平成16年度春期 シスアド 問21−40 解答編





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シスアド

(初級システムアドミニストレータ試験)

解答と解説のページです。

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問21 データ構造の一つである木構造に関する記述として、適切なものはどれか。
階層の上位から下位に節点をたどることによって、データを取り出すことができる構造である。
格納した順序でデータを取り出すことができる構造である。
格納した順序とは逆の順序でデータを取り出すことができる構造である。
データ部と一つのポインタ部で構成されたセルをたどることによって、データを取り出すことができる構造である。
解答
解説 木構造の例を以下に示します。いわゆるディレクトリ構造(ショートカットのない)だと考えると分かりやすいです。

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問22 インタプリタ方式によるプログラムの処理に関する記述として、適切なものはどれか。
一般にコンパイル方式よりも処理が高速であり、大規模なプログラムの作成に向いている。
生成される目的プログラムが、コンパイラによるものよりも大きくなる。
バッチ処理専用であり、会話型処理では使用できない。
プログラムの部分的な翻訳と実行を反復して行うことが容易である。
解答
解説 インタプリタとコンパイラの差を以下にまとめます。

コンパイラ:一括で機械語に変換する コンパイルに時間はかかるが実行ははやい C言語などが代表例
インタプリタ:必要になった行を機械語にその都度変換する コンパイルは不要だが、実行速度は遅い Basicなどが代表例

問23 HTMLだけ実現できず、DHTML(Dynamic HTML)を使うことによってブラウザ側で初めて実現可能になったことはどれか。
アプレットを使用する。
イメージを表示する。
サーバにデータを送る。
入力データを検査する。
解答
解説 Dynamicとは動的なという意味で現在進行的に行うことができる処理を意味します。アプレットやイメージはHTMLタグが用意されていますし、単純にサーバにデータを送るだけなら、HTMLだけでできます。しかし、入力データを検査するにはHTMLだけではできず、DHTMLやJavaScriptの力が必要となります。

問24 SGMLに関する記述として、適切なものはどれか。
HTMLやXMLの基となったものであり、論理構造をもった文章の作成に用いられる。
HTMLを拡張したものであり、ブラウザ上で画像や文章を表示するときに用いられる。
電子楽器間の通信方式の規格であり、音楽データを処理するときに用いられる。
標準ページ記述言語であり、フォーマット済み文章の交換などに用いられる。
解答
解説 SGMLはタグを用いて利用するマークアップ言語の一つです。代表的なマークアップ言語をいかにまとめます

HTML:インターネットで最も多く用いられているマークアップ言語。
SGML:国際標準のマークアップ言語
XML:ユーザ自身がタグを定義することができるマークアップ言語

問25 Webや電子メールで閲覧や配布によく使用される電子文章の形式で、配信先と配信元のハードウェアやアプリケーションの違いをほとんど意識せずに、画像を含むオリジナル文章の体裁を再現できるものはどれか。
DDL
PDF
RTF
SGML
解答
解説 PDFとは環境に依存あまり、依存せずに体裁を保ったままファイルを読むことができる形式で、アドビ社が開発した形式の一つで、アクロバットリーダー(無料配付)で読むのが一番好ましいといえます。DDLはデータベースのデータ記述言語でDBの表を作ったりアカウントの権限の操作をする言語で、RTFはいわゆるリッチ形式と呼ばれるもので、メールでは、環境に依存する場合が多くHTMLなどと同じく嫌われる事もあるフォーマットです。SGMLは国際標準のマークアップ言語です。

問26 表計算ソフトで次の表を作成した。セルG2に計算式B2/(E2+F2)を入力し、これをセルG3〜G6に複写して表を完成させようとしている。このとき、セルG1に入れる表題として適切なものはどれか。

