものに資源の管理があります。プログラムに対してCPUやメインメモリの領域などを割り当てて管理します。

選択肢ア:OSが異なるとそのインタフェース(API)がことなるので、アプリケーションが動作しないことがあります。
選択肢ウ:文字コードの解釈は、OSではなく、ソフトや日本語入力メソッドによります。
選択肢エ:OSの中にはソースが公開されているもの(linux系など)もありますが、Windowsなどは公開されていません。

問57 図に示すあるシステムの運転状況において、区間Aにおける平均故障間隔(MTBF)は何時間か。

画像(問57)を表示できません
20
110
200
220
解答
解説 平均故障間隔とはつまり、平均して稼動している時間ということです。なので、300時間、200時間、100時間の平均なので、選択肢ウの200が正解となります。

問58 電子メールで使用されるMIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)に関する記述として、適切なものはどれか。
画像ファイルなどの添付ファイルを電子メールで送る方法
公開鍵暗号方式を用いて、電子メールを暗号化して送る方法
電子メールの本文をHTML記述することで、Webページのようなレイアウトやデザインを実現する方法
メールサーバから利用者の端末に電子メールを転送する方法
解答
解説 MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)とは、本来アスキーコードしか電子メールで様々なフォーマットを取り扱えるようにしたものです。

選択肢イは、MIMEにセキュリティ機能を追加したS/MIMEの説明です。
選択肢ウは、HTMLメールの説明です。
選択肢エは、メールサーバからメールを取り出すプロトコルであるPOP3の説明です。

問59 Webで使用されるCookieに関する記述として、適切なものはどれか。
HTMLによる文章のレイアウトを、細かく指定できるフォーマット規格である。
HTTPに暗号化の機能を追加したプロトコルである。
Webサーバと外部プログラムが連携し、動的にWebサーバを生成する仕組みである。
アクセスしてきたブラウザに、Webサーバからの情報を一時的に保存する仕組みである。
解答
解説 Cookieはサーバの指示でクライアント上に作成されるファイルです。JavaScriptなどを使って作成指示ができ、有効期限の設定ができます。ユーザやセッションの管理に用いられますが、悪用するとスパイウェアのような振る舞いをさせることもできます。

選択肢アは、CSS(Cascading Style Sheets)の説明です。
選択肢イは、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol over Secure Socket Layer)の説明です。
選択肢ウは、CGI(Common Gateway Interface)の説明です。

問60 ある音をコンピュータのファイルにデータとして記録するとき、符号化ビット数を8ビットとしている。符号化ビット数を16ビットに変更し、同じ音を同じサンプリング周波数で記録したときの説明として、適切なものはどれか。
音の振幅をより細かく記録できる。
記録時間が同じ場合、データ量は少なくなる。
記録したデータの加工に必要なCPUの負担は減る。
記録できる周波数の上限が高くなる。
解答
解説 アナログデータ(時間も振幅も連続)をディジタルデータ(時間も振幅も離散)に変換するためには、標本化→量子化→符号化という作業を行います。各作業を簡単に以下にまとめます。

標本化:時間を離散化する。(一般的には最大周波数の2倍で行います)
量子化:振幅を離散化する。
符号化:量子化したデータを特定の符号に対応付けする。

符号化と量子化は、多くのサンプリングポイントを取ることで、よりオリジナルに近いデータを作り出すことができます(データ量は多くなります)

よって、選択肢アが正解といえます。

選択肢イは、データ量が多くなります。
選択肢ウは、CPUの負担が増えます。
選択肢エは、周波数の上限は変化しません。(周波数の上限を上げるためには、サンプリング周波数を上げる必要があります。)