平成16年度秋期 基本情報 問21−40 解答編





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基本情報

(基本情報技術者試験)

解答と解説のページです。

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問21 キャッシュメモリに関する記述のうち、適切なものはどれか。
書込み命令が実行されたときに、キャッシュメモリと主記憶の両方を書き換える方式と、キャッシュメモリだけを書き換えておき、主記憶の書き換えはブロックの入替え時に行う方式とがある。
キャッシュメモリは、実記憶と仮想記憶のメモリ容量の差を埋めるために採用される。
主記憶へのアクセスでキャッシュメモリにヒットしないと割り込みが生じ、プログラムによって主記憶からキャッシュメモリへデータが転送される。
半導体メモリのアクセス速度の向上が著しいので、キャッシュメモリの必要性は減っている。
解答
解説 キャッシュメモリは主にSRAMが利用され、CPUと主記憶の処理速度の差を埋めるのに用いられます。アクセス方式には、キャッシュメモリと主記憶の両方を書き換えるライトスルーとキャッシュメモリから退避されるされるときに書き換えるライトバックがあります。

問22 システムA、Bのキャッシュメモリと主記憶のアクセス時間は表のとおりである。あるプログラムをシステムAで実行したときのキャッシュメモリのヒット率と実効アクセス時間は、システムBで実行したときと同じになった。このときのキャッシュメモリのヒット率は幾らか。

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0.2
0.3
0.5
0.8
解答
解説 システムAのアクセス時間=システムBのアクセス時間により

15×A+50×(1−A)=10×A+70×(1−A)を展開して

15A+50−50A=10A+70−70Aを移項して

25A=20により、A=0.8となります。

問23 メモリインタリーブの説明のうち、適切なものはどれか。
新しい情報をキャッシュメモリに取り出すとき、キャッシュ上では不要になった情報を主記憶に書き込む
主記憶のアクセス時間と磁気ディスクのアクセス時間とのギャップを補う。
主記憶の更新と同時にキャッシュメモリの更新を行う。
主記憶を幾つかの区画に分割し、連続したメモリへのアクセスを高速化する。
解答
解説 メモリインタリーブとは、メモリを連続アクセスする際に、複数のメモリバンク(あるいは単にバンク)と呼ばれる単位に分けておくことで、高速にアクセスできます。以下の例ではアクセス幅が1の場合は3語分、アクセス幅が2の場合は6語分に同時にアクセスできます。

画像(問23kai)を表示できません

選択肢アは、キャッシュメモリのライトバック方式、選択肢ウは、キャッシュメモリのライトスルー方式。選択肢イは、ディスクキャッシュの説明です。

問24 1セクタが512バイトの磁気ディスクを、28ビットで表すセクタ番号で管理するとき、最大何バイトの容量まで管理できることになるか。ここで、512×221を1Gバイトとする。
32
64
128
256
解答
解説 28ビットでセクタ番号を管理するということは、228個のセクタを管理することができます。よって、512×228=512×21×27=128Gバイトが正解です。

問25 並列にアクセス可能な複数台の磁気ディスクに、各ファイルのデータをセクタ単位で分散配置し、ファイルアクセスの高速化を図る手法はどれか。
ディスクアットワンス
ディスクキャッシュ
ディスクストライピング
ディスクミラーリング
解答
解説 複数台の磁気ディスクを利用して主に信頼性を向上させる技術をRAIDといいます。ここでRAID−0に相当するのがストライピングで、並列アクセスによる高速化を実現するものです。また、RAID−1がミラーリングで複数の磁気ディスクにまったく同じデータを書き込みます。また、両方の機能をもった実用的に利用されているRAID−5というのも出題率がたかいです。ディスクキャッシュは主記憶と磁気ディスクのアクセス速度の差を埋めるために用いられる紋で、ディスクアットワンスは、メディアへの書込み形式の一つで、一度にデータを書込み、追記ができない形式です。比較的互換性が高いモードです。ほかには、セッションアットワンス、トラックアットワンスなどがあります。

問26 データを読み取るときに磁気を使用しない記憶装置はどれか。
磁気ディスク
磁気テープ
光磁気ディスク
フロッピーディスク
解答
解説 磁気ディスク、磁気テープ、フロッピディスクは、読み取るときに磁気を用います。光磁気ディスクは、データを書き込む際は磁気石により磁気方向を定着させますが、読み取りには、レーザ光のみを用います。

問27 携帯端末(PDA)同士や、PDAとノート型パソコンとの間でデータ交換を行う場合に使われる、赤外線を用いたデータ転送の規格はどれか。
IEEE 1394
IrDA
PIAFS
RS-232C
解答
解説 IEEE1394とRS−232Cは、有線の規格です。また、PIAFSはPHSを用いた無線規格です。また、赤外線を使わないBluetoothなどが最近は利用され始めています。

問28 電圧を加えると自ら発光するのでバックライトが不要なディスプレイであり、低電圧駆動、低消費電力を特徴とするものはどれか。
CRT
PDP
TFT液晶
有機EL
解答
解説 ディスプレイに関する問題の出題率は高いので、以下にまとめます。

有機EL:自らの発光でバックライトの不要なタイプ。次世代に期待されています
CRT:いわゆる普通のブラウン管のディスプレイ。電子ビームを使って画像を作ります。
液晶:カラーフィルタによる色の制御を行う方式
PDP:PはプラズマのPで、高い電力が必要となります
TFT:TはトランジスタのTで、1つ1つの画素をトランジスタの発光で実現しています

問29 データ転送速度が15Mバイト/秒のPCカードを用いるとき、1,000×750画素の画像は、1秒間に何枚転送できるか。ここで、画像は圧縮せず、1画素は24ビットで表すものとする。
0.8
6.7
20
解答
解説 まず、1枚の画像データの容量を計算します。1000×750×24ビット=750×3Kバイト=2250Kバイトとなり、回線速度は15Mバイト/秒=15000Kバイト/秒なので、15000/2250=6.6・・・6≒6.7枚が正解です。

問30 仮想記憶管理のページ入れ替え方式のうち、最後に使われてからの経過時間が最も長いページを入れ替えるものはどれか。
FIFO
LFU
LIFO
LRU
解答
解説 4つは代表的なアルゴリズムなので以下にまとめます。

FIFO(FirstInFirstOut):先入先出し、一般的にはキューによって実現される。
LIFO(LastInFirstOut):後入先出し、一般的にはスタックを使って実現される。
LFU(LeastFrequentlyUsedmethod):参照頻度が最も低いものを入れ替える。
LRU(LeastRecentlyUsed):最後に参照されてから一番時間が経ったものを入れ替える。

問31 スプーリング機能の説明として、適切なものはどれか。
あるタスクを実行しているときに、入出力命令の実行によってCPUがアイドル状態になると、ほかのタスクにCPUを割り当てる。
実行中のプログラムを一時中断して、制御プログラムに制御を移す。
主記憶装置と低速の入出力装置との間のデータ転送を、補助記憶装置を介して行うことによって、システム全体の処理能力を高める。
多数のバッファからなるバッファプールを用意し、主記憶にあるバッファをアクセスする確率を増すことによって、アクセス時間を短縮する。
解答
解説 スプーリングとは、プリンタなどの低速な出力装置にダイレクトにデータを送ると時間がかかるため、一旦HDD等にデータを入れてそこからプリンタにデータを送ることで、処理効率を向上させる処理方式です。
選択肢アは、ディスパッチャの説明です。
選択肢イは、割込みの説明です。
選択肢エは、バッファリングの説明です。

問32 記憶領域の動的な割当て及び解放を繰り返すことによって、どこからも利用されない記憶領域が発生することがある。このような記憶領域を再び利用可能にする処理はどれか。
ガーベジコレクション
スタック
ヒープ
フラグメンテーション
解答
解説 ガーベジコレクション(メモリコンパクション)は、メモリ上での割当てと解放を繰り返すことで使用されない領域が発生するため、これを解消する処理をいいます。一方デフラグメンテーションは、ハードディスクなどで、書込みと消去を繰り返すことで、断片化(フラグメンテーション)してしまった領域を、連続した領域に再配置する処理をいいます。スタックはLIFOのデータ構造、ヒープは木構造の一種です。

問33 マルチプロセッサ環境で動作するOSの特徴に関する記述のうち、適切なものはどれか。
疎結合マルチプロセッサシステムでは、主記憶とデータを共有する。
疎結合マルチプロセッサシステムでは、主記憶に存在する物理的に一つのOSによって制御される。
密結合マルチプロセッサシステムでは、各タスクはどのプロセッサでも実行できるので、タスク間で同期をとる機能が必要になる。
密結合マルチプロセッサシステムでは、主にジョブやトランザクションなどの一まとまりの仕事の単位で負荷配分が行われる。
解答
解説 複数のCPUが主記憶やOS、データを共有する形態を密結合マルチプロセッサといいます。逆に、各々のCPUが占有の主記憶、OS、データをもち、バスで接続されている形態を疎結合マルチプロセッサといいます。

問34 シノニムレコードの発生する可能性があるファイルアクセスはどれか。
区分編成ファイルへのレコードの追加
索引順編成ファイルのレコードの更新
順編成ファイルのレコードの更新
直接編成ファイルへのレコードの追加
解答
解説 シノニムとは衝突のことで、衝突とは、ハッシュ関数を用いてアクセスする際のハッシュ値が同じデータのことをさします。選択肢のなかでハッシュ関数を用いるのは、直接編成ファイルなので、正解はエになります。

問35 ファイルの格納に関する記述のうち、アーカイブの説明として適切なものはどれか。
主記憶における特定のデータやレジスタの値などを一時的にほかの記憶装置に格納する。
同一のファイルを二つのディスクにコピーし、データ保存の信頼性を確保する。
ファイルの更新履歴を磁気ディスク装置に格納する。
複数のファイルを一つのファイルにまとめて、記憶装置に格納する。
解答
解説 アーカイブ(書庫)ファイルとは、複数のファイルを1つにまとめる作業をいいます。また、アーカイブファイルを行った後にデータ圧縮を行われることも多いです。

選択肢アは、メモリダンプの説明です。
選択肢イは、RAID−1(ミラーリング)の説明です。
選択肢ウは、ジャーナリング(ログ)機能の説明です。

問36 デュアルシステムに関する記述として、適切なものはどれか。
同じ処理を行うシステムを二重に用意し、処理結果を照合することで処理の正しさを確認する。どちらかのシステムに障害が発生した場合は、縮退運転によって処理を継続する。
オンライン処理を行う現用系と、バッチ処理などを行いながら待機させる待機系システムを用意し、現用系に障害が発生した場合は、待機系に切り替え、オンライン処理を続行する。
待機系のシステムに現用系のオンライン処理プログラムをロードして待機させておき、現用系に障害が発生した場合は、即時に待機系に切り替えて処理を続行する。
プロセッサ、メモリ、チャネル、電源系などを二重に用意しておき、それぞれの装置で片方に障害が発生した場合でも、処理を継続する。
解答
解説 選択肢のシステムを以下にまとめます。

選択肢ア:デュアルシステム
選択肢イ:デュプレックスシステム
選択肢ウ:デュプレックスシステムのホットスタンバイ方式
選択肢エ:フォールトトレラントの二重化

システムの信頼性はデュアルシステム > デュプレックスシステム(ホットスタンバイシステム) > デュプレックスシステム(コールドスタンバイシステム) > シンプレクスシステムの順になります。

問37 スループットに関する記述のうち、適切なものはどれか。
ジョブとジョブの実行の間にオペレータが介入することによってシステムに遊休時間が生じても、スループットには悪影響を及ぼさない。
スループットはCPU性能の指標であり、入出力の速度、オーバヘッド時間などによって影響を受けない。
多重プログラミングはターンアラウンドタイムの短縮に貢献するが、スループットの向上にはあまり役立たない。
プリンタへの出力を一時的に磁気ディスク装置へ保存するスプーリングは、スルーウットの向上に役立つ。
解答
解説 スループットは単位時間当たりの処理量のことです。遊休時間があるとスループットは低下しますし、ターンアラウンドタイムが短縮するということは、スループットが向上するということにつながります。また、スプーリングはスループットを向上させる代表的な技術の一つです。

問38 A社では、1,000台のパソコンを使用している。これらのパソコンについて、平均故障台数を20時間で2台以下に抑えたい。これらのパソコンのMTBFは少なくとも何時間必要か。ここで、パソコンの平均使用時間は1日8時間とする。
8,000
20,000
80,000
160,000
解答
解説 平均故障間隔は故障から修復してから次の故障までの時間なので、個々では、全部のパソコンの総合稼働時間/故障台数と考えることができます。次に、全部のパソコンの総合稼働時間は20日×8時間かける1000台です。故障台数を2台以下にしたいので、160000/2=80000時間のMTBFが必要となります。

問39 3台のコンピュータA,B,Cが図のように接続されている場合、システム全体の稼働率は幾らか。ここで、A,B,Cの稼働率は、すべて0.8とする。また、コンピュータA,Bによって構築されている並列接続部分については、A,Bのいずれか1台でも稼働していれば、当該並列接続部分は稼働しているものとする。

画像(問39)を表示できません
0.512
0.768
0.928
0.992
解答
解説 まず、AとBの並列部分は1−(AとBが両方稼動していない確率)=1−(1−0.8)×(1−0.8)=1−0.04=0.96。この部分と、Cが直列なので、0.96×0.8=0.768が全体の稼働率です。

問40 インターネットに関するプロトコルや言語に関する記述のうち、適切なものはどれか。
FTPは、電子メールにファイルを添付してファイルを転送するためのプロトコルである。
HTMLは、文章の論理構造を表すタグをユーザが定義できる言語である。
HTTPは、HTML文章などを転送するためのプロトコルである。
SMTPは、画像文章を送受信するためのプロトコルである。
解答
解説 選択肢にかかわりのあるのプロトコルを以下にまとめます。

FTP:ファイルを転送するプロトコル
HTTP:ハイパテキストを転送するプロトコル
SMTP:メールをクライアントサーバ間、サーバ間同士を転送するプロトコル
POP3:メールをサーバから取り出すプロトコル
TELNET:TCP/IPネットワークにおいて、リモートログインをするプロトコル
SSH:暗号化された通信においてリモートログインを行うプロトコル