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売上総利益率
自己資本比率
総資本回転率
損益分岐点売上高
解答
解説 重要な指標を以下にまとめます。
売上総利益率:売上総利益 / 売上高でもとめられ、純利益の利益に占める割合をあらわし、高いほどよい
資本利益率:売上純利益/資本でもとめられ、投下した資本がどれだけの利益を生んでいるのかをあらわし、高いほどよい
棚卸資本回転率: 売上原価 / 棚卸資産額で求められ、在庫の入庫から販売までの指標であり、高いほどよい
流動比率:流動資産 / 流動負債でもとめられ、基本的に1年以内に資金化して支払いできる能力の指標であり、高いほどよい、200%以上がよいとされている。
自己資本比率:自己資本 / 総資産でもとめられ、総資産の自己資本比率をあらわし、高いほどよい
総資本回転率:売上高 / 総資産でもとめられ、高いほど資金を有効に利用していることになる。
損益分岐点売上高:固定費 / (1−変動費率)でもとめられ、損害と利益が0の売上を示す。

問27 1995年度の売上額を100としたときの各年の売上指数を計算するために、セルB3に入れるべき式はどれか。ここで、セルB3の式は、セルC3〜J3に複写する。

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100*$B2/B2
100*B$2/B2
100*B2/$B2
100*$B2/B$2
解答
解説 まず、相対指数なので、分母が対象の年、分子が1995年度を指定するようにできればよいわけです。つまり、分母は複写によって移動できるように相対参照とし、分子は1995年から動かないように絶対参照とするために、B列を固定することで、正しく計算できます。

問28 ERPパッケージの活用の目的として、適切なものはどれか。
基幹業務のビジネスプロセスを見直して、経営資源全体をリアルタイムに把握し、その有効利用を図る。
業務改革の視点で業務プロセスの見直しを行い、新しい業務プロセスを実現する。
生産管理において、製品の部品所要量を計画し、部品調達を効率よく行う。
他者との受注・発注情報の連携を効率的・効果的に行う。
解答
解説 ERP(Enterprise Resource Planning)は、経営資源を最適化することを目的とするもので、導入に当たり、さまざまなプロセスの準備(検証・標準化等)が必要となり、専門の部門などにやらせるのが一般的です。

問29 オフィス環境に関する記述のうち、適切なものはどれか。
カーペットには防音効果はあるが、断熱効果は期待できない。
計測された騒音レベルが60デシベル程度の場合は、非常に静かだと感じる。
事務作業やDTP作業を行う部屋には、1,000ルクス程度の照度があるとよい。
ルーバなしの照明器具を設置することは、グレア対策として有効な方法である。
解答
解説 電子機器は加熱により熱暴走を起こす可能性があるので、断熱効果はあった方がよいです。人間が静かだと感じるのは40デシベル以下だといわれています。明るいオフィスは400ルクス以上だといわれているので適切な明るさだといえます。グレアとは見にくさや不快感のある光のことで、ルーバ(ルーバー)とはグレア対策などに使われる証明のカバーのことです。

問30 表A、Bから、部署ごとの平均給料を得るためのSQL文はどれか。

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SELECT 部署コード,部署名 AVG(給料) FROM A,B GROUP BY 部署コード
SELECT 部署コード,部署名 AVG(給料) FROM A,B GROUP BY A.所属コード = B.部署コード
SELECT 部署コード,部署名 AVG(給料) FROM A,B WHERE A.所属コード = B.部署コード GROUP BY 部署コード,部署名
SELECT 部署コード,部署名 AVG(給料) FROM A,B WHERE A.所属コード = B.部署コード ORDER BY 部署コード
解答
解説 まず、必要な項目は、部署コードと部署名、そして平均給料です。表は2つとも使いますので、A、Bの両方を指定します。つぎに、この2つの表を結合するために、所属コードで一致させます。最後に、グループ化をしますが、GROUP BY句を使った場合、SELECT句ではGROUP BY句と計算式しか使えないという制限があるので、部署コードと部署名の両方を指定しています。

問31 ソフトウェア開発手法の一つであるプロトタイピングの特徴の記述として、適切なものはどれか。
基本計画、外部設計、内部設計、プログラム設計、プログラミング、テストの順に工程を進めていくので、全体を見通すことができ、スケジュールの決定や資源配分が容易にできる。
システム開発の早い段階で試作品を作成するので、ユーザ部門と開発部門との認識のずれやあいまいさを取り除くことができる。
ソフトウェアを仕様変更の可能性があるものとないものに分類し、仕様変更の可能性があるものについては、作成、見直し、変更のプロセスを繰り返す。
大規模アプリケーションを独立性の高い部分に分割し、その部分ごとに設計、プログラミング、テストの工程を繰り返し、徐々にその開発範囲を広げていく。
解答
解説 ソフトウェアを作るための開発手段にはいくつかの種類があり、ウォータフォールモデル、スパイラルモデル、プロトタイピングモデルはその中でも最も代表的な3つです。3つの特徴を下にまとめます。

ウォータフォールモデル:前工程の成果物が確実であるとみなして、工程の後退をせずにその名の通り水が上から下へ流れる滝のように、順序に開発を進めます。しかし実際には、前の工程で不備が見つかることが多く、古典的であるといわれます。

スパイラルモデル:要求定義から実際に実装までを繰り返しながら開発を進めます。ウォータフォールモデルとプロトタイピングモデルの中間のような感じで、大規模システム開発に向いています。

プロトタイピングモデル:プロトタイプ(試作品)を作って、実際にどんなものかをクライアントに確認を取りながら開発を進めるため、クライアントと開発部の認識の誤差を少なくできます。

問32 販売管理のDFDで、製品在庫を表すデータストアはどれか。ここで、図中の各プロセスは在庫引当処理、受注処理、受注残処理、出荷処理及び発注処理のいずれかを表している。

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@
A
B
C
解答
解説 DFDにおいて、注目すべきは矢印の向きとその意味です。矢印がデータストアから一方向に出ている場合は、ロード。一方向に向かっている場合はストア(書込み)。双方向の場合は、アクセス(変更・更新)です。つぎに、プロセスを埋めていきます。@とAからデータをやり取りしているプロセスは、顧客から依頼が来るので受注処理です。その下のプロセスは出荷指示をしていることから在庫引当処理です。そのさらに下は、納品をしているので出荷処理です。在庫引当処理の右のプロセスは、仕入先とつながっているプロセスは発注処理です。最後のプロセスは受注残にデータを格納してことから受注残処理となります。最後に製品在庫を表すデータストアは、受注残処理で在庫数を変更する必要があるので双方向の矢印がついているBということになります。

問33 社員がどの部門に所属しているかを表すE−R図として、適切なものはどれか。ここで、図の*は関連における多を表す。
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解答
解説 まず、社員と部門は実体なので□となり、社員と部門をつなぐ所属は関係なので◇となります。また、一つの部門には複数の社員が所属するので1対多の関係になります。

問34 A社では、優良顧客の層について調査することになった。優良顧客とは、最近購入実績があり、かつ購入回数の多い人とする。優良顧客の絞り込みを行うために、最近の1か月、2か月、3か月、・・・について、期間ごとに購入回数ごとの顧客数を数え、顧客購入分析表を作成することにした。優良顧客の層別顧客数を求めるのに適切な顧客購入分析表はどれか。
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解答
解説 層別はQC7つ道具の一つで、全体を層のようにすることで特性を導き出すものです、今回は期間ごとの購入回数とを調べるために、期間と購入回数を2次元で表せればいいいので、アのようなグラフが分かりやすいといえます。

問35 GUIの部品の一つであるラジオボタンの用途として、適切なものはどれか。
幾つかの項目について、それぞれの項目を選択するかどうかを指定する。
幾つかの選択項目から一つを選ぶときに、選択項目にないものは文字ボックスに入力する。
互いに排他的な幾つかの選択項目から一つを選ぶ。
特定の項目を選択することによって表示される一覧形式の項目の中から選ぶ。
解答
解説 GUIの部品には様々なものがあります。一覧を表示するプルダウンメニューやポップアップメニュー、選択肢を選ばせるラジオボタンやチェックボックス。ラジオボタンは男女のように排他的なものから1つを選択するのに対して、チェックボックスはアンケートの該当項目のように複数のチェックが認められます。

問36 テスト工程におけるテスト作業の順序のを次に示す。
単体テスト → 結合テスト → システムテスト → 運用テスト
マニュアル作成やテストデータ作成などを考慮した場合、ユーザ部門の要員が参画するのはどの段階からか。
運用テスト
結合テスト
システムテスト
単体テスト
解答
解説 ユーザ部門は最初の依頼と最後の確認に参加をし、あとは開発部に任せます。今回の場合は最後のシステムテストに参加します。選択肢にはありませんが、最初の方は要求定義などにも参加します。

問37 モジュールの内部構造を考慮することなく、仕様書どおりに機能するかどうかをテストする手法はどれか。
トップダウンテスト
ブラックボックステスト
ボトムアップテスト
ホワイトボックステスト
解答
解説 4つのテストの特徴を以下にまとめます。
トップダウンテスト:上位にあるモジュールから下に向かって行うテスト、仮想的な下のモジュールをスタブという
ボトムアップテスト:下位にあるもじゅーるから上に向かって行うテスト、仮想的な上のモジュールをドライバという
ホワイトボックステスト:内部構造(論理的な構造)に着目し処理を網羅するように行うテスト
ブラックボックステスト:内部構造には着目せずに、入出力にしか注目しないテスト
ほかにも、トップダウンテストとボトムアップテストを合わせた、サンドイッチテスト(折衷テスト)や一度にテストを行うビッグバンテストなどがあります。

問38 テスト工程での品質状況を判断するための管理項目として、テスト項目消化件数と累積バグ件数との関係がある。品質が安定しつつあることを表しているグラフはどれか。
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解答
解説 品質が安定しているということは、バグが修正され、新しいバグが発見されなくなってきた状態をいいます。つまり、累積バグ数が収束してるグラフを選べばよいことになります。なお、このグラフを信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線)といいます。

問39 新しい業務システムの運用テストの開始に当たって、改版した業務手順書を配布したところ、分かりにくいとのクレームが多発した。原因として、考えられることはどれか。
業務の体系と流れについて、改善点を記述した。
業務の流れに沿って、システムに障害が発生したときの業務的な対処法を記述した。
システムの機能について、プログラム設計書に記載した項目をそのまま詳細に記述した。
従来の業務手順書で分かりにくかった部分を修正するとともに、変更履歴を1か所にまとめて記述した。
解答
解説 ユーザ側はいかにシステムを有利に利用できるかという点に注目すればよいので、プログラムの詳細などはシステム部にとっては重要ですがユーザ部門はあまり重要でないといえます。

問40 大規模なシステム開発におけるユーザ部門の役割に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ユーザ部門の責任者は、導入されたシステムに対して、投資効果については考慮せず、ユーザ部門が要求する追加機能を開発部門に受け入れさせる努力をする。
ユーザ部門は、開発部門によって開発されたシステムを利用する立場であるから、システム開発には介入せず、開発部門に一任するのがよい。
ユーザ部門は、システム開発における成果物に対して、業務的視点から内容確認を行うが、プログラムの詳細な設計については開発部門に任せる。
ユーザ部門は、積極的にシステム開発に参画し、さまざまな助言をする必要があるので、業務知識は少なくともコンピュータについての知識が豊富な人を優先して参画させる。
解答
解説 ユーザ部門の担当はプロジェクトの最初(依頼)と最後(受入)を開発部門と共同で行うことなので、実際のプログラム開発は開発部に任せるのがよいといえます